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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

山の中

2006年12月23日(Sat) 18:13:09


村はずれの、山中で。
練村さんの奥さんが、ご主人のまえで強姦された。
せまい村のなかのこと。
どんなに口を、鎖していても。
こんな噂は、すぐに広まる。
お隣の家が、今夜なんの漬物を漬けているのか。
村はずれの次男坊と、旧家の後とり娘とが学校帰りの草むらになん分間いっしょにいたとか。
どこの旦那が、誰の女房に夜這いをしたか、とか。
村じゅう、誰もが心得ている。
開けっぴろげに、語るのも。
知らんふりを通すのも。
人それぞれ・・・とはいいながら。


姦っちまったよ。奥さんを。
ずっと前から、狙っていたんだ。
なにしろここんとこ、女ひでりだったし。
都会育ちの女なんて、めったに味わえるもんじゃないからな。
まず旦那を、木に縛りつけて。
それから女房を、泥道に転がして。
女というのは、服が汚れると。
妙にいうことをきくようになるんだな。
こぎれいな服にはねた泥が。
なかなかよく似合っていたよ。
ツヤツヤとしたストッキングを、ダンナのまえで引き裂いてやったら。
泣き出しやがった。
いい気味だ・・・って、思い切り、キスしてやって。
そうしたら小さくなって、お願いします・・・って言いやがるんだ。
あれにはちょっと、驚いたな。
亭主は諦めきったように、目をそむけているから。
おい、よく見ておくだ。
手前ぇの女房が姦られるところなんか、めったにおがめるものじゃないぜ?
声かけてやったらよ、素直な男だ。
どうか、お手柔らかに。って。
あんまり礼儀正しいもんだから、おれも言ったよ。
いただきます、とな。
あー、いい女だった。今夜さっそく、頂戴しにいくんだ。
旦那はすっかり、のぼせ上がっちまって。
もういちど、見たい。妻のことを犯してくれ・・・って。
頼まれちまったら。オレもこういう面倒見のいいたちだから。
断るわけにゃ、いかねぇよな。
愉しんでくるぜ。旦那も待っているみたいだからな。


困っちゃった。どうしよう。
あんなに恥ずかしいことを。
よりにもよって、あのひとの前でされちゃうなんて。
感じていたんです。さいしょから。
あのひと、いっつもわたしを見る時に、じとーって、いやらしい目をしていて。
視線を感じると、スカートのなか。汗かいちゃっていたんです。
いつかはきっと、襲われちゃうな、って。
だから山道で出くわしたとき。
あぁ、待ち構えていたんだ、って。
ひもじい想いをして、ずっとわたしのこと待っていたのね、って。
山に行くのに、わざとおめかししていったんです。
ブラウスに、スカートに、ストッキング。
さすがにハイヒールは、無理だったけど。
代わりに履きなれたパンプスを、ぴかぴかに磨いておいたわ。
もう寒いのに、薄着していって。
わたし、あのひとのことを見て。じーんと感じちゃったんです。
主人には、悪いけど。
汗臭い体臭に抱きつかれて。
口のなかの臭いを、思い切り嗅がされて。
くらくら、眩暈がしちゃった。
主人に、顔向けできない・・・って思ったんだけど。
あのひと、主人のこと、うまく脅しつけてくれて。
村じゅうに、言いふらすぞ、っていうんです。
狭い村ん中。お前ら夫婦は、オレの胸三寸でどうにもなるんだって。
まっすぐ見てろ、って言われて。
妻が犯されるところを、あんなにまじまじと見れるものなのですね。
恥ずかしかった。
けれど、感じてしまった。
もういちど。主人のまえで、してもらいたくって。
わたしのほうから、おねだりしちゃった。
母が聞いたら、びっくりするわ。
わたし、もともと、大人しいたちだから・・・


前の晩のことでした。
電話がかかってきたのは。
富美子を襲わせろ。山ん中で、けりをつけてやる。
くぐもった声で、そう、言うんです。
受話器を持つ手が、ぶるぶるっと震えました。
どうしようっ、て。思いました。
恐怖、ですって?さぁ、どうでしょうか・・・
富美子にほんとうのことを告げるべきなかな、って。思いましたが。
けれども、選択の余地は・・・事実上ありません。
いったいどこに、逃げ場があるのでしょうか?
こんな狭い村のなかで。
都会の生活習慣などは、ここではまったく顧みられることがありません。
厭なら、出て行けばいい。
そんな風潮も、知っていました。
けれども村に入ったとき、
さりげなく、人知れず漂っている淫靡な空気を感じ取って、
わたしはずきずきと、胸をわななかせていたのです。
きっとこのなかに。妻の白い肌をモノにしようというやつが現われる。って。
都会では、そんな落ち度は許されません。
職場に知れれば、よくて左遷か、会社にいられなくなるか。
金目当てのやつらに写真を突きつけられて、脅迫されるか。
あるのはきっと、そのような刺々しい反応ばかりでしょうから。
ところがこの村ときたら。
お隣の奥さんは
  夕べは三人遊びに来たのよ。あー、腰が痛・・・
おおっぴらに、そんなことを口にしていますし。
ご近所の娘さんたちは、仲良し三人で連れだって、
村はずれの納屋で、婚約者の男性いがいの男と契ったと。
さすがにちょっと羞ずかしそうに、でしたが。
ぺちゃくちゃと、愉しいおしゃべりでもするように。
三つ編みのおさげを揺らしてはしゃいでいます。
そんな中。
いつもこぎれいにしている妻が求愛をうけるのは、もう時間の問題だったのです。
どうして村から出ないのか、って?
だって。此処がわたしの生まれた村ですから。
そして、妻を蹂躙した男は、他ならぬわたしの父だったのですから。
良い嫁をもらったな。
父に褒められたのは・・・もしかすると初めてのことかもしれません。
わたし・・・お人よしなたちなのかもしれませんね。


あとがき
柏木版「藪のなか」にしようと試みたのですが。
まだまだ、浅い浅い。^^;
あいかわらず、ゆがみっぱなしですが。^^;;;
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コメント

三者三様の
思惑が絡み合うお話は、もう枯葉も土に帰ったころのお話なのでしょうか。
『子供はひとりで山の中に行っては行けないよ』という戒めは、こんな村にはまだ生きているのでしょうね。
by 祥子
URL
2006-12-24 日 10:13:13
編集
>祥子さま
このお話に注目いただけて、うれしいです♪
おなじ事件を、それぞれの当事者の目から・・・と欲張ってみましたが。
すこしは、文学的香気を放っていたでしょうか?(←調子乗りすぎ?^^;)
わたしの描いたのよりはるかに素敵なあとがきを添えていただいたようです。
ありがとうございました♪
by 柏木
URL
2006-12-24 日 11:03:11
編集

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