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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

ピンクのスーツの女。

2021年03月26日(Fri) 07:09:33

深い昼寝の後の寝起きのような、すっきりとした気分だった。
眠りから覚めた志摩子は起きあがると、娘の佳菜恵をさがした。
自分が吸血鬼に犯されたとき、娘は二階にいたはずだ。
軽い貧血を覚えながら階段を伝いのぼると、
佳菜恵は二階の和室に、来た時のピンクのスーツを身に着けたまま、うつ伏せに倒れていた。
ふくらはぎに赤黒い咬み痕が二つ、吸い残した血をあやしてくっきりと付けられ、
半ばずり降ろされたグレーのストッキングが、咬み痕をから縦縞模様のように鮮やかな伝線を描いていた。
首すじにも咬み痕がついていたが、ジャケットもブラウスも汚れていなかった。
噛むときにも必要以上に着衣を汚さない手際の良さを自慢する情夫の笑みが、心のなかで交錯した。

志摩子の穿いている黒のストッキングも、形を成さないほどに裂け目を拡げている。
一婦人としては侮辱であっても、それが深い寵愛のしるしだというのなら受け入れよう――と、志摩子はおもっていた。
着衣に汚れはないといっても、スカートの裏地までは保証のかぎりではなかった。
白くべっとりと濁った粘液が股間の奥まで浸しているのは、さすがに母親であっても確かめかねた。
自分自身がスカートの裏地を濡らされていたので、娘がどうされたのかを確かめる必要はなかったのだ。


「いらっしゃい」
クリーニング屋のおかみさんは、いつも通りの不景気な声と顔つきで、客を迎えた。
客は若い奥さんだった。
「これ、お願いします」
奥さんはよどみない声で、大きな手提げ付きの紙袋に入れた洗濯物を取り出した。
若向けのピンク色のスーツだった。
おかみさんはいつものように、慣れた手つきで服を点検した。
「この汚れは――」
思わず口にした後、そうしたことを少し後悔したけれど。
若い奥さんのほうが、一枚上手だった。
「ああこれ」と彼女は呟くとすぐに、
「男の人の・・・アレですワ」
と、ぞんざいに言った。
最近の若いひとは・・・と内心思いながらもおかみさんはスーツを拡げ、ほかのところも点検すると、
染み抜き300円追加になりますがと、いつものようにそういった。
若い客の立ち去り際におかみさんは、男の人というのはご主人ではないのではないかしらんとおもった。
その若い奥さんの首すじには、彼女が首すじにつけられたのと同じ痕が、やはりくっきりと泛んでいたから。

日帰りで実家に戻った妻が、違う服を着て戻ってきたのを見て、夫のタカシは軽い昂りを覚えた。
ピンクのスーツは水玉もようのワンピースに、グレーのストッキングは肌色に化けていた。
「お義母さん、元気だった?」
「元気よ~、頼もしくなるくらい」
タカシは佳菜恵がなにを形容しているのかを、正確に悟った。
ふたりの母娘が同じ吸血鬼を相手に、若々しい血潮を気前よくあてがい、そのあと犯されたことを。
「あッ!やだ!何するの!?」
後ろから巻きつけられた夫の腕に、佳菜恵は形だけの抗いを見せた。
「あいつには許すのに、オレはだめなのか?」
切羽詰まった夫の声に、「自信持ちなさいよお」と、妻はのんびりとこたえた。
夫はしかし、妻を台所に生かせようとはしないで、その場に押し倒した。
「あっ、もう!」
畳で膝を擦ったはずみにストッキングが破れた。
恨めしそうな上目遣いが、さらに夫をそそった。
夫は両手で、妻の穿いている肌色のストッキングを引き裂いた。
すったもんだが、始まった。

「今子供出来たら、どっちの子どもか分からなくなっちゃうよ」
白い歯を見せて無邪気に笑う佳菜恵に、
「どっちでも大事に育てる」
タカシはそう誓いながら、自分の言葉に興奮をして、
もう一度、佳菜恵のワンピースのすそを生温かく濡らしていった。
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