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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

受付窓口の怪

2006年10月30日(Mon) 15:34:15

ねぇねぇ。
受付、出てごらん。愉しいよっ。
女の子たちはひそひそと、耳打ちしあっている。
人目を気にしながらの情報伝達は、恐ろしいほど速かった。
コツコツ・・・カッカッ・・・
ヒールの音を響かせて。
あちらのオフィス、こちらの部署。
どういうふうに順番が決まるものなのか。
正確な間隔をおきながら、順序よく入れ替わり現われる、女たち。
女たちが向かうのは、正面ロビーの受付カウンター。

あっ、代わる?
同期の子がきたのを認めて、さえ子が軽く、手を振った。
済んだぁ?
ウン・・・
応えるさえ子の足許は。
ぬらあっ・・・とした透明なものを、ストッキングのうえからねばりつけられている。
廊下を行き交うOLたちは、互いの足許を盗み見合って。
あの子も、つけられたわね。やらしいわ。
あのひとまで、あんなに濡らされちゃって。うふふ。
内心の声は、男性社員の耳にまでは届かない。

きょうはずいぶん交代が早いんだな。
なんの疑念もなく声をかけて通り過ぎてゆく次長を見送ると。
しーっ。
足許から、トーンを落とした声がする。
うずくまる男の姿は通りすぎるものの目には触れないらしく、
なぜかカウンターに立ったものにだけ、目に見える。
いいの?
うん。
じゃ~、いただきまぁす。
声の主は、蛭田。
肌色のストッキングに包まれたオフィス・レディの足許に、
ぬらりとべろを這わせていった。

きみは、11人目。惜しかったね。
でも、たっぷり舐めてあげるからね。泣いちゃ~ダメだよ。^^
じゃあ次のひと、呼んできて♪
おっ、お洒落だね。きょうは黒だね。^^
キミのだけは特別に、うんとイタズラしちゃおうかな?
おどけた口ぶりにきゃっ、きゃとはしゃぎながら。
訪問者の少ない時間帯。
女たちは脚を迷わせながらも、舐めさせてしまっている。

さっきの子は、光沢てかてかのストッキング。
そのつぎは、ダイヤ柄の黒のハイソックス。
そのまたつぎは、オーソドックスなベージュ色。
めまぐるしく交代する脚たちに、
次から次へと唇を吸いつけて。
たま~に、そう。五人ごとに。
ちゅちゅ・・・っとよけいに、しつっこく吸って。
生き血を飲ませてもらったりしている。
たまにはいいこと、なくっちゃね♪
能天気な男は、後ろにたった黒のストッキングに気がつかない。

つぎのコは?
おや、珍しい。しっとりとした濃紺だ。
きみ。なかなか、オトナだね。セクシーじゃん。
思い切りなすりつけた唇に、きりっとした足許がしんなりと応えて。
応えるとみせて、サッと受け流してゆく。
逃げかたもなかなか・・・人をそそるようなことをするんだね。
なおもにじり寄って、ひざから下を抱きすくめようとして顔をあげて。
あげた顔が、凍りついていた。
蛭田くん、ね。
こんなとき、女史の浮かべる微笑ほど。
世にも恐ろしいものはない。
とっさにあとずさろうとすると。
背後に回った脚に、軽く蹴られた。
「どうして、招んでくれないの?わざわざ黒に、穿き替えてきたんだけど。」
奈津子がいつも以上に意地悪そうな笑みを、にたーりと滲ませてくる。
さ。役員室にいらっしゃい。
きょうのお仕事はもういいんでしょ?
こんなところで遊んでいるくらいだから。。。
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