淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・
叔父の愛妻と恋をする(相姦日記)
2022年09月18日(Sun) 16:04:22
田鶴夫さん、着てきてあげたわよ♡ゆう子のスーツ。あなた狙ってたでしょ?
栗色のセミロングの髪を揺らして現れたのは、兄の由貴夫だった。
兄は、兄嫁のゆう子のスーツで女装している。
千鳥格子のジャケットの襟首から覗く純白のブラウスは、ふんわりとした百合の花のようなボウタイが器用に結わえられていて、
白のタイトスカートのすそからは、ツヤツヤとした光沢を帯びた、これも純白のストッキングが、血色の良い足許を輝くように染めている。
兄の女装癖は中学校いらいのことだったから、メイクもさまになっていたし、ちょっと見にはふつうの既婚女性に見えた。
もっとも――兄の場合は淫乱な三十路妻という雰囲気がありありだったが。
そう、兄はボクに抱かれに来たのだ。
激しく飛び散る精液で、ゆう子のスカートをびしょびしょに濡らしてしまうと、
ボクの腕の中で兄さんは、白い歯をみせて笑った。
すけべ。
ほんとうは、ゆう子のことも犯したがっているのでしょ?
良く輝く瞳が、そういっていた。
妻が犯されないために、妻の服を着て女装して、ボクに抱かれに来る兄も。
同性同士のセックスは楽しいらしく、きょうもノリノリで相手をしてくれた。
ボクたち兄弟は、時には兄が男、ボクが女になり、時には兄が女、ボクが男になる。そんな濃い間柄だった。
それは出生のときから運命づけられていて、兄が生まれた時も、ボクが生まれた時も、
父や伯父は、「この子たちは男にも女にもなるだろうから」と、わざと女でも通るような風変わりな名前を名付けられたのだった。
ゆう子とボクとの関係は、兄との結婚前からだった。
その日は母さんの結婚式だった。
母さんは、父さんとの結婚前に父さんのお兄さんである伯父に襲われて、処女を奪われてしまっていた。
花嫁の純潔を兄に奪われるのは、ふつうに考えて不本意なはずだったけれど――
父さんの場合は、ちょっと違っていた。
昔から。
父さんは姉のセーラー服を着せられて、兄のセックスの相手をさせられていた。
股間に一物を挿入されることで、爆(は)ぜるほどの快感が全身を痺れさせてしまうことを、
父は伯父から身をもって教わっていた。
だから許婚を犯されてしまった時も、「兄さんらしいなぁ」と、兄の凄腕ぶりに脱帽しただけだったという。
その伯父が母さんに、正式にプロポーズした。伯母が健在であるにも関わらず、である。
もちろんプロポーズと言っても、正式に夫婦となるわけではない。同居するわけでもない。
実際には、情夫・情婦の関係を公にするだけのことだった。
それでも父さんは母さんを伯父と結婚させるために離婚届に判を捺し、
伯父は母さんとの婚姻届を町役場に出して、披露宴まで挙げたのだ。
そこが、兄さんとの結婚を控えたゆう子との、なれ初めになった。
ゆう子はその日の華燭の典を、ただ「身内の祝い事」としか、兄から聞かされていなかった。
婚約者の母親が夫の兄と結婚前から不倫していて、その不倫の仲を正式に認める宴だということを、宴席で初めて知ったのだった。
招かれた宴のあまりの不道徳な趣旨に、生真面目だったゆう子は少し顔色を変えていた。
その日着てきた淡いピンク色のスーツは、ゆう子のことを華やいだ雰囲気で包んでいたけれど、
彼女の顔つきは初々しい装いとは裏腹なくらい、尖っていた。
彼女の生真面目なしかめ面が、ボクの劣情を逆なでにして、ボク自身を鬼に変えていた。
ボクは兄さんを廊下に呼び出すと、「ゆう子さんはボクが犯すから」と宣言した。
ちょうどその昔、伯父が父に向って、お前の嫁の純潔を奪うと言い渡した時と同じように。
人の好い兄さんは、「ウン、お前なら安心だ。よろしくな」と、拍子抜けするほどあっさりと、婚約者の純潔を譲り渡してくれた。
「少し空気がよどんでいますね。出ましょう」
ボクはそういってゆう子を誘い出すと、言葉巧みに宴席の隣室に連れ込んだ。
丸テーブルが一脚と、椅子が4つしつらえただけの、狭い部屋だった。
「出ましょう、ここ」
不穏な何かを感じてゆう子が出ようとするのをボクは強いて引き留めて、
「ゆう子さんのことは、ボクが女にしてあげる」
と、囁いた。
雷鳴に打たれたようにビクッと顔をあげたゆう子の表情は、恐怖に包まれていた。
それがなおさら、ボクの嗜虐心に、火をつけた。
ぞうさもないことだった。
立ち尽くすゆう子を羽交い絞めにすると、無理強いに椅子に押し伏せて、白いパンストをビリビリと引き破ってしまった。
むざんに引き裂かれた薄地の礼装から素足が露出する惨状は、若い女を黙らせるのにじゅうぶんだった。
「これ以上騒ぐと、お洋服が汚れますよ」
冷ややかな脅し文句をゆう子の耳に吹き込むと、
迫ってくるボクの身体を隔てようと気丈にも突っ張っていた腕から、力が抜けた。
ボクはゆう子の首すじに、吸血鬼のように首すじに唇を這わせた。
柔らかな体温が、しっとりと潤いを帯びた皮膚から伝わってくる。
突っ張っていたところで、そこはまだ、はたちそこそこの小娘だった。
とはいえ、ボクはまだそのころ、高校生だったけれど――
でも、その道にかけてははるかに場数を踏んでいたボクは、なんなくゆう子のタイトスカートをたくし上げ、
慣れた手つきでショーツを足首へと、すべらせていった。
ゆう子が兄さんとの結婚を破談にしなかったのは、
ボクとのセックスを不覚にも、しんそこ愉しみ抜いてしまったからだと、ボクは確信している。
ボクの一族がこんなにフクザツなことになっていたのは、地域の風習も影響していたのだと思う。
過疎化が進んでいたこの街では、どこの家も恒常的な「女ひでり」の状態だった。
だから――嫁を貰い遅れた男たちは、友人の嫁と媾合(こうごう)することを許されていたし、
兄と妹、姉と弟、母と息子、父と娘――身近な異性に手を伸ばすことには、だれもが暗黙の了解をしていたのだ。
妻を奪われた格好の父さんは、親族席の最上席にちんまりと腰かけて、終始人の好い笑いを浮かべていた。
こよない愛妻家である父さんにとって、美人で陽気な母さんはなによりの自慢であったけれど、
その母さんが嫁入り前に、偉大な兄の心を射抜き、少々強引な形にせよロマンスを体験したことも、
その後も伯父の最もお気に入りの女として、数ある伯父の愛人たちのなかでナンバー・1であり続けたことも、
いまこうして兄から正式のプロポーズを受けて、役所に婚姻届けまで提出して披露宴の主役となったことも、
すべて誇らしく悦ばしいことだったのだ。
風変わりといえば風変わりだったが、父さんは父さんなりに兄を尊敬し、母さんのことを愛していた。
母さんの披露宴の日以来、ゆう子はボクのところにひっそりと、通ってくるようになった。
そうして、まだ兄にもいちども開いたことのない身体を惜しげもなく開いて、
嫁入り前の潔(きよ)く守り抜かねばならないはずの処を、淫らな精液にまみれさせていったのだった。
兄さんと長い口づけを交わすと、ボクは義姉さんの服が似合うねと言った。
スレンダーな兄の身体に、ゆう子のよそ行きのスーツはぴったりとフィットしていて、兄を見映えの良い女にしていた。
「こんどはこのお洋服――ゆう子に着せて送り届けるわね」
女の姿をしているときの兄さんは、ずっと女言葉で、あくまで女として振舞っていた。
「で・・・こんどはだれを、引きずり込むの?」
兄さんは共犯者の含み笑いで、じっとボクを視る。
「佐奈子叔母さん」
ボクが応えると、兄さんはなるほどねと言った。
佐奈子叔母さんは、父の弟の妻で、夫婦で中学校の教師をして、倹(つま)しく暮らしていた。
身なりはいつも質素だったが、教師らしくきちんと折り目正しくしていたので、そこはかとない気品を漂わせていた。
「あんたの大好物なストッキングも、愛用しているんだものね」
兄さんに図星を突かれて、ボクは苦笑いした。
ストッキングフェチは、中学に上がる前、母さんの情事をぐうぜん目にしてしまって以来のものだった。
空色のスカートのすそをまくり上げられた母さんは、
伯父の手で肌色のストッキングをひざまでずり降ろされて、太ももを眩しく輝かせていた。
それがいまでも、目に灼(や)きついて、離れないのだ。
乱倫の嵐が吹き荒れるこの街で、佐奈子叔母さんの貞操が無事だったのは、ほとんど奇跡のようなものだった。
一家の最高権力者である伯父は、うちの母さんにぞっこんだったし、父さんも母さんにしか目のいかない男だった。
ボクたち兄弟の筆おろしは、父さんのいない夜に母さんが、
「困ったものねぇ」と言いながら、ワンピースの襟首をはだけてくれて豊かな乳房をもろ出しにしてくれて果たすことができたし、
生真面目な佐奈子叔母さんをわざわざ巻き込まないでも、帳尻が合っていたのだった。
「佐奈子叔母さま、きっと叔父さま以外の男を識らなくてよ。だったらゆう子を撃沈したあんたのぺ〇スで、きっといちころだわよ」
兄さんはそういって、ボクを力づけてくれた。
叔母を犯す算段をする弟に、うまくいくよと励ます兄。
それがボクたちだった。
思えば、とんでもない兄弟だった。
狙われた佐奈子叔母こそ、いい迷惑だっただろう。
けれどもボクは容赦なく、彼女に迫った。
子どものころから可愛がってくれたり、勉強を見てくれた叔父への斟酌も、まるきりなかった。
ボクは叔母さんが欲しい。ボクのぺ〇スも、叔母さんを汚したがってそそり立っている。
だから叔母さんを狙うんだ。
すごく明快でしょ?
善良な叔母を引きずり込むのは、たやすいことだった。
その日はたまたま叔母にとって不幸にも、叔父は教育委員会の用事で遠出していた。
父さんが話があるって呼んでいる――というボクからの誘いを、叔母はまるで疑わなかった。
ボクたちの淫らな関係もつぶさに知っているはずなのに、自分だけは無縁で済むのだと思い込んでいたのだろうか?
けれども淫らな渦の吸引力は、叔母を飲み込むことを欲していた。
それくらい。
叔母は高雅で気高くて、穢すのにもっともそそられる獲物だったのだ。
招かれた自宅に、父さんも母さんもいなかった。
母さんは伯父さんに誘われてラブホテルに行っていたし、
父さんは尊敬する兄に母さんが愛されるところを視たいといって、いっしょに出かけていったのだ。
母さん好みの派手な洋服をふしだらにはだけていって、伯父が母さんを征服してしまうことを。
逞しい兄の男ぶりを見せつけられることを。
父さんはとても、悦んでいた。
そういうわけで、叔母は一人、客間に通された。
モスグリーンのカーディガンに、グレーのスカート、足許を彩るのは、濃いめの肌色のストッキング。
素朴な装いであればあるほど、ボクの目は好奇に輝き、胸の奥底に滾る嗜虐心を募らせていった。
几帳面な叔母が、つま先とかかとの補強部がぴったりと合うように穿きこなしているのを、ボクはつぶさに見て取った。
きちんとした服装に、すみずみまで意を用いている叔母に、好感を持った。
これからモノにする女は、淑女だ。
思う存分、辱めてやろう――
「兄さんはいらっしゃらないの?」
かすかに不審の色を泛べる叔母に、ボクは告げた。
「きょうはボク、年配の女のひとが欲しいんだ。さしあたってだれもいないから、叔母さんに相手をしてほしいんだ」
えっ・・・?
戸惑い腰を浮かしかける叔母を、ボクはあっという間に組み伏せていた。
「カーディガン破かなければ、あとはいいよね?」
そういうと、モスグリーンのカーディガンの下に着ていた黒のブラウスに手をかけて、力任せに引き裂いていた。
あっ!!
年長者の優位は、苦もなく消し飛んだ。
思いのほか白い叔母の胸が、黒のブラジャーの吊り紐一本に区切られていた。
ボクはその釣り紐も、力任せに引きちぎった。
「田鶴夫さん、いけないわ!そんなこと・・・」
叔母の顔には懇願の色があった。
「お嫁さんをもらったらどうするか、ボクに教えてくださいよ、先生」
生真面目な女教師の面ざしに小便をひきかけるような気分でからかうと、
「・・・っ」
叔母は声にならない悲鳴をこらえて、抗おうとした。
やはり母さんのほうが、こういう場に場慣れしている――ボクは素直に、そう感じた。
レ〇プどうぜんに犯されるのを好んでいた母さんに、なん人の男がまたがっていただろう?
母さんは手加減をよく心得ていて、頑強に抵抗して、徐々に力を抜いて、さいごに屈服してゆく手振り、顔つき、声色が、男どもを魅了してやまかなったのだ。
対する叔母は、ただぶきっちょにめくら滅法腕を突っ張って防戦するばかり。
気の毒なくらいのつたなさだった。
ブラジャーをむしり取り、指に吸い尽くような肌の触感をたしかめながら、乳首を唇で強く吸う。
「ああっ・・・」
夫に対して顔向けができない。家の名誉を守り抜かなければならない。
きっとこの女の頭のなかでは、そんなことがめまぐるしくぐるぐると廻っているに違いない。
ボクは彼女の思惑は一切無視して、ただ胸の柔らかさ、張りの良さを手触り、舌触りで楽しんでゆく。
豊かすぎも貧しすぎもしない、まずまずのおっぱいだと診たてていた。
ボクの掌はまるで掌じたいに意思が宿っているかのように、
もうなにも考えないでも、女を煽情するためのもっとも効果的なやり方で、叔母の素肌を手繰っていた。
首すじにキスをしたときは、ゆう子にもこんなキスをお見舞いしたっけ・・・と、なぜか義姉のことを思い浮かべていた。
ひとりの女を獲物にするのに、ほかの女のことを思い浮かべるのは失礼だ――ボクはすぐに、ゆう子の幻影を追っ払った。
凌辱という恥ずべき行為にも、礼儀もあれば、作法もあるのだ。
口づけは、濃く長く、相手の息が詰まるほどに味わった。
キスを許すと人妻はかなりの確率で堕ちる――そんなことを教えてくれたの、誰だったっけ?
でもたしかに、それを境に叔母の動きは、目だって緩慢になり、活発さを欠いていった。
お目当ての肌色のストッキングをいたぶってやろうとグレーのスカートを荒々しくたくし上げた時にも無抵抗だったし、
脂ぎった唾液にまみれた唇を太ももに圧しつけて、淡いナイロン生地をくしゃくしゃに波打たせていったときには、すすり泣きの声さえ洩らしていた。
薄紫色のショーツは、薄い生地で、唇でまさぐると意外に濃い茂みの剛毛が、チクチクとした。
叔父もこんなふうに、自分の妻の身体を愉しんでいるのか――
すでに叔母の誇り高い貞操をガードしているのは、この薄いショーツがわずかに一枚。
それもボクのエッチなよだれにまみれて、突き出した舌は、股間の秘奥の起伏さえも、つぶさになぞり尽くしてしまっている。
いまごろ妻が貞操の危機に直面しているなど夢にも思わずに、律義に執務しているであろう叔父を思い浮かべると、
なにやらくすぐったくなってきた。
待っててね。もうじき叔父さんの愛妻を、地獄に堕としてあげるからね――
謹厳な教育者である叔父の指導の甲斐もなく、ボクはしんそこ悪い子に育ってしまっていた。
「叔母さん、ごめんね、すぐ済ませるからね」
叔母の希望とは正反対のことを、引導を渡すようにして囁くと、叔母は身体の動きを止めた。
すでにパンストを片脚だけ脱がせて、ショーツは足首まですべり降ろしてしまっていた。
「どうしても、なさるというの?」
なおも言い募る叔母に、ボクは言った。
「ずっと前から、叔母さんを犯したかったんだ」
ほんとうは・・・生真面目で影の薄いこの叔母は長いこと、凌辱の対象ではなかった。
たまたまきのうきょうの思いつきで、犯すことに決めたのだった。
けれどもじつは、心の奥底ではずっと昔から、叔母を犯したかったのかも・・・と、ふと思った。
すでに主人の意思を離れてたけり狂ったボクの股間が、叔母の太ももの奥へと迷い込んでいた。
「だったら、だったら――せめて叔父さんのことをばかにしたりしないでね。あの人を悲しませるようなことはしないでね」
ボクの一物が叔母自身をえぐり抜く瞬間まで、叔母は夫のことばかり、気にかけ続けていた――
夕方。
部屋の隅で叔母は、呆然となりつつも、身づくろいを始めていた。
剥ぎ取られたブラウスは、モスグリーンのカーディガンの奥へとしっかりと押し込まれ、
吊り紐の着れたブラジャーは、ボクに戦利品としてせしめられていた。
ストッキングは幸い、少し伝線しただけだったが、これもボクにせしめられてしまっていた。
蛇のように伸びたナイロンの薄衣をボクがこれ見よがしに見せつけて、舌で意地汚く舐め抜くのを、叔母は悔しそうに視ていたけれど、
もうそれ以上怒りも泣きもしなかった。
「時々、逢って」
それは、叔母が内心もっとも恐れていた願いだったに違いない。
いちどきりのことなら、過ちで済まされる。
夫にも告げずに、墓場まで持っていこう。
きっと叔母は、そう思ったはず。
けれども、日常的な関係まで迫られてしまっては、夫に露顕するのは時間の問題だったから。
「いや!」
叔母は叫ぶようにこたえた。
反射的に、
ぱしぃん!
頬に平手打ちをくれていた。
「逆らう権利はないんだよ」
ボクは叔母にもう一度にじり寄ると、ブラウスの破れを抑える掌を取り除けて、カーディガンの襟首を強引に押し広げ、
あらわになった胸を吸った。
「聞き分けがわるいようだから、もう少し付き合ってもらうね」
ごめんなさい、あなた。ちょっと立ち眩みがしてしまって・・・きょうは祐介さんのところでお泊りさせていただきますね。
明日もお仕事早いんでしょう?きょうも――ご出張お疲れさまでした。
叔母の声色はいつもの静けさと穏やかさをたたえていて、なによりも叔父に対するいたわりに満ちていた。
こういう奥さんをもらうご主人は、きっと幸せなんだろうと、ボクは思った。
「せめて叔父さんをばかにしないでね。悲しませたりしないでね」
犯される直前の叔母の懇願が、鼓膜によみがえった。
叔母との関係をこれきりにしようとまでは思わなかったが、せめてこの生真面目な夫婦に余計な亀裂は招きたくないな、と、ふと思った。
佐奈子との関係は、週1のペースで続けられた。
いちど喪われた貞操は、元には戻らない。
佐奈子もそこは、観念したようだった。
グレーのスカートを精液まみれにしてしまったあの日を境に、ボクは叔母のことを佐奈子と呼び捨てすることにした。
だからここでも、ここからは佐奈子と名前で書く。
逢瀬はいつも、自宅の勉強部屋だった。
母さんは見て見ぬふりをしてくれていた。
むしろ――自分が相手をしなければ消し止められない息子の劣情を、
義妹が身代わりになって火消しをしてくれていることに、感謝しているふうだった。
いつも学校に着ていく、生真面目なスーツ姿がいいな。佐奈子には良く似合っていると思うよ。
すると佐奈子は、ボクの希望を容れて、スーツ持参で訪いを入れてくれるようになっていた。
そう、さいしょのときにブラウスを引き裂かれたことで懲りていたのだろう。
家を出るときと違う服装で帰るわけにはいかなかったから、
ボクと交接するために、佐奈子はわざわざ別の服を用意して、着替えてくれたのだった。
パンストを片脚だけ脱がせて、
ショーツをつま先まですべらせて、
スカートを着けたまま、秘奥をまさぐり、貫き、精液まみれに濡らしてゆく。
ボクが愛用しているハイソックスと同じ丈まで、ストッキングをずり降ろされて。
佐奈子はすすり泣きながら、ボクの欲求に応えてくれた。
けれどもそれが擬態にすぎないものになりつつあることを、ボクは知っている。佐奈子ももちろん、自覚している。
夫とはかけ離れて若々しい怒張を迎え入れた彼女の関門は熱く濡れぼそり、
怒張を押し返すように、ギュッと締めつけてくる。
こちらも負けずにと意気込んで、ぐりぐり、ざりざりと、関門を激しく往き来させてゆく。
佐奈子は身を仰け反らせて、感じていることを身体で白状してしまっている。
そんなことが、ふた月ほども続いただろうか。
佐奈子の脚から抜き取った戦利品のパンストが、もう数え切れなくなったころのことだった。
ボクが学校から戻ると、母さんがちょっと厳しい顔つきで、ボクのことをリビングに招き入れた。
そこには真っ黒な洋装の喪服を着けた佐奈子がうなだれて、黙りこくっていた。
「バレちゃったんだってさあ」
母さんはあけすけに、変事を告げた。
いつかはそうなることだった。
どこでだれがどう伝えたのかは、問題ではない。
ボクと佐奈子との仲は、叔父の知るところになってしまったのだ。
潔癖な教育者である叔父は、理由はどうあれ不貞を犯した妻を家に置くわけにはいかないと告げたという。
お前も教師として教壇に立つ資格はないから、当面休職したほうがよい、とまで、いったという。
物静かな叔父だけに、その言葉は重く、徹頭徹尾罪悪感とは無縁で過ごしてきたボクですら、冷や水を浴びせられた気分だった。
「どうするのよう」
母さんは蓮っ葉に、父さんに尋ねかけた。
ボクの不始末は、うちの不始末だった。そこはさすがに、両親だった。
「佐奈子さんのために、アパートを借りましょう。もちろん費用はうちで持ちますからね」
母さんは気前よく、佐奈子の住まいについての費用を受け持ってくれた。
もちろんボクには、こう囁くのを忘れなかった。
「あんた、わかってるんだろうね?あんたのために叔父さん、佐奈子さんを離婚してくれるんだよ。そういうことだろ?
チャンスだよ。いまのうちにあの女(ひと)を、あんたの色に染め変えちゃいなさいな」
その晩佐奈子は、わが家の客となった。
改まった重々しい喪服姿にひき立った白い肌に、欲情を覚えずにはいられなかった。
母さんに言われるまでもなく、ボクは佐奈子の寝所を襲って、喪服姿のままひと晩じゅう、いたぶり抜いてしまっていた。
黒のスケスケのストッキングにブチチッと裂け目を走らせたまま、
厳粛な場でのみ装われるべき漆黒のスーツを、佐奈子はふしだらに着崩れさせた。
その夜は、佐奈子が自ら、学校教諭夫人の貞操の喪を弔う夜となった。
叔父は佐奈子とは顔を合わせたくないそうで、代わりに母さんが叔父宅に出向いて、佐奈子の服や身の回りの品を受け取ってきた。
調度も含めるとそれなりの量になったので、引越業者を依頼することになった。
受け取りを済ませると、母さんはボクに耳打ちをした。
「叔父さんのこと誘ってみたのよ、それとなく。でもね、やっぱり佐奈子さんがいいんだって。
それに、わたしの場合佐奈子は処女で嫁に来たから、見返りは欲しくないんですって」
奪(と)られるいっぽうの立場に甘んじることを選んだ叔父を、ボクは偉いとおもった。
それにしても――そういうときに叔父のことを誘惑しようとする母さんもまた、凄いとおもった。
佐奈子のアパートは、寂しいくらいに空き間が目についた。
ぼくはその空き間を埋めるようにして、佐奈子のアパートに居座ることにした。
離婚届なるものを目にするのは、母さんのときに次いで二度目のことだった。
兄さんとの結婚を控えていたゆう子を犯したあの宴のとき、父さんと母さんとは、ご丁寧にも法的に離婚をしていた。
離婚届という書類の名前の重みに佐奈子はたじろいだようだったけれど、
ボクはさっさとペンをとると、妻の欄に佐奈子の名前を書き込んだ。
「ボクが出してきてあげるよ」というと、さすがに佐奈子はかたくなにかぶりを振って、自分で出してきますとこたえた。
結局、二人で町役場に出向いて、離婚届を出した。
「夫」の欄は、叔父の小さくまとまった整然とした字体で名前が記され、
その隣の「妻」の欄は、ボクの大ざっぱな字で、佐奈子の名前が記入されていた。
こいつを出してしまえば、佐奈子は叔父の妻ではなくなるのだ。
佐奈子は晴れて、自由になる。
その日以来ボクは公然と、佐奈子のことを自分の女として扱った。
佐奈子のアパートには毎晩寝泊まりをして、夜遅くまで元教諭夫人を苛んだ。
覚えたての縄の扱い方を試すために、佐奈子は叔父が仕立ててくれた黒留袖の上から、荒々しく縄を巻かれていった。
ギュッと縛った瞬間、「ウッ」とちいさいうめきをあげるのが、たまらなくいとおしく、可愛らしかった。
二十近くも齢が離れているなどとは、ついぞ思ったことさえなかった。
ボクは毎晩のように佐奈子を抱いたし、佐奈子もじょじょに、応えてくれるようになった。
もはや逃げ道は、どこにも用意されていなかったから――ぼくに身を任せるしかなかったわけだし、
いちど身を任せてしまった女を夢中にするすべを、ボクは十分すぎるほど、心得ていた。
佐奈子は、堕ちた。
道行く人がうわさするほどに、ボクと佐奈子が同居を始めたことは、街に知られていった。
佐奈子がボクの女であることを世間に見せびらかしてやりたくなって、
時には道端の草むらや、深夜の路上で、佐奈子の装いを剥ぎ取って、まぐわい抜くことさえした。
だれもがオシドリ夫婦だった教諭夫妻の離婚を知ったし、
妻のほうが教師を辞めてまで、恥知らずにも20も齢の若い甥に春をひさぐようになったことも知られていった。
それでもボクは、時折叔父のことが思い出されてならなかった。
生真面目な叔父は、相変わらず律義に中学に通い、生徒の指導に当たっているという。
教師のなかには教え子の男女に手を出して、体育館の裏や空き教室で、蒼い性をはじけさせる者もいたが、
叔父にかぎってそれはなかった。
このままだと、叔父の人生は彩がまったくないものになってしまう――と、ボクはおもった。
「叔父さんとこに、謝りに行かない?」
その夜も八回ほど佐奈子を貫いたあと、ボクは佐奈子に切り出した。
叔父の誂えた黒留袖に撥ねた精液を気にかけていた佐奈子は、ハッと目を見開いて、みるみる涙をあふれさせた。
「ほんとう?ほんとうにそうしてくださるの?」
佐奈子が意味のある言葉を発するのを、もしかするとここに来て初めて耳にしたような気がした。
そう――ボクはここにいる間は始終獣になっていたから、
彼女は服従の短い相槌や、苦痛に耐えかねたうめき声以外、ほとんど口にすることがなかったのだ。
「やっぱり佐奈子は、叔父さんのところに戻ってあげたほうが良い――ボクはそう思う」
でもね、と、ボクはつづける。
きみをあきらめたつもりはないからね。
きみが叔父さんと復縁することができたとしても、ボクはあくまできみのことを、ボクの女として扱うつもりだ。
ボクが強く肩を抱き寄せると、佐奈子は心もとなげに頷き、それからもう一度、強く頷きかえしてきた。
しばらく見ない間に、叔父は10歳ほども老け込んでしまったかのようだった。
小学生の息子と娘のめんどうは、長年住み込んでいる婆やが見てくれていたので、身の回りに困ることはなかったようだが、
やはりいつも寄り添っていた控えめで倹(つま)しいつれ合いが傍らにいないのは、寂しい限りだったのだろう。
「きょうお伺いしたのは――佐奈子さんを犯してしまったことをお詫びするのと、
お二人が元通り復縁することをボクが希望していることをお伝えするためです」
ボクがそういうと、叔父は目をしばたたいてボクを見返し、「それはありがとう」と、いった。
安堵を交えた穏やかな声色だった。
意外にも。
「でもきみは、それで良いのかね?佐奈子に飽きてしまったというのかね?」
むしろボクを気遣うような口ぶりに、しんそこ済まないことをした気持ちになったのだけれど――
ボクが佐奈子をあきらめるつもりがまったくなさそうなのを顔つきで見て取ると、彼は穏やかに口を開いた。
彼の言い草は、さすがのボクにとっても、意外なものだった。
「佐奈子のことはよろこんで、家に迎えよう。きみの好意に感謝する。
復縁のことも承知した。遠慮なくそうさせていただくよ。
でも、もしもきみがまだ佐奈子に欲情を感じているのだとしたら、どうか自分自身に正直になりなさい。
若いうちは女を欲しいと誰でも思うものだし、きみが佐奈子を欲しいと思ったり、
生真面目な佐奈子を辱め抜いてみたいという気持ちも、わからないわけではない。若気の至りということだからね。
もちろんわたしも、かなりの迷惑は感じたけれど――」
叔父は穏やかに笑いながら、つづけた。
「でも、そこは叔父甥の仲だから、水に流そうじゃないか。
そして、きみさえ望むのなら――きみを佐奈子の愛人として、わたしの家庭に迎え入れようと思っている」
え?
ボクと佐奈子は、顔を見合わせた。
ほとぼりが冷めたころにまた佐奈子を誘い、思う存分交わろう――そんな不埒なことを思ってはいたのだけれど。
叔父がまさか、そこまでボクのことを理解してくれているとは、夢にも思わなかった。
「きみに佐奈子を望まれて、本心をいうとわたしは嬉しかった。
あれは地味な女だが、所帯持ちがよくてしっかり者で、質素だけれど上品なひとなのだ。
きみのような若い男性が佐奈子を見初めてくれて、わたしはとても誇らしく感じていたのだ。
だから、きみが佐奈子を汚したと聞いた時、きっと一度では済まないだろうとすぐにわかった。
そして――きみに佐奈子を独り占めさせてやるために、わざと佐奈子を離婚したのだ。
佐奈子はわたしの妻という拘束から離れて、ひとりの女としてきみに仕込まれ、きみの色に染まるだろう。
妻がきみの奴隷になるのに、それは必要なことだと思ったんだ。
わたしたちが離婚したことは、学校にも知られたし、狭い世間だから、知らないものはいないだろう。
そして、きみの情婦として無軌道に愛され抜いていることも、誰一人知らないものはいないだろう。
うちの名誉はすっかり、汚れてしまった。でも、それで良いのだ。
自分から進んでそう仕向けたのだし、汚されて却ってこざっぱりするということも、あるものなんだね。
きみはわたしのことを、佐奈子の夫として認めてくれたのだから、
ぼくはその見返りに、わたしの最愛のひとの貞操を、真心こめてプレゼントしよう。
女が欲しくなったら、いつでも来なさい。妻も、きみのことをきっと、歓迎するだろう」
「お兄ちゃん、ママと何してるの?」
まだ幼い従弟の陽太は、ふすまを細目にあけて、目だけをこちらに向けてくる。
幼い目線の先には、よそ行きのスーツを着崩れさせ、セットした髪を淫らに波打たせた母親と、その母親を支配している従兄がいた。
「覗いていいよ」
とは、約束していた。
けれどもボクが佐奈子を犯しに行くと、彼は必ずと言っていいほど、母親の情事を覗き見していた。
もちろん彼の父親も、時折様子を窺いに来た。
無軌道な甥の欲求をまえに曝してしまった妻の身を案じて――というのも、むろんあったに違いない。
けれども、それとは別種の、好奇で好色な色合いが、あの謹厳な眼鏡の奥から射し込んでくるのを、
ボクも佐奈子も気づかずにはいられなかった。
彼は妻を奪われ、そして復縁を果たした。
夫婦仲は、以前にも増して濃やかだという。
そしてボクはこの家の堅実な主婦を凌辱する権利を、目いっぱい行使しつづける。
きっとそのことは――思春期の萌芽をみせはじめた従弟にも、色濃く投影されてゆくのだろう。
彼は白い歯をみせて、ボクに約束してくれたのだ。
「ボクがお嫁さんをもらうときには、お兄ちゃんに逢わせてあげる。
ママと同じくらい、仲良くしてほしいんだ」
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