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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

夫と間男とのあいだに、恋が成立するとき。

2021年06月19日(Sat) 09:03:09

芙美夫は、男に犯されていた。
妻を犯した男だった。
男は、吸血鬼だった。
男はまず芙美夫を襲って血を吸い、
酔い酔いになった芙美夫に自宅を案内させて、
芙美夫の家でその妻、静江の血に酔い痴れた。

男は、モノにした人妻を、女として愛する習性を持っていた。
首から血を流した芙美夫は、自分に意識が残っていることを呪った。
妻が犯されるのを、目の当たりにする羽目になったからだ。
けれども視線はもつれ合いまぐあい合うふたりの様子に集中して、
あなた、視ないで!と叫ぶ妻が知らず知らず飼いならされてゆく光景に、
妖しい昂りを感じはじめていった。
吸血鬼に愛妻を隷属させられる歓びに、目覚めてしまったのだ。
芙美夫は自分の感情を押し隠そうとしたが、むだだった。
逆立つ股間が熱い粘液を勢いよくはじけ散らせるのを、二人に視られてしまったのだ。

その夜、勤め帰りの芙美夫を待っていたのは、静江だけではなかった。
夕食はちゃぶ台にきちんと並べられていたが、静江の姿はそこにはなく、
夫婦の寝室で吸血鬼に組み敷かれて、
肌色のストッキングを片方だけ脱がされ、
花柄のスカートの奥に、精液をびゅうびゅうと注ぎ込まれてしまっていたのだ。
夫の帰宅をすると、静江はあわてて吸血鬼を押しのけたが、
振り乱した髪も、着崩れしたブラウスやスカートも、取りつくろういとまを持たなかった。
「おかえりなさい」
仕方なしに静江は呟いた。
「ただいま」
芙美夫の声色も、虚ろだった。
「お食事、用意してありますから」
そう言い終える間もなく、静江はふたたび吸血鬼に押し倒されていった。

風呂からあがった芙美夫を、吸血鬼が呼び止めた。
そして、さっきまで静江を犯していた夫婦の寝室に芙美夫を引き込むと、
寝乱れたままの布団の上に押し倒し、股間を無理強いに開いていった。
女のように犯されるのは、もちろん初めてだった。
芙美夫は理不尽な痛みに耐えていたが、
なん度も突き込まれる魔性の肉が芙美夫の股間を淫らに昂らせるのに、
さほど時間はかからなかった。
妻を犯した男に、女のように弄ばれる。
情けないという思いは、すぐに消えた。
ふたりは無言のうちにせめぎ合い、肌を擦り合わせていった。

この猿臂が静江を抑えつけたのか。
この皮膚が静江の肌に重ね合わされたのか。
この唇が、静江の唇を支配していったのか。
まるで自分が静江に成り代わったかのような錯覚をおぼえた。
吸血鬼の愛撫に酔わされながら、芙美夫は否応なく、状況を受け容れさせられていった。
そしてさいごには、重ね合わされた唇に、自分のほうから応えはじめていた。
なによりも。
股間に刺し込まれた肉傍の甘美な痛みが、
妻がすぐに堕ちた理由を、雄弁に語ってくれていた。
これなら妻が堕ちるのも、無理はない――芙美夫はおもった。
そして、自分もいっしょに堕ちてしまおう――心からそうおもった。
気がついたら自分から腰を振って、応えはじめてしまっていた。

同性カップルの新枕の傍らにいつの間にか、
女もののワンピースと下着がひとそろい、
きちんと折りたたまれて、ひっそりと置かれていた。
不倫の恋を認めてくれた夫に対する、静江の心遣いだった。


6月15日構想、本日脱稿。
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女の姿で、妻の情夫と真夜中のデート。
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真剣な間男と、不真面目な夫。

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