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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

みずきの結婚

2022年11月05日(Sat) 12:11:06

上背の乏しい、ずんぐりとした背格好のOLだった。
遠藤みずきという名のその彼女は、OL2年生。
いつも気難しそうなしかめ面をして、机に向き合っている。
仕事はできるのだが、とにかく地味。質素。
千鳥格子のベストにボウタイつきの白のブラウス、黒のスカートという制服を地味に着こなして、
他の多くのОLたちが、うっすらと光沢を帯びたストッキングで競うように脚を彩るなかにいて、
いつも見映えのしない野暮ったい肌色のパンストに脚を通していた。
お洒落な女のあいだでは、映画女優が身に着けるようなガーターストッキングを穿く子もいるときいている。
だがきっと、遠藤みずきの履いているのは間違いなく、国産の量産型の安価なパンストに違いなかった。

その彼女の、太くてむっちりとした脚周りを、薄地のパンストが張りつめたように包んでいるのを、
同期入社になる笹森隆一は、われ知らずうっとりとした目で追っているときがある。

太っちょな女は男にモテない――遠藤はそう思い込んでいるのだろうか?
彼の母親は恰幅が良く、そのせいか隆一には豊かな肢体の持ち主に対する憧憬こそあれ、偏見はまったくない。
もしかしたら安産型かもしれない――と、時折彼女のしっかりとした足許を、密かに盗み見てしまうのだった。


老舗と言われる会社ではあったが、大株主である本家は、途方もない田舎に暮らしているという。
隆一の入社したその会社には、本家である創業者の地元の出身者が、多く採用されていた。
とはいえ、なんの変哲もない一般企業であったから、都会生まれの隆一には創業者の出身地など、たいした意味を持ってはいない。
けれども――気になるあの遠藤もまた創業者と同郷だと聞くと、やはり関心を持たないわけにはいかなかった。

うわさでは、その街は遠い以前からずっと、吸血鬼が棲んでいるという。
たいがいの住民たちは、吸血鬼に妻や娘を逢わせてうら若い生き血を吸わせ、
なかには吸血鬼を家庭に受け容れて妻や娘を犯すことを許容しているものすらいるという。
夢のように現実味のない話なので、隆一はそんなうわさは無視していた。
けれども、遠藤みずきに対する関心が日を追って深まるにつれ、そうしたうわさにも無関心ではいられなくなっていた。

はたして遠藤みずきは、吸血鬼に遭っているのか?
遭っているとしたら、それはいつからのことなのか?
聞けば、彼らは上品に装われた女たちの脚に目がないという。
だとすると――遠藤みずきもまた、通学用のハイソックスやストッキングを、吸い取られた血潮に濡らした過去もあったのだろうか?
あの太めの脚にとおした質素な肌色のストッキングを、彼女はふしだらに剥ぎ堕とされたりしているというのだろうか?

どういうわけか。
ズキズキとした嫉妬心に似たものが、まるで雷をはらんだ黒雲のようにむくむくと、隆一の脳裏に広がっていった。

ある飲み会の帰り、隆一は普段は付き合わない三次会にまで合流していた。
すでに、同僚の若手社員たちは三々五々散ってしまって、周囲にいるのは古参の年配社員ばかりだった。
けれども彼らは、そんな隆一の存在を苦にするでもなく、隔てなく杯を酌み饒舌な世間話に興じていた。
やがてその一座からも、一人また一人と人が減っていき、
いつの間にか隆一の隣には、古崎という50年配の社員が一人、まだ未練がましく最後の一合瓶をかざしていた。

「そろそろあがりますかな」
古崎がそういうと、隆一はふと、彼が創業者一族と同郷だということを思い出した。
ふと、思いもしない言葉が、口を突いて出た。
「遠藤みずきって、どういう子なんですか?」
「みずきちゃん?」
酔眼を少しだけ見開いて、古崎は応じた。
「あー、地味だけどいい子だよね。嫁にもらうには向いたおなごだと思うよ」
古崎はざっくばらんにそういうと、
「なんだ、みずきちゃんに気があるのか?なんなら橋渡ししてやろうか?」
と水を向けてきた。
渡りに船だった。
「あの人、付き合っている男の人とか知っていますか?もう決まった人がいるのかな――って」
「うぅーん・・・」
古崎は、遠くを見るような目になった。
「そりゃ、本人に聞くのが一番よかよ」
どこの方言かわからない言葉を口にすると、ほんとうに酔いが回ってきたのか、古崎は黙りこくってしまった。


「みずきちゃん、ちょっと悪いがな、笹森くんといっしょに、深山壮(みやまそう)さんまで使いに行ってくれんかね」
古崎がきのうのことはまるで忘れたような顔をしながら、
いつものように仏頂面を決め込んで机に向かうみずきに不意の依頼を投げたのは、果たして偶然だったのか。
隆一の運転する社用車にみずきが同乗し、ふたりはお得意先である深山壮へとむかった。
ただし、その深山壮というお得意先との取引内容は、隆一もよく聞いてはいなかった。
助手席に座ったみずきに、いつものソツのない口調で「なにか聞いてる?」と問いかけたが、
「行けばわかるそうです」と、いつもの無色透明な声色が返ってきただけだった。

ふつうなら。
社の女の子との車の出張なんて、軽口をたたいて楽しいはずなのに。
みずきは怖い顔をしてじいっと押し黙っているし、隆一も彼女のことをヘンに意識して、いつもの軽口が上ずってしまうのだった。

深山壮は、都会からは車で半日もかかる、かなりの郊外にあった。
名前の通り、背後に山林を抱え、ツタの絡みついた古い洋館は、どれほどの年月を経てきたものかというくらい厳めしく映った。
「きみは来たことがあるの」
隆一が聞くと、みずきはなん度かあるとこたえた。
大きな扉がきしみながら開かれると、扉の向こうには八束と名乗る初老の男が佇んで、丁寧に二人を招き入れた。
八束は隆一をキラリと光る瞳で見つめたが、隆一は彼の視線に気づかなかった。


結局その日は、深山壮で昼食をとっただけでおわった。
しかし、しきりと会話に水を向ける隆一の熱意が伝わってか、寡黙なみずきもぽつりぽつりと自分のことを話し始めて、
彼はその夜にみずきを彼女の行きたいというバーに誘うことに成功した。
みずきにバーなどおよそ似つかわしくなかったが、隆一はあえて理由を尋ねず、彼女の言に随うことにした。

「きみは結婚したいと思う相手はいるの?」
単刀直入な隆一の問いに、みずきは相変わらずのポーカーフェイスだった。
聞こえていないのか?と思うほどの無反応に隆一が少しうろたえると、みずきはいった。
「言おうかどうしようかと思ったんだけど――」
実は、付き合っている彼氏がいる――そういわれたらおしまいだ。
隆一の脳裏にそんな不吉な予想がよぎったとき。
みずきは意外なことを口にした。
「笹森くん、吸血鬼の存在って信じますか?」
「え・・・?」
「いるんです。じっさいに」
「・・・」
「あたし、そのうちのひとりに、高校生のころから血を吸われています」
「え・・・」
「死ぬほど吸い取られることはないけれど、なん度か気絶したことがあります」
「・・・」
「信じられないですか」
「いや・・・そんなことはない。みずきさんの言うことなら信じます」
それはやはり、あなたが処女だから・・・?と言おうとした刹那、みずきは裏腹なことを口走っていた。
「その方にあたし、処女を差し上げました」
「えっ」
隆一は仰天した。
少なくとも彼の知るみずきはごく控えめで物堅い娘なので、自分からそのようなことをあからさまに言い出すタイプではなかったから。
「これからもきっと、抱かれつづけるし、あたしもお慰めしたいと思っています――たとえだれかと結婚したとしても」
さいごのひと言は、声色は低かったが、その分固い決意が感じられた。
「八束さんだね」
隆一は、単刀直入にいった。
みずきの瞳に、驚きの色が広がった。


遠藤と書かれた表札は、さいしょのころに比べるとかなり古びてはいたものの、
まだ誇らしげに高々と、門柱にいかめしく掲げられていた。
その家名が汚辱にまみれたものになっているなど――とても信じられないくらいに、それは立派なお屋敷だった。
品の良い初老の紳士である遠藤氏は、自分の娘の婿になりたいという隆一を、丁寧に邸内へと導き入れてくれた。
「でも、先客がおりますでな。貴方のお相手はそのあと――ということになりますでの」
淡々と語るその口ぶりからは、これから妻を犯される男の悲哀は、なにひとつ感じられない。

「様子が気になるときは、いつもここからこうやって、のぞき見することにしておるのです。
 でも二人とも、たいそう機嫌よくお相手を務めては、たんと悦ばされてしまいますでな。
 わたくしなどはもう慣れましたが、それでも家内をあのように愛し抜いていただけるのは、
 夫として嬉しいことだと思うようにしておるのです」
遠藤氏が指さしたふすまのすき間からは、隣室のようすが手に取るように見て取れた。
地味な薄茶のスーツを着込んだみずきの母親に、
同じくらい地味な会社の制服であるねずみ色のジャケットを身に着けたみずき。
ふたりとも、神妙な顔つきで正座をしていて。背後にまわった八束のために気持ちを集中させているようだった。

八束はまず、みずきの母親の背後に近寄ると、彼女のうなじをつかまえた。
そして口の両端から牙をむき出しにすると、がりりと咬んだ。
黄ばんだ犬歯が象牙色の皮膚に食い込んで、赤黒い血潮がビュッ・・・と潤び出る。
「真緒や・・・」
遠藤氏が、妻の名を呼んだ。
真緒夫人は、肩先に撥ねた血潮には目もくれず、ひたすらに目を瞑り、強欲な吸血に耐えている。
「まず母親が、手本を見せることになっておりますでな。なので、家内のほうがいつも先なのです」
遠藤氏は、なおも淡々とした口調を崩そうとはしない。
自分の愛妻の体内をめぐる血液が、チュルチュルと人をこばかにしたような音を洩らして渇いた喉に吸い込まれてゆくのを、
じいっと凝視するばかりだった。
「つぎは、娘の番ですじゃ」
遠藤氏の枯れ切った声色の矛先が、自分の恋人に向けられたのに、隆一はゾクッとする。
みずきもやられてしまうのか?
彼女の母親と同じように、あのうら若い身体から、血潮を抜き取られてしまうのか?
いや、そんなはずはない。そんなこと、あってはならない――
隆一の想いは、虚しかった。
母親と同じ経緯でみずきもまた首すじを噛まれ、ブラウスに赤黒い斑点を拡げてゆく。

ふたりが失血のあまりまろび伏すと、八束は容赦なく、二人の足許を狙った。
さいしょに真緒夫人の足許が狙われた。
男は好色な唇を、ストッキングのうえから真緒夫人の脛に這わせてゆく。
こげ茶のスカートにはあまり合わないねずみ色のストッキングがねじれて引きつりながら、チリチリと引き剥がれてゆく。
娘と同様倹しげで、見映えのしないながらも気品をたたえた目鼻立ちが、悩ましい翳をよぎらせた。
ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・
リズミカルな音を立てて、真緒夫人の血潮がふたたび吸い上げられてゆく。
彼女の顔色は明らかに貧血の症状を呈していたが、夫である遠藤氏は制止する気振りすら見せず、
真緒夫人もまた、その色褪せかけた頬に、自分の吸血相手に少しでも豊かにわが身をめぐる血潮を与えたい――という意思をありありと滲ませていた。

「みずきの足許はよう狙われたもんです。
 あの子も健気に尽くしよるので、八束殿にはたいそう愛おしがられておるのです」
見慣れた野暮ったい肌色のパンストが張りつめるふくらはぎに、八束は母親の血に染まった唇を圧しあてる。
ぬるり・・・ぬるり・・・
卑猥な舌が、みずきの足許をヌメヌメと這いまわる。
がちがちと歯の根が合わなくなる心地に耐えながら、隆一はみずきの受難の光景に目を凝らした。
喉がからからになっている。
なんという不埒なやり口だろう。なんという恥知らずな仕打ちだろう。
けれどもみずきは、父親の言うとおり、眉を軽くひそめたまま、
ストッキングに装う足許を、恥知らずな凌辱にゆだねてしまっている。
しっかりとした肉づきのふくらはぎの周りに張りつめた薄地のナイロン生地がブチブチとはじけ散ってゆく有様に、隆一は思わず失禁した。

「ああ・・・」
遠藤氏がしんそこ悲し気な声色になったのは。
女ふたりの生き血を吸い取って精を増した男が、彼の愛妻のうえに欲情もあらわにのしかかったためだった。
「真緒・・・真緒や・・・えぇのぅ、似合いの殿方じゃ。
 可愛がってもらうがええ、誰が何と言おうと、お前は三国一の嫁御じゃ。
 長年わしに尽くしてくれた褒美に、ときめく恋に身をゆだねるのじゃ・・・」
老人の切れ切れな声色に応えるかのように、真緒夫人はのしかかってくる逞しい肩に細腕をまわし、
力づくで圧しつけられてくる唇に、薄い唇で精いっぱい応えようとしていた。

こげ茶色のスカートを揺らしながら、真緒夫人は三度も果てた。
引き抜かれた一物から滴る粘液が、ボトボトと畳のうえに滴り落ちた。
妻を犯した淫らな粘液を、このあと老人はくまなくふき取るのだという。
それがこの家のあるじの役目なのだと――
「あなたに、それがよう勤まりますかの」
遠藤氏は穏やかに目を細め隆一のほうを窺った。
無理なさらんでええのですよ――と、その眼は語っているようだった。

次はいうまでもなく、みずきの番だった。
グレーのジャケットを脱がされて、千鳥格子のベストと黒のスカート姿をあお向けにされて
あの太い脛を、自宅の畳のうえに横たえている。
男はもういちど、みずきの脛を愛おしげに舐めた。
脛だけではなく、内ももも、太ももも、ひざ小僧も。
脚の輪郭をなぞるようにくまなく、好色な唇や舌を、破れ果てたパンストの舌触りをなおも愉しむように、なぶり抜いてゆく。
男の唇が、みずきの首すじを吸った。
ああ――
みずきが犯される。みずきが汚される。
丸顔に団子鼻、薄い眉に細くて楚々とした目じり。
あまり美しくない容貌に、それでも初々しい翳をよぎらせて、
かつては野暮ったく厚ぼったい黒のタイツに包んでいた足許に、
嬲り抜かれ剥がれ落ちた肌色のストッキングをまだからみつかせて、
静かに足摺りをくり返してゆく。
切なげにくり返される足摺りは、婚約者のまえで犯される悲哀を示すのか。
それとも、未来の花婿が受け容れた情事を、ひとりの女として悦び抜くためなのか。
かりに後者でもかまわない――と、隆一はおもった。
俺はこのさして美しくない、太い脚と質素な装いをたしなむ女を、妻にする。
彼女の純潔ははるか以前に奪われて、婚礼を控えたいまもまた、その身を淫戯にゆだねようとしているけれど。
俺はこの人を妻にする。
笹森夫人のまま犯され辱め抜かれる彼女を、愛し抜く。

さいしょのうちはひたすら忌まわしく、早く過ぎてほしい刻だったはずなのに。
夜通し愛し抜かれる婚約者の姿から目を離すことができず、ひたすらに昂りつづけてしまっていた。


街で行われる婚礼に、礼装に身を包んだ笹森家の面々が、一列となって入場する。
隆一の母は、そのふくよかな身から、夫の目の前で生き血をたっぷりと引き抜かれ、三人もの吸血鬼の輪姦に身をゆだねていた。
隆一の父は、自分の妻を犯した吸血鬼と意気投合して、三人にそれぞれ、隆一の兄嫁、姉、妹を引き合わせてしまっていた。
隆一の兄は憤慨しながらも、自分の愛妻が辱められるあで姿から、弟と同じように目を離せなくなってしまい、
姉も妹も、それぞれの婚約者を目の前に、競うように純潔を散らしていった――
華やかな礼装のスカートの裏を、夫ならぬ身の粘液で濡らした女たちは、
いつこの街に移住しようか――と、そればかりを心待ちにしているのだった。
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