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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

碧の貞操。

2021年07月15日(Thu) 06:52:21

ベッドのうえでの碧(みどり)は、ぼくのときと同じように、おきゃんだった。
跳ねたり、仰け反ったり、脚をじたばたさせたりで、
いっこうに落ち着きなく、挑発的なセックスだった。
相手がぼくではなかったとしても。

家内を誘惑してほしい。
碧の面前で、親友の良太にそういったとき、
ぼくはいままでにないくらい、昂りを覚えていた。
ほんとにいいの?
大きな瞳に深い翳をたたえた碧は上目遣いでぼくのことを窺い、
おれはいいけど、だいじょうぶ?
良太はそういって、ぼくを気遣った。
案外、イケると思う。
ぼくがそうこたえると、じゃあ遠慮なく・・・と、良太はいった。
やつが好みの女をゲットしたときだけに見せる、得意そうなほほ笑みが、
良太の秀麗な目鼻立ちをよぎった。

ふたりは似合いだと思う。
ぼくはいった。
ごくふつうの、どこにでもいるような容貌のぼく。
二重まぶたに憂いを秘めた大きな瞳の碧。
日本人離れした彫りの深さをたたえた、良太の目鼻立ち。
ぼくが夫で良太がそうでないことが、ふしぎなくらいだった。
そして良太は、四十代になるいまでも、独身だった。

ひとりの女だと満足できないてのは、寂しいなあ。
いつだか良太は自分のことを、そんなふうに自虐したけど。
あれは案外と、本当に寂しい本音なのかもしれない。
その寂しすぎるすき間を、碧の貞操で補ってみたい。
どうしてそんな不利益な取引に夢中になったのか、
ぼくはいまでも、うまく説明できないでいる。

奥さん借りるよ。気になったら視においで。
おなじマンションに暮らす良太はそういって、
碧を従えてぼくたちの家をあとにした。
頭ひとつ小柄な碧が半歩後ろに寄り添っただけで、
ますます似合いのふたりに、見えてしまった。

ふたりだけの時間なのだ。
碧を独り占めにするという、男と男の約束なのだ。
幾度も自分にそう言い聞かせてみたけれど。
やはり気が気ではない自分を、どうすることもできなかった。
碧を犯して良い――などと言ってのけたはずのぼくは、
そそくさと席を起って、出かける用意もそこそこに、ぼくたちの家をあとにした。

もはや真っ最中――と思ったら、
意外にも、まだふたりとも、服を着ていた。
それどころか、リビングでのんびりと、紅茶を飲んでいたのだ。
来ると思っていたよ。
良太はさっきとは違った得意そうな笑みを泛べて、
ぼくのことを快く迎え入れてくれた。
やっぱり ね。
碧も、まるで長年連れ添った夫婦のような顔をして、傍らの良太を見返した。
すでにその瞬間――碧は良太の側の女だと実感して、
刺すような刺激と、微かな虚しい喪失感と、それからずきりとくる歓びを覚えていた。

けれども、そのあとの良太は、容赦がなかった。
さっ、始めようか。
だしぬけに立ち上がると、緑の手を引いて、自分の寝室へといざなったのだ。

碧が手を引かれるままに、良太の寝室に行きかけると、
良太はその手を放して、おっと待った、といった。
まずはだんなさんを、縛らなくちゃね♪
にんまりと笑んだ良太が手にしたのは、女物のストッキングだった。

行儀よくそろえた手首にぐるぐる巻かれた薄手のナイロンが、
しなやかにぎゅうっと、締めつける。
女のパンストには、こんな使い方もあるんだよ。
良太は耳元で、囁いた。
奥さんの穿いているやつは、もっと別な楽しみ方をするけれど。
いろいろとエッチなことを想像させるひと言をぼくの耳の奥に吹き込むと、
まるで二十歳の若者に戻ったように瞳を輝かせ、碧のほうへと駆け寄っていった。

手首を結わえられたストッキングは、ダイニングテーブルに巻きつけられていた。
その大きなダイニングテーブルは、開け放たれた寝室の正面に置かれていた。
「さあ、碧ちゃん、いただきぃ~♪」
能天気なくらい明るい声をあげて、良太は碧に取りかかった。
碧はきゃあっとちいさく叫ぶと、形ばかり身構えたけれど、
まともな抵抗をすることもなく、そのままベッドに組み伏せられた。
碧がいつも穿いている薄茶色のロングスカートを、良太は慣れた手つきでまくり上げると、
透明なストッキングに包まれた碧の脚に、下品にしゃぶりついていた。
「ダメッ!いけないわ!」
碧の抵抗が、ぼくをよけいにそそった。
「ほら、だんなさん悦んでいるぜ」
良太は不良ぽくフフっと笑うと、抵抗する碧の手首をシーツのうえにねじ伏せた。
首すじを両わきとも吸われてしまうと、さすがの碧も観念したのか、身体の力を抜いた。
「服破らないで下さいね」
そこだけは心配そうに小声で頼む碧に、「わかった」といいながら、
良太は碧の穿いている肌色のストッキングを、ブチブチと引き裂いていった。
「ひどい、ひどい!」と言いながら、碧は身を揉んで悔しがったけれど、
その身のこなしに、いつものマゾな碧が見え隠れする。
夫の目だから、それがわかる。

「さあ、きょうはだんなさんに、たっぷり見せつけちゃおうね~♪」
良太はあくまでも、猫なで声だ。
いつもこんなふうにして、女を征服してきたわけで、
それは相手が親友の妻でも変わることはない――
たまたま相手が碧だというだけのこと――と、いやがうえにも思い知らされる。
ぼくの妻の碧はもはや、猛獣の前に投げ出された獲物にすぎなかった。

食いしばった白い歯を覆い隠すようにして、
良太の唇は碧の唇に重ね合わされ、
碧は激しくかぶりを振ろうとしながらも、
はだけたブラウスからブラジャーを覗かせながら、
腰までたくし上げられたロングスカートの奥、
男の狂った粘液を、ドクドクと際限なく、注ぎ込まれていった。

ベッドのうえの戯れは、長いことつづいた。
「だんなさん以外の男性、初めて?結婚してからは?浮気してないの?」
「やだぁ~っ、訊かないでっ」
服を脱がされてしまうともう、完全に良太のペースだった。
碧は両手で顔を隠して羞じらって、
良太はその顔を覗き込みながら、恥ずかしい質問をたたみかけてゆく。
「したこと、ある」
と、碧が言ってしまうまで。
「だんなさん、だんなさん、奥さん浮気したことあるんだって♪」
良太の能天気な高い声が、事の深刻さを大胆に軽減した。
「いいね~。碧ちゃん、いいね~。
 じつは久人だけのものじゃなくって、淫乱妻だったんだ~」
いじめっ子が気に入りの女の子を冷やかすみたいに、
良太は顔を隠そうとする碧のことを、意地悪く覗き込む。
「わかった、もぅわかったから、しよっ」
碧は潔く、良太のシーツのうえに、こんどは自分のほうから大の字になった。

良太はしめしめ・・・という顔つきで碧にのしかかって、
それから長いこと長いこと、碧を自分のものにしつづけていった。

容赦ない男の本性を垣間見ながら、縛られたぼくはどうすることもできなくて、
ただふたりのまぐわいが、じょじょに打ち解けたものになってゆくのを、
黙って視続けてしまっていた。
目を逸らすことだって、できたのに。
ぼくは碧の一挙手一投足を、良太の手慣れたテクニックを、
余すところなく見届けてしまったのだ。
そう――股間をギンギンに、滾らせて。
こらえ切れなくなってこぼれ出た粘液で、ずぼんをびっしょりと浸してしまうまで。
ぼくを縛めつづけたストッキングは、その最中もぼくの手首を絞めつけていて、
家に帰ったあと確かめてみたら、ありありとした痕を残していた。

ストッキングの縛めを良太に解いてもらうまで、
ふたりは8回も、エッチを重ねた。
解き放たれた獣は、獲物に群がってむさぼり尽くしたのだ。
「楽しかった~」
ひとの女房を征服したあとの良太は、相変わらず能天気だった。
そして、「時々やらない?」と、ぼくに水を向けてきた。
「いいけど・・・」
あいまいに言葉を濁すぼくに、
「このひとに騙されちゃいけないわよ」
と、碧が警告した。
「でも、騙されるなら良ちゃんがいい」
とぼくが言うと、
「それなら~」
と碧は、甘い顔をして良太の横顔を見つめた。
初対面のときにぼくをうっとりとさせた、あの表情だった。

碧はまだ片脚だけ、ストッキングを穿いていた。
それが、ひどくふしだらに映った。
とはいえ、決していやな眺めではなかった。
吊り紐の切れたブラジャーは恥ずかしそうにバッグにしまい込まれて、
ぷるんとしたおっぱいを、はだけたブラウスのすき間から、
惜しげもなくさらけ出していた。
「碧ちゃんのおっぱい、きれいだよね」
良太が素直にいった。
ぼくはなんとなく、誇らしかった。
「いままで抱いた女のなかで、どれくらい良かった?」
と、ぼくがぶしつけなことを訊くと、
「良かったよ~、コクが深くて、キレがあった。ノリも良かった」
と、良太はコアな返答を、返してよこした。
コク、キレ、ノリ。
女の魅力はそこなのか・・・と、ぼくは危うく真に受けそうになった。
あえて順位を告げなかったところに、むしろ良太のオトナらしさを感じた。
阿ることも、貶めることもしなかったのだ。

碧が、片脚だけ穿いていたストッキングを、むぞうさに太ももまで引っ張り上げて、
もう片方のつま先も、脚に通そうとした。
すると良太はそれを制止して、
「よかったらそのストッキング、俺にくれない?」
と、ねだった。
どうする?と言わんばかりに、碧はぼくを見つめた。
「あげたら?きょうの記念に」
ぼくの返答がぞんざいではないことに満足したのか、
碧はストッキングを脚から引き抜くと、男に与えた。
なんとなくそれが、碧と良太を深く結びつけるような気がしたけれど、ぼくは黙っていた。
「ん~、だいじにする」
良太が碧のストッキングを鼻に押し当てて嗅ぐふりをすると、
碧は怒って良太からストッキングを取り上げて、いった。
「やっぱり洗ってからにする」

あの日碧の穿いていたストッキングが良太の手に渡ったかどうか、ぼくは知らない。
でもたぶん、碧はつぎのときに、良太に手渡したに違いない。

週にいちどは、良太は家に招んでくれた。
もちろん、碧もいっしょだった。
ぼくはストッキングで手首を縛られ、
目の前で碧のことを良太のものにされていった。
良太と碧は、楽しそうだった。
ぼくも、碧が悦ぶのをみて、嫌ではなかった。

ときにはぼくが勤めから帰宅したときには、良太が家に来ていて、
ふたりしてぼくの夕食を用意して、
風呂上がりのぼくが夕食を食べている間、
夫婦の寝室に引きこもって、聞こえよがしなエッチを愉しむこともあった。
「食べさせて、食べられてる」
寝室からは、碧のそんな囁きがした。
食べさせて、食べられる。
ぼくのために夕食を作ってくれた碧自身がそうだったし、
専業主婦の碧を食べさせてるぼくにしても、きっと通じることだった。

でもどちらかというと、碧が招ばれることのほうが、ずっと多かった。
ぼく抜きで招ばれることも、かなりあったみたいだけど。
それは気づいていても、問わないことにしている。
碧もそこは控えめにしていたし、
良太はぼくの顔色を見ぃ見ぃ、時には正直に打ち明けてくれていた。
密会している。
そんなことさえ、ぼくは昂奮で来てしまう夫になっていた。

たまに招かれた良太の寝室には、女物のストッキングがたくさん、ぶら下がっていた。
すべてが、碧の脚から引き抜かれたものだと聞かされて、
ぼくは絶句した。
夫婦で訪問したときに、ぼくを縛るストッキングは、碧の穿いていたものだった。
たいがい、その前に逢ったときのものが使用されるらしかった。
でも、おかしいぞ?さいしょのときのストッキングはだれのもの?
ぼくがふと訊いた時。
ふたりは微妙な顔をして、顔を見合わせて。
やがて良太が思い切ったように、こういった。

悪かったけど。
碧とは、若いころからの仲なんだ。
ベッドのうえで、言ったろ。
浮気もしてるって。
浮気相手は、俺なんだ。
お前が連れてきた碧を初めて見たとき、絶対モノにしてやろうと思って、
俺が狙った獲物は逃さないの、お前知ってるだろ?
だから、碧の処女をゲットしたのも俺だし、
――あれはたしか、結納のあとだったよね?――
久人と結婚してからも、週2は逢っていた。
俺は、ひとりの女じゃ満足できない男だし、
碧も、ひとりの男じゃ満足できない女になっていた。
強いて残念だったのは、子どもが欲しかった碧が気にして、子供を作らなかったことかな・・・
さいごのひと言だけは、打って変わってしみじみと、寂しげだった。

ひとりの女じゃ満足できない男は、意外に寂しい。
碧を初めてぼくのまえで姦ったとき、良太はそんなふうにうそぶいていた。
あれはやっぱり、本音だったのだ。。

「離婚されても、しょうがないよね?」
碧が気づかわし気にいう。
離婚はしたくない。碧は痛切に思っている――
十なん年も連れ添ってきたぼくにも、それはありありと伝わってきた。
「これから、どうするつもり?」
「お前さえよければ、だけど」
良太はいつもに似ず、遠慮がちにいった。
「これからも碧と仲良くさせて欲しい」
「いいよ、わかった」
びっくりするほど即答で、ぼくはそうこたえていた。
「ほんとに、いいの?」
碧はまだ、気づかわしげだった。
「裏切られつづけていたのはショックだったけど、良太は碧を大切にしてくれていたと思う。夫として感謝している。
 ぼくは碧の夫。碧は良太のことも好き。良太は碧を愛してる。それでいいじゃない」
ぼくもいっぱい、おいしい想いしているからね。と、ぼくは恥ずかし気につけくわえた。
初めてぼくの前で交わりを遂げた日、家に帰ったあと、ぼくがズボンを濡らしたことを、碧はいっさい口にしないでいてくれた。

ぼくはふたりに、告げていた。

それから、子どものことだけど――
まだ遅くはないから、がんばってみない?
どっちの子でも、ぼくたち夫婦で可愛がって育てるからさ・・・


あとがき
昨日の朝描いて、少しだけ加筆してあっぷしました。
長年夫が裏切られ続けていたのは、こちらのお話の中ではやや異色ですが、
ともあれおだやかにおさまったので、ドンマイ ということで♪
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