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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

血を吸われたことを母さんに告白する。

2024年01月25日(Thu) 00:55:53

「ぇ・・・?」
母さんは案の定、ボクから聞いたひと言に、頓狂な声を発した。
「・・・っていうことは、何?キミは吸血鬼にもう、咬まれちゃったっていうの?」
できの良くないボクのことを、母さんはよくそんな目で視る。
そして、そのつぎにおっ被(かぶ)せられる「常識を疑う――」という目つきが、
いつもならもっと、後ろめたい気分につながるはずなのに。
いまのボクが割合平気な心持ちでいられるのは、
吸い残された血液中に混入された毒素のなせるわざなのだろうか?

「やだ・・・あなたがそんなことしたら、母さんまで咬まれちゃうじゃない!いやよそんなのっ!!」
珍しく自分本位に取り乱す母さんのことを、ボクも、妹の由佳も、冷ややかに見守っている。
母さんの反応はますますエスカレートして、ヒステリックになってゆく。
「やだー!どうするのっ!?あなた子どもだからまだ知らないと思うけど――母さん犯されちゃうんだよ!?
 父さんにどんな言い訳すれば良いのよっ!?」
そういえば、たしかにそうだった。
由香里さんはボクに、「セックスの経験のある女子は例外なく犯される」って、確かに教えてくれた。
そうだとすると、ボクから吸血病を「伝染」させられた母さんもまた、犯されちゃうっていうことだ。
後先考えていなかったけど、そのときだけは母さんに、ちょっっぴりだけ済まないと思った。
ウン、そう。「ちょっっぴり」だけだったけどね・・・

なにしろボクは、花嫁の純潔を奪(と)られる覚悟で、由香里さんとの交際を取りつけたんだ。
こんなプラチナチケット――絶対に手放したりなんか、するもんか。

ふと見ると。
母さんの背後に、妹の真奈美が近寄っていった。
そして、うす茶のセーターにこげ茶のスカートを穿いた母さんの後ろで、そっと囁いたのだ。
「母さん――ゴメン。あたしももう、吸われちゃった・・・」
えっ!?
ボクたちふたりは、目を見開いて真奈美を見た。
真奈美は動じなかった。
「ウン、そうなの。咬まれちゃったの。あの公園で――」
ストレートのロングヘアを掻きのけた首すじには、たしかに咬み痕がふたつ、綺麗に並んでいる。
さっき咬まれたばかりなのか、傷口はまだ乾ききっていなくて、紅い血のりがテラテラと光っていた。

相手は・・・だれ・・・?
ボクがそう訊くと、
「たぶん、兄さんの血を吸ったのと同じひと・・・」
といった。
ボクたち家族の血を、複数の吸血鬼が奪い合う。そんなことにはならずに済みそうだ――と、ボクは少しだけホッとした。
それなら問題は簡単だよ――と、そう言いかけて、ボクはその言葉を呑み込んだ。
母さんが半狂乱になって、真奈美に向かって食ってかかったのだ。
「あなたねえっ!どうしたのよ!?なに考えているのよ!?ふたりともっ。吸血鬼に血をあげるなんて、どうなってるのっ!?」
母さんはその場に、うずくまってしまっていた。

まさかここまで母さんが、吸血行為に対して嫌悪感を示すなんて、思ってもいなかった。
お隣の奥さんだって。
父さんの友だちのご夫婦だって。
仲良く吸われているって、母さんそう言ってたよね??
他人のうわさなら気軽にできるけど、自分はヤなの??
そこまで問い詰めるのは酷なのかなって、ボクは思った。
そうしたら――女の子って容赦ないよなって、思わずにはいられなかった。
真奈美がボクの代わりに、言い放ったのだ。
「えー、だって母さん、お隣の奥さんだって飲まれちゃってるんだから、いまノらないと流行に乗り遅れちゃうよ~」

ただいまぁ・・・そのときだった。父さんが戻ってきたのは。
3人が3人とも、救われたような気がして、父さんのほうへと振り向いた。
ところが、父さんの様子は、それどころじゃなかった。
背広のジャケットは無事だったみたいだけど。
ワイシャツの襟首が真っ赤に濡れていた。
「悪い、母さん――お客さん連れてきたんだ。きみの血が欲しいってせがまれちゃって、断り切れなかったんだ・・・」

きゃー。

母さんが叫んだのは、無理もないことだった。

あー。あー。あー・・・
あお向けに組み敷かれた母さんは、こげ茶のハイソックスを履いた脚をバタつかせながら、もう首すじを咬まれちゃっていた。
唇のすき間からこぼれた血のりが床に滴るのを、ボクはしっかりと見届けていた。
その傍らで真奈美が、「あーあー♪」って言いながら、持ってきた雑巾で、床に散った血のりをむぞうさに拭き取っていった。
「母さん、こげ茶のハイソックス素敵だね。あとでたっぷり舐めまわしてもらえると良いね」
真奈美は他人ごとみたいに、のんびりとそんな独り言を洩らしていた。

「父さん・・・いいの・・・?」
さっき得た知識のままに、ボクは父さんに問いかけた。
――セックス経験のある女のひとって、犯されちゃうんだよね?
「そんなことにいちいち、念を押すものじゃない」
父さんは照れ臭そうに、笑った。
「母さんのハイソックスを、昼間から狙っていたらしいんだ。今夜は夜通しかもしれないな・・・」
苦笑しながら父さんは、首すじを濡らす血のりを掌で拭い、自分の口で舐め取っている。
母さんが好んで履いていたこげ茶のハイソックスがチリチリに食い剥かれるのも、想定内のことらしい。

「けどお前、さっき聞いたら冴島さんとこのお嬢さんと付き合うそうじゃないか?
 それは良いんだけど――」
さすがの父さんが言いよどんだ。
「わかってるって」
ボクはいった。
「あのひと――由香里さんのことを初めてヤるとき、ボクに見せてくれるって約束してくれたんだ」
そうだったんだな・・・父さんはむしろ、ほのぼのと笑った。
「父さんだって、母さんが目の前でほかのヤツと姦(や)るところなんて、もちろん初めてなんだからな」
「一緒に見学しても・・・良い・・・?」
というボクに、父さんはおうように笑って応えた。
「ああ、ぜひそうすると良い。創太の未来の花嫁は、初めてを奪(と)られるんだからな。
 もっと刺激的かもしれないぞ」
「う~ん、でも自分の母親が姦(や)られちゃうのも、かなり凹むと思うけどね~」
そんなのんきな会話を交わす親子のまえで。
母さんだけがひとり、大きな声で喚いていた。
「あ、あなたたちっ、ダメ、ダメよ、こんなところ、視・な・い・でっ!♡」
生真面目な母さんがひと晩じゅう弄ばれて、恥を忘れたことまでは――内緒にしておこう。(笑)


あとがき
これまた珍しく、書下ろしです。
お母さんの痴態が、けっこうコミカルになってしまいました。^^

追記
2月4日、ちょっとだけ改筆。
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