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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

彼氏のお母さん♪

2006年09月14日(Thu) 06:59:32

「彼氏のお母さん♪」
みちるがウキウキと引き合わせたのは、とてもきれいなおばさまだった。
みちるは、喪服。
私たちも、喪服。
申し合わせたように黒一色の衣裳のなか。
彼氏のお母さんが身に着ける、ワインカラーのブラウスはとても華やいでみえた。
「あら♪わたしも喪服であわせたほうがよかったかしら?」
みちるとはもう、ウマが合っているらしい。
明るい性格のお母さんみたいだ。
「でも靴下は・・・ほら。ちゃんと黒を履いてきましたよ」
えび茶色のロングスカートをたくし上げると、
ぴかぴかの黒のエナメルのハイヒールに、薄墨色のナイロンがほどよく映えて、
キリッとした脚線美を際だたせている。
誰言うともなしに。
美味しそう~・・・
羨ましそうな声色を、くすぐったそうに受け止めて。
じゃあ、召し上がれ。
奥様はじぶんのほうから、傍らのベッドにゆったりと身を沈ませる。

「ね。ね。うまくしつけたね。どうやったのさ?」
みちるを裏に呼んで、裕美が訊く。
「ううん。なんにも・・・」
みちるはかわいく眼をくりくりさせちゃって。
「ちょっぴり血を吸っただけ・・・それでもう、お母さんノリノリになっちゃった♪」
もともと、ノリノリな人みたい。
仲良くなれそうね♪
みんな、口をそろえて歓迎する。

歌枝子は、首筋を。
華代は、胸を。
そして裕美はやっぱり、脚を。
歌枝子が
「失礼しますね」
と、熟練した看護婦が注射を打つみたいにさりげなく牙を滲ませると、
華代はワインカラーのブラウスをくしゃくしゃにしながら胸もとをあらわにしてゆき、
わたしはわたしで、息を詰めて見守るみちるの前、黒のストッキングの足許に唇を吸いつけてゆく。
さすが・・・ブランドものね。感触がちがうわ。
わたしの声が聞えたのか。
奥様は得意気な笑みを滲ませていた。

彼氏とね、別れ話・・・してきたの。
しょんぼりと佇んで涙ぐむみちるを皆で慰めたのが、つい先週のこと。
べつの世界に行っちゃったから・・・
本当はもっと、あなたと暖まっていたかった。
そんなひと言が、効いたのか。
踵を返して、彼氏はふたたび戻ってきてくれた。
肌が蒼くなっても、きみの優しさは変わらないね。
本当は飢えていたのに。
彼氏の顔色を気遣いながら、血を吸い取っていったみちる。
「ゴメンね。痛い・・・?」
「平気だよ。(*^^)v美味しいかい?」
「うん。とっても♪」
ほんのさりげないしぐさから、相手の気遣いまで読み取ってしまうほどの絆は、
冥界とこの世との隔たりすらも越える力を持っているのだろうか?

「母さん、母さん。みちるのことなんだけど・・・」
実家に連れ帰ったみちるの前。
死んだとばかり思っていたらね。ほら、戻ってきてくれたんだ。
ただし、吸血鬼になって・・・ね。
結婚しても、いいだろう?
ちょっと待ってよ!いくらなんでも・・・
いいかけたみちるに注がれたのは、意外なくらい親しみの込められた視線。
あらぁ。吸血鬼なの?昔映画でよく見たわ。
本当に、血を吸えるの?
じゃあ母さんにも、やってみて。
きちんと脚をそろえて真向かいに立って。
うなじをちょっと仰のけて、眼を瞑る。
「母さん、いいの・・・?」
気遣う息子の声もどこ吹く風で。
「あら。意外に痛くないのね。手加減したでしょ?お気に召したらもう少し、召し上がれ♪」
などと、あっけらかんとのたまわって。
息子一人じゃ、負担でしょうから・・・たまには私の血も吸ってくださいね。
いつか後ろに回った息子が肩を抱きとめてやるほどに、身を支えきれなくなっていた。

「肝心の彼氏は、どこにいるの?」
ワインカラーのブラウスに血をしたたらせながら。
華代が目をむいた。
「そうそう。紹介、まだよね?」
二の腕、わき腹と、甘えるように咬みついていった歌枝子も
「早く紹介してよ。・・・男の血も吸いたい」
ところがみちるったら。
だ~めっ。
彼氏はあたし一人のものよ♪
でもすぐそこで。
お母さんが血を吸われているの覗いて、さっきから昂ぶっちゃっているみたいだけど。^^;


あとがき
さやかさんのリクエストにお応えしまして。
哀れな彼氏?を登場させてみました。
・・・って、ほとんどお母さんの一人舞台ですが。^^;
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