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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

喪服の宴。~痴態の刻。~

2022年01月31日(Mon) 21:35:42

捧げ尽くしたがゆえの貧血に惑ってはいるものの。
ドアの向こうに躍り出ようとして、出られないことはなかった。
やめてくれと叫んで留め立てをしたら、男は半分興ざめし、半分わたしを憐れんで、行為を中断したに違いなかった。
けれどもわたしは、そうしようとは思わなかった。

妻がわたしの家の体面を、くまなく汚し抜いてしまうまで。
男の精液が、妻の秘奥をこれ以上はないというまで、濡らし果ててしまうまで。
妻の生き血が、男の干からびた血管を、わたしのそれと織り交ぜられて染め抜いてしまうまで。
男の舌が、唇が、妻の素肌の舌触りを、くまなく味わい尽くしてしまうまで。
あなただけよと叫ぶ妻のよがり声が、わたしの鼓膜を浸し抜いてしまうまで。
さすがはあいつの女房だ、生き血も身体も実に美味い・・・と、やつが惜しみない賞讃で、妻を浴びせ倒してしまうまで。

ふたりが満ち足りて、飽くまで焦がれ果たすのを待ちながら、
わたし自身も、嫉妬と惑いと、えもいわれない誇らしさとに、焦がれ抜いてしまっていた。

ドアを静かに開いた時。
妻のあわてようったら、見ものだった。
目を大きく見開いて、大胆にさらけ出したおっぱいをもろ手で押し隠しつつ、
「視ていたの?」
淫らな吐息も収まりきらず、肩を弾ませながらわたしに訊いた。
「いちぶしじゅう、視ていたよ」
わたしは妻の期待に、こたえてやった。
「なのにあなたは、止めなかったのね!?」
わたしを問い詰めるその声色に、喜色がよぎるのを、男もわたしも、聞き逃さなかった。

親友の愉しみを邪魔するのは、無粋だと思ってね。
そう告げるわたしに、妻は抱きついてきて、いった。
「さすがあなただわ」
結婚を直前にひかえたあのとき、花嫁の純潔をほかの男にむさぼらせてしまったときの、
あの罪深くも毒々しい喜悦が、わたしの胸を稲妻のように切り裂いた。

「観てて頂戴。あなたは観る義務があるのよ」
ひるがえした黒髪は、毒蛇のうねりのように禍々しい輝きをよぎらせて、男ふたりの目線を釘付けにした。
引き裂かれたブラウスが、腰周りまで垂れ堕ちるのも。
片脚だけ脚に通したストッキングが、ふしだらに弛み堕ちるのも。
精液に濡れた重たげなスカートが、塗りつけられた精液をボタボタと滴り堕とすのも。
意に介さないというように、妻は自分から男に挑みかかった。
男はあお向けになると、妻のスカートを剥ぎ取って、
剥きだされた腰を抱くようにして、自分のうえへとまたがらせた。
はだけた両肩を惜しげもなくさらけ出し、その上に重たい黒髪をユサユサと揺らして、
妻は蒼白い吐息を洩らしながら、男のうえに馬乗りになると、
腰と腰とを憎たらしいほど密着させて、ずんずんと身を弾ませる。

ユサユサと揺れる黒髪。
はぁはぁと生々しい悶え。うめき。
サワサワと衣擦れをする、漆黒のスカート。
秀でた眉の下、大きな瞳を見開いて、
蕩けた目線を恍惚と宙にさまよわせながら、
女は悩ましく、吐息をはずませる。
吐息・・・吐息・・・また吐息・・・

ひたすらに、ただひたすらに――
男との交わりに熱中し、溺れこんで。
夫の前だとか、不倫の交わりだとか、そんなことはいっさい、おかまいなしに。
姿勢を入れ替え、上になり、下になり、組んづほぐれつ、
弛んだ口許からは、だらしなくよだれを垂らし、
夫のまえもはばからないディープ・キッスにうつつを抜かし、
ひたすら、ひたすら、乱れ狂ってゆく。

男もいつか、夢中になっていた。
わたしももちろん、夢中になっていた。
妻の痴態に。不倫の恋に。
恥知らずな賞讃と祝福とを、送りつづけていた。
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