淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・
荒々しすぎる一目ぼれ
2021年10月07日(Thu) 00:25:33
目の前で彼女を強姦された。
なのに、不覚にも昂ってしまった。
犯された彼女も、しだいしだいに妖しい歓びに目ざめていって、
気がつくともう、相手の男の腕の中、身を仰け反らせて悶えまくっていた。
旅先の田舎道での出来事だった。
道に迷ったぼくたちは、純朴で親切そうなその男に出会った。
村ならすぐそこですよ――朗らかにそう応えた彼がぼくたちを引き入れたのは、
村に間近の藁小屋だった。
そこでぼくは、あっという間にぐるぐる巻きに縛られて、
彼女の身に着けた洗練されたよそ行きのスーツは、
この田舎育ちの若者の、粗暴な戯れに曝されて、一枚一枚、剥ぎ取られていった。
荒々しい所作のなか、
彼女はうろたえ、拒み、ためらい、羞じらいながら、
華奢な身体を力づくでこじ開けられていって、
息せき切った接吻を圧しつけられた唇に、
初々しい唇を踏みしだくようにこじ開けられていって、
とうとう接吻を受け容れてしまうと、
観念したように、身体の力を抜いていった。
若いふたりが感じ合うのに、さほどの時間は要らなかった。
はだけたブラウスから覗く胸を荒々しくまさぐられながら、
たくし上げられたスカートの奥に、逞しい腰を沈められながら、
引き裂かれたストッキングを、ひざ小僧の下までずり降ろされながら、
いつしか、大人の女だけが識る淫らな舞いを、覚え込まされてゆくのだった。
嵐はあっという間に過ぎ去って、
彼女はストッキングを剥ぎ降ろされた真っ白な太ももに、赤いしずくを滴らせていた。
処女喪失を告げるそのしずくの瑞々しさが、自分の恋人が行きずりの暴漢のオンナにされてしまったことを
残酷なまであからさまに、告げていた。
彼は彼女を、四回も犯した。
そのたびに、彼女の身体の奥に、彼の熱情のほとびが、熱く熱くほとばしり、
彼女の身体の奥を、熱く熱く浸していった。
かち得た獲物を彼が気に入ってしまったのを、ぼくは否応なく見せつけられていた。
逞しい狩人は、ぼくの美しい恋人を、実力でかち得ていったのだ。
ぼくが不覚にも、ズボンの股間を熱い粘液で濡らしてしまったのを、
彼も彼女も気づいていた。
彼女もぼくも、愉しんでしまっていたことを、
加害者の彼も、被害者の彼女も、あえて触れようとはしなかった。
だって彼女も、未来を誓い合ったはずのぼくの目のまえで、悦んでしまっていたのだから。
感じ合ってしまったことに羞じらいや屈辱を感じるいとまを与えずに、
男はぼくたちふたりに告げた。
お互い、感じ合っちゃったみたいだね。
ぼくたちは男の言葉に無言で頷きながら、
互いに互いの顔いろをうかがいながらも、
覚え込んでしまった歓びを忘れられないと観念した。
男はどこまでも礼儀正しく、
彼女を犯しているときでさえ、唐突な愛情をさらけ出していた。
それは粘着的で、独りよがりな執着心に満ちていたけれど、
息せき切った野蛮な振る舞いにも、まっすぐな熱情をあらわにするのだった。
一目ぼれだからといって、
衝動的だからといって、
気まぐれの行為ではなく、戯れの振舞いでもなかった。
慎重で堅実な彼女がその場で蕩けてしまったのも、
自分が出遭った男が抱いた熱情が、類いまれなほどしんけんなものだと、
擦り合わされた素肌を通して感じてしまったからだろう。
――彼女はまだ、処女だった。
あたしの想いを言ってもいい?
大きな瞳を見開いて、彼女は声をひそめた。
瞳にたたえる魅力的な輝きは、犯される前と寸分、変わらないものだった。
ぼくは無言で、頷いていた。
予定通り、あなたと結婚する。
でももういちどだけ、あのひとに犯されてみたい。
彼女の言葉は鋭いナイフのように、残酷にぼくの心を突き刺した。
苦しみにあえぐ人のように、唇をわななかせながらも。
ぼくははっきりと、応えていた。自分でもびっくりするくらい、はっきりと。
ぜひ、そうしてもらおうよ。
ぼくも・・・きみが夢中になっているところを、もういちど視たいから――
やだ、エッチ!
彼女は羞じらいながら、ぼくの背中をどやしつけた。
そんなところは、いつもの彼女に戻っていた。
ねえ。
ぼくが声をかけたとき、彼は藁小屋の外にいた。
ぼくたちを、藁小屋のなかで二人きりにしてくれていたのだ。
話し合いは済んだかい?
振り向く彼に、ぼくはいった。
きみは彼女をおもちゃにしたの?
おもちゃじゃない、って言ったら?
え?
一目ぼれだった。本気なんだ。
でも彼女は、ぼくの妻になる女(ひと)なんだ。
そこだけは、譲ることができなかった。
わかってる。すまなかった。
夕陽の陰になった彼の顔が、しんそこすまなさそうに翳っていた。
でも――と、彼はくり返した。
おれも本気なんだ。でも、きみとはケンカしたくない。
きみたちの結婚をお祝いするよ。でもそのかわり、時々彼女に逢うチャンスをくれないか?
ムシの良いお願いだとは、わかっているけれど。
きみの奥さんを、時々俺の彼女にさせてほしいな。
ふつうなら、とうてい容認できないはずの申し出を。
ぼくはよろこんで、受け容れることにした。
処女を奪われちゃったのは、悔しいけれど。
きみはいちずに彼女のことを気に入ってくれたみたいだから。
まだしもあきらめがつくかな。
彼女を落とされたのは、悔しいけれど。
そこまで欲しがってくれたのならば、
むしろぼくのほうから、きみに彼女のことを、プレゼントするべきだったのかも。
ぼくの未来の花嫁の純潔を、きみがかち得たことに、お祝いを伝えるよ。
おめでとう。
彼はあっけに取られたようにぼくを見、そして自分のオンナにした彼女を見た。
そして、純朴そうな顔をほころばせて、黙って頷いた。
そして、掌を差し出した。
彼女の胸をまさぐった掌はまだ熱く、握手を求めたぼくの掌を、痛いほど握り返してきた。
きみは男らしい男だね、彼女のご主人にふさわしいと思う。
きみは男らしい男だと思うよ。彼女にお似合いだと、ぼくは思う。
ふたりはお互いをたたえ合い、
ぼくは、もういちど目の前で彼女を犯して欲しいと、心から願った。
こんどはぼくから、未来の花嫁をきみにプレゼントさせてもらうよ、と告げながら。
そして彼女もまた、淫らな粘液にまみれることを、自ら希望した。
ぼくの目を気にしながら、あんまり視ないでね、と羞じらいながら、
彼女はいちどは身づくろいしたはずのブラウスの釦を、じぶんからはずしていった――
ストッキングを剥ぎ降ろされた皎(しろ)い脚が、射し込む夕陽に照らされて、眩しいほど輝いていた。
≪ご注意≫
ごうかんは、犯罪です。このお話にあるような展開は、現実には奇跡的な確率でしか起こりえません。良い子は絶対、まねしないでくださいね。
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