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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

禁忌を解いた家

2006年12月23日(Sat) 08:28:31

月に一度の、無礼講の夜。
暗くなってから、夜が明けるまでは。
夫は夫であることを。妻は妻であることを。
互いに忘れあって。
夫たちは、女を求めて家を空け、
妻たちは着飾って、情夫を迎え入れる。
禁じられた家々は、「避」の一文字を掲げて早くに寝静まるのだが。
許された家々では。
夫も妻も、いそいそと。
その夜の用意に、余念がない。
夫どうしで、ひそひそとわたりをつけ合ったり。
妻どうし、その晩の服を自慢し合ったり。
だれひとり、おおっぴらに夜のことを話題にしないはずなのに。
猥雑な空気は、村全体にくゆらいでいる。

女房を、犯してやってくれないか。
こんや。うちも「避」の文字を取ってしまうから。
幼馴染みの古宮から、そんな電話がかかってきた。
思わずごくりと生唾を呑んだのは。
初めての夜を征服できる特権を手にした得意もあるのだが。
なによりも、古宮の女房の美貌に、まえから目をつけていたからだ。
小声で言葉を交わしあい、受話器を置くと。
いつになくウキウキと着飾った妻が、けげんそうにこちらをうかがっている。

「出かけてくる」
みじかく告げてコートをはおる夫たちを。
咎める妻はいない。
「じゃぁ・・・ね」
妻たちもまた意味深な含み笑いで、夫たちを見送るのだ。
さて・・・と。
邪魔な夫は、出かけてしまった。
こんやのこの家の主人は、わたし。
きちんと掃除の行き届いたわが家を、残された妻は満足げに見渡した。

足が三本になっているような気がする。
源氏の君は、古宮の女房に夜這いわたるため。
夕闇迫る道を、急いでいる。
どんなふうに、迫ろうか。
どうやって、押し倒そうか。
きっと、着飾っているに違いない。
野々原は、スカートが好きだから。って。
古宮はきっと、自分の妻にオレの好みを伝えているはずだ。
先月はいっしょに歩いて、幼馴染みがみているまえで、
もらったばかりの新妻のスカートのなかを、かわるがわる侵していったんだったっけ。
あらぬ妄想に我を忘れて、
砂利道でなんども、こけそうになった。

玄関に訪いをいれると。
シン、としていて応えはない。
けれども毎月出ている「避」の文字は。
今夜にかぎって、はずされている。
まだ誰も。古宮家の変化には、気づいていないはず。
ぎぃ・・・
手で押すと。木の扉は拍子抜けするほどかんたんに開いた。
玄関に通じる、飛び石になった石畳を、ひとつひとつ踏み越えて。
こつ、こつ。
ドアを軽く、ふたつ叩いた。
やはり、返事はない。
けれどもドアノブは、夜の来訪者を予期するように・・・施錠されていなかった。
用心深い古宮家では、考えられないことだった。

勝手を知った、家のなか。
禁じられた家、とはいっても。
悪友同士、しばしば招き招かれている。
ひやりとした、廊下のフローリング。
奥さんの寝室は、二階だときいていた。
ぎし・・・ぎし・・・ぎし・・・
一段踏みしめるたびに。
古びた階段は、耳ざわりにきしむ。
きき慣れているはずなのに、ことさら耳につくのは。
人がほとんど、いないせいだろうか?
二階は雨戸を閉め切っていて、手探りするほど暗かった。
外から洩れる夕方の薄明かりを頼りにして。
たどりついたのは、廊下のいちばん奥の部屋。
ひと呼吸、息を整えると。
こん、こん。
ノックした。
なかで身じろぎする人の気配がしたのだが。
気配は恥じらうように、反応をかえさない。
ためらいなく、ギィ・・・とドアを開けていた。

暗がりのなか、女が正座していた。
ドアの開く音にこちらをふり向いて、ハッと目線をそそいできた。
侵入者から身を護るように、両手で胸を隠すようにして。
古宮の妻は、黒一色の喪服姿をひるませる。
喪服とは・・・そそるような身づくろいを。
呑み込んだ生唾が、ギラギラしたものを含んでいた。
飛びのこうとする華奢な身体を、
ぐいっと力づくで、捕まえた。
けんめいにいやいやをするように、
激しくかぶりを振るのを、無理やり畳に押し倒して。
踏みにじるように、思うさま。
ぎゅうぎゅうと抑えつけながら、唇を吸っていた。
まさぐる手を、ブラウスの釦を飛ばして、レエスのスリップの内側に這いこませると。
女はあきらめたように、身体の力を抜いている。
いただくぜ。
耳もとに口を寄せて、悪ぶった言葉をそそぎ込むようにすると。
女ははじめて、熱く悩ましい息を洩らしている。

いや。灯りはつけないで。
女は初めて、言葉で抗ったけれど。
おまえのすべてを、見せてもらう。
男は容赦なく部屋を明るくして。
鮮やかに口紅を刷いた薄い唇を、荒々しく吸った。
むさぼるように。踏みにじるように。
激しく求められた女は、いつか本能のままに。
男の背中に、腕をまわしてしまっている。
嫋々としたかいなを、白い蛇のように巻きつけて。

引き裂かれた、黒い衣裳のなか。
曝された肌が、真珠色の輝きを放っている。
男はしつようなうごめきを女の肌に埋めるようにして。
スカートを着けたまま、女を犯しつづけている。
われにかえると、
隣の部屋も。向かいの部屋も。
悩ましい声で、満ちている。

お隣は、兄嫁。
向かいは、姑。
言葉足らずなみじかい説明に、それと察した。
初めて解き放たれた女たちは。
それぞれに、淫らな夢をむさぼっている。
娘が、いたはずだな?
飢えた男は、訊いている。
女の整った容貌には、まだ一片の良識をのこされていた。
「絢香は・・・堪忍して」
薄い唇に無念さを滲ませながら、聞き入れられるはずのない訴えを口にしている。
ピシッ!と、平手打ちが白い頬を横に飛ばした。
「どこの部屋だ?」
早くしろ。まだ処女かもしれない。
獣の求めに、女はおずおずと立ち上がって。
引き裂かれたブラウスがだらりとひざまで垂れ下がるのに、
いまさらのように怯えを浮かべる。

中二階、というのだろうか。
勝手の知った・・・といっても。
さすがに娘の部屋までは、覗いたことがなかった。
この春、中学にあがったばかりのはずだ。
年頃になって、へんに恥じらうようになったものか。
人前に出ることが、たえてなかった。
案内させた母親の背を、後ろから小突きながら。
支度は、すんでいるんだろうな?
われながら、脅しあげるような。すさんだ声だったが。
女は意外にも、こくりと首を縦に振った。

「絢香さん、アヤちゃん。野々原のおじさまよ。あけて」
優しい母親にもどった声に、なかにいた部屋の主は思いのほか素直にドアを開いた。
薄闇のなか。
キリッと着こなしたセーラー服の、まっ白な胸リボンが眩しく浮き上がる。
素早く手首を握り締めると。
「わかっているな?」
さっき母親にしたように。
耳もとを、箭のように鋭い声で射抜いている。
娘はおずおずと、頷いた。
まだためらっている母親を、かえりみて。
  ここで待っていろ。
  おれの女房はいまごろ、おまえの亭主やほかの仲間に輪姦されているんだ。
  おまえも下におりたら、おなじ目に遭うはずだ。
  それが嫌なら・・・
  ここで母親らしく、娘が生娘じゃなくなるのを見届けるんだな。
部屋には一歩も入るな、と告げると。
女は抗う気力もなかったらしい。
そのまま立ちすくんで、娘を目で促しただけだった。
絢香と呼ばれた少女は、ストッキングを引き破られたママの足許に目をやると。
すべてをさっしたように顔を仰のけ、目を瞑る。
恋人のキスを受け止めるような、初々しいそぶりだった。
抱きすくめた腕のなか。
生気に満ちた香りに、つい唇をもみくちゃにしてしまっている。
ちょうど母親に、そうしたように。
あの女の夫は。この少女の父親は。
いまごろ、どうしているだろう?
ふと、そんなことが胸をかすめたけれど。
もうどうにもならなくなって。
少女を畳に、押し倒している。
ごわごわと硬い制服の下。
母に劣らぬ柔肌が、しっとりと息づいていた。

ぼとぼと・・・っ。
かすかに散った、処女のしるしを。
そのまま制服のスカートにほとばせてやった。
重たい濃紺のプリーツスカートをどろりとさせたもののいくらかは、
己のそそいだ白い粘液が混じっていただろう。
涙を含んだ頬を、抱きかかえるようにして。
いまいちど、貫いてやると。
初めての痛みに引きつった身体は、いっそう縮こまるようにして、男にしがみついてきた。
この道の愉しみに目ざめるのに、幾晩かかることだろう。
さぁ・・・
狂った嵐は、とどまるところを知らない。
ぼう然と佇む母親を、乱れた着衣もそのままに。
娘の傍らにまろばしていた。
廊下の更に彼方から注がれる、狂いを秘めた視線など、露ほども気づくことなく。

昨晩まで「禁じられた家」の主人だったその男は。
そそりたつ己の棹を、ほかの女の粘液で彩ることはなかった。
ひとの所有物を抱くよりも。
みずからの妻や娘を。そして母親までも。
一方的に、犯される。
そんな背徳に昂ぶってしまう自分を意識したのは。
はるかに少年のころからだった。
色気づいてから、ほかの悪友どもと。
顔見知りの人妻や同級生の寝間を襲うようになったけれど。
妻や娘を披露してくれる夫や父になりたい。
なおさらそんな想いに、囚われて。
父親のいなくなったあと。
いちばん物堅そうな母親に。
喪を破る背徳を、すすめたら。
意外な応えが、かえってきた。
お父さんも、したがっていたのよ。
さいしょの夜は、忘れないように・・・あのひとのお写真を枕元に置こうかしら。
いいですね・・・?
嫁を見やる目には、容赦のない輝きがこめられていた

狂った親友に、力づくで征服されていった妻。
父ほどの齢の中年男を相手に、むしろ従順に唇をゆだねていった娘。
嫁とそろいの喪服姿を、くすぐったそうに含み笑いしながら、
禿げあがったはす向かいの親父にあてがった母。
女たちはつぎつぎと、淑女を喪ってゆく。
ゾクゾク、ゾクゾク・・・どれほど胸を、震わせたことだろう?
明日は、おなじ職場で顔をあわせることになるのだが。
夜の営みのことなど、おくびにもださない。
その掟を、どこまで守ることができるのだろう?

気がつくと。
わななく腕のなかに、妻がいた。
傍らの娘は、唇をキュッと引き結んで。
嵐のように襲いかかる凌辱に耐えている。
獲物を取り替えろ。
男が、命令をした。
妻のうえを、譲った。
娘のほうへと、促された。
えっ・・・
禁じられた夜、が。開かれた夜になる瞬間。
夫は、夫であることを。
妻は、妻であることを。
闇に呑まれて、すべてを忘れることのできる夜・・・
組み敷いたセーラー服に、むかし妹の処女を散らした記憶がよみがえる。

あとがき
いつものことですが。(苦笑)
むちゃくちゃなお話に、なっちゃいました。^^;
話が勝手に進んでいって、タイトルまで変えるハメになりました。A^^;
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コメント

ちゃんと・・・
柏木様 ちゃんとお休みになってらっしゃいますか?(笑)
まるで、夢の続きのような一軒の家の物語。
陵辱なのか、儀式なのか・・・。
差し出される処女性よりも、身を任せたあとの女の価値が高いとでもいうようなお話に、ドキドキしてしまいました。
確かに・・・本当の価値は・・・ですけれどね♪
by 祥子
URL
2006-12-23 土 09:04:41
編集
>祥子さま
はぁ~い、しっかり寝不足です。(^^ゞ
午後になって、お昼寝しました。(笑)
この奥さん、存在感あるでしょ?ちょっと気に入りなんです。^^
by 柏木
URL
2006-12-23 土 18:15:09
編集

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