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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

出迎え

2005年08月19日(Fri) 06:31:24

昨晩複数の吸血鬼にかわるがわる愛されてきた妻は、きょうも出かけてくるという。
「娼婦してまいりますね」
おっとりとそう告げる妻。
きちんと着こなされたスーツ姿の胸に銀のネックレスが華やかに揺れた。
表には迎えの車まで待っている。
玄関まで送り出すと、車のなかから吸血鬼のひとりが現われた。
面識のない男だった。
「ご主人ですか。初対面ですので、ご挨拶をと」
「それはどうもご丁寧に」
少なくとも表向きは冷ややかな私。
近所の家の窓からいくつもの視線を感じる。
「失礼。すこし血が要りようなのでね」
おもむろに身を寄せてきた彼。不覚にも両肩をつかまれてしまっている。
ちくり・・・と、冷たい牙が侵入するのを感じる。
ちゅちゅう・・・ちゅううう・・・
場所柄もわきまえずに。とつぜんに、血を吸いあげられて。
あぁぁ・・・
ぼうっとかすむ意識の向こうで、彼の唇がにこやかに動いた。
「ありがとう。なかなかの味だ」
目のまえの唇が、私の血で濡れている。
ぬらぬらとした妖しい生気が、私の唇にうわ言を呟かせた。
「血がよく、お似合いですね・・・」
すっかり理性をなくしている私。
「いえいえ」
自分のかけた術にまんまと私がかかってしまったことに満足そうな彼。
「家内の血も、貴方の唇にはよく似合いそうだ」
―――ありがとう。
―――ご主人のご配慮のおかげで、夕べはとても愉しい夜を過ごせました。
―――素晴らしい奥方ですね。毎晩愉しめるお立場が羨ましいですな。

見え透いた社交辞令、だと思いたい。
あるいは、もてあそばれているのか・・・
傍らで妻はしんそこ嬉しそうに笑みをうかべて、そんな私の顔をうかがっている。
なぜかウキウキと、媚びるような上目遣いをして。
きみがそういう表情をするときは、吸血鬼に抱かれてキスを受け入れるときだけだとおもっていたよ・・・

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