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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

愛しい母娘 ~連作:院長、ご来客です

2006年12月29日(Fri) 09:22:10


白のハイソックス、好きなんでしょ?
あなたのために、履いてきたのよ。
そんなふうに、囁かれたら。
もう、抱きついてしまう以外、どうすれば良いというのだろう?

制服の濃紺のプリーツスカートの下。
ひざ下ぴっちりの、まっ白なハイソックス。
細いリブが整然と、少女の脛のふくらみを映して。
微妙なカーブを、描いている。

ほんとうにかわゆい、という衝動が胸を焦がすときには。
足許にかがみ込む・・・などという余裕はなかったりする。
いきなり首筋に抱きついて。
まわした腕に、若い生命の充実を感じながら。
なによりもまず。肌の温もりを確かめたくて。
牙を突きたてようともせずに。
ただひたすらに・・・少女の肌に、唇で触れてゆく。
鼻先をよぎるのは。
ほのかに甘いぬくもりを帯びた、髪の毛の香り。
少女を横抱きにする腕に、ぎゅうっと力がこもる。
痛いっ。もう・・・
少女は口を尖らせたけれど。
そのまま、オレの言うなりになってゆく。

パパ・・・見ているよ。
そう。
診療室の扉が、患者もいないのに、半開きになっている。
廊下の待合室の、硬いベンチのうえ。
オレは少女を抱き伏せて。
うなじに吸いつけた唇から、キュウキュウと激しい音をたてて。
いつか、初々しい血を吸いはじめていた。
聞こえよがしに。あいつの耳に届くように・・・

パパ、不思議なひとだね。
好きな女のひとが血を吸われているのを見ていると。
どきどきしちゃうんだって。
ヘンだよ~っって、言ったんだけど。
そういうのが、好みみたい。
わかってあげようね。
でもあたし・・・のけぞっちゃうから♪
おじさま、キモチよくしてくれるんだもん。
少女はイタズラっぽい笑みを口許に含みながら。
きょうも惜しげもなく、処女の生き血を振る舞ってくれる。

真新しいハイソックスは、ひざ下からちょっぴりずり落ちて、
脛の周り、整然と流れていたリブが、
ふしだらに、ぐねり・・・とねじれている。
おまけにふくらはぎの、肉づきたっぷりなあたりには。
赤黒いものを、べっとりと滲ませていて。
具合悪くなっちゃった。せんせいに診察してもらうわね。
くくっ、と含み笑いを滲ませて。
とんとん、とんとん。せんせい、お留守?
パパの隠れている診察室のドアを、こちらが決まり悪くなるくらい、
芝居っけたっぷりにノックしている。


少女の両親が。娘をほっぽらかして海外旅行に旅立ってから。
オレの日常を支配した女。
シジマ看護婦、と名乗りながら。じつは女の名医で。
院長がむりむたいにオレにおしつけていった病院経営を切り盛りしてくれたとはいえ。
こればっかりは、かりそめにも。がまんならない事実。
オレに血を与える看護婦のローテーションをきちんと組んで、
気になるあの看護婦の熟した血や、学校出たての新米看護婦の初々しい血まであてがってくれたのは、感謝するとして。
それはそれとして・・・やっぱり許せん。
襲ってやる。
たしか、言ったはずだ。
看護婦のローテーションにじぶんを繰り入れないことを、
残念ながら・・・って。

コツコツとヒールの音を足早に響かせて。
女は逃れるようにして、病院をあとにしようとする。
そうは行くものか。
オレは黒マントをひるがえして。
背の低い植え込みの陰を、もぐるようにして。
矢のような速さで、病院の門へと先回りをする。
好都合だ。あたりに人は、だれもいない。
病院の建物をちょっと振り返ってから門を出ようとした女のまえに。
オレはおもむろに、立ちふさがる。
あっ。
あげそうになった声を呑み込んだときの、あの女の面差しは。
いままで毒牙にかけてきた無防備な女どもと、なんら変わるところがない。
さんざん侮辱しおって。このまま立ち去れるとでも、思っていたのか?
さぁ、こちらの植え込みに身を沈めるのだ。
わかっているだろうな?
襲ってやる・・・という意図を。いつも手短に、相手に告げるのだが。
こんかいだけは・・・ちょっと饒舌になっているようだ。
女は無念そうに身をすくめて、歯噛みをして。
厭。いやなんです。
身を揉んで、上目遣いに、訴えるように目線をそそぐ。
いぃや、ダメだ。聞えないよ。
さぁ、おそれおおくもオレ様のご招待だ。
大人しい淑女になるんだな。

女は病院の壁を背にして、悔しそうに、しんそこ、悔しそうに、目をそむけている。
そむけた顔の下。キュッと浮き出た首筋は、なめらかな皮膚に覆われていて。
思いのほかの白さが、オレを誘惑する。
ククク・・・ダメだ。もうそれまでだ。
ずりっとにじり寄ったとき。
だれかがぐい・・・と、手を引いた。
いつの間にか、背後に忍びよっていて。信じられない力だった。
思わずよろけて、ふり向きざまに睨みつけると。
せつじつな目線で睨みあげてくるのは・・・
意外にも、あの少女だった。
うん?
すごく気詰まりな、なま返事。
やめようよ。
少女が切なる声を洩らすまえに。
オレは顔をしかめて、苛立たしくかぶりを振って。
行け。
あごをしゃくって、女を促している。


ご面会ですぅ。
のんびりとした声をかけてきたのは、いつもの接待用美人看護婦。
たっぷりとしたお胸を、たゆんたゆんと揺らしながら、
ついたてで仕切られた応接スペースから、逃れるように立ち去った。
だれだ?
と、覗き込むと。
黒一色のワンピースに身を包んだ来客は、顔がみえないほどに頭を垂れて。
シジマでございます。
うって変わった淑やかさで、ひくい声を響かせた。

なにをしに来た?
別れ際の気まずい記憶から、つい切り口上になったのを。
あの・・・ふつつかですが。わが身をめぐる血を・・・
囁くように洩らした言葉に、オレはのけぞりかかっている。
奥様から、黒がお好きだとうかがったので。
それとも・・・いつもの白のほうが、よかったかしら?
ちょっと疲れたような白い微笑に、われを忘れて。
有無を言わさず手首をつかんで。
引きずるようにして、手近な診察室に連れ込んでいた。

どういう心境の変化だ?
ベッドのうえに、まろばせて。
うなじに牙をおろそうとするとき。
オレは思わず、訊いていた。
謝罪・・・かしら。貴方に血を吸われた看護婦たちへの。それに・・・
いいさした女は、顔をそむけて。
でも、なにもわからなかったことにしていただきたいわ。
謎のような呟きを口にすると。
それっきり、押し黙って。
血を啜り取られるのを、いっしんに受け止めている。

抱きかかえた腕の下。
思いのほか熱く豊かな肢体は、はずむように上下して。
迫った息遣いを伝えてくる。
すすり泣くような。震えを帯びた息遣い。
そんなにオレが、怖いのか?
言いかけたオレは・・・ふとわが舌を、疑った。
なぜ・・・・・・・・・・・・?

わからなかったことに、してくださいな。
女は薄っすらと目を開き、柔らかな声音を洩らした。
瞳をよぎるうるおいが、切実な光をたたえて訴えてくる。
う・・・う・・・。わかった。
どうしてこういうことになったのだ?
問いに対する答えはないだろう、と。オレは話しかける口を閉ざして。
やおら、女の肌に吸いつけた。
蹂躙しか思わなかったそれまでとは、裏腹に。
慕うように。いとおしむように。

ばれちゃったのね?
少女ははにかむように、ドアの向こうから顔を出して、
咎めるけしきがないとみると、オレの隣にちょこっと腰かけている。
ママはね。ほんとのママじゃないの。
わたしのお母さんは、あのシジマさん。
だからわたしがあなたに血をあげているとき。
ずっと控えて、見守っていたの。
シジマさん、独身よ。きれいなのに。あの齢で。
ずっと昔。
吸血鬼に、ごうかんされちゃったんだって。
それが、はじめての経験だったんだって。
だから、セックスも、男のひとも、すっかり厭になっちゃって。
でも、生まれてくる命を、断つことはできないで。
それで、わたしが生まれてきたの。
だからね。おじさま・・・みんなを大切にするんだよ。
死なさないていどに血を吸って、ガマンしているおじさまだから・・・きっと飲み込んでいらっしゃると思うけど。

うん、うん・・・
叱られた少年のように、うなだれて。
オレは少女の幼い声に、聞き入っている。
昔、オレにさいごの血と、なによりも心のよりどころを与えてくれた少年。
頬をよぎる輝きはおなじなのだ・・・と。
オレはむしょうに、いとおしくなって。
いつまでも、いつまでも。
少女の頬を撫でつづけている。


あとがき
過去ログを読んでいて、
そういえば桜草さんは女子校生のみぎり、白のハイソックスだったんだなあと思い出しまして。^^;
それがこのお話の発端・・・かな?^^
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きゃー♪
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コメント

そういえば・・・
柏木様 こんばんは。

そうなんですよねえ。
白のハイソックス・・・・今日のような寒い日でもそのハイソックスだけ。
生のひざがどんなに冷たくてもハイソックスだったなあ。
それとね・・・制服のスカートの腰の部分を少し折って密かにスカート丈を短くして・・・・(*^_^*)
あの時代にすでに吸血鬼にこの身を託していた・・・なんて事はないですわね。
by 桜草
URL
2006-12-29 金 22:39:08
編集
>白いハイソックスの桜草さま
こういうことには妙に物覚えのよろしい柏木です。(*^^)v

そうですね。この時期の女子学生は本当に寒そうで、見ていてかわいそうになります。
現実世界では眺めのよしあしなんて、言っていられませんからね~。^^;

スカート丈、世代によって長くしたり短くしたりがありますね。
柏木のころは、だらーんとやたら長いのがスケバンさんの定番でした。
折って短くするのも・・・年下の女性から聞いたことがありますよ。^^

ストッキングの色やハイソックスの長さでエッセイができるくらいですから。
スカート丈もきっと、奥が深いんでしょうねぇ。^^;

>すでに吸血鬼にこの身を託していた
あるかも~。^^
本人の意識に残っていないだけで。
・・・なんて想像すると。
すこし、ゾクッとしませんか?^^
by 柏木
URL
2006-12-30 土 02:24:19
編集
柏木様ったら
>折って短くするのも・・・年下の女性から聞いたことがありますよ。^^

ええっと・・・桜草って柏木様のお姉さまなのね。うふふ。

じゃあねえ・・・お姉さまのお膝で年越ししませんか? 
by 桜草
URL
2006-12-30 土 21:46:04
編集
>桜草さま
>お姉さまのお膝
あっとぉ・・・!
気づくの遅すぎ・・・っ(><)
年を越してるじゃないですか~A^^;
さいごのあっぷをした直後から、柏木リアル世界に潜行してしまっていたのです。^^;
いまからじゃもう、遅い?
by 柏木
URL
2007-01-02 火 23:04:24
編集

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