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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

謎のハーモニー 2

2020年09月28日(Mon) 19:02:24

フランスのサン・モール侯爵家に古代から伝わる、不可思議な宗教曲。
それは”封印された哀歌”とも、”禁じられた哀歌”とも呼ばれる。
なによりも不思議なのは、
さいしょはソプラノ、アルト、テナー、バリトンの四声であるのに、
曲の後半からワンパートずつ減っていって、最後はソプラノの独唱で終わるのだ。
「え、それって大役じゃないですか」
引っ込み思案な下級生でソプラノの水橋日奈が思わず尻込みすると、
「曲を知った人が尻込みして歌わないと、世にも怖ろしい辱めを受けて殺されちゃうらしいよ」
と、部長は後輩を脅かした。
「そ、そうなんですか・・・?」
「そうらしいけど、あいつが言ったことだから、よく知らない」
部長は横着にも、しらばくれた。
「でもいい曲じゃない。さっそく歌ってみようよ」
「パート練習が先よ」
部長はどこまでも、堅実だった。

どのパートも、それぞれ一曲の曲として独立していて、謡い映えがすることがわかった。
それぞれの部員が、自分のパートを気に入ったのも、練習に熱の入る原因になった。
だれもが気になったのは、やはり風変わりな終わり方だった。
まずバリトンが歌いやめて退場、それからアルト、テナー、ソプラノの順で歌が終わり、
歌い終えたパートは舞台から退場して、さいごはソプラノ一人の独唱で終わるのだ。
「13世紀には間違いなく存在した曲らしい」
部長はもっぱら吸血鬼の受け売りで曲のことを語るのだが、
自分なりに情報を整理しているらしく、
曲の理解を深めるためタイムリーにほかの部員に情報を伝えることができていた。
なによりも。
吸血鬼が彼女たちの練習に多大な協力をしてくれたことが、仕上がりの進度を速めてくれた。
毎日一人ずつ餌食にしていた吸血行為を、二日に一ぺん、二人ずつにしてくれたのだ。
全員が声を合わせる機会は、ウィークデー5日間のうち3日にものぼった。
「いままでの3倍練習できるね」
数学が得意の佐奈川百合絵が、そういって笑った。


9月21日着想
あとが続きそうにないのですが、取り合えず、あっぷしてみます。^^;
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