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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

姉なるひと

2006年12月30日(Sat) 11:33:29

姉なるひとを求めて。
きょうもさ迷う、薄暗がりの夜道。
決して、あらわれることはない。
その女(ひと)はもう、この世にいないのだから。

おなじ背格好、年恰好。着ている服。長い黒髪。透けるほどに白い肌。
想いのよすがをすこしでも認めると。
スッ・・・とすり寄っていって。
姉が己に遺していった痕跡を。
女の影に添わせてゆく。
だれもが一瞬、苦しげに。
ほんのりと、身をよじらせて。
ため息を洩らし、目線を悩ましく、さ迷わせる。

虚ろにすぎる、一瞬、ニ瞬。
密かな至福に身を浸しても。
そそくさと立ち去る女を見送るときは。
この女じゃない。
別なる寂しさが、心の裡を食い破る。
永遠に・・・こうしてさ迷わなければならないのか。
女の与えた劫罰。
見あげる鉛色の空は、なにも応えようとしないけれど。
姉さん。さびしいよ。
ひと刻。ほんのひと刻でいいから・・・降りてきてくれないか?
滲んだ涙声に応えるように。
ちらり・・・ちらり・・・
氷の涙のかけらが、散ってくる。

虚ろに広がる薄暗がりに、降りしきる雪が舞い浮ぶころ。
来てくれたんだね?
白いヴェールに包まれた、なつかしい影。
かりに、幻影にすぎないとしても。
現れてくれた情(こころ)には、消しがたい温もりが流れている。




あとがき
お得意様のひとり、HAIREI画伯から、イラストを頂戴しました。
過去にあっぷしました「慕わしき・・・姉なるひと」をイメージしてお描きになったとのこと。
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-619.html
獣と化した面差しをさびしげに仰のける少年の裡に秘められた、女人の面影・・・といった風情です。
姉妹編、というわけでもありませんが。
一筆添えて、皆様にご披露いたします。
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百話。
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コメント

素敵なイラストですね
HAIREI様あいかわらず良い腕をなさってますね♪
柏木さんの世界をビジュアルでまさかこんな風に書かれるとは思いませんでした。
寄り添った面影が、優しく耳朶を噛むその甘い痛みを忘れる事はきっと出来ないですよね。

明日にはお戻りでしょうか。
今年もよろしくお願いします。
by 祥子
URL
2007-01-02 火 09:57:59
編集
>祥子さま
HAIREI画伯、グッジョブでしょ?
例によって絵をじいーーっと見ていたら。
ごくしぜんに一話、浮んでしまいました。
不思議なくらい、イメージを招ぶ画風だと思います。
HAIREIさま、改めて御礼申し上げます。m(__)m
by 柏木
URL
2007-01-02 火 23:19:18
編集

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