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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

狩られた一家

2023年09月12日(Tue) 19:06:52

――公原亘 42歳 サラリーマン の家族構成――

公原まどか 39歳 専業主婦  亘の妻
公原理央  14歳 〇学二年生 亘・まどかの娘
公原鈴江  64歳 専業主婦  亘の母

連れ立って歩く三人の女とは距離を置いて、
三人の男吸血鬼がひっそりと、あとを尾(つ)けてゆく。

「理央ちゃんの白のハイソックス・・・」
そう呟いたのは、肥塚羊司、34歳。いわゆる、「きもおた」の独身中年。
「鈴江さんの黒のストッキング・・・」
そう呟いたのは、円藤静雄、42歳。公原亘の同期で元エリート・サラリーマン。
「まどか殿の肌色のストッキング・・・」
そう呟いたのは、烏鷺長生【うろ・ながお】、61歳。
肥塚・円藤ふたりの血を吸った、生粋の吸血鬼。
3人が3人とも、亘の家族の生き血を狙っていた。

――亘の述懐――

真っ先に三人がかりで血を吸い取られ、失血にあえぐわたしの前で、
まず太っちょの肥塚氏が、娘の理央にむしゃぶりついていきました。
理央は涙も涸れんばかりの顔つきで、憐みを乞うようなまなざしを自分を狙う吸血鬼に投げるのですが、
悲しいかな、それはなんの効果も同情ももたらさなかったようです。
彼女の柔らかいうなじは瞬時に喰い裂かれ、
噴き出る血潮が理央の着ている紺のワンピースを濡らしました。
肥塚氏は好みの年ごろの少女というご馳走を前に、少し焦っているようでした。
わなわなと手を震わせて理央の胸をワンピースのうえからまさぐると、
その手を体の線をなぞるように降ろしていって、こんどはワンピースのすそを引き上げてゆくのです。
「お願いです、やめていただけませんか。
 まだ子供なんですから、娘の名誉まで奪うのは止してください」
わたしの識る肥塚氏はいつもオドオドとしていて、根は素直で純朴な男でした。
けれどもその時の彼は、血の欲求に昂った狂った目つきになっていて、
わたしの訴えは耳に入らないかのように無反応だったのです。
肥塚氏は、理央の太ももに咬みつきました。
手かげんのまったくない咬みかたでした。
咬むまえに、ネチネチと唇を這わされて、あまりの気味悪さに理央はもう一度、悲鳴をあげました。
切なくなったわたしはもういちど、
「わかってください!
 きみが理央を気に入ってくれているのはよくわかりました。
 だから、その理央を悲しませるようなことはしないでもらえませんか?」
きみの気持ちが真面目なものなら、理央を嫁にと考えても良い・・・とまで、わたしはいったのです。
さいごのひと言は、彼の耳にも刺さったようです。
一瞬彼は嬉し気に白い歯を見せました。
けれど、すぐにその歯を理央の太ももに埋めてゆくのです。
もういちど、鋭い叫びがあがりました。
肥塚氏が理央の血をガツガツと食らって、食欲を充たして大人しくなったときにはもう、理央は気絶していました。
理央の履いていた白のハイソックスは、肥塚氏が執着するあまり、真っ赤に染まってしまっていました。
潔癖な理央がこのキモオタ中年と交際を深めて処女を捧げるのは、これよりもう少しあとのことでした。

「ふん、気色の悪いロリコンめ!」
気絶した理央に向かってなおも舌をふるいつけてゆく肥塚氏に、
わたしと勤務先で同期の円藤はそう、毒づきます。
「うちの娘と同じようにあしらいやがって。どこまで変態なんだよ!」
そうはいいながら。
彼もまた、我が家に女の生き血を求めてあがりこんできた輩です。

円藤はさすがに、同じ年頃の娘を持つ親でした。
なのできっと、すこしは理央のために同情してくれたのでしょう。
自分の娘を肥塚氏に狩られたことへの嫉妬も、少なからずあったのかもしれません。
肥塚氏は、ロリコンでした。
円藤の家が肥塚氏の侵入をうけたとき、肥塚氏はその牙をぞんぶんに振るって、
彼のまな娘のブラウスを真っ赤に濡れそぼらせられたにちがいないのです。
けれどもそんなふうに肥塚氏の吸血行為を批難しながらも、
円藤の口許にもすでに、女の血が散っていました。
抑えつけた掌の下には、わたしの母である鈴江が気丈にも腕を突っ張って、その肉薄を拒み続けていたのです。

円藤は、マザコンでした。
自分の母親が吸血鬼に襲われたとき、
よそ行きのブラウスやスカートに血を撥ねかせながら生き血を吸い取られ姿勢を崩してゆく様子を目にして、
それが胸の奥に灼(や)きついてしまったそうです。
どこのお宅にお邪魔しても、その家でもっとも年配のご婦人を襲うことで知られていました。
なので、円藤が母を狙ったのも、当然のことだったのです。
鶴のように細い首すじに、円藤が唇を這わせ、這いまわる唇の端からかすかに覗いた牙が皮膚を冒すのを、
わたしはなぜか、ゾクゾクしながら見届けていました。
血を吸われるものの愉悦を覚え込まされた身体は、同時に血に飢えた身体にもなり果てていて、
人を襲って血を獲るものの快楽が、まるで自分のことのように感じられるようになりかけていたのです。
咬まれた瞬間、母はウッ・・・とひくく呻いて歯を食いしばり、
自分の血がチュウチュウと聞えよがしに音を立てて啜りあげられるのに聞き入る羽目になっていました。
さっき息子であるわたしが散らしたように、
母もまた同じように、ブラウスに生き血をぶちまけながら啜られ続けたのです。

母を「供出」することに、父は当然ながら激しく反対しました。
そして、どうしてもそうせざるを得ないと知ったときにも、妻の仇敵に自分の血は吸わせまいと言いました。
結局父は、吸血鬼どもからもらった睡眠液で、そのあいだじゅう眠りにつくことにしたのでした。

円藤は強欲でした。
母が絶息して静かになると、ふくらはぎに唇を押し当てて、
黒のストッキングのうえからネチネチ、ネチネチと母の脚をなぶり抜くのです。
けれどもわたしには、その行為がたんに母を侮辱するものとは映りませんでした。
円藤の口づかいはどことなく、母親というものを慕っているような感情を帯びていたからです。
たしかに母のストッキングは唾液にまみれ、ふしだらにずり降ろされて皺くちゃになっていくのです。
でも――
彼がわたしの母に抱いている敬意はそこはかとなく感じられ、
わたしは彼が母を蹂躙してゆくのを許容することができたのでした。
脛の下までずり降ろされたストッキングを足首にたるませたまま、
母は女としての愉悦を、全身にしみ込まされて行ったのです。
後に父の許しを得て晴れて円藤との交際を許された母は、
同年代の婦人会の幹部となって、熟女たちの血液を差配する役に就くことになりました。


家内のまどかを襲ったのは、最年長の烏鷺(うろ)氏でした。
烏鷺氏は肥塚氏と円藤の両名を家族もろとも血を吸い尽くした張本人です。
先に襲われた肥塚氏は、円藤の娘をモノにする幸運に恵まれたのですが、
それだけでは飽き足らず、円藤の娘と仲良しであるうちの娘にまで魔手を伸ばしてきたのでした。

三名の吸血鬼のなかでいちばんのヴェテランの相手を仰せつかったまどかは、
恐怖に顔色を白くしながらも気丈に応対していきました。
もともと烏鷺氏はまどかのことを気に入っていました。
いつも「まどか殿」と敬称を着けて呼んでいて、
はた目にはほほ笑ましい関係のはず――でした。
けれども、血を吸う側と吸われる側に別れてしまうと、もうどうにもなりません。
烏鷺氏は、娘を庇ういとまも与えずにあっという間にまどかのことを掴まえると、
うなじにガブリと食いついたのです。
まどかのうまじから、赤い飛沫がサッと撥ねて、薄いピンクのブラウスを帯のように塗りつぶします。
彼女はなにかをいおうとしましたが、それは言葉にならず、
体内の血液を急速に喪い、顔色を色あせさせていったのでした。

安心せよ、生命は奪らぬ。
ただともかくもご婦人がたにはわしらの渇きを充たしていただかねばならんのぢゃ。
先日円藤の一家を襲った後、吸い取ったばかりの血を口許にあやしながら、
烏鷺氏はそうわたしに告げました。
烏鷺氏が家内の生き血を気に入ったのは、はた目にも明らかでした。
家内の体内をめぐる血液は、素晴らしい速さで烏鷺氏の喉の奥へと経口的に移動したのでした。
ほかの2人が各々の獲物の足許にかがみ込んで、
母のストッキングや娘のハイソックスを辱めることに熱中しだすと、
烏鷺氏もまた、家内の足許に舌を這わせ、肌色のストッキングを皺くちゃにしていくのでした。
旨めぇ、うんめぇ・・・なかなかのものぢゃ。
烏鷺氏は随喜の呻きを洩らしながら、ひたすら家内の足許を蹂躙してしまいます。
きちんと脚に通した肌色のストッキングを、ひざ小僧が露出するほど剥ぎ堕としてしまうと、
烏鷺氏はいよいよ家内に対して、男としての本能を発揮してしまうのです。
折り目正しい紺のタイトスカートを後ろから剥ぎあげると、
家内のショーツをむぞうさにむしり取り、気絶寸前の家内を背後から交尾したのです。
「奥さんどうやら、ア〇ルは初めてのようぢゃのお」
烏鷺氏は酔い痴れたものの呂律のまわらぬ口ぶりで満足の意を洩らしながら、
家内の秘められた初体験を根こそぎ奪い取ってしまったのでした。

失血量がいちばん多く、最後に眠りから覚めたまどかはその後、
烏鷺氏が自分の血を非常に気に入ってくれたことに満足し、
3日にあげず烏鷺氏宅を訪問しては、熟れた血潮を提供するようになったのでした。

ガツガツと乱暴にむしり取られた家族の血潮――
けれどもそれは、わたしたち家族をこの街に強く結びつける絆になったのでした。


あとがき
ひとつの家族が老若の区別なく同時に襲われて、血液を吸い取られてゆく――
まあそんな情景を描いたつもりなのですが、どうも本編は座りがよろしくないです。
吸血シーンも、ちょい残酷めかもしれませんね。。
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