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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

人妻宅配俱楽部 ――母・弘美の場合――

2022年08月28日(Sun) 22:32:23

第五話 凄絶たる相聞歌



母は知っているのか・・・?
つぎに自分を犯す男が、実の息子だということを・・・
思わず発した真剣な問いに、頭は苦笑しながらかぶりを振った。

だから美味しいんじゃねぇか。

頭の囁きは、俺の鼓膜を毒液に浸した。


相手になる女とは前もって、希望を伝えあうんだ。
どんなセックスを望むのか。
どんな服装で来て欲しいのか。
場所はどこにするのか――いっさいを、あらかじめ決めておくんだ。
やり方はいろいろあるんだが、あんたは若いから、ネット使うよな。だったら、チャットが良いかな。
弘美にも、ネットの使い方は覚えさせた。ちゃんと対応できるはずだ。時間はきょうの午後3時。
勤めは早引けせにゃならんが、そこはだいじょうぶ。支局長から許可を取っておいてやったぞ。

頭は得意げに、わらった。
俺の公私を、大手搦め手両方から抑えている――そう言わんばかりの態度だったが、
いつものように、不快な翳が胸を刺すことはまったくなかった。


早めの帰宅が怖ろしい情景を目の当たりにさせる――そんな記憶がよぎったが、
2時半に帰宅すると、家にはだれもいなかった。
志乃は宅配倶楽部のお勤めにでも、出ているのだろうか?
情事の待ち受ける外出のため、志乃が人目を忍ぶようにして家を出る情景を目にすることができなかったのが、ちょっぴり残念だった。
俺は俺で、志乃の不倫を夫の側から愉しみはじめるようになってしまっていた。

パソコンを立ち上げると、メールが届いていた。
指定されたURLにアクセスすると、そこがチャットルームだった。
なんのことはない、だれもがふつうに使用している、有名なサイトだった。
先に部屋を作っておくようにと、頭に指示されていた。名前もメッセも、もちろん指定されていた。

「隆 業務のことで □沢〇美様」

というのが、指定された名前とメッセージだった。
女性が先に部屋を作ると、邪魔者が入ってくる危険があった。
なので、先に部屋を作るのは、男の役目だった。

□沢〇美――伏字にするとずいぶんな名前だった。
じっさいには冒頭の□はフェイクで、俺の苗字は沢といった。
母は本名ではなく、奈緒美という名前で入室してくることになっている。

しばらく刻が流れた。

3時02分。

奈緒美(56)さんがチャットルームに入りました。

なんの前触れもなく、そんなメッセが流れた。

母だ。

このPCの向こう側、母の弘美が、薄紅色のマニキュアを刷いた指を、キーボードのうえをなめらかに滑らせている――
ぞくり、と、なにか黒いものが、俺の胸の奥でかま首をもたげた。


隆    こんにちは、初めまして
奈緒美 こんにちは
奈緒美 よろしくお願いします。

母の弘美らしい感じはあまり窺えないが、そのぶんだれか別の女と会話をしているような錯覚が、俺を大胆にさせた。

隆   俺があなたになにをして欲しがってるか、きいていますね?
奈緒美 はい・・・
隆   では、俺があなたになにをしたがっているか当ててみてください。
奈緒美 セックス ですよね?
隆   そうです。
奈緒美 ・・・。

まだ母はチャットに慣れていないのか。あるいは、宅配倶楽部の活動そのものの経験が浅いのだろうか。
俺は想像力をフル回転させて、チャットをつづけた。

隆   あなたは男に抱かれたいんだよね?
奈緒美 はい・・・
隆   だんなに隠れてそんなことをして、恥ずかしくないの?
奈緒美 恥ずかしいです・・・
隆   それでも、男に犯されたいんだよな?恥を忘れて。
奈緒美 はい・・・
隆   じゃあ、自分から言ってみろ。あんたは俺に、どうしてほしいのか?
奈緒美 抱いてください。
隆   もっと露骨に言えないの?犯して欲しいんだよな?
奈緒美 はい・・・犯してください・・・
隆   だんなを裏切っても、恥ずかしくないのか?
奈緒美 恥ずかしく・・・ないです。
隆   淫乱なんだな。
奈緒美 はい、淫乱なんです。
奈緒美 淫乱な女に、させられてしまいました・・・
隆   させられたって、どういうこと?

さいしょは俺がにぎっていた会話の主導権が、じょじょに奈緒美の側に移りはじめていた

奈緒美 甥の結婚式の日のことでした。
隆   うん
奈緒美 わたくしは、黒留袖(結婚式で着る着物のことです)を着てお式に出たのですが、てっきりホテルの人だと思ったんです。
隆   うん
奈緒美 ご親族の方はこちらにどうぞ・・・と言われて、客室に連れ込まれたんです。
隆   相手はなん人?
奈緒美  3人でした・・・

3人。またしても、あの3人なのか・・・?
志乃に覆いかぶさったあの逞しい年配男の肉体が、母の弘美の黒留袖姿までもねじ伏せていったのか・・・
俺は股間が堅くなるのを感じはじめていた。

奈緒美  声を立てたら殺すといわれて、わたくしすっかりすくんでしまって・・・
隆    ベッドに抑えつけられたんだな
奈緒美  はい
隆    どんな気分だった?
奈緒美  怖かったです。主人以外の方とそうしたことをしたことが無かったので・・・



ここで俺は、母の潔白な過去を初めて知った。
知ったところで今さら、空手形のようなものではあったけれど、
それでもやはり、幼い俺を育てた母には、誇り高い婦人でいてほしかった。
その想いから顔をそむけるようにして、俺はつづけた。

隆    ほんとうは、男にモテたくてたまらなかったんじゃないのか?
奈緒美  そんなことないです。でも・・・
隆    でも?
奈緒美  黒留袖の帯を解かれて、下着を脱がされてしまうと、ああもういけないと思いました。
隆    男に抱かれる気になったんだな?
奈緒美  そんな・・・
隆    感じたんだろ?ダンナ以外の持ち物に。
奈緒美  感じてしまったのは、3人の方にそれぞれ1回ずつ犯されてしまってから・・・
隆    やっと白状したな
奈緒美  もうどうなってもいいと思って、ベッドのうえで女になってしまったんです。
隆    ダンナのことも、家の名誉も恥も、ぜんぶ忘れてたんだな
奈緒美  恥を忘れたのは、主人のほうからなんです
隆    というと・・・?
奈緒美  主人は悪魔です。息子のお見合い相手を次々と犯して、娘までも狙ったんです。

え?

俺はびっくりした。
妹の華奈美が、親父に抱かれただと?
華奈美は俺より四歳年下の妹で、この春に志乃の同僚の教師と結婚したばかりだった。
野々村というその若い教師は、俺の新居に遊びに来た新郎新婦の若い友人たちの一人で、
やはり新居にやって来た妹と意気投合して、話がトントン拍子に進んだ・・・はずだった。

隆   娘さんは、ダンナに抱かれたの?実の父娘で?
奈緒美 はい、結婚前に関係を持って、いまでも続いているんです・・・
隆   息子の見合い相手も姦られたんだな?
奈緒美 ハイ、お見合い相手のなかで気に入ったお嬢さんを、わたくしが知っているだけで4人・・・
隆   息子との縁談はどうなった
奈緒美 主人がお嬢さんに言って、断らせていました。
隆   とすると、ダンナは息子の嫁の処女を奪うつもりはなかったということだな?
奈緒美 はい、でも・・・
隆   まだ何かあるのか?
奈緒美 主人は息子の嫁も狙っています・・・

最低だな。言いかけてやめた。
さいしょは俺が、一方的に妻の志乃を奴隷に堕とされて、被害者だった。
ところがそのあと、志乃を寝取った男たちと和解して、彼らの運営する若妻宅配倶楽部に妻を差し出し、俺自身も対価を得るようになろうとしている――
だから、だれもかれもが、同じ穴のむじななのだ。


第六話 邂逅

奈緒美、いや弘美とは、金曜の午後2時に逢う約束をした。
場所は駅前のホテルだった。
大胆すぎやしないか――とおもったが、頭がオファーしたのはそこで、どうやら絶対命令のようだった。
何食わぬ顔で勤めに出てゆく俺に、志乃はいった。
今夜は遅くなりますの。あなた、どこかでご飯食べていらして――
『若妻宅配倶楽部』のお勤めをするときの、決まり文句だった。
妻に裏切られ、家の名誉を汚すことが、もはや日常になっていた。
俺はわかったとだけこたえて、志乃に背を向けた。
志乃の足許は、真新しい薄茶のストッキングに染まっていた。

ロビーに入ると、フロントの係の者が俺をみとめ、黙ってキーを差し出した。
べっ甲製のバーに銀色の鎖に結わえられたキーが、静かな輝きを帯びていた。
白い字で、206号室と書かれてあった。
階段のありかがわからなかったので、エレベーターで2階に着いた。
部屋の前に、頭が待っていた。
「女は来ている」とだけ、小声でいった。
あとはうまくやれ――そう言いたげに、片目をつぶって笑った。
俺はぶあいそにあごで会釈すると、おもむろにキーを取り出して、206号室のドアを開いた。
目を見開いて凍りついた女が、そこにいた。

かつては俺が母と敬い、諭され叱られた女(ひと)――
けれども今は、志乃同様、ただの淫売婦になり下がった女(おんな)――

「まさか・・・まさか・・・」
母は、いや弘美は、肩をわななかせてうろたえた。
「隆さん、隆さん・・って、まさか薫のことだったの?」
「そうだよ、母さん・・・いや弘美さん、ずいぶんと得手勝手なことを覚え込んでしまったんですね」
俺は母を責めることに、小気味よさを覚えていた。

甥の婚礼のさ中、黒留袖姿をいたぶられながら、3人の男に征服されたこと。
息子の見合い相手が次々と、父の毒牙にかかっていったこと。
なによりも、娘の華奈美が父の性欲に屈して、結婚後もそのおぞましい関係を続けていること。
目の前の男に、何もかもしゃべってしまった――
もはや取り返しがつかないことを、弘美は自覚しきっているようだった。

「でも、あなたとは交わることができません」
弘美はキュッと唇を引き締めて、いった。
「いくら何でも、母親と息子で、そんなこと――」
反射的に、俺の平手打ちが弘美の頬をとらえた。
黒髪を乱して、濃い化粧を刷いた顔が、激しく振れた。
「い、いや・・・っ」
弘美は浮足立ち、何とかこの場を逃れようとした。が、むだだった。
俺はなんなく弘美の腕を捩じりあげると、華奢なその身体をベッドの上へと放り上げてしまった。

弘美は、地味なクリーム色のスーツを着ていた。家にいたころから見覚えのある服だった。
この女は、息子である俺の知っている服を着て、情事に耽ろうとしたのか。
見当はずれな憤りが、どす黒く俺を貫いた。
あわてふためくスーツ姿を、タックルでもかけるように腰周りに抱き着いた。
56歳の女の肢体は、30そこそこの息子の膂力にねじ伏せられて、ベッドのうえで膝を折った。
目の前に、弘美の脚が伸べられていた。
ひきつれひとつない肌色のストッキングが、ふくよかな脚を柔らかく包んでいた。
俺は思わず、弘美の脚を吸っていた。
上品に穿きこなされた薄地のストッキングを、淫らに染まった俺の唾液が濡らした。

懐かしい感触だった。
その昔俺は、母の下着で悪戯をしたことがある。
年ごろの男の子なら、だれでもやることだ。
母が脚に通していたストッキングは、いま風の強靭なサポートタイプではなく、昔ながらのウーリータイプというやつだった。
それくらいは、俺でも知っている。

くちゅっ。くちゅっ・・・くちゅっ・・・

俺は舌を蠢かせて、ストッキングの上から弘美の脚を吸いつづけた。
実母の礼装を汚すことで、侮辱してやろうと思ったのだ。

いつの間にか、弘美の抵抗が熄(や)んでいた。
弘美は、俺にされるがままに、脚を吸われつづけていた。
「いいわよ・・・汚してちょうだい・・・」
乾いた声色だった。
俺は顔をあげると、母親だった女と真向かいに顔を合わせて、いきなり距離をつめた。
初めて味わう母の――弘美の唇は、柔らかく暖かだった。

いったいいままでに、なん人の男に抱かれたのか。
もちろん、黒留袖を餌食にされたときだけではないはずだ。
そうでなければこんなにもの慣れた感じで、ホテルで男を待つことなど、ありえないはずだ。
けれども弘美は、俺がいかに責めても、いままで交わった男の数を、決して口にしようとはしなかった。

ショーツのうえから唇を這わせると、母の貞操が薄い生地一枚隔てたすぐのところにあるのだと実感した。
ごわごわとした剛毛を唇で感じながら、俺は弘美の股間を唾液で濡らしつづけた。
パンストを片方脱がされ、ショーツまで足首に滑らせてしまうと、弘美は抵抗をやめた。
俺は、いままでになくどす黒くそそり立つ股間の牙を、女の臀部に埋めていった。

はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・

ふぅ・・・ふぅ・・・ふぅ・・・

一度果てると俺は再び弘美を抱きすくめ、強引に唇を奪うと、舌を入れた。
弘美は前歯を食いしばって俺の舌を拒んだが、そんな抵抗もすぐにおわった。

ねとねと、ネチネチと。
俺たちは昼下がりのベッドのうえ寝そべりながら、行為をくり返した。
いちど許してしまったことは、もう後戻りはできなかった。
なん度もなん度も、交接をくり返した。愛し合った。
頭を撫でてくれるのが、無性に嬉しかった。
そそり立つ俺のチ〇ポを咥えてくれるのは、さらに嬉しかった。
俺は母の口腔に、粘り気の強い精液を、遠慮会釈なく、ぶちまけていった。
勃った乳首を舌先で舐めてやると、若い女のような嬌声をあげた。
実母の乳房を女のものとしてあしらうことに、えもいわれない歓びをかんじた。

俺が性懲りもなく、片方だけ穿かれたストッキングをネチネチといたぶっていると、
弘美は自分の装う礼装を下品ないたぶりに惜しげもなくゆだねながら、いった。
「あなたがわたしのストッキングを悪戯していたの、私知ってる」
そう――俺はわざとそっけなく答えた。

すると弘美は、意外なことをいった。
「あなた、わたしのストッキングを穿いて、粗相したでしょ?」
そうだったかな・・・記憶はもう遠い彼方だった。
「それを見つけたわたしが、どうしたか知ってる?」
さあ・・・
俺がうそぶくと、弘美はいった。
「わたし、そのストッキングをもう一度穿いてね、あなたの精液で濡れているところを、自分のあそこにすり込んだのよ」
え・・・
俺は思わず、目を細めた。
挿入行為ではないかもしれない。でもね、わたしが貞潔を汚したとしたら、きっとそのときからだと思ってる――

別れ際母は身づくろいをするときに、脱げかかったストッキングを太ももまでぞんざいにずり上げた。
娼婦のような、いぎたないしぐさだった。
教授夫人のすることとは、とても思えなかったけれど――
「今度うちでやろう」という俺に、
「だぁめ、それは――」と言いかける弘美をまたも押し倒して、
まるで若い恋人同士がそうするように、俺たちはなん度めかの吶喊をくり返すのだった。


第七話 交歓の宴

志乃が相手をしている学校教師の同僚が、妹婿の野々村だと知ったのは、それからすぐのことだった。
花嫁の純潔を実家で汚されたという過去に、俺は少なからず同情を感じていたから、
頭にそう聞かされても、怒りをおぼえることはなかった。

俺はその日、野々村と華奈美の家にいた。
客間に敷かれた布団のうえ、華奈美がしどけない格好で、俺といっしょにいた。
ブラウスはかろうじて身に着けていたものの、釦はほとんど外されていて、下半身は生まれたままの格好だった。

俺に挑まれたときにはびっくりして、「お兄ちゃんやめて」と訴えた華奈美だったが、
スカートを脱がせ、パンストを片方だけ脱がせてしまうと、観念したように身を固くして目を瞑った。
女は征服されるとき、みんなそういう仕草をするのか。そうではあるまい。
母のときは、さいしょは毅然として俺を拒もうとして、足許を唾液で濡らされながら堕ちていった。
さいしょの夜に実父を受け容れた女は、兄のまえでもかんたんに身体を開くようになっている。

「お義父さんからききました。これからも華奈美に逢わせてほしいとねだられました。
 華奈美さんもぜひそうしたいというので――ぼくはふたりの関係を受け容れたんです」
生真面目そうな白い顔を神経質そうに引きつらせながらも、野々村は感心なことを口にする。
俺との間のことも、とがめだてはしないつもりらしい。
お茶の間からは、つけっ放しのテレビの音が無機質に、流れ込んでくる。
野々村はきっと、テレビではなく、この部屋の様子を窺っていたに違いない――
そういう趣味のある男だった。

父が弘美と華奈美を母娘ながら若妻宅配倶楽部に差し出した「功績」で、野々村もまた、「特別会員」となっていた。
花嫁の純潔を父娘相姦で喪ったという経歴は、むしろ仲間うちでは歓迎されていた。
生真面目な野々村が「特別会員」となって真っ先に望んだ女が、ほかでもない志乃だった。

俺は、父親よりも屑な人間となり果てている。
親父はたしかに、実の娘と交わったが、
俺は実母と実の妹双方と交わっている。
それだけではない。
あの高雅な支局長夫人も、
母が黒留袖を餌食にされた婚礼の主である従弟の嫁も、
力ずくでねじ伏せ、恥知らずな性欲の餌食にしていた。

『若妻宅配倶楽部』は、いつか変貌を遂げようとしていた。
倶楽部の客――という関係ではなく、真剣交際の不倫関係に発展していったのだ。
「いいんじゃねぇのか?」
志乃をさいしょに犯した頭はいった。
「ビジネスで抱き合うよりも、心から抱き合うほうが、良いに決まってるわナ」
もともと、金銭の授受を伴わない「ビジネス」だった。
素人の人妻を手練手管で堕落させ支配下に入ること。
そうして意のままになるようになった女たちを、自分の妻が娼婦となることを許した寛大な夫たちの性欲解消のために手配すること。
それが彼らの、すべてだったのだ。

志乃は支局長と正式に交際を始めた。
けれどもそのいっぽうで、野々村との浮気も愉しむようになっていた。
時には自分を堕落させたあの3人と、まるでクラス会のように”宴”を開いているらしいし、
俺も無理やり招(よ)ばれては、年上の年配男3人の情欲にまみれてゆく妻の肢体を見せつけられるのを、面白がるようにさえなっていた。

華奈美は俺と付き合うといって、聞かなかった。
夫である野々村には面と向かって、
「貴方の稼いだお金で買った服を、お兄ちゃんのために汚させてあげたいの」
といっては、野々村を閉口させていた。
野々村はたしかに閉口していたけれど、
「もともと変わったご一家だから」と、兄妹相姦を日常に取り入れることに同意してくれた。

弘美とは、週に2度は逢う関係になっていた。
親父は俺と弘美の関係に気づいていたようだったが、面と向かってはなにも言わなかった。
実の娘を犯したことを後悔するような、殊勝な男には見えなかったので、ちょっと不思議には思っていた。

その日も、俺は弘美と逢っていた。
場所は実家だった。
志乃には何食わぬ顔をして家から出てきたし、志乃もまた、着飾ってどこかへ出かけていく様子だった。
お互いに不倫を愉しむ関係――
けれどもふだんの志乃は、こうなる以前よりもずっと、献身的に仕えてくれるようになっていた。
家庭の平安をお互いの淫事を許し合うことであがなっていることに満足して、暮らしていくべきなのだろう――俺は思った。

親父は出かけているようだった。
「お父さんたら、わたしが家にいるのにおめかしなんかしているから、不思議がっていらしたわ――」
息子を相手の情事のために装った、新調したばかりの紫のスーツを見せびらかしながら、弘美は笑った。
「その服も、精液でヌラヌラにされたいんだろう?」
俺が強がると、
「はい、はい。その通りですよ。お母さん、あなたの精液で濡れ濡れになりたい♪」
と、聞き分けの良いことをいった。

導入は、あっという間だった。
ブラウスのうえから乳房を揉みしだきながら、俺は弘美を押し倒してゆく。
「あっ、ダメ――」
弘美はこの期に及んでも、「息子と母親でなんて、ダメですよぉ・・・」と、わざと俺のことをはぐらかそうとする。
減らず口を黙らせるため、俺は弘美の唇を強引に吸った。
短いあいだにいろんな女と交わったが、唇は弘美のそれが、いちばん佳(よ)かった。
俺たちはしばらくのあいだ、十代の若者同士のように、キスをくり返し、相手の口腔の匂いを嗅ぎ合った。

茶の間の向こうは、父の書斎だった。
そこにはしばらくの間入ったことはなかったが、
本棚や机の占めるスぺ―スよりも、むき出しの畳の広さのほうが目立つような部屋だった。
弘美が、手にしたリモコンを操作した。
「なに・・・?」
俺が訊いても、弘美は笑うだけでなにも応えない。
リモコンは、茶の間と書斎の間を仕切る引き戸を開けるためのものだった。
引き戸は音もなく開いた。

あっ・・・!と思った。

志乃が、親父の腕のなかにいる。

なんてことだ。

見慣れたえび茶のスーツ姿で、学校教師としての装いのまま、早くもタイトスカートのすそに、精液を光らせてしまっている。

え?え?え?

仰天する俺をしり目に、志乃はまつ毛を震わせながら、細くて白い腰を、親父の逞しい腰の動きとひとつにしていた。
もう、俺のことも、母の視線も、志乃の意識にはないようだった。
白いブラウスは大きくはだけて、その隙間からは、黒のブラジャーの吊り紐が、白い胸をキュッと縛るのが目に入った。
タイトスカートは惜しげもなく裂けて、肌色のパンストをてかてかと輝かせる太ももを露出させている。
志乃が脚に通したストッキングは、光沢のよぎるサポートタイプだった。
ストッキングをよぎる光沢が、白い蛇のようにくねる脚の周りで淫らにギラついた。
慎み深かった志乃は、とっくに娼婦に堕ちていた。親父の奴隷に堕ちていた。

俺は、親父が自分の妻に手を出す俺に不平を鳴らさなかった理由を知った。
そして、親父に見せつけるように、弘美の唇を吸い、また吸った。
この女は、俺の女だ――
あたかもそう宣言するかのように、なん度もなん度も、弘美の唇を吸いつづけた。
弘美もまた、俺の接吻に、積極的に応じてくる。

俺たち親子は、恥に堕ちた――
絶望的な歓びに目を眩ませながら、
俺はなん度めかの吶喊を、実母の体内に吐き散らしていった・・・


あとがき
後半はちょっと、息切れしたかもしれませんね。^^;
そういえば相姦ものを描くのも、久しぶりのことでした。A^^;
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コメント

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by -
2022-09-25 日 15:29:17
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匿名希望さま
順番無視。
大歓迎です。(笑)

この連作。
前半は、ひと思いにググーッと書き連ねてしまったのですが、
それより少しだけ時間をおいた後半のお話のほうが、ちょっと息切れしたような気がしていました。
楽しんでいただけたようで、嬉しいです。

そうそう。
ストッキング好きな人は、母親に惹かれることがままあるそうです。
そういえば、昭和のご婦人たちは、ストッキングを穿く世代なんですよね。
by 柏木
URL
2022-09-25 日 22:21:29
編集

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