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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

村長就任

2006年07月28日(Fri) 07:22:26

「ちょっと、出かけてくる」
村長選挙に当選すると。
夫は口数少なく、出かけていった。
そのまま、遅くまで戻ってこなかった。
翌朝戻ってきた時には。
極度の疲労のためか、顔色は蒼ざめて。目じりのあたりが、黒ずんで見えた。
だいじょうぶ。
やはり口数少なく、そう答えたあと。
明日はきみにも、来てもらう。

夫の実家のあるこの村に来たのは、選挙が始まってからだった。
都会育ちの千栄子にとって、鄙びた村の男たちはどこか卑しげで、まともに見てはいけない人びとに映ったのだが。
わが家の伝統なのだから。
そう言い張る夫に、今さら候補を辞退してくれ・・・とは言い出すことができないまま。
首尾よく選挙に当選してしまったのだ。

「当選、おめでとう」
目のまえにいるのは、対立候補だった前村長。
夫よりもやや年配だった。
傍らに控えているのは、夫人だろうか。
黒っぽいスカートの上、淑やかに手を重ね合わせて、終始無言のまま俯きがちだった。
気詰まりな対面を短時間ですませると。
そそくさと席を立つ前村長夫人に、やはり無言で控えていた若い男の給仕が
イママデドオリ、ヨバイニイクデ。
そう囁いてなれなれしく、夫人のお尻をぽんと叩いた。
神経質そうな夫人は意外にもチラッと笑みをよぎらせて、
男をさりげなく、受け流している。
ヨバイニイクデ。
どういう意味か、そのときの千栄子にはよく飲み込めなかった。

「きみにはまだ、お役目が残っている」
きのうよりいっそう顔色を悪くした夫が、奇妙な薄笑いを浮かべた。
え・・・?
目のまえにはいつの間にか、老婆がひとり、佇んでいる。
ほつれた白髪に、うす汚れた着物姿。
よほど貧しい家の老婆なのだろうか。
お婆さまだ。
夫が引き合わせるように、そう囁いた。
お婆さま・・・?
問い返す妻に、
せいいっぱい、もてなして差し上げてくれ。
え・・・?
夫の言葉をきくと、老婆はにんまりと卑しげな笑みを露骨に浮かべて、
戸惑う千栄子のほうへとにじり寄ってきた。

白のブラウスの両肩を抱かれて、
あっという間に、猿臂のなかに、取り込まれて。
ちくり・・・
うなじのあたりに、刺すようなかすかな痛みを感じると。
つつーっ・・・と伝い落ちたなま暖かいものを、
老婆はかさかさの唇にうけて、掬い取ってゆく。
えっ?
痛いほど締めつける腕をふりほどこうとするうちに、悩乱が千栄子におおいかぶさった。

おやめください。どうか、おやめくださいまし・・・
いままで口にしたこともない、古風な言葉・・・
誰に教わるともなく覚え込まされた、儀礼的な拒絶。
狭い密室の中。雅びに流れる謝絶の語を愉しげに受け流しながら。
老婆は千栄子のうなじから唇を離そうとしないでいる。
きゅうっ、きゅうっ、きゅうっ・・・
規則正しいもの音は、千栄子の血を啜る音。
重たくくぐもるような音のひとつひとつに想いを込めて。
老婆は新村長夫人の生き血を、心ゆくまで喉に流し込んでゆく。
どうか、そこまでは・・・
スカートをたくし上げられて。
肌色のストッキングのうえから、べろを這わされそうになって。
千栄子がさすがに、色をなして拒絶すると。
つよい力が肩にかかって、千栄子のうごきを制している。
もうすこし、愉しませて差し上げなさい。
夫の瞳が、静かに蒼く、焔をあげている。
ストッキングを破らせまいとして。
ちょっとのあいだ、身を揉んで拒絶の言葉を口にしたものの。
むぞうさに埋め込まれた鋭い牙は、すぐに千栄子から理性を忘れさせていた。
どうぞ、こちらの脚も・・・
恥らうように、目をそむけ。
おねだりするように、差し出した脚。
老婆はしたたかに食いついて。
ストッキングをちりちりに引き剥いてゆく。
ふしだらに裂き堕とされてゆくのをウットリと見守っていると。
代々のしきたりでね。
夫はねぎらうように、千栄子の肩をぽんと叩いた。
しっかりやれよ。
そんな夫の笑みに、妻もかすかに頷いて。
老婆の恥知らずな欲望に、知らず知らず応えはじめていた。

吸い尽くされるほどに、もてなしてしまうと。
体内にわだかまっていた澱が抜けたように。
どこかすっきりとしたものが、行き渡っている。
千栄子は別人になっていた。
小気味よいほどに、思い切りよく。
老婆の辱めに応えつづけると。
挨拶回りに出かける夫のあとに、つき随った。
スカートの下には、老婆に破かれたストッキングを着けたまま。
ブラウスを剥ぎ取られた胸は、降り注ぐ陽光の下、あらわになって。
恰好のよいおっぱいが、ぷるんとそそりたっていた。

「ご当選、おめでとうございます」
行き交う村人が慇懃に、村長夫妻に礼をかけてくる。
夫がするのを見習って。
千栄子も、半裸の姿を恥じるふうもなく。
ひとりひとりに礼を返し、
握手を求められて差し出した手の甲にくわえられる接吻を、なんの違和感もなく受け容れいてゆく。
白髪交じりのみすぼらしい農夫と行き会ったとき。
夫は、さあ・・・というように。
妻を傍らの草むらに促していた。
求められるまま。
吹きかけられる熱い吐息に、肌をゆだねていた。
見通しの利かない草陰のなかは、女を大胆にするらしい。

行く先々で。
村長夫人は、懇親を求められる。
そのたびに、恥ずかしげに、そして優なほほ笑みを浮かべて、夫をかえりみる。
夫がちいさく頷くと。
夫とふすま一枚隔てて引きこまれた部屋の中。
待ち構えたように敷かれている褥に組み敷かれていって。
魔性の淫楽にひと刻、身をゆだねてゆく。
こんど、夜這いに行くで。
男たちのなん人かは、そんなふうに。
想いを遂げた女に、熱い吐息交じりに囁きかけてきた。

なん人、囁いてくれたかね?
夫の問いに恥らいながら。
七人よ。
いずれも村の、長老たちだった。
まずまずだね。
夫は満足げにそういって。
あまり、ふしだらに乱れたら・・・その場でお仕置きをうけるのだよ。
いままでにないほどに、愉しげな笑みを頬に滲ませた。


あとがき
発作的にキーを叩いたら。
またまた、とんでもないお話になってしまいました・・・^^;
この村で村長になると。
村長の夫人には特別な義務が課せられます。
村の主と呼ばれた老婆にひと刻、いたぶられて。
それから、長老たちの家を順繰りに訪問して、情を交わす。
そんな淫らなしきたりを。
代々の村長夫人たちはためらわず、受け入れることを要求されて。
首尾よくつとめを果たすことが美徳とされていたようです。
さいしょに出かけていった夫は、魔性の老婆に自らも血を吸い取られ、
妻を提供することを誓わされ。
その代償としておそらくは。
敗れた対立候補の夫人に対して、みずからも長老の一人として振る舞ったという噂です。
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大雑把な勘定ですが。
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