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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

茄子の季節。

2021年07月15日(Thu) 07:56:31

この村に棲みついたぼくのところに、今年も家族が集まることになった。
両親と兄夫婦に加えて、遠方に住んでいる妹夫婦まで、よせと言ったのにやって来た。
妹夫婦は、妹のだんなが海外赴任していたこともあって、村に来るのは初めてだった。

「いいとこに案内してあげますよ」
ひとしきり歓談したあとで、
妹夫婦は、初対面で意気投合した村の若者のそんな誘いに乗って、山へと出かけていった。
村の若者四人に守られるように囲まれた妹夫婦が肩を並べて出てゆくのを、
ぼくは黙って見送っていた。
「いいのかねぇ」
傍らに寄ってきた母が気づかわしそうに娘夫婦を見送っていたけれど、
母もまた、その動きを止めだてすることはしなかった。

「しょうがないな」
兄さんは思い切ったように起ちあがり、兄嫁に向かって言った。
「気は進まないけど、ごあいさつに行こうか」
そういうと、ちょっとだけ戸惑いを見せた兄嫁の手を引いて、部屋から出ていった。
「若いひとはお盛んだねぇ」
兄夫婦を見送るのは、村の長老。
座のいちばん上座に陣取って、昼日中から悠々と、杯を傾けていた。

だれもが知っている。
この村に伝わる、淫らなしきたりを。
そう、先に出かけていった、妹夫婦をのぞいては。
けれどもきっと、彼らもまた、行き先でその事実を、たっぷりと報らされてしまうのだろう。
ぼくたちは、若い獲物を村に引き込んだ共犯者――いや、功労者だった。

ぼくたちの婚礼の席で、初めて村にやって来た兄は、
伴ってきた兄嫁を、その祝宴で犯された。
都会の若妻は珍しかったのでほとんどすべての村の衆の相手をさせられた。
愛妻家の兄はひたすら泣き狂っていたけれど、
「やめろ!やめろッ!妻に手を出すなッ!」
と叫びながらも、礼装をはだけて輪姦の渦に巻き込まれてゆく兄嫁から、目線をはずそうとはしなかった。
それからは。
「冗談じゃない、ひとの女房をあんたらは娼婦に仕立てるつもりか!」とか、
「ふざけるんじゃない、俺の女房を犯したいなんて、失礼だろう!?」とか、
口では目いっぱい、相手を罵りながら、
兄嫁もまたやっぱり、
「厭っ、嫌っ、イヤッ!」と、
口では精いっぱい拒みながら、
村の衆たちの逞しい猿臂に、巻き込まれていった。
そう、それからは、毎年のように。
いまでは気に入りのなん人かと示し合わせて待ち合わせ、
兄嫁はきょうも、襲われる都会妻の役柄を、兄の前で演じるのだ。

「母さん、そろそろ・・・かな」
と、父までもが、母を促して座を起ってゆく。
暑い季節だったので、お盆の名目で集まりながら、喪服を着込んできたのは母だけだった。
重たげな漆黒のフレアスカートの下、薄墨色のストッキングがなまめかしく、涼し気に、母の足許を彩っている。
母はぼくの婚礼の席で、村の長老に見染められた。
長老にせがまれるのを断り切れず、父は長年連れ添った妻との交際を許し、
ふたりは愛息の新婚初夜に、息はずませてロマンスを遂げていた。
以来母は、長老の好みに合わせ、お盆以外の季節にやって来た時も、黒一色の装いで通している。
清楚に装った母に迫る長老が、礼儀正しい荒々しさで愛妻を蹂躙するのを、父は好んで視るようになっていた。

「身に着けるお洋服も、おもてなしの一部ですものね」
母にそう耳打ちされた妻のさゆりは、ぼくと同様、この村の出身者ではない。
ふたりでハイキングに出た帰り道、道に迷って助けられた村の衆に、
さゆりの身体はお礼がわりに弄ばれた。
その夜のうちに堕ちてしまったぼくたちは、
つぎの日の朝、さゆりをさいしょに犯した男の家に出向いていって、
こざっぱりとした服に着かえて恥じらうさゆりを傍らに、
もっと仲良くしませんか?と誘いをかけていた。

妹夫婦は、夜遅くに戻ってきた。
ふたりとも、コーヒーの缶を手にしていた。
それがきっと、妹の身体を愉しんだ代償なのだと、すぐにわかった。
「仲良くしちゃうことにしましたよ。でも、言ってくれないなんて、ひどいなあ」
義弟はぼくの隣で、あっけらかんと笑った。
「言われたら、行かないでしょふつう」
ぼくが返すと、「そりゃそうですよね」と相づちを打った。
義弟とは、どことなくウマが合う。
こんなところまでウマが合うとは、さすがに思わなかったけれど。
「缶コーヒー、よかったね」
ぼくがいうと、
「微妙な味がしました」
と、ほろ苦く笑った。

「義兄(にい)さんも、もらっちゃったんですか?缶コーヒー」
水を向けてくる義弟は、やはり聞きたいらしい。
しかたなく、話してやった。
「ぼくのときには、茄子だよ」
「茄子?」
けげんそうな顔をする義弟に、ぼくはいった。
「さゆりの中に入れた茄子をね、みんなで食べたんだ」
「みんなって、なん人?」
「ぼくのときは、6人」
男4人にモテた若妻の夫として、義弟はちょっとだけ眩しそうにぼくを見た。
「勝ったね」
白い歯をみせるぼくに、
「頭数じゃないですから」
と、口を尖らせる義弟。
ぼくたちは、声をたてずに笑った。
「でも、一本の茄子をえーと、8人で?」
あくまでけげんそうな義弟に、ぼくはいった。
「茄子はなん本も、さゆりを訪問したのさ」
「すごいですね・・・」
絶句する義弟に、ぼくはいった。
「茄子、いまごろが食べごろらしいぜ」
妹にも入れてもらえば?とおススメするのは、さすがに兄として、遠慮しておいた。
結婚三年目の妹も、きっと「食べごろ」だったに違いない。


あとがき
ちょっとまとまりの悪いお話かもしれません。

さいしょにイメージしたのが、村の衆四人組に取り囲まれて出かけてゆく妹夫婦の後ろ姿 でした。
このお話、前々話の「女ひでりの村」に、ちょっと通じます。
(前々話では、この夫婦が「棲みついた」となっているので、ゲンミツにはちょっと違いますが)

それからイメージしたのが、村の長老に見染められて、父にも許されて素直に堕ちた母親のこと。
このひとには、ぜひ黒のストッキングを穿かせて、貞操の喪を弔わせたかったです。
礼装と荒々しさとは、真逆のものですが。
双方がマッチすると、凄く見ごたえがあるように感じます。

さいごにイメージしたのが、一家の中心である、「村に棲みついた都会ものの夫婦」でした。
このご夫婦は、この村のものではなくて、都会から棲みついて村の色に染められた人たちなのだと思いました。
彼らを起点に、兄夫婦やご両親、ひいては妹夫婦まで、喰われていったのだと・・・
ではこの次男夫婦には、どんなエピソードを持たせようか?と思いました。
それで思いついたのが、前々話の「缶コーヒー」です。
この「缶コーヒー」に代わるものが、なんと「茄子」でした。
これは、お話をいまこうして、入力画面にベタ打ちしながら思いつきました。
「茄子」がいまの季節の旬だというのはたんなる偶然です。 笑
ここまで描いて、「ひと月早い「お盆」」だったたいとるを、「茄子の季節。」に変更しました。

でもこうして、理屈に堕ちたお話は、どことなく作りつけた印象になってしまうかも知れないですね。;

この夏のお盆。
人はどれだけ、動くのでしょうか。。
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