淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・
婚約者の初体験。 ~組み敷かれたピンクのスーツ~
2022年02月06日(Sun) 03:36:50
親孝行なのだ、と、言い聞かされた。
花嫁を娶るとき、最初のセックスを父親に譲ることが。
今にして思えば、少しだけ惜しかった。
ピンクのスーツとチャコールグレーのストッキングに包まれた、初々しい許婚の肢体――
お前は視ていろ。視ることで花嫁の初体験をともに分かつのだ――
父の言い草は、どこまでが言い訳でどこまでが訓えだったのか。
たんに見せつけたかっただけではなかったのか。
では、見せつけられることで昂りを覚えてしまった自分は、なんなのか・・・
唐突に強いられ望まれる真紗湖が不憫だとおもったが、じっさいはそんな想いは見事に裏切られた。
これから嫁に行く娘としての、義父となる男性への礼儀作法は、
両家育ちの娘にしては濃すぎるものだったのを、目の当たりにする羽目になった。
未来の婚家に一人招び出された真紗湖は、そこに義父しかいないのを見て取って、すこし怪訝そうな顔をした。
けれども、父が臆面もなく――物陰から息子が覗いているということさえ知りながら――真紗湖に迫っていくと、
彼女はすぐにすべてを察したらしく、無理やりこじ開けるように重ね合わされてくる唇を、受け口をして受け止めて、
むしろ自分のほうから貪欲に、むさぼるように吸い返していた。
処女ではないのか――と思った。
父はわたしにそういって苦笑いしたけれど。
でも・・・あのキスは良い味だった。
と、下品に舌なめずりをしたときには、ゾクリとするものを覚えてしまった。
そんな舌なめずりを目にしたさいしょの生々しい記憶は、中学のころのことだった。
「二学期からは女子の制服を着て、学校に行きなさい」
旧家である父親の命令が絶対だったとはいえ、
母も、もちろんわたし自身も、その指示には驚いて、思わず見返してしまっていた。
学校の女子の制服は、ブレザーだった。
指定のグレーのハイソックスを脛にツヤツヤさせている同級生の足許が眩しくて――
けれども彼女たちとお揃いのハイソックスを脚に通して通学するなど、思いもよらぬことだった。
わたしは――思わず勃起していた。
父の舌なめずりを目にしたのは、女子の制服を着けて通学を始めて、一週間経ったころだった。
学校帰りに、畳の上で仰向けにされていた。
穿きなれてきたグレーのスカートは腰までたくし上げられて、同じグレーのハイソックスは片方だけずり落ちていた。
脱がされたパンツは、部屋の隅に放り投げられていて、
強引に突き込まれた衝撃が、股間を抉るように、ジンジンとした疼痛になって残っていた。
初めての時には、血が出るものだ。
父は嬉し気にそういって、自分の息子の”処女”を勝ち得たことを、目を細めて悦んでいた・・・
あのときと、同じだった。
結婚を控えた生娘に向けられた強引なキスに、真紗湖は大胆に応えていって、
お互いヒルが生き血を吸うような貪欲さで、むさぼり合っていた。
初々しいピンクのスーツの下には、淫欲みなぎる牝の発育しきった四肢が隠されていた。
父は息子の婚約者のスカートの奥に手を入れて、ショーツを荒々しく引きずりおろした。
たくし上げられたスカートのすそから覗いたのは、白い太ももを鮮やかに横切るガーターだった。
この娘はガーターストッキングなんぞを穿いている。
まるで娼婦のような女だな・・・父がそう呟くと、
そんなことないです、と、真紗湖は、初めて娘らしい抗弁をした。
けれども、それが彼女がみせた嫁入り前の娘らしい唯一のそぶりだった。
男は女の股ぐらを嗅ぐように顔を突っ込み、舌であそこを舐めた。
ピチャピチャ・・・クチャクチャ・・・
生々しい音に、わたしは戦慄を覚えた。
いま、わたしの婚約者の純潔は、危機にさらされている。
紙一重のところで、水際で、かろうじて踏みとどまっている。
けれど、もはや劣情にとり憑かれた獣を遮ることは、もはやできない――
父は悪魔に違いない、とおもった。
そして、お見合いの席であれほど上品に構えていたあの女も、やはり魔女だとおもった。
さらに、そのありさまを目にしながらいっさい咎めだてをしないわたし自身も、きっと悪魔なのだと感じていた。
短剣で刺し貫くようにして、父は豪快に、真紗湖の純潔を抉り抜いた。
度重なる吶喊に、さすがの真紗湖も少しだけ、涙ぐんだようにみえた。
けれどもそれもひとときのこと――
男と女は、上になり、下になり、組んづほぐれつ、腕を、脚をからめ合って、
息をはずませ、髪を振り乱し、なん度も姿勢を変えながら、むさぼり合った。
初めてだったんだな。初めてのときには、血が出るもんな。
いつかどこかで耳にした呟きを、父はその時も口にした。
真紗湖は肩で息をしながら、なにも応えなかった。
はだけたブラウスから覗いた乳首は、飽きるほど舐めさせてしまっていたし、
恥知らずな唇から分泌された唾液は、あぶくになっていた。
肩に上品に流れていたセミロングの黒髪は、流れる汗に濡れぼそり、首すじに貼りついてしまっていたし、
足許を気高く染めていたグレーのストッキングハ、ふしだらに弛み破れ堕ちていた。
真紗湖がよろめきながら起きあがると、父が女の足首を掴んで、いった。
「こいつを俺にくれ」
片方だけ脱がせたグレーのストッキングが、ごつごつと節くれだった掌を、薄っすらと染めていた。
女はちょっとだけ姸のある顔つきになり、目つきを尖らせたが、いやとは言わなかった。
そして、ちょっと不平そうに口を尖らせると、脚に残っていたもう片方のストッキングもしゅるしゅると足首にずり降ろして、
男の掌に圧しつけるように、手渡した。
真紗湖が口を尖らせたようすは、情婦の不埒な戯れに本気で怒っているようには見えず、
むしろ甘えて拗ねるようなそぶりがあった。すくなくとも、わたしにはそう見えた。
花嫁の純潔を父親に与える――
ふつうの体験では、もちろんない。
けれども、初めて性体験を共にした男性が妻を抱くことに、わたしは不快感を覚えなかった。
あとで父は、真紗湖はいい女だったといってくれた。
それがいまでは、くすぐったいほど誇らしい記憶になって、長く残っている。
あとがき
婚約者の純潔を他の男性に散らされた体験が、青春の小気味よい記憶となっている――
屈辱にまみれただけかもしれない出来事を、このように昇華させる男性もいるのでしょうか――
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