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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

落ちる靴下

2006年08月04日(Fri) 13:15:11

「お邪魔します」
嫁のサトミが来たらしい。
治子は読みさしの本をおいて、玄関にむかった。
嫁はいつも、娘と息子を連れてくる。
「ふたりとも仲良く、遊んでいるのよ」
サトミは改まった口調でふたりにそういいつけると。
子供たちは従順に、祖母の書斎へと立ち去っていった。

ほほほ・・・
ふふふ・・・
リビングに響く、ふた色の含み笑い。
嫁は姑の、姑は嫁の脚へと触れてゆき、
お互いのストッキングを片方ずつ、引きおろしてゆく。
はらり・・・はらり・・・
なよやかなナイロンの薄絹が、風にそよいでふわりと床に落ちてゆくのを眺めながら。
ホホ・・・
含み笑いは、いっそう濃さを増してくる。
姑はまだストッキングを脱いでいないほうの脚を、嫁のスカートの奥に差し入れていって、
嫁は心持ち広げた脚を、キュッとつま先立たせて。
きゃっ。お義母さま・・・ったら・・・
低くけだるい声をわななかせながら。
体の奥へと差し入れられる脚のうごきにあわせて、スカートがしどけなくねじれていった。
もう・・・
嫁は口を尖らせながら。
こんどは自分のほうから姑のほうへと身を寄り添わせ、
むしり取るようにしてブラウスを脱ぎ捨てると、
はちきれるほどぴちぴちとした、豊かな胸をむき出しにして、
姑の体にすり寄せる。

見える?
姉が背丈の低い弟を気遣うと。
ウン。よく見えるよ。
弟も熱を含んだ小声でささやき返している。
女らしいカーブを帯びた、白のハイソックスのふくらはぎ。
そのすぐ傍らで、濃紺の半ズボンに黒のハイソックスの脚が爪先立ちをしている。

こんどね。
おもむろに嫁が、口を開いた。
うちの近所に、ご家族連れが越してきたの。
娘さんが、ひとりいて。ミカの同級生なのよ。
ご主人、ちょっといい男で。なによりも、女好きらしいの。
そお。それはまた・・・
好都合な餌食ね。といいかけて。
言葉を呑み込んだ口許に、軽く笑みを滲ませた。

数日後。
嫁はひとりで、やって来た。
急ですけど。これからご一緒しませんか?
え?
姑が読みさしの本を傍らに置くと。
嫁は得意気に、ハンドバックのなかから薄い衣類を取り出した。
「ご主人の」
まっさきにつまみ上げたのは、濃紺の薄手の長靴下。
それを姑のまえ、みせびらかすようにして。
ぱらっ、と、床に、落としてゆく。
鮮やかに浮いた裂け目に、姑は息を呑む。
「お嬢さんの」
こんどは白のハイソックス。
ふくらはぎのあたりには、まだ滲みを帯びた赤黒いシミ。
つまんだ指を放して。お父さんの靴下のうえ、ぱらりと落としてやる。
「奥さんの」
こんどは黒の、ストッキング。
ぴちっと鋭い伝線が、つま先から腰のあたりまで伸びていた。
嫁は濃い含み笑いをたたえたまま、
長い長い薄手のナイロンを。
とぐろを巻いた蛇のように。
ぐるーっと、渦巻かせながら。床に垂らしてゆく。

ウフフ・・・ふふ・・・
人のわるそうな、ふた色の含み笑い。
「ご一緒しましょ」
姑は装いを改めるため、席を立った。

真新しい家のリビングで。
母娘がふたり、がたがたと震えながら抱き合っている。
父親はもう、写真立てのなか。
怯えるふたりを冷ややかに、見守っていた。
「ごめんあそばせ」
凛とひびく、姑の声。
「義母(はは)ですの」
あくまで取り澄ました、嫁の声。
どちらになさいます?
上目遣いをする嫁に。
「お嬢さん、素敵ね」
黒のワンピースのすそからのぞく脛が、淡い黒のストッキングのなかで青白く映えている。
嫁がさっと身を翻して母親に迫ると。
姑は、「いい子ね♪」と、あやすように娘を抱きすくめる。

きゅ、きゅう・・・っ。
ちゅうううう・・・っ。
扉のすき間から洩れてくる、吸血の音。
足を忍ばせてあとを尾けてきた姉弟は。
息をひそめて。見つめ合って。
もう、目を離せない。
そういうように。
ふたり並んで、扉の隙間に顔を押しつけていた。
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