淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・
ハイソックスのフリルに血を撥ねかして ~ある生娘の親孝行~
2022年02月01日(Tue) 08:15:31
結婚を間近に控えたころ、花嫁は幼なじみの従弟を相手に、処女を喪失。
婚礼のさ中に、妹たちは従弟の父親に襲われて、齢の順に犯される。
十年あまりを経て妻は、かつて処女を捧げた従弟との関係を”復活”。
ふたりの現場を抑えたものの、従弟やその妻の情夫という吸血鬼のために、ふたりの仲を認める羽目に――
踏んだり蹴ったりの境遇だった。
けれども不思議に、腹立たしくない。
むしろ、不思議な誇らしささえ、感じている。
過去にさかのぼって妻と従弟との関係を許し、
婚約者が不義を犯したのは、わたしのほうから彼に、花嫁の純潔をプレゼントしたかったから・・・ということにしてもらったのは、
いまでも小気味よく、胸の奥底に響いている。
血を吸われたときに注入された毒液が、潔癖な理性を奪ってしまったのか。たぶんきっと、そうなのだろう。
気が付くと、妻とその従弟との濡れ場を横目に、致死量近い血液を、吸血鬼相手に与え抜いてしまっていた。
妻の伯父という遠い縁戚の法事のために、なぜか妹たちも母までもが参列したのは、
故人が妹たちに迫って処女を奪い、見返りに女の歓びを教え込んでしまったから。
そして、故人は恥知らずにも、わたしの母にまで迫って関係を遂げ、ふたりの関係を父に認めさせてさえしてしまっていた。
因縁の親子の間には、血のつながりは実はないという。
けれどもそんなことは、もうどうでもよい。
雅恵という妻をもたらしてくれたあの一族は、忌むべき血を宿している――
今夜も雅恵は、黒の喪服に身を包んで、ひっそりと出かけていった。
法事の手伝いといっていたが、することはもう、わかってしまっている。
いったい今夜は、なん人の男を相手にしてくるのか。
自分の妻が男の目を惹くのは、好ましいことだ。
夫として誇りに思うべきことだ。
妻の従弟は、そういった。
事実、彼自身も自分の妻を吸血鬼に襲わせて、愛人のひとりにしてもらったのだと悦んでいた。
妻との現場を抑えたのに、これからも敬意をこめて雅恵を犯す、と、臆面もなく宣言された。
ふたりが真摯に愛し合うところを目の当たりにしてしまったわたしは、ふたりの交際を許すことにした・・・
お父さま?
だしぬけにあがった声に振り向くと、娘の佳世がそこにいた。
ピンクのブラウスに真っ赤なスカートは、娘のお気に入りだと、妻から聞いている。
こんな夜遅く、彼女はどうしておめかしなどをしているのだろう。
もしや・・・
不吉な予感を打ち消しながら、わたしは何だね?と、目をクリクリさせている佳世に、応じていた。
お母さま、どこに行ったのかしら?
佳世は、なにもかも識っているような顔つきをしている。
さあね、と、しらばくれると、佳世はひたとナイフを突きつけるような言葉つきで、いった。
今ごろ――吸血鬼のおじ様と、仲良くなっちゃっているのかな??
どうしてそれを!?
思わずあげそうになった声を、素早くにじり寄ってきた佳世は手で制した。
口許にあてがわれた柔らかい掌が、初々しい温もりを帯びている。
干からびた血管が疼き、そのなかに充たされるべき暖かい血潮を求めて身体じゅうを震わせた。
佳世はなにも識らない生娘の顔をして、あとをつづける。
でもお父さまは、お母さまが夜遊びするの、とがめないのね。優しいんだね。
それはきっと、お父さまも血を欲しがっているから、吸血鬼のおじ様の気持ちがわかるからなんだよね?
今夜は佳世が、相手してあげてもいいんだよ――
白々しく目をクリクリとさせながら、佳世は母親譲りの黒髪をむぞうさに首許から取り去った。
フリルのついた白のハイソックスは、もはや齢不相応になっていた。
どこから咬むの?ブラウスの襟を汚しても、ハイソックスを破っちゃっても、良いんだよ。
これから先は、お父さまとあたしとの、ナイショの世界――
押しあてた唇で娘の体温を感じながら、妻もこんなふうに情夫を誘っているのかと、ふと思った。
血のつながったひとの血のほうが、美味しいんでしょ?
処女の血を吸いたいって、ずっと思ってたんでしょ?
あたしなら――両方とも叶えてあげられるから。
娘は明らかに、吸血鬼の相手の仕方を識っていた。
わたしの欲求を逆なでするように、
ピチピチとはずむ伸びやかな肢体をいっぱいに拡げて、
その身をめぐる血液で、喉の奥にはぜる渇きを、満たそうとしてくれる。
剥ぎ取ったブラウスの裏に秘められた、まだなだらかな乳房のつけ根に、歯を食いこませると。
白い歯をみせて、くすぐったそうに笑った。
フリルのついた真っ白なハイソックスのうえからふくらはぎに食いついて、
しなやかなナイロン生地の舌触りを愉しみながら吸血をはじめると、
やらしい・・・と声を洩らして笑った。
ハイソックスを咬み破られるこの行為がなにに結びつくのかを、識っているようだった。
吸血鬼のおじ様に、襲われたの。
でも、お父さまのために処女でいたいって言ったら、いい子だねって許してくれた。
だからあたしは、おじ様からお父さまへのご褒美なの。
お母さまの初体験を譲ってくれたお礼に、あたしとしてイイって言っていたわ。
今夜は、素敵な夜にしようね――
スカートの裏側を血に浸しながら、
娘はなおも、わたしの飢えを満たそうとする。
なん度もつけられた咬み痕を手鏡に写しては、佳世、吸血鬼に襲われちゃったといってきゃあきゃあとはしゃぎ、
なん足めかに脚を通したストッキング地のハイソックスに血を撥ねかされながら、パパいやらしいよといって、またはしゃいだ。
はしゃぎきった小娘をきつく抱き寄せて、罪深い交尾を、夜が明けるまで愉しんでいた・・・
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