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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

門出

2005年08月11日(Thu) 08:43:48

先週挙式した幼馴染みは翌日、新婚旅行へと旅立っていった。
あすかあさってには戻ってくるだろう。

式を挙げたその夜、村の新婦は忙しい。
婚家で内輪の宴が催され、かいがいしくお酌をしてまわらねばならない。
さすがにウェディングドレスは着替えるが、都会風のぱりっとしたスーツ姿は初々しく知的にみえた。
宴席が果てると・・・
新郎はいくたりかの男性を伴って、裏手の納屋に連れてゆく。
そこでは新婦が、スーツ姿のまま待ち受けていた。
選ばれた男たちはその場で、新婦の処女を頂戴することになるのだ。

村に残る初夜権のなごり。
表向き以上に濃密なこうした関係が、村のつきあいをかえって円滑にしている。
細かなもめごとはすぐに折り合いがついたし、たぶんよその村よりも犯罪はよほど少ないはずだ。
夜になると若後家には男があてがわれ、セックスの合わない夫婦は互いに別の相手を得ていく。そんな風習をもつ奇妙な村。

参会の栄に浴したのは四人。吸血鬼と、三人の幼馴染み。
そのうちの一人に私も含まれていた。
いつもよりは少なめで、こじんまりとしているね、と誰かが呟く。
妻のときはすでに挙式前に吸血鬼に処女を捧げていたのだが、それでもこの儀式は型通り行なわれ、そのなかにはきょうの新郎も、ほかの悪友たちも顔をそろえていた。

友人の妻のことであるのであまりあからさまには書きたくないが、新婦の肌は吸いつくようになめらかで、ピチピチとしていた。
やはり新妻はいいなぁ・・・
私のまえに新婦におおいかぶさったやつは、しんから羨ましそうにそう口走る。
そのあいだ新郎は新婦の振る舞いを見届けなければならないことになっている。
実家に納れられた新婦が、主婦としてのさいしょの務めを怠りなく果たすかどうかを見届けるために。
最近は皆度胸がなくなってきていて、きょうの彼も遠慮させて欲しいと申し出て座を立つことを許された。
隣室に控えている彼に、物音は耳にとどくだろう。
「かえって、キツいんじゃないの?」
最初に新婦をモノにしたやつは、私にそう囁いた。
新郎とはとりわけ仲がよく、友人代表で挨拶をさせられていた。
妻を最初に、という話があったことをとても嬉しがっていて、
「挨拶のときによっぽど、『これから新婦の慶子さんから処女をいただけるのかとおもうと今からワクワクしてしまってたまりません』って言いそうになった・・・」
と、こぼしたものだ。
吸血鬼は最後に新婦を犯した。
私たちに先を譲ったのは、妻たちを真っ先に味わったのがほかならぬ彼だったからだろう。
彼は自信たっぷりに、そして最も激しく新婦を狂わせた。

翌朝。
ふたりとも、目を少し赤くしている。
あのあと夜通し、夫婦の愉しみに耽っていたに違いなかった。
嫉妬しながら新婦を責める夫。
すべてを心得させられた新婦のほうは、「感じたりなんかしてないわよ」と弁解しながら身体を開き、きっと懸命に夫の機嫌を取り結ぼうとしたに違いない。

「じゃあ、行って来るよ」「気をつけてね」
納屋のなかで交歓を遂げたメンバーとありきたりの挨拶を交わすと、奥さんのほうが、
「皆さんにいい思い出を作っていただき、感謝しますね」
注がれる視線に特別な感情がこもっていた。
軽く頭をさげた新婦はすぐに感情を消して席を立つと、夫と腕を組んで玄関に向かう。
立ち去ろうとする新婦を二三歩追いかけて、私は彼女の髪に手をやった。
「ついていましたよ」
さりげない親切・・・だったかどうか。
それは一片の藁くずだった。
「いいえ」
かろうじて顔をそむけた彼女の横顔は、あきらかに頬を染めて動揺していた。
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