fc2ブログ

妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

由香里の「予定」 ――母親同士の味比べ。 スピンオフ――

2023年08月14日(Mon) 19:22:18

明日の夜の約束。
それが由香里と情人との逢瀬のことだと、良哉は最近になって知った。
その情人は50近い独身男で、由香里に恋するあまり独身を続けてしまったそうだ。
名前を豹治という。
思い余って彼が相談に言った相手は、人もあろうに由香里の夫、好夫の父親だった。

好夫の父は、役所勤めをしている。
上級官庁からの片道切符とはいえ、地元では立派に名士であり上流階級といえた。
その妻であれば、栄耀栄華とまではいわなくとも、なに不自由ない豊かな暮らしを保証されているといえる。
わざわざ夫を裏切って愛人を作る必要などこれっぽっちもなく、
かつまたそんな危険をあえて冒す必要など、彼女の側にはないはずなのだ。

豹治は役所の下の下の組織で長年、下働きをしていた。
経済的にも恵まれず、不満をもってもおかしくない不遇な立場だった。
好夫の父は、自分の妻に対する彼の好意に気づいていた。
不平不満なく日常を過ごす彼の強さが、じつは妻に対する好意の裏返しであることを知っていた。
その豹治が思いあまってやって来たとき、好夫の父はすべてを察していた。
「家内のことですね」
目下のものにもきちんとした敬語を使う彼に、豹治は小さくなっていた。

すでに三十代のころ、由香里は吸血鬼に襲われて血を吸われ、犯されていた。
鋭い牙で由香里の首すじを切り裂いて、彼女のワンピースをまだら模様に染めあげたその吸血鬼に対して、
彼は潔く負けを認め、彼女の夫として、愛妻の貞操を彼のためにいつでも楽しませることを請け合っていた。
そのことが却って、好夫の父の想い切りをよくしたのだろう。
「うちの家内が、好きなのですね」
好夫の父は豹治の意思を確かめると、妻とふたりきりになる時間を彼のために作ってやった。
「家内が嫌がったら、どうか虐めないでくださいね」
ほほ笑みながら好意を向けてくれた上司に報いるために――豹治はなんとしても、彼の妻を射止めようと誓った。
豹治は、好夫の父の好意を裏切った。
彼の腕の中で由香里は、「虐めないで・・・お願い、虐めないで・・・」と呟きながら、
怒張するペニスを突き刺されるたびに体液をほとび散らしていた。
それ以来。
由香里はほとんど毎日のように、夫を裏切りつづけた。

良哉はそんな由香里のために、夜に淫らに燃やす血潮を、じゅうぶんなだけ体内に残してくれた。
「さいきん、息子さんの友だちに抱かれてるんだって?」
情人のからかいに、
「それも主婦の務めですのよ」
とほほ笑み返して、好色な唾液にまみれた年配の情人の唇を、優雅に受け止めてゆく。
「嬉しいわ、逢いに来てくれて」
「おれもあんたとお〇んこするのを楽しみに、一週間働いてきただ」
男は女の華奢な身体をへし折るほどに強く抱きすくめ、頬ずりをくり返し、キスを奪いつづけた。
情人は彼女のブラウスをはだけると、奥にまで手を入れて、
ブチブチと音を立てて、ブラジャーのストラップを彼女の肩からむしり取った。
「アラ、ひどい!」
そう言いながらも由香里は、もう片方のストラップも好きなように引きちぎらせてしまっている。
良哉が彼女の黒のストッキングを好むように、豹治は由香里のブラジャーを剥ぎ取る行為に熱中するのだ。

――男ってみんな、勝手♡
押し倒されるままにあお向けになり、自ら脚を開いて男を受け容れながら、由香里は思う。
――あなたも、勝手♡
心のなかでそう思いながら、彼女はチラと、隣室の闇の向こうを見やった。
そこに彼女の愛する夫が、息を詰めて、いちぶしじゅうを見逃すまいとしていることを知るように。
前の記事
母の献血。
次の記事
好夫の母 ――母親同士の味比べ。 続編――

コメント

コメントの投稿

(N)
(B)
(M)
(U)
(T)
(P)
(C)
管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
http://aoi18.blog37.fc2.com/tb.php/4174-bd239fd8