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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

勤め帰り

2005年09月16日(Fri) 07:53:00

お願い・・・お願い・・・
どうか殺さないで・・・
固く抱きすくめた腕のなか、ゆるくあえぎ身もだえするきみ。
そんなきみの想いが、牙を通してありありと伝わってくる。
小柄な身体でも、全身でもたれかかってくるとさすがに支えかねて、
傍らのベンチにもたれさせると、うなじにつけた傷口をふたたびつよく吸いつづけた。
あぁ・・・
絶望に似た感情が、女の全身を走った。
恐怖の情念、波立つプライド・・・
そうしたいっさいを秘めた血潮がめまぐるしい勢いで喉に満ちてくる。

よしよし・・・
あやすように、なだめるように。
女の肩を抱き締めてやる。
それでも恐怖は去らないらしく、抱きすくめた細い肩は小刻みに震えつづけた。
―――処女じゃ、ないようだね。
―――いいじゃないの。そんなこと・・・
無言の裡のやり取り。急に彼女は気づいたらしい。吸血鬼は処女の生き血を好むのだと。
―――美味しくないのなら、もう吸うのをよして。
―――つれないねぇ。でも栄養源にはなるからね。
―――や、やめて!
怯えるきみがいとおしくなって、きつくきつく抱きすくめながら、
―――お嫁入りまえに、ずいぶん経験してるんだ。いけないお嬢さんだね。
あくまでいたぶることをやめない、いけない私―――

人気のない、夜更けの公園。
勤め帰りのOLを襲って血を吸い、優しく介抱しつつ、いたぶり抜く。
こちらにとっては至福のひと時も、きみにとっては一刻もはやく過ぎ去って欲しい屈辱の瞬間に違いない。
ふと落とした目線に、ピンクのタイトスカートからのぞくふくらはぎが触れた。
きちんとそろえて冷たく取り澄ました、ハイヒールの脚。
―――お近づきのしるしに、頂戴したいな・・・
なにを?と訝るきみの足許にかがみ込むと音もなく唇を忍ばせて、ストッキングの上から吸いつける。
街灯の光を受けて妖しい光沢を滲ませるナイロンの皮膜がいちだんとなまめかしくて、つい狂おしく熱っぽく、べろでいたぶってしまった。
荒々しいいたぶりにストッキングをくしゃくしゃにされてゆきながら、目を瞑り顔をそむけるきみ。
いたぶられるままにいく筋も伝線を走らせてゆく眺めが、たまらなく心地よい。

さぁ、自分で鍵を開けるんだよ・・・
きみの部屋のまえ。
冷たくがらんどうなマンションの廊下にふたり佇んで。
きみはもう、知っている。
一歩私を入れてしまえば、招待なしにいつでも訪れることができるということを。
ためらいながら。
それでも、バラ色に彩られたブラウス姿をもうそれ以上外気に触れさせることに耐えられなくなって、きみはキーを差し込んだ。

カチャリ、と音を忍ばせて中から鍵をかけて。
きみは放心状態のままハイヒールを脱ぎ捨てる。
すべて諦めきったきみの虚ろな視線に誘われるように、幾度目か抱き寄せ、きつく抱き締める。
―――殺さないの・・・?
半ば自棄になったきみ。
神経をぴりぴりと逆立てているのがブラウスの向こう側から伝わってくる。
―――もう、いいんだよ・・・
言葉にならない想いが通じるようになったきみ。
安堵がきみを開放し、きみの意識を喪わせる。
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