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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

第四の部員

2020年09月21日(Mon) 08:39:06

あたしの通う学校は、制服が自由である。
自由というのは、制服の着用義務はあるけれど、
制服であればどこの学校の制服でもOKということ。
セーラー服も、ブレザーも、ジャンパースカートもOK。
さすがに姉さんの通勤している信用金庫の制服を申請した子がいたけど、それはNGだった。
きょうもあたしは、ブレザーの制服にハイソックスを履いて、学校に通う。
ふだんどおり授業に出て、発言も積極的にやって(発言するのがとても楽しい)、

それからおトイレでセーラー服に着替え、ハイソックスを黒のストッキングに穿き替える。
所属している合唱部では、セーラー服に黒のストッキングの着用が義務づけされているのだ。
歌はそんなに上手じゃないけれど、あたしにしか出せない低音のおかげで、部員のみんなは重宝してくれる。
それがとても嬉しい。

濃紺のプリーツスカートを穿いた後、
黒のストッキングをつま先から脛へとグーンと引き伸ばすとき、ふと思う。
薄っすらとした墨色のナイロンに包まれたふくらはぎを見るのが、あたしは好きだ。
透け具合がなんともいえず、なまめかしい。
ひととおり身づくろいを済ませて、おトイレの鏡に自分の姿を映し、
納得がいくと、両掌で頬ぺたをピンと抑える。そう、あたしは合唱部の女子部員。
あたしは胸を張って、胸もとのリボンを心地よく揺らしながら、部室へ急ぐ。

部室に入ると、部屋を圧するような機械的な発声練習の代わりに、
白髪交じりの小父様がふふっと笑って声をかけてくれる。「よく来たね」
あたしはにっこりとほほ笑んで、お姫様めかして、
太ももがチラ見するていどにさりげなく、
スカートのすそをちょっとつまんで見せた。

「ほかの子はまだなの?」
あたしが訊くと小父様は、「帰ったよ」と、意外な返事。
でも、考えてみれば意外でも何でもない。
いつもは練習の後にすることを、喉の渇いた小父様はちょっとは辞めてみたくなったのだ。
あたしは目を大きく見開いて、わざと怯えたふりをする。
「じゃ・・・すぐに血を吸うのね・・・?」
「ご明察」
小父様はにんまりと笑んで、あたしのほうへと近寄ってくる。
でも、それでいいんだ。
このセーラー服は襟首のラインに血を撥ね散らしてもらうため着てきたのだし、
黒のストッキングは破けた蜘蛛の巣みたいになるまで存分に咬み剥いでもらうために穿いてきたのだ。
小父様は女子生徒として入学した元男の子のあたしを、女の子扱いして襲ってくれるのだから。
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