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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

同性不倫。

2022年01月19日(Wed) 18:53:26

出張先のホテルが、そのまま逢い引きの場となった。
相手は男性だった。
妻がいながら同性の相手と不倫をすることに、不思議と罪悪感は覚えなかった。
こっそりと盗み出した妻のブラウスやスカートは、スーツケースのいちばん奥に隠されている。
妻の服を身に着けて、同性の恋人にすべてをゆだねる。
股間の奥の切なる痛みは、いつか無上の歓びに塗り替えられていた。

初めて家から持ち出した妻の服を着て、息荒く迫られたとき、
妻もろとも犯されるような錯覚に落ちた。
それでも構わないと思い、重ねられてくる唇にすすんで唇を重ね合わせてしまっていた。
爽やかなライトイエローのスカートのすそをベッドの上いっぱいに拡げて、
まるで展翅板の上の蝶のように無抵抗になって、四肢をくつろげていった。
スカートの奥にほとび散る熱情のしたたりが、かすかな光沢を帯びたしなやかな裏地を濡らすのを、小気味良くさえ感じていた。
持ち出した妻の洋服は、”妻”そのものだった。
その”妻”を汚されることが、ノーマルであるべきものをいびつに歪める快感を、もたらしていた。
身をすり合わせ息を弾ませあうその営みに、
かすかに脳裡をかすめる罪悪感がうっすらと折り重なって、
むしろその後ろめたさに心を震わせていた。

彼がどんな気持ちで身体を重ねてきたのか、それはわからない。
けれどもそれが単なる性欲の処理だとしても、構わないと思った。
長い黒髪のウィッグを揺らし、流れ落ちるそのひと房を口許に咥えながら、
ほんとうの女のように身もだえをして、怒張に猛る一物を、なん度もなん度も迎え入れた。

女の名前で呼ばれながら、耳許をくすぐるその熱っぽい囁きに、酔い痴れていた。
たとえ性欲処理であっても構わない。
心の底から満足してもらえればと、求められるままに身体を開き、
猛り勃つ一物を恥ずかしげもなく口に含み、先端から根元まで、そして股間の隅々までも舌を擦りつけ舐め抜いていた。
女の姿で甲斐甲斐しくかしずくときは、どこまでもけなげな男妻でいられた。

時には彼に、妻の名で呼ばれることがあった。
そのたびになせが、ドキドキがいっそう高まった。
奥さんの後ろ姿によく似ているといわれたときは、また一歩女になれたと思えた。
不覚にもスカートのなかで自分の一物を逆立ててしまったことは、隠しごとのすくない彼に対してさえも、恥ずかしい秘めごとにしている。
そう、彼のまえではどこまでも、"女"でいたかったから・・・

長い黒髪のウィッグに指をからめて可愛いねと囁かれ、小娘のように舞いあがる。
時には嫁入り前の初々しい処女のように、
時には夫を裏切る妖艶な人妻のように、
あるときは初々しい羞じらいをうかべ、
あるときは毒々しい媚態をよぎらせて、
ひと刻ですら惜しんで、限りある刻をむさぼりあった。


きみの妻を欲しいとねだられたとき、
決して嫌な気持ちにはならなかった。
妻のことは愛していた。
けれど、愛しているからこそ彼に捧げたいと、ごくしぜんに思えていた。
奥さんをきみの妻のまま犯したい。
そんなふうに迫られたとき、
まるで不倫を冒す人妻のように、もの狂おしく乱れ抜いてしまっていた。

その夜の営みの激しさを承諾と受け止めてくれた彼は、妻へのアプローチを、あの一途な熱情を込めてくり返すようになった。
妻を誘惑する権利を認めてしまったことは、決して後悔していない。
ふたりでベッドをととにするとき、彼は額に額を重ね合わせて、かき口説くように囁いた。
きみが好きになった女性を、俺も好きにしたいのだと。
妻の服を身に着けて彼と逢い続けてきたほんとうの意味を、初めて理解した。
好きになりたい ではなくて、好きにしたい と言われたことにも、不快感はなかった。
彼の荒々しい性欲処理のために、妻を踏みしだかれても構わない。
むしろ夫婦でかしずきたいと、心から思った。


とうとう頂くことができたよ、と。
ベッドのうえで告げられたときも、
イタダカレちゃったのね?
奪われちゃったのね?
と、ウキウキしながら問い返し、
じぶんでもびっくりするほど素直な気持ちで、おめでとうとさえ応えていた。
彼との想いをこういうかたちで妻とも共有している――そんな実感が、心の奥底を、乙女のように震わせた。

彼が妻へのアプローチを開始してから経過した日数の長さにも、満足を覚えた。
それはイメージしたよりも、長すぎず短すぎなかった。
妻が堕ちるまで短すぎなかかったことは、
彼女が夫を裏切るまいと潔癖な抵抗を続けたことを意味したし、
妻が彼が満悦させることを過度に長く躊躇わなかったことは、
彼の手管が妻に対しても、遺憾なく容赦なく発揮されたことを告げていた。


旅行に出かけましょ。
妻はいつものサバサバとした口調で誘いかけてきた。
一人で浮気するのはズルイわ。
これからはあたしにも愉しませてくださいね。
自分の服を夫が持ち出すのを見てみぬふりを続けた賢明なひとは、
夫と愛人とを歓ばせるために、スカートのすそを淫らな不貞の粘液に濡らすことを、自ら選び取っていた。

今夜、夫婦で旅に出る。
おそろいの黒のストッキングを通した脚を連れ立たせ、
想い想いに択んだ色とりどりのスカートをそよがせながら。
同じ男性にかしずいて、競いあうように愛し抜かれる日常に、
夫婦そろって、躊躇いもなく、踏み出してゆく。
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