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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

社長令嬢が堕ちた夜

2023年11月21日(Tue) 22:35:37

やはりホットコーヒーは、ブラックにかぎる。
オトナのブラック。
自分で淹れたホットコーヒーがくゆらせる湯気の香りを楽しみながら、
穗乃村悧香(ほのむら りか)は、濃いブルーに金の縁取りの入ったコーヒーカップに口をつける。
外出の予定はないのに色濃く刷いた口紅が、金の縁取りを塗りつぶした。
悧香はかすかなため息を洩らしてカップについた口紅を拭うと、
傍らの口紅をもう一度、念入りに刷き直した。

硝子戸がガタンと、風が当たる音にしては不自然な音をたてた。
悧香はその音に振り向くと、腰かけていたソファからそっと腰をあげて、窓辺に立った。
「やっぱり来たんだ」
ひっそりとした微かな声色は幾分の冷笑を含んでいた。
名前のとおり怜悧な令嬢にに育った彼女の口から暖かみのある声が洩れることはふだんあまりなかったのだが、
いまの呟きには幾分のもの柔らかな感情が込められているのが、彼女の母親だったらわかっただろう。
悧香は白い手を伸べて、硝子戸をからからと引き開けた。
「また来たのね、イヤらしい怪人さん」
嫌悪と蔑みをあらわにしながらも、透きとおったその頬には愉快そうな感情も窺うことができた。
本人がそれをどこまで意識しているかは別として。


2年ほど前のこと。
初めて悧香の前に初めて姿を現した怪人は、気の弱い人が見たら即時に気絶するレベルの、おぞましくグロテスクな「なり」をしていた。
胸もとから伸びた透明な吸血管は直径数cmはあり、数m遠方の獲物に巻きついてからめ取ることができた。
勤め帰りのピンクのスーツ姿にツタのように巻きつけられた吸血管は、悧香よりひとり前の犠牲者の血液を留めて、まだ赤黒く半透明に染まっていた。
恐怖に立ちすくむ悧香は声をあげる間もなく、真っ白なブラウスごしに、吸血管の尖った先端をズブリと突き通されてしまった。
皮膚を強引に突き破ってくる異物をどうすることもできないまま、
急速に抜き取られる自分の血液が半透明の管を浸してゆくのを目の当たりにして、
彼女は目を大きく見開き、絶句し、さいごに目をまわしてその場に倒れ臥してしまう。
怪人の擬態は不完全で、性的欲情を覚えるとたちまち解除されてしまうのがつねだったが、
悧香のときも、その例外ではなかった。
醜く痩せこけた老人の実体に戻ると彼は、うつ伏せに倒れたこの若いOLの足許にうずくまると、
ヒルのように爛れた唇を恰好のよいふくらはぎに吸いつけた。
肌色のストッキングを皺くちゃに弄びながら。
劣情にまみれた唇や舌を無骨になすりつけて、悧香の下肢に凌辱を加えたのだった。
そのまま怪人のアジトに連れ込まれた彼女は、連日連夜、その身をめぐるうら若い血潮を、怪人の餌食にされたのだった。

正義のヒーローによって救出されたとき、彼女の理性は半ば崩壊しかけて、言葉を紡ぐことさえ覚束ない有様だった。
人質に取られた娘のために家族から差し入れられた服はことごとくが、擬態を解いた男の唾液に浸されて、
男が特に執着した通勤用のストッキングは、拘束された日数にまさる本数だけ、同じ憂き目をみていた。
この件が表ざたになって彼女は公私の両面で評判を落とし、親たちによって進められていた縁談も破れた。
もっとも縁談が破談となったことについては、悧香はむしろある種の解放感を感じていた。
彼女は勤め先を、自分の父親の経営する会社に変えはしたものの、今までと変わらぬOL生活を享受していたのだった。


彼女が怪人と”再会”したのは、彼が刑期を繰り上げて出獄してすぐのことだった。
人の生き血を求めて徘徊する怪人は、
さいしょは自身を日常的に看護していた看守の家に入り浸っていたのだが、
看守とその妻や娘の血液だけでは足りずに、かつて暴れた街へと舞い戻ってきたのだ。
かつてなん度も襲った「実績」のあるキャバレーのホステスの血を吸い取ると、つぎに向かったのが悧香の住む邸だった。
真っ白なブラウスの胸から毛むくじゃらの胸もとへと直接送り込まれた若い血液に、彼は少なからぬ恋着を抱いていたのである。
そして、彼女が装った生真面目なOLらしいお堅いお勤め用のスーツ姿もまた、けばけばしく刺戟的なホステスのそれと同じくらい、彼の恋着を誘っていた。

ウッソリとうずくまりながら自宅の様子を窺っている怪人をみとめて、悧香はハイヒールの歩みを止める。
その白い首すじに付けられた古傷が破れ、ひとりでに血に濡れてくるのを、悧香は感じた。
あいつだ――すぐにそうわかったけれど、もはや辱められた憎しみは湧き上がってこなかった。
ただ、うなじを伝い落ちた血が勤め帰りのブラウスの襟首を濡らす生温かい感触だけが、彼女の感覚を淫靡に彩った。
これはもう逃れられないな――と彼女は直感して、むしろその直感にある種の安堵さえ覚えていた。

掴まえた獲物に劣情を覚えるたびに、怪人の擬態は解かれてしまい、無力な老人の実体に立ち戻る。
悪の組織がこの怪人を「製造」したときの、致命的欠陥だった。
そして彼が欲情のままに人質の生き血を楽しんでいる最中に、正義のヒーローに付け入るスキを与え、征伐されてしまったのだ。
悧香は男が、強力な怪人の姿ではなく、街にとけ込みやすい実体の姿で現れたことに好感を持った。
そして彼に声をかけると、自宅にあげてしまっていた――
そこには彼にとって美味しい果実になりかねない、47歳の熟妻である彼女の母もいることも知りながら・・・。

出迎えた母親の由香里は蒼白になり、立ちすくんだ。
47歳の人妻の、肌色のストッキングに包まれたふくらはぎに、怪人はあからさまに欲情している。
絶句する母親に、娘はいった。
「ママったらいつも、こいつにひと言言ってやりたいって言ってたじゃないの」
24歳のあたしの、うら若い血潮に、47歳の熟妻であるママの生き血。
悦んでくれたら嬉しいわ――
悧香は心のなかで、ほくそ笑んでいた。



2年まえのこと。
「私――おかしくなっちゃったのかな・・・」
ブラウスを真っ赤に濡らしながら、悧香は呟いていた。
傍らに寄り添う怪人に向けて呟いているようでもあり、
ただうわ言のように独り言をしまだけなのかも知れなかった。
「こんなにいっぱい血を吸われちゃうのが嬉しい・・・なんて。やっばりおかしいわよね?」
ふた言めめは明らかに、怪人に話しかけていた。
貧血に顔は蒼ざめ、紫色になった唇には、蕩けたような笑みが泛んでいた。
怪人は悧香の背中を労るようやなさすりながら、
それでも一方で、彼女の首すじに食い入れた傷口に唇をあてがい、
ごく緩やかな調子で、しかし冷酷なくらい単調な音を漏らしながら、
彼女の血しおをしつように口に含みつづけている。
悧香に気遣いをしているようでなお、
捕らえた獲物から養分を摂取することには、あくまでも貪欲なのだ。
「ありがとう。楽になるわ・・・」
悧香はそれでもほほ笑みを絶やさずに怪人の掌を握りしめて、従順に己のうなじをゆだねつづけた。
眩暈が視界を遮るほどに拡がり、頭をふらつかせながら、
自分の血が啜り取られてゆく喉鳴りを、
しつように擦りつけられて来るかすかな舌なめずりを、
鼓膜で楽しみはじめていた。
男のなまの唇がべっとりとふくらはぎに吸いつけられると、白い歯をみせて咲った。
「おイタさんね・・・私のストッキング、よっぽど気に入ったのね?」
と、イタズラっぽい流し目で、相手を睨んだ。
応えの代わりにその唇が強く圧しつけられて、チクリと鈍い痛みが刺し込まれると、
ストッキングがチリチリとかすかな音をたててはじけた。
ふくらはぎ周りに感じていた緩やかな束縛がじょじょにほぐれてゆくのを、彼女は感じた。
ストッキングを破られる。
これで、なん足めなのだろう?
さいしょは侮辱に感じていたその行為がいまでは、
意志疎通が不器用な怪人なりの、自分に対する愛情表現にさえ感じられてくるのはなぜだろう?
錯覚に過ぎないのだろうか?きっと、そうに違いない。
けれども、しつように圧しつけられてくる唇を、悧香はもはや避けようとはせずに、
薄いナイロン生地の舐め心地を悦ぶように擦りつけられてくる唇に、舌に、
むしろそうされることを誇らしく感じているかのように、すすんで自分の脚をゆだねてしまうのだった。
そして、自分の穿いているストッキングが引き破られて、
脛の途中までずり落ちてしまうのを、面白そうに見届けていった。
囚われの姫は衣装を辱められながら、理性を忘れた堕落の淵へといざなわれていった――

「なぞなぞ。」
と、女はいった。
ブラウスの胸もとには撥ねた血が不規則なまだら模様を作り、
脚には破れたストッキングを片方だけ穿いているという自堕落ななりだったが、
女は気にしていなかった。
「私のブラウス、なん着汚した?」
「7着。」
男の答えは正確だった。
「囚えた日数分以上に愉しむと、度を越えるからな」
ウッソリとした言葉つきだけは変わらなかったが、声色そのものは別人のような色艶を帯びている。
捉えた女がその身にふさわしい品位を確保できるよう、
入浴の機会や化粧の時間も、じゅうぶんに与えられた7日間ではあった。
「きちんと装った女の人を虐めるのが、そんなにお好き?」
女はなおも言葉を重ねる。
はた目には気になる男に愛らしく絡んでいるようにしか見えないほどだった。
怪人は無言でうなずいた。
「どうせあなた、つかまるわ。もしかしたら、死んじゃうかもしれない」
悧香は冷徹に、自分を餌食にした獣の将来を予告する。
「そうだろうな」
怪人の応えは意外に素直だった。
「こういう害毒しかまき散らさないやつは、そうなったほうが良いのだ」
「そんなふうに考えていたのね」
失血による眩暈が、少し明るくなったような気がした。
悧香は怪人にいった。
「でもそうなるまでは――どうぞ私の血を楽しんで頂戴ね」
怪人が征伐されたとき。
与えることが可能な血液を一滴余さず提供した彼女は、口もきけないくらいの状態で保護されていた。


解放されて2年が過ぎて、けれども怪人に対する記憶は摩耗することがなく・・・
だが、悧香は不思議と、自分の血を吸い服を汚した怪人に対して、悪感情を抱かなかった。
ウッソリと蹲る老人の姿をした怪人を見つけると、なんのためらいも抵抗もなく、自宅に誘っていた。

悧香にとっては2年ぶりの再会だったが、母親にとって怪人をじかに視るのは初めてだった。
自分よりも明らかに齢が上の、こんなにもみすぼらしい老人が、よりにもよってうちの悧香を――
「ひと言言ってやりたかったんでしょ」という娘の挑発のままに、由香里は怒りと悔しさとを新たにした。
「どういうつもりで、うちにいらしたのよ!?」
悧香が飛び上がるほど大きな声で、由香里は怪人を罵った。
「娘の将来を台無しにしてくれて、どういうことなのかしら!?」
由香里は本気で、怒っていた。
娘の将来が壊された・・・ということではなく、自分自身の見栄が根こそぎにされたという怨みのほうが大きかった。
破談となった縁談の相手は、母親が自信をもって見つけてきた男だった。
もっとも彼はその後他の女性と結婚したが、かなりの暴君であるということは、この母娘の耳にも入っていたけれど。
自分の見栄を破壊されたことに、変わりは無かったのだ。
凄まじい罵声をふた言、無抵抗な怪人に浴びせると、由香里は大きく息をついた。
ふだん落ち着いた賢夫人として知られた彼女にとって、大きな声をあげることは意外に高いハードルだったのだ。
「ママもう気が済んだわ。お引き取りいただいて」
別人のように声の調子を落とした母親に、悧香はこたえた。
「私の血を差し上げたら帰ってもらうようにするね」
「え・・・?」
娘の意外な答えに、由香里は顔をあげた。
「血液不足なんですって。なんとかしてあげなくちゃ。
 管を豪快にブスリと刺されても良いし・・・口で直接飲んでもらうのも楽しいかも。
 こいつ、私のスーツ姿気に入っているのよ」
悧香は不敵に笑った。
そして、怪人のほうをふり返ると、
「勤め帰りのきちっとした服装、お好きったわよね?」
と、念押しまでしてしまっている。

さいごには母も、堕ちてくれた。
処女喪失の痛みはきつく、気絶してしまうほどだったけれど。
なん度も突っ込まれちゃっているうちに、痛いだけではない行為だとすぐに気づいて。
すこしでも早く痛みに慣れよう・・・快感とやらを味わってしまおう・・・そんなことを考えて。
覆いかぶさってくる怪人の性急な求愛から逃げようとはせずに、
スカートを着けたままの腰の奥に、魔力に満ちた棒状の肉塊を、
なん度も受け容れてしまっていた。
悧香にはふたたび、縁談が進行中だった。
相手の男性とも、なん度となく顔を合わせて、デートを重ねる間柄だった。
彼に対して申し訳ないという想いも、チラとはよぎった。
けれども、圧倒的な力で彼女を圧し伏せる欲情の強さのまえには、
氷のように堅い貞操観念も、あっけなく蕩かされてしまっている。
ごめんなさい、清彦さん。
悧香は、自分の夫となるかも知れない見合い相手に、心のなかでそういった。
けれどもそのあとすぐに、
でも――悪いけどひと足先に体験しちゃうわね。あとはなんとでもなるはずだわ。
という不逞な考えが、彼女の頭を支配していた。
身を擦り寄せてくる暴漢の逞しい胸に圧倒されながら、彼女は股間に溢れる歓びを感じないわけにはいかなかった。

次は、由香里の番だった。
リビングに入る母親をその場で餌食にするのかと思ったが、
降りていった怪人は、ほどなく母を伴って戻ってきた。
母は、怪人を出迎えた時と同じスーツを着ていた。
行儀の良い人で、家のなかでもスーツやワンピースにストッキングを嗜む婦人だったのだ。
同じスーツ ということは。
まだ彼女が暴行を受けていない、なによりの証拠だった。

血を吸い取られて貧血を起こした悧香は、怪人の手で伸べられた布団に横たわっていたが、
その様子を見て母親は少しだけ、安堵したようだった。
娘の気持ちも健康状態も考慮に入れない相手だったら、絶対しないだろう対応だと感じたためだ。
もっとも、タオル一枚かけられただけの娘は着崩れたスリップ一枚の半裸の姿だったから、
部屋に入ってきた由香里は、肌色のストッキングの脚をこわばらせ、立ち尽くした。
娘が処女を奪われたことが、残酷なくらいに明白だった。
嫁入り前の娘の不始末から目をそらしつつも由香里は、
礼儀だけは心得ていらっしゃるようねと呟いた。
悧香は、母の背中を押すべきだとおもった。
そして、この小父さん私の血だけじゃ足りないみたいよ、とそそのかすようにいった。
母親の反応は、意外なくらいにあっけなかった。
「お好きになさいな」
由香里はあきらめたように目を瞑ったのだ。
娘を疵物にされてしまった以上、もはや万事休すと覚ったらしい。
長年守り抜いてきた貞操を汚辱に塗れさせることを、ためらいもなく受け容れてしまっていた。

後ろから羽交い絞めにされながら首すじに牙を突き入れられる母親の姿を、
悧香はドキドキしながら見守る。
尖った牙が母親の白いうなじにもぐり込むと、赤黒い鮮血が鋭く撥ねた。
あ・・・あっ・・・
気丈にも悲鳴をこらえた母の様子が、娘の目にもいじらしく映る。
それでも朱を刷いた薄い唇はかすかに歪み、歯並びのよい前歯を覗かせた。
これがあの娘の感じた痛み――由香里は脳天が痺れる想いで、娘と同じ痛みを体験し始める。
首すじに圧しつけられた怪人の唇のすき間からは、ぬるりとした血の帯がひとすじ、どろりと伝い落ちて、
ブラウスの襟首を、そしてその奥のブラジャーを濡らした。
「もうじきママの誕生日だから・・・私ママに替えのブラウス買ってあげるね」
孝行娘がそう呟くのに頷きながら、由香里はお願いね、というのが精いっぱいだった。
姿勢を崩した由香里は、座布団のうえに膝を突いた。
ひざ小僧を包む肌色のストッキングが、かすかに波打ち、いびつによじれてゆく。
その上から脂ぎった唇が圧しあてられて、ストッキングの引き攣れが深くなった。
母親の着用するストッキングが、自分のそれと同じように淫らにあしらわれ、卑猥な口許を愉しませるのを、悧香は面白そうに見守っていた。

ママったら、案外ウブなのね。
悧香はおもった。
由香里はうろたえながらブラウスを剥ぎ取られ、強引に迫られた口づけにおずおずと応じていった。
ひざを突いて四つん這いになったふくらはぎに唇を這わされて、
ストッキングを皺寄せながら、失礼なことなさらないでください――と相手を制しようとするのを遮って、
「怪人さん、ママの穿いてるストッキングもたっぷり楽しんでね」
と言い添えていた。
「もう・・・あなたったら・・・っ」
由香里は目で娘を咎めたが、態度が言葉を裏切っている。
劣情もあらわな舌舐めずりの前に、評判の賢夫人と評されたこの熟妻は、
ストッキングで装った脚をすすんで差し伸べて、みるみるうちによだれまみれにさせてしまっていた。


「私――おかしくなっちゃったのかな」
2年まえのあのときと同じように、悧香は呟く。
ブラウスは血浸しにされて、生温かく胸もとを染めている。
スリップにまでしみ込んだ血潮のベトベトとした温もりを、悧香はいとおしいと感じた。
指先で首すじの傷をなぞり、あお向けになった目のまえにかざしてみる。
バラ色をした自分の血潮を、綺麗だとおもった。
そのまま指先を自分の口のなかに突っ込んで、自分の血を舐め味わっていた。
錆びたような甘酸っぱい味に、いつにない昂ぶりを感じた。
失血が、彼女のなかに半吸血鬼としての萌芽をもたらしていた。
自分の血を美味しい――とおもった。
だとすると、彼にとっても私の血って美味しいはず。
そして、ママの生き血も楽しんでくれているはず・・・
母娘ながら生き血を味わわれている受難を、悧香は楽しいと感じていた。

傍らの母親も、夢中になってあえいでいた。
顔の半分は、バラ色の血を光らせていた。
念入りに刷いた化粧が見苦しいまだら模様に剝げてしまうほど、
情夫の舌なめずりに惜しげもなく、頬をさらしていた。
破れ堕ちたストッキングを脛の途中までずり降ろされた脚を緩慢にすり足しながら、
血浸しにされたブラウスを大きくはだけ、豊かな乳房を誇らしげに露わにして、
娼婦のように大胆に大股を開いて、そそり立つ怪人の男根を、股間に咥え込んでしまっている。
令夫人と称えられたその身を恥辱にまみれさせても、もはや惜しげもなく、後悔もなく、
ただひたすらに、そそぎ込まれる精液の奔流に夢中になってしまっていた。
あなただけよ、あなただけよ・・・と、あらぬうわ言さえ口走っていた。
激しい精液の奔流が母親の体内に流れ込む有様を、娘はありありと想像していた。
彼女は手を伸ばして、だらりと床に伸びた母親の手を握っていた。
ママ、貞操喪失おめでとう――
娘がそう囁くと、由香里は無言で彼女の手を握り返してきた。

母が長年守り抜いた貞操と引き換えに、懸命になってお手本を披露してくれている。
つぎはもういちど、私の番ね・・・
悧香は口辺に嗤いを滲ませて、スリップ一枚に剥かれた自分に怪人がのしかかってくるのを、受け容れていった。
すぐ傍らで自分の母親が、
悧香さん、いけないわ、まだお嫁入り前じゃないの――と形ばかりの叱責を続けるのを、
薄笑いした頬で受け流しながら――


あとがき
まとまりは良くないのですが。
ここしばらく書き継いでいたモノをあっぷしてみます。
前作の続きです。
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