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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

大人になろうとした少女。

2021年03月28日(Sun) 09:26:29

すこし背伸びして、黒のストッキングを穿いていった。
空色のブラウスに白のカーディガン、その下は赤のチェック柄のプリーツスカートだった。
スカート丈が短めなのを母親は時おり気にするが、
いまさらそれが何だというのだろう?
吸血鬼の毒牙に無防備な肌をさらしてしまった少女は、
人の良いクリーニング店主のまえでだけは、大胆になれるようになっていた。

黒のストッキングを穿いてきたのは、初めてではない。
あがった中学は、入学式と卒業式のときだけ、黒のストッキングを穿く学校だった。
その入学式帰りのストッキングを、母親同伴で愉しませにきたのが、最初だった。
母親の穿いている肌色のストッキングのすぐ隣で、
大人びた色に染まった自分の脚が大人の扱いを受けることに、
少女はドキドキと昂りつづけていた。

卒業式のときにも、クリーニング店への寄り道を忘れなかった。
このときも、母親同伴だった。
卒業式帰りのハイソックスを、善八郎氏が切望したためだった。
自分のハイソックス姿が大人の目をそそることに、
女の子として悪い気はしなかった。
それだけ大人に見られていることだと、少女はおもった。
真っ赤に濡れたハイソックスは、いちおうクリーニングされたけれど。
少女の手許に戻ってくることはなかった。
さいしょのときのハイソックスと同じように、親父のコレクションにされてしまったのだ。・
そのこともまた、少女をいたく満足させた。
自分が脚に通した装いをせしめられることに、
ふつうの少女なら嫌悪感を催すかもしれなかったが、
体内に脈打つ血潮を舐め尽くされてしまった少女にとってはむしろ、誇らしいことに思えたのだ。

きょうの真由美は、ひとりでクリーニング店を訪れた。
以前にも何度となく、ひとりで来ることはあった。
お使いで、わざわざ真新しいハイソックスを履いて、洗濯ものを出しに来たのだ。
帰り道の少女は、真っ白なハイソックスに映えたバラ色のシミを、あえてひと目に曝しながら帰宅していった。
きょうもきっとそうなる――と、真由美はおもった。

善八郎氏は、いつものようににこやかに、真由美を迎え入れた。
「クリーニングだね?一人できたご褒美に、きょうはおまけしておくよ」
そういっていつものように、料金を少しだけ負けてくれるのだった。
少女の足許に露骨に目を這わせた善八郎氏の目の色が変わった。
薄黒いナイロン生地の濃淡が縁どる少女の脚の線に欲情を覚えたのだ。
「はやくあがって」
店主は手短にそういった。

ちゅうっ・・・
大人びて上品なストッキングごしに、親父の唇がいやらしくヌメった。
入学式のときも、そうだった。
あのときは、横に肌色のストッキングを穿いた母親がいた。
きょうは、ひとりだった。
ふたりきりの密会に、少女は背伸びした初々しい昂りを覚えていた。

――――
――――

「破けたストッキング、このまま穿いて帰るから」
ちょっぴり口を尖らせた少女の意図を、善八郎氏は妨げなかった。
「入学して一週間で、大人になっちゃった」
少女は白い歯をみせて笑った。
どこか母親のそれと似通った笑いかたにみえた。
股間に突き込まれたヒリヒリとした痛みにぎごちなく起きあがりながら、
少女はそれでもしっかりと、自分の足で歩いていた。
「きょうのストッキングも、あとで小父様にあげるわね」
帰りぎわ少女はふりかえって、そういった。
親父は「待ってる」と、若い青年のように目を輝かせてこたえた。
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