淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・
母の献血。
2023年09月11日(Mon) 16:25:40
欲しいな。
とうとつに口にする彼に、ぼくはとっさに自分の首すじ寄せていた。
1週間前、彼はぼくの血を初めて吸った。
とうとつに襲われたぼくは、彼の腕の中でもがきながら首すじを咬まれ、
ドロドロと流れる血を、ゴクゴクと威勢よく喉を鳴らしてむさぼり飲まれ、
貧血にくらくらした頭を抱えながらズボンのすそをたくし上げられ、
靴下のうえからふくらはぎまで咬まれていった。
首を咬まれている時点では必死に腕を突っ張って、
彼をこれ以上寄せつけまいとしていたけれど、
脚を咬まれた段階では、あまりにもキツい貧血で、頭を抱えてへたり込んでしまって、
足首を舐められているときには余裕で靴下の舌触りまで愉しまれてしまっているのに、
もうそれ以上姿勢を崩さずに、座りこむのがやっとのことだった。
けれどもぼくは、彼に血をあげたことを後悔していない。
それくらい、彼の咬みかたはキモチ良かったのだ。
首すじに食い入った一対の牙は、ぼくの理性をきれいに塗り替えてしまっていた。
欲しいな・・・
そういわれるたびにぼくはドキドキして、首すじの咬み痕をさらしたり、スラックスのすそを引き上げたりするようになっていた。
でも、きょうの「欲しいな」は違っていた。
彼はぼくにいったのだ。
まるで初恋の告白をするみたいに!
「こんどは、お前の母さんの血が欲しい」って――
家に帰るとぼくは、母に正直に彼の希望を伝えた。
「あいつ、母さんの生き血を欲しがってる」
ごくシンプルに、そういった。
母さんはびっくりしたように目を見開いて、でも意外に冷静だった。
あとで聞いたら、ぼくが初めて噛まれたときに、こういうことになるような気がしていた――って教えてくれた。
事前に伝えたのだから、母が本当に彼に咬まれるのが厭だったら、対策の立てようはあったはずだ。
父に相談しても良いし、街から一時的に逃げてしまうことだって、できたはずなのだ。
けれども母は、そのどちらもしなかった。
飢えているんでしょ?かわいそうじゃない――
どうするの?って訊いたぼくに、母はそうこたえてくれた。
優しい母らしいな・・・と、ぼくはおもった。
声は虚ろだったけど・・・そこはぼくが心配することじゃない。
母はあの瞬間、自分の息子の悪友の”女”になることを自ら択んだのだ。
学校で会った彼は、「きょう、お前ん家(ち)行くから」と、ぼくにひっそりと耳打ちした。
いつも家(うち)に遊びに来るときと同じ言い草だった。
ただ、いつもと違って、「お前はちょっとだけ遅れて来い」と、つけ加えた。
家に帰ると、リビングの空気が明らかにおかしかった。
思わず股間を疼かせながら、ぼくはリビングの扉を開いた。
あお向けに倒れた母に彼が馬乗りになって、雄々しく逞しく、抑えつけていた。
飢えた唇を母の足許に吸いつけて、
吸い取った血潮を頬ぺたに勢いよくしぶかせて、
肌色のストッキングを咬み破りながら血を吸い取っていた。
母は観念したように目を瞑り、なりゆきに任せているようだった。
キュウキュウ・・・チュウチュウ・・・というリズミカルな吸血の音が、
静かになった母のうえに覆いかぶさっていた。
父が気の毒だと、とっさに思った。
けれどもその思いは、彼の欲求を遂げさせまいと僕に決心させるには至らなかった。
ぼくに一度ならず突き刺さった彼の牙の記憶が、ぼくから理性を奪っていた。
吸血鬼を受け容れたこの街では、彼らに人の生き血をあてがうことが善良な市民の務めなのだと、
ぼくの新しい理性がぼくに囁きかけていた。
新しい理性によれば、いま母が許していることは崇高な行いであり、
彼女が数十年かけて熟成した最良の美酒で客人をもてなす行為だった。
母は自らの血を誇りながら、彼に飲ませていった。
彼も母の血にじゅうぶんな敬意を払いながら、飲み耽っていった。
そこには呼吸のぴったりと合ったふたりの心の動きがあって、
母はせわしない息遣いで肩を弾ませながらも、
みずからの熟れた血潮を楽しませる行為に熱中しつづけていた。
彼が母の首すじに牙を突き立て熱烈に咬み入れると、
母もそれに応えるように、ニッと笑った。
もぐり込んだ牙の切っ先から、微かにジュッとしぶいた血潮が、着ていたブラウスの襟首を濡らした。
艶やかな色だ――と、ぼくは感じた。
白い歯が、みずみずしい輝きを帯びていた。
数日前、彼女の娘――妹の柔肌をザクザクと切り裂いた牙が、
いま母の静脈に迫っている。
ぼくの血を、妹の血をもたっぷり味わった舌が、
鮮やかに切り裂いた傷口の周りをうねっている。
母が初めて血を吸われるところを目にすることができてラッキーだと思った。
妹がいっしょにいないのが、残念ですらあった。(彼女はまだ学校に残って部活に熱中しているはず・・・)
父もいまの母のもてなしぶりを見ておくべきだと感じた。(父はまだ会社にいて勤務に専念しているはず・・・)
家族全員の祝福とともに、母の生き血はズルズルと啜り取られるべきなのだ。
ジュルジュル・・・ごくん。
母の血潮で彼の喉がワイルドに鳴った。
いつまでも喉を鳴らしながら、彼は母の生き血をむさぼった。
それは素晴らしい眺めだった。
母は白のブラウスの胸に血を撥ねかせて、
はだけた胸もとから覗くブラジャーを血浸しにしながら、
彼の喉鳴りを聞くともなしに聞いていた。
胸に意図的に伸べられた掌が卑猥にまさぐるのを、かすかに頷きながら許していた。
ぼくはたまりかねて、母のうえに覆いかぶさる彼の腰に取りついて少し浮かせると、
ズボンをずるずると引きずり降ろしてしまった。
パンツを脱がすのは、少し難儀だった。
なにしろ彼の逞しい腰周りを覆う薄いパンツは、
ペニスの兇暴な膨らみで、テントのように張りつめていたからだ。
力まかせにパンツをずり降ろすと、入れ替わりに彼の一物がピンと突き立った。
赤黒くそそり立ったペニスは、蛇の鎌首のように、母のスカートの奥に狙いを定めていた――
スカートの奥に迫った彼のもうひとつの”牙”が、母の陰部にズブリと突き立った。
衣類に隠れて見えない行為が、母が歯ぐきを見せて顔をゆがめたことで、それと伝わった。
ユサ、ユサ、ギシ、ギシ・・・
フローリングの床をかすかに軋ませながら、
彼は母を相手に、しつような上下動をくり返した。
なん度となく息を接ぎながら、それは粛々と続けられた。
父だけもののであった操は、あっけなく汚辱にまみれ、
獣じみた息遣いとともに、他愛なく突き崩されていった。
振り向くと、そこには父がいた。
父は目のやり場に困りながら、微苦笑を浮かべていた。
ドアの向こうからは、妹が半身を乗り出して、こちらを窺っている。
いま母の身に加えられている”儀式”がどんなものなのか、
彼女も身をもって識り尽くしている。
真っ白なハイソックスを帯びたふくらはぎに流れる血が微かに淫らに染まっているのを、ぼくは知っている。
一家にとって重要なこの儀式に、みんなが間に合ったことが嬉しかった。
母も嬉しいらしく、頬に決まり悪げな、けれどもじつに小気味よげな微苦笑を泛べ、
豊かな腰をうねらせながら、自らの堕落ぶり、淫女ぶりを、衆目にさらしていった――
あとがき
吸血鬼の幼馴染に母親を征服されるお話ですが、
母親が彼の求愛から逃げずに受け止めるところとか、
息子が彼のズボンを脱がせて、自分の母を犯す手助けをするところとか、
さいごに家族全員が間に合って、一家の主婦の堕落を祝うところとか、
随所に新機軸を入れてみました。^^
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