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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

妻のセカンド・ブライダル♡

2023年01月30日(Mon) 02:30:28

「好物なんだ、許せ」
男はそういって、妻の首すじに咬みついた。
そして、三十代の熟女の生き血を、妻の身体からしたたかに抜き取った。
妻は白目を剥いて悶えたが、四肢をガッチリと抑えつけられていて、ただ一方的に、血液を摂取されていった。

この街は危ないぜ――婚礼に招んでくれた親友の忠告を、無視したわけではない。
けれども妻も、「吸血鬼のいる街ですって?面白そう♪」と、自らすすんで、この危険な婚礼に帯同することを申し出たのだ。
山懐に抱かれたように蹲るこの街は、都会からはかけ離れたところにあって、
わたしたちは最低でも、二泊しなければならなかった。
そのさいしょの夜の出来事だった。

風呂あがりのわたしが、ホテルの部屋で真っ先に咬まれ、その場に昏倒すると、
脱衣所にいた妻が物音を聞きつけて、飛んできた。
夫婦ながら血を吸われるために、戻ってきたようなものだった。

都会の洋装を好むという彼らにとって、妻のスーツ姿は絶好の餌食だった。
ブラウスのうえから胸をまさぐられ、首すじを咬まれて、妻もまたほとんどわたしと同じ経緯で、その場に昏倒してしまった。
そして、彼女が再びわれに返った時にはもう、
肌色のストッキングを穿いた脚をたっぷりと、舐められ抜いてしまっていた。
新しくおろしたばかりのストッキングは、欲情を滾らせた唾液にまみれて、
みるみるうちに、淫らに濡れそぼっていった。
きっと――妻は犯されてしまうに違いない。
この街で花嫁を迎える親友は、たしかに言った――
セックス経験のある婦人を吸血の対象とするとき、彼らは生き血を餌食にした後で、性的関係まで遂げてしまうのだと・・・

さきに血を抜かれたわたしのなかに、嗜血癖が芽生えかけていた。
だから、彼が若い女の生き血に飢えていることに、同情も理解も感じ始めていた。
だからといって、その欲求の標的が妻であって、嬉しいはずはない。
けれども、鋭い牙を埋め込んで、ヒルのように這わせた唇で踏みにじるようにして妻の素肌を蹂躙されながら、
わたしはまったく、怒りというものを覚えなかった。
むしろ――活きの良い血にありつくことのできた同族を羨む気分さえ、感じ始めていた。

白い素肌にしつように吸いつけていた唇を引き離すと、
妻の身体から吸い取った血液が、口の端から微かに滴った。
わざと滴らせているのだと、はた目にもわかった。
乱れた純白のブラウスは、ボトボトとこぼれ落ちる真紅のしずくに濡れた。

妻は、かすかに意識が残っていた。
ブラウスを汚されたことに気がついたのだろう、かすかに眉をひそめて、
男と、そしてわたしの視線をも避けるようにして、目をそむけた。
それが、彼女にできる、精いっぱいの抵抗だった。

男はふたたび妻の足許にかがみ込んで、ストッキングを穿いた足許を凌辱することに熱中した。
室内の照明を照り返して淡い光沢を帯びたストッキングは、むたいに舌を這わされて、そのしなやかな舌触りを愉しまれていった。
妻は無念そうに、自分の足許を見降ろし、助けを求めるようにわたしを視た。
わたしはかすかに、かぶりを振った。
夫に引導を渡されたとさとった妻は、後ろめたそうに目を伏せると、
男が吸いやすいようにと、飢えた唇の動きに合わせて、脚の角度を変えていった。
深夜の宿を襲った吸血鬼は、こうして妻のストッキングを剥ぎ取る悦びを味わう権利をかち獲ていった。

むざんに咬み剥がれたパンストが、ハイソックスと同じ丈になって破れ堕ち、ずり降ろされてゆく。
失血のあまり身じろぎひとつできなかったのが、指先だけでもうごかせるようになったのは――
辱められてゆく妻の有様を目の当たりにして、妖しい昂ぶりと、
そして――認めたくはなかったけれど――忌むべき歓びとをおぼえ始めたからにちがいなかった。
妻は、真っ赤なショーツを穿いていた。
それは、わたしとの夫婦の夜を悦びに満たすためではなく、夫以外の男を誘うためでもむろんなく、
たんに彼女のおしゃれ心を反映したにすぎなかったのだが、男はそうはとらなかった。
「だんなさん、奥さんすっかりやる気まんまんのようだね」
冷やかすような口調はなぜか親しみが込められていて、侮辱されたような気分にはならなかった。
男の舌は、妻の真っ赤なショーツの上から圧しつけられ、しつように這わされた。
ショーツはみるみる、淫らな唾液にまみれていって、じっとりと濡れそぼり、秘められた陰毛までもが微かに透けて見え始めた。

「御覧にならないで・・・」
妻はやっとの思いで、いった。
「やす子、やす子」
わたしは思い切って、妻の名を呼んだ。
「非常事態だ。今夜にかぎり、きみはぼくの妻であることを忘れてくれたまえ」
好きに振舞ってもらって構わない――言外の意味を彼女はすぐに覚り、
そして・・・ショーツを自分の手で、引き裂いた。
ピーッと鋭い音が、部屋に響いた。

「だんなさん、すまねぇな・・・」
男はそういうと、そのむき出しの裸体を、妻の上へと重ねていった。
彼の逞しい腰が、妻の細腰に沈み込むのを、目を背けることなく見届けてしまった。
わたしよりもはるかに強靭な筋力に恵まれた腰は、ただのひと突きで、妻の狂わせた。

懊悩の夜更けだった。
朱を刷いた薄くノーブルな唇からは、絶え間なくうめき声が洩れつづけた。
さいしょのうちこそ耐え抜いた妻は、身に迫る凌辱をまえに身体を開かれていって、
ペニスのひと突きごとに反応を深め、ひと声切なげな吐息を洩らしてしまうともう、とまらなくなっていった。
吐息、吐息、吐息・・・
妻の貞操が永遠に喪われたことを、自覚せずにはいられなかった。
知らず知らず、わたしはその場で射精していた。
白く濁った粘液が客室のじゅうたんを濡らすのを、男も妻もみとめた。
どちらも、わたしを嘲ることはしなかった。
むしろ、互いに手足を絡め、身体を結びつける行為に、熱中してしまっていた。
馬乗りにのしかかられて前から犯され、
四つん這いになって後ろから奪われ、
それでも収まらない怒張を帯びた一物を、妻ははしたなくも唇に受け容れてゆく。
根元まですっぽりと咥え込んだ一物が、中で噴出したのだろう。
初めてのことにうろたえて、口許を抑えてむせ込んだ。
だいじょうぶか?と、男は妻の背中を撫でた。
妻は無言でうなずき返し、なおもペニスをねだった――わたしの前で。
足許にまとわりついたパンストはふしだらに弛みずり落ちて、
身に着けていたときには淑女だったはずの女は、もはや娼婦に堕ちてしまっていた。

わたしよりもはるかに剛(つよ)い怒張がくり返し妻の股間を冒すのを、わたしはただぼう然と見つめていた。
怒張は、妻の身体の奥から引き抜かれた後も、猛りに猛り抜いていた。
ヌラヌラとした体液でうわぐすりのように濡れそぼった一物は、
抜身の短刀が獲物を刺し貫くようなどう猛さで、なん度も妻の股間を冒しつづけた。
妻はそのあいだ、乱れた黒髪の端を口に咥えて、歯並びのよい白い歯を覗かせていた。

視ないで・・・視ないで・・・あなた視ないで・・・
妻はたしかに、そう繰り返していたはずだ。
それがいつの間にか、そうではなくなっていた。
あなた、視て、視て、視てえ・・・
腰を激しく振りながら、自分の身体を激しく求める逞しい腰の上下動にリズムを合わせながら、
彼女は頭を抑え、唇に手を当てて、随喜のうめきをこらえようとした。
こらえかねて、なん度も声を洩らした。
いい・・・いい・・・とってもイイッ!
激しくかぶりを振りながら、暴漢の男ぶりを褒め称える妻――
わたしにとって仇敵であるはずの男は、まんまと妻を手玉に取り、なんなく自分の支配下に置いてしまった。
男はなん度も妻に挑みかかり、夫だけに許されたはずの権利を不当に行使しつづけて、
妻もまたうめき声をこらえ、そしてこらえかねながら、男のあくなき欲求に、細身をしならせて応じつづけていった。


けだるい夜明けが訪れた。
わたしはぼう然として、ロビーで妻を待っていた。
男は妻を自室に略奪すると宣言し、わたしはぜひ伺いなさいと妻に促してしまっていた。
妻は乱れた髪を揺らして、わたしの許しにかすかな感謝と含羞を交えて、
男の促すままに従った。
朝6時に、ロビーで待ち合わせることになったのだ。

一睡もできずに昂ぶり疲れた身体をソファに持たれかけさせていると、
淡いピンク色のスーツをきちんと着こなした妻が、ロビーにハイヒールの足音を響かせて歩み寄ってきた。
「お待たせしました」
微かに揺れる栗色の髪は、夕べの乱れをほとんど感じさせなかった。
きこなしもいつも通り上品で、夕べあれほど淫らに舞った娼婦の気配を見事に消していた。
後ろから、男が影のように寄り添って、ついて来た。
「約束通り、奥さんをお返しするよ」
彼はそういったが、名残惜しそうにしているのが目に見えて見て取れた。
ピンクのタイトスカートの下から覗く妻の脚は、濃いめのグレーのストッキングに覆われている。
しなやかな筋肉の起伏がナイロン生地の濃淡になって反映し、いつになく艶めかしくうつった。
「式は午後1時からです。それまではお互い、暇ですな――」
男がなにを言いたいのか、すぐに察しがついた。
「家内のパンストをもう一度、破りたいんじゃないですか」
わたしは言った。
「図星――」
男はにやりと笑い、妻は損な男の尻を軽く打った。
ごく打ち解けた男女の間のしぐさだった。
「妻をすっかり、モノにされちゃったようですね・・・」
さすがにわたしは、悲し気に声のトーンを落としていた。
「ごめんなさいね、あなた。でも仰るとおり、すっかり奴隷にされてしまったわ」
「離婚は厳禁ですよ、おふたりとも」
男がたしなめた。
樋村夫人のまま妻を犯しつづけたい――そういう意味らしかった。
「午後1時まで、好きにしたまえ。旅路のロマンスだと思うことにするよ。夕べのことも、これから後のことも――」
口をついて出た言葉に、わたし自身が驚き、妻もあっけにとられた顔をした。
けれども妻は、救われたような顔になって、ここ最近みたこともないような丁寧にお辞儀をすると、
「もうしばらく、恋を愉しませてくださいね」
と、わたしに告げた。

わたしはてっきり、ふたりが男の部屋に戻るものだと思い込んでいた。
ところが、一人で寝もうとしたわたしのあとに、二人ともついて来たのには驚いた。
「わしがモノにした節子のオンナぶりを、貴方に見せつけたいのです」
男はいった。
どこまでもヌケヌケと・・・と思った。
けれどもわたしは、だれか違うものの意志に支配されたかのように、なんなく肯き返してしまっていた。
「家内はわたししか、識らない身体だったんですよ。でも今は、きみの恋の成就におめでとうというべきなのだろうな」
「負けをきれいに認める。清々しい行いですね」
彼はいった。
まんざら社交辞令ではないようだった。
「では力水をちょうだいしますよ」
彼はそういうと、わたしのスラックスのすそを引き上げた。
なにをするのだろうと思ったら、靴下の上から足首に咬みついてきた。
「靴下を破りながら吸血するのが好きでしてね・・・男女問わず」
彼はそういうと、わたしの履いていた丈が長めの靴下を咬み破り、静かな音を立てながら血を啜り始めた。
紺地に白のストライプの入った靴下はむざんに破け、啜り残された血に濡れてゆく。
「こっちも楽しむかね」
わたしが促すと、彼はもう片方の脚にも咬みついてきた。
「昨夜咬み破った家内のパンストほど、面白くはないだろう?」
「イイヤ、奥方を寝取ったご夫君の靴下を破くのは、けっこう乙な楽しみなんですよ」
「ひどい人だ」
わたしは男を軽く罵りながら、さっきから自分の神経をうっとりと痺れさせ始めていた吸血の感覚に、身をゆだね始めている。
「完全に気絶はさせませんよ。わたしは見せつけたいし、貴方も愉しみたいでしょうから――」

「きみに、わたしたち夫婦の体内に宿る血液と、妻の貞操を、改めてプレゼントしよう。
 貞操堅固な家内を見事に堕落させた腕前を認めて、きみを家内の愛人として、わたしの家庭に迎え入れたい。
 どうぞこれからも、家内を辱め、わたしの名誉を泥まみれにしてください」
わたしはそういって、笑った。
「素敵な浮気相手を見つけることができて、この旅行はとても有意義だったわ。まるでわたくしも、結婚式を挙げるみたい。
 貴方のご厚意に甘えて、遠慮なく貴方を裏切り、不倫の恋を愉しませていただくわ。
 負けを潔く認めることができる貴方に、惚れなおしましたわ」
妻も清々しそうに、笑った。
「ご結婚おめでとう」
わたしがいうと妻も、
「ありがとうございます」
と、細い首を垂れた。その首のつけ根には、彼に着けられた愛の証しがどす黒い痣となって、鮮やかに刻印されている。
「奥さんをわたしの恋人の一人に、よろこんで加えさせていただく。
 貴方の奥方を辱めるチャンスに恵まれたことは、今年で最も幸せな体験だったと告白しましょう。
 心づくしのプレゼント、嬉しくお受けいたしますよ」
彼もそういって、笑った。
三人三様、お互いをたたえ合い、愛を誓いあっていた。

薄れゆく記憶の彼方で、男は妻の唇に、唇を近寄せてゆく。
妻はうっとりとした上目遣いで、受け口をして、夫婦の血に濡れた唇を重ね合わせられてゆく。
二対の唇はお互いに強く吸い合って、結びついたように離れなかった。
ピンクのタイトスカートは腰までたくし上げられて。
グレーのストッキングはくまなく舐め抜かれ、咬み破られ、剥ぎ降ろされて。
白のブラウスはボウタイに血を撥ねかしながら、むしり取られていって。
荒い息と、昨晩よりもあからさまなうめき声。
主人よりもずっといいわ・・・という称賛と。
あなた、しっかり御覧になって・・・というふしだらな言い草と。
逞しい腰に絡め合わせた細い腰を、精いっぱいに振りながら、
妻はひたすら、堕ちてゆく。
お似合いのカップルの誕生を、わたしは自分の歓びとするしかなかった。
犯され、汚され、辱め抜かれてゆく妻の媚態を目の当たりに、わたしは恥ずかしい昂ぶりに身を委ねて、
親友よりもひと足さきに、自身の妻の「セカンド・ブライダル」を祝うことになったのだ。
新調したばかりのスーツを、花嫁衣裳の代わりにして――
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