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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

吸血の音洩れる夜

2006年12月10日(Sun) 05:56:25

かすかな物音に、ふと目を覚ました。
枕元の時計を取り上げると、午前五時。
きょうは日曜日だから・・・まだどこの家も、真っ暗のはず。
わたしの寝む部屋に、妻の姿はない。

夜更けだというのにこぎれいに着飾っていた妻は。
少女のように透きとおった笑みをたたえながら。
  お伺いして、まわされてしまうのと。
  お招きして、ひとりのかたのお相手をするのと。
  どちらがわたくしにお似合いだと思いますか?
さりげなく、そんな恐ろしいことを口にする。
遠慮はいらないから・・・ぜひお招びなさい。
優しく取り繕ったわたしの声・・・なぜか妖しい震えを帯びていた。

妻の寝床をまさぐると、冷たい。
血の気の失せた肌の冷たさを想像すると。
思わず布団を、はねのけていた。
息子がトイレに、起きたようだ。
足音がさりげなくリビングを避けて通るのが、
妻の居場所を示している。
ことさら忍ばせた足音と、入れ違いに。
思わずたたずんだ、リビングの前。

手に取ろうと思えば、ドアノブは目のまえ。
覗き見しようと思えば、そのドアも細めに開きかかっている。
息子も、ちょっと覗いて行ったのだろうか?
床の一部が、ちょうど足を置く面積だけ・・・かすかな温もりを持っている。
けれども・・・今さら覗き見などしなくても。
なかでくり広げられている”惨劇”は・・・
すべて想像のなかにある。
ちゅ・・・ちゅう・・・っ
押し殺すような、吸血の音を忍ばせて。
妻はまだ、身に着けた衣裳に不似合いな・・・奴隷の身に堕ちているようだ。

ちゅうっ・・・きゅうううッ・・・
あるときは、緩やかに。
おもむろに、つよく。
すすり泣くように響く吸血の音は、
そのまま妻の素肌を吸われる想像にたどり着いてゆく。
いかにもの慣れた、わが家の饗応とはいえど・・・
夜ごと妻の生き血を啜り取られるなど、決して気味の良いものではない。
生命の源泉をありったけ引き抜かれ、吸い上げられてしまうのだから。

吸い取られてゆく熱い血潮とともに、素肌の奥から抜き去られるものは・・・
妻の意思、心のたけ。理性、そして貞潔―――。
あぁ。
ときおり、ため息に似た呻きを洩らしながら。
夢見るような陶酔の際をさ迷っている。
揺れる意識のかなたに拉し去られた理性を、裸に剥かれて。
ただひたすら・・・捧げることに至福をかんじつづけている。

深紅のブラウスを、血潮に染めて。
黒のタイトスカートを、惜しげもなくたくし上げて。
つつっ・・・と伸びた細い裂け目を、ふしだらに弛んだストッキングに滲ませて。
その裂け目の彼方。
護るべき貞潔を・・・焔のような熱情に貫かれたまま。
夜明けるまで・・・至福の想いを抱きつづける妻・・・
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