淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・
好夫の母 ――母親同士の味比べ。 続編――
2023年08月14日(Mon) 19:09:01
お母さん、ちょっと出かけてくるわね。
そういって母の由香里がいそいそと出かけていくのを、
好夫は横っ面で見送った。
出かけていく先はわかっている。
幼馴染の良哉のところだ。
母親たちのなかには、相手のしれない男に抱かれに行くものも多い。
それに比べれば、母親の行き先がわかっているだけでも安心だ。
まして相手が、兄弟どうぜんにして育ってきた良哉なら。
自分の血をあれほど旨そうに啜ってくれる良哉なら。
母のことを自分の前で征服して、愛し抜いてしまった良哉なら。
好夫は首すじの傷口を撫でた。
下校直前に良哉に廊下に呼び出され、咬まれたばかりの傷口だった。
まだ良哉の牙が埋まっているかのような錯覚を、好夫は感じた。
ジンジンとした疼きは、これから母が受ける咬み傷の深さを想像させた。
そしてその想像は、好夫の理性をたまらなく崩れさせていった。
優雅な名流夫人として評判高い母が良哉の餌食になってしまうことを、好夫は好もしく感じていた。
母にもそういうラブ・ロマンスがあって良い――はた目には異常なはずの状況を、ごくしぜんに受け容れてしまっていた。
良哉は彼の血管を食い破り、シャツやズボンやハイソックスを血で汚すことを愉しんでいた。
良哉の支配下にいることが、たまらなく嬉しかった。
干からびた良哉の血管のなかで、吸い取られた母親の血液と彼自身のそれとが交じり合うことを妄想し、深い昂ぶりを覚えていた。
良哉はスポーツマンだった。
好夫は彼が試合で勝つために、母親と自分の血を消費してもらいたいと切望していた。
引き伸ばしたハイソックスの上から、良哉の唇が圧し当てられる。
薄いナイロンの生地越しに、なまの唇に帯びられた熱が染みとおってくる。
きょうの靴下、ずいぶん薄いんだね。
良哉が顔をあげて、いった。
これから破く、きみのママが穿いてくるストッキングみたいだ。
これから破く・・・
いともぞうさに形容句をつけられてしまった母の装い。
母は家にいるときでも、いつもストッキングを脚に通していた。
薄っすらと透けるナイロン製のストッキングは、好夫のなかでは気品のある貴婦人の装いだった。
それを目のまえのこの幼馴染は日常的に、悪ガキそのもののあしらいで、
舌なめずりでむぞうさに汚し、咬み破っているという。
きょうも母は家を出るときに、薄い墨色のストッキングを穿いていた。
ふだんは肌色のストッキングを穿く母が、初めて良哉に襲われて以来、
良哉と逢うときには墨色のストッキングを穿くことが増えている。
襲われた女は、襲った男の好みに合せたものを身に着ける。。
母がそれを実践していることに、好夫は衝動に似たマゾヒスティックな刺激を掻き立てられている。
良哉を愉しませるために好夫がきょう履いてきたハイソックスは、じつは父親のものだった。
勤めに出るときに履いていくもののなかで、とびきり薄いやつで、気に入りなのか何足も持っている。
一足くらいならバレないだろうと、箪笥の抽斗から失敬したのだ。
ストッキングのように薄いやつだから、きっと良哉の気に入るだろう。。。
このあたりの思惑は、恋人のためにめかし込む女の子と、さほど変わりはないと思う。
「気に入った?」
「ああ・・・良い嘗め心地がする」
本気で良いと感じると、良哉には童心が戻ってくるらしい。
しんけんな顔つきになって、好夫のふくらはぎを、靴下のうえからたんねんに嘗め続けている。
生暖かい唾液に濡れそぼり、ひと嘗めごとに皺寄せられながらも、
好夫もまた自分の足許に加えられるいたぶりを、目を凝らして見おろしている。
「破っても良いんだぜ?」
そんな誘いを、自分のほうから向けてしまっている。
「ほんとうはこれ、父さんのやつなんだ――」
好夫の白状に、良哉は意外なくらいに反応した。
「え?そうなの?」
自分が寝取った人妻の亭主が愛用しているストッキングまがいの靴下を、
その息子の脚に通させて嘗めいたぶっている――
そんな状況に、ズキリと胸をわななかせたようだ。
「ウフフ なんだか面白いな・・・」
嘗めくりまわす舌の動きがいちだんとしつようさを帯びるのが、靴下を通してジワジワ、ヌメヌメと伝わってくる。
「お前――もう漏らしちまったのかよ」
良哉はそうからかいながらも、濡れたズボンのうえから好夫の張りつめた股間に手をやり、まさぐってゆく。
「お前の血の味、うちのお袋に似てきたな」
吸い取ったばかりの血で口許を濡らしながら、良哉はいった。
「人ん家(ち)の母ちゃんつかまえて、どんだけ血を吸ってんだよ」
そのまま自分自身に返って来そうなことを言いながら、良哉は好夫の頬をつねった。
こいつ、うちのお袋といつ逢ってるんだろう?
どんなふうに押し倒しているんだろう?
そしてお袋は・・・どんな顔をして、こいつにちんちんを突き込まれているんだろう・・・?
母親を自分のペニスの意のままにされている好夫の歓びが、少しはわかったような気がした。
「お待ちになりましたか?」
好夫の母親は、いつもていねい口調だ。
涼やかな服装に、いやみのない薄化粧。
肩までの黒髪は、上品に結わえてある。
背すじをピンと伸ばし、流れるような細身の身体の線を、服の下にひそめている。
派手ではないがどこかゾクッとさせる細い眉に、瞳のきれいな眼。
いつもより濃いめに刷いた口紅だけが、二人の落ち合うことの意味を告げていた。
墨色のストッキングに透ける太ももを行儀よく、朱色のタイトスカートのすそから品良く覗かせている。
相手が子供でも、この人は姿勢を崩さない。
ひとりの男として、俺に接しようとする。
良哉は時折、この女(ひと)と逢うとき、知らず知らず身ずまいを正してしまう。
貫禄負けしているとは思わない。思いたくない。
だって、襲っているのは俺だから。
呼び出して、支配しているのも俺だから・・・
「少し待った。喉、渇いた」
良哉はわざと、ぶっきら棒にこたえた。
「また、お行儀悪くなさるのね・・・?」
由香里は小首を傾げ良哉を窺った。
軽く顰めた眉が、これから加えられる恥辱への虞(おそ)れを漂わせていた。
「きょうもきかせてくれるんだろ?あんたのかわいい泣き声をさ。
こんなにお行儀悪く楽しんじゃってるんだと、あんたのダンナに聞かせてなりたいなあ」
そんな下卑た言い草を良哉はしながら、覚え込んだ苛虐的な愉悦をあらわに、由香里ににじり寄った。
細い両肩を摑まえて、力まかせに押し倒す。
いっしょに倒れ込んだはずみに過(よ)ぎった呼気が、ほのかに生々しかった。
密やかに洩れた女の声を塞ぐようにして、良哉は女の唇に自分の唇を押し重ねた。
女が吸い返してくるのをくすぐったく感じながら、
良哉もまた女の唇をヒルのようなしつようさで吸い返していった。
「あ、あなたぁ~っ、ごめんなさい・・・っ」
由香里が声をあげて嘆いた。
突き込まれたペニスに応えるように腰を弾ませながら、
それでも夫のために貞操が損なわれるのを憂いつづけた。
口では詫びながら、腰は求め、脚は絡みついてきた。
女の嘆き声に反応するように、良哉のペニスの先端からは、どびゅっ、どびゅびゅ・・・っと、
濃厚な精液が間歇的にほとび出た。
それは由香里の身体の奥深くを濡らし、熱くした。
由香里は、はぁ・・・はぁ・・・ふぅ・・・と息せき切って良哉を抱きしめ、
ずり落ちかけた黒のストッキングを皺くちゃにしながら、なおも脚を絡めていった。
あんたのだんなに、いまのあんたを見せたいな――
毒づくように良哉が囁いたとき
そのときだけは、由香里は真顔になる。
「お願い。主人をおとしめるのだけはなしにしてちょうだいね」
え?と、良哉も思わず真顔になる。
「お願い」といいながらそれは、絶対の「お願い」に違いない。
「だって私も、たいせつなパパを裏切って貴男に逢っているの。
ごめんなさいごめんなさいって言いながら逢っているの。
きみは強いし大きいし・・・逢ってて楽しいわ。女として。
でもね。
エッチの相手は彼だけど、結婚するならやっぱり主人――
そういうことも、わかってね。
女は勝手な生き物なの――男と同じくらいにね・・・」
俺だって・・・人の奥さんを、幼馴染のお母さんを。
性欲のままに組み敷いて、スカートの裏側を精液で塗りたくったり、
ブラウスを血しぶきで濡らしながら生き血をむさぼったり、
勝手な生き物だ。まちがいなく。
勝手で良いのよ――
由香里は良哉の心を読むかのようにそう囁いて、彼の頭を抱きしめた。
愛すればいいの。
セックスを、愛しているっていうなによりの証拠にして、時を過ごすのよ。
細い腕で抱きしめられながら。
良哉はもうひとつの欲望で、ジリジリと胸を焦がしていた。
それは、由香里にもすぐ、伝わった。
「・・・明日の夜、約束があるの。
それだけは行かせて――」
由香里はひっそりと囁き、願った。
わかったよ――
良哉は太く短い牙を、由香里のうなじに突き立てた。
ググっと力を籠めてもぐり込んでくる牙を、由香里は力強いと思った。
この子のペニスと同じくらい、強いわ・・・
白のブラウスにいつも以上に、噴き出る血潮をドクンドクンとほとばせながら。
良哉は親友の母の生き血を啖らい獲り、あさり摂っていった。
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