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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

吸血マイクロバス

2006年12月23日(Sat) 18:12:25

田舎のがたがた道をゆくのは、一台のマイクロバス。
お客は十一人。男が三人、あとは女。
男のうちのひとりは、黒マントに身を包んでいて。
いちばん頭だった立場らしい。
時おり運転手に合図をして、車を停めさせて。
一行の女の誰かれに、囁きかけるように。身を近寄せて。
うなじをちゅう・・・っと、吸ってゆく。
吸われた女たちは、みないちように。
夢に焦がれたように、目線を酔わせ。
感謝と尊敬に満ちた視線で、男を振り仰いでいて。
吸われたあとに這わせた指先には、バラ色のしずくを光らせている。
夫のまえ、息子のまえで、
男がスカートの奥に手を忍ばせてくるのも厭わずに。
肌色のストッキングをぴりっと破り取られてしまうのも、甘い微苦笑に包んでしまっている。

年嵩のほうの男は、秀麗な顔だちに白髪を滲ませる年頃だったけれど。
その妻はまだじゅうぶんに若さをとどめ、
ストッキングに走る伝線に、小娘のように恥じらっている。
母親のしぐさを、我を忘れて見守る息子は、まだ学生らしくって。
不埒な手が、姉に、妹に、叔母に、そのうえ彼じしんの婚約者に、伸ばされていって。
つぎつぎとうなじを吸われ、ストッキングを破られてゆく情景を、
息を詰めて、見守っている。

今夜は、Aホテルだな。
晩餐に招くのは、三人。
夕べのふたりは、すぐに寝んで。
外れくじの三人は、明晩の用意をするように。
夜伽をするのは、そう・・・くじ引きだな。
人のわるい笑みを洩らして、それとなく息子のほうを窺うと。
息子はおずおずと。
瑛子さんが処女を喪った夜を・・・思い出してみたいのですが。
吸血鬼が悦びそうなことを、口にしている。
よかろう。たっぷりと、思い出させてあげよう。
今宵の夜伽は、おまえの許婚。決めたぞ。
よかったわね。
ことさらとりつくろった、母の声。
息子の未来の花嫁を見つめる一同の目は、軽い嫉妬に包まれている。

女たちはかわるがわる、柔肌をあてがって、
吸血鬼の飢えを充たしながら。
しもべとなった男たちは、愉しい戸惑いに我を忘れながら。
どこまで行くのか。
いつまで続くのか。
マイクロバスは今日も、
人里はなれた砂利道を行く。
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コメント

以前にも
マイクロバスでの道行きのお話があったような・・・
それはこんな風に親しみのある近親のお話ではなかったような気がします。
この村ではときどきこんな風にバスツアーが開催されるんでしょうか?
特別の旅行代理店があったりして?
by 祥子
URL
2006-12-24 日 10:08:35
編集
>祥子さま
いらっしゃいませ♪
愉しいバスツアーのお話、ありましたねぇ。^^
「バスの中」(9月18日付)
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-536.html
おっしゃるとおり、あれは一般客を募ったものでした。
募られた一般客も、家庭環境が変わるくらいのめーわくをこうむったのですが。(笑)
でも愉しい秋の旅行を満喫した・・・と講評だったと聞き及んでおります。^^

このお話は、件のバスツアーの流れを汲みながら。
いっぽうで、まえにコメを頂戴した「華やかな同伴者たち」(12月15日付)の亜流でもあるのです。
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-675.html
旅をつづける吸血鬼の身辺に侍りながら、かわるがわる血を与える美女たち。
なかなかおいしい設定でしょ?^^
by 柏木
URL
2006-12-24 日 10:53:07
編集

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