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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

通りがかりの人

2005年12月27日(Tue) 08:12:17

誰も、血を吸わせてくれない。
おなじクラスの女の子に行きあって。
その子は困ったように体を寄せてきてくれたけど。
何しているの?早くうちへ帰りましょう
母親が現われて連れ去ってしまう。
もうこれ以上、この子に近寄らないでくださいね。
そう、捨て台詞を残して、母娘はよそよそしくボクに背中を向けた。
あっちへ行け!こんなところでうろうろされちゃ、商売のじゃまだ。
店先で、あるじに小突かれて。
思わず逃げ込んだ、暗い路地裏。
さっきからじいっとボクを見つめていた中年の女の人が。
ぼく、吸血鬼なのね?
気遣わしそうにそういって近づいてきた。
かわいそうに。少しだけなら、私があげる。
そういって、スカートのすそをめくってくれた。
しんなりと脚をつつむストッキングが、いつも以上に柔らかく感じるひと刻。
どうも冷たい血だな・・・と思ったけれど。
やっとの想いでありついた血潮を、だいじに、だいじに、喉の奥へと流し込んでいった。
ところが女の人は、恐ろしいことを口にする。
お金が欲しいの。血をあげたお礼に、あの店に押し入って、人を殺してお金をとってきてちょうだい。
えっ。
耳を疑うぼく。
さっきまでの優しい面影はどこへやら、女のひとはとても怖ろしい形相にかわっている。
ね?わかるでしょ?あなた。なにかをもらったら、お礼をしなくちゃいけないのよ。
女のひとは低い声でそういって、迫ってくるようにボクをにらみつけている。
待って・・・
ボクは必死でいいつのる。
貴女は優しい人なんだから。
お願いだから、さっき血をくれた優しさを、優しさとしてだけボクにくれませんか?
虫がよ過ぎるわよ、坊や。
そういって、冷たい顔を横に振る。
それでもボクは、血をくれた優しさだけを胸に描いて、なおも身を揉んで言い募っていた。
こんなにきれいなひとなのに。
通りがかりのボクに、こんなに優しくしてくれたのに。
そんなあなたに、悪いことしてもらいたくないんだよ。
女の人はふうっ、と、ひと息ついて。
坊やのおかげで人殺しになりそこなっちゃったみたい。
そういって。
もう一度、ボクのことを優しく抱きとめてくれていた。
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