fc2ブログ

妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

夫婦の夜。

2022年07月11日(Mon) 01:54:43

目のまえで。
妻のかおりが、吸血鬼に抱きすくめられている。
見なれたベーズリー柄のワンピースが皺くちゃになるほど強く力を込めて、
男はかおりのことを放すまいぞといわんばかりに、
ゆるいカーブを帯びたかおりの上半身を、ヒシと掻き抱いている。
彼の腕は枯れ木のように細く、かおりの肩先に喰い込ませた指も、ごつごつと節くれだっていたが、
強い執着がありありと、滲んでいた。

月の光を浴びたふたつの影が寄り添う様子は、あたかも熱愛する恋人同士のようであったけれど、
やつの目当ては、かおりの生き血――
ふつうの恋人同士ではない証しに、
かおrの着ているワンピースの襟首には、持ち主の身体からほとび出た血のりが滲んでいた。
夜目にも白い首すじに牙を突き立てて、
やつはかおりの身に秘められた、24歳の若い血潮に酔い痴れているのだ。

ごく、ごく・・・ぐびっ。
かおりの血を飲み耽る生々しい喉鳴りが、わたしの鼓膜を苛んだ。
まるでレイプでもしているような、荒々しい飲みっぷりだった。
かおりを死なせることはしない。血を吸い尽くしてしまうことは絶対にない。
そうした確信がなければ、わたしは恐怖のどん底に落ちてしまっていただろう。
彼はかおりを、愛してしまっている。
わたしもそれを、認めてしまっている・・・


初めて夫婦ながら襲われたとき。
わたしはかおりを庇って、わたしの血を吸い尽くして良いから、妻には手を出さないでくれと願っていた。
けれども彼は、すでにかおりへの恋情に目がくらんでいて、
わたしの血を吸い尽くすと、飲み終えた空瓶のように放り出し、
それから言葉を失い立ちすくむかおりに、迫っていった。
かおりは立ちすくんだまま、夫の仇敵に求められるままに、うら若い血潮を提供しつづけていった・・・
やつのかおりに情熱はほんものだったのだと、いやというほど思い知らされていた。

恐怖に身もだえするうら若い肢体から、若い血液をしたたかに抜き取ってしまうと、
かおりももはや、わたし一人のかおりではいられなくなっていた。
生き血を吸った人妻は必ず犯す――それが彼らの習性だった。
その日から、かおりはやつの”女”になった。

やつの”女”となりながらも、かおりはわたしの生命を救うことを忘れなかった。
かおりの必死の願いを、やつはあっさりと聞き届けた。
わたしのことを憐れんで――ではなかったと思う。
たんに夫のいる人妻を、征服したかったからに違いなかった。
わたしがやつの性悪なたくらみを許したのは・・・
お前の前でかおりを犯す愉しみを尽くしてみたい。お前にも、妻を犯される歓びを植えつけてやりたい という、
正直に願われて、断り切れなくなってしまったからだ。
わたしの体内に戻されて、ふたたび脈打つようになった、28歳の健全なるべき血潮は、
やつから伝染(うつ)された毒に、穢され抜かれてしまっていた・・・

今夜もまた、やつはさいしょの夜と同じように、かおりを抱いて血を啖(くら)っている。
汚らしい音を立てて、がつがつと。
かおりもまた、彼の腕のなか・・・うら若い肢体に秘めた血潮を、求められるままふんだんに、口に含ませてしまっている。


あとがき
なんとなく、内容のない叙景詩になってしまったような・・・ (^^ゞ
前の記事
三人(みたり)の乙女を嚙む男
次の記事
同級生の訪問。

コメント

コメントの投稿

(N)
(B)
(M)
(U)
(T)
(P)
(C)
管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
http://aoi18.blog37.fc2.com/tb.php/4126-a73582fb