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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

しずかな訪問者たち

2007年01月03日(Wed) 07:10:36

酔ってしまったようだね。
わたしのうえにおおいかぶさっていた影は。
いたわるように呟くと。
スッとおもむろに、わたしのうえから身を起こして。
つぎなる獲物を求めてゆく。
向かったのは、母の寝室。
まだ若さを失わない、母の素肌に。
今しがた、わたしの首筋に埋めた牙を、突き立ててしまおうというのだね?
すまないね。
きみのご一家の血が、たいそう口に合ってしまったのだよ。
かれのひと言に、理性が麻痺して。
マゾヒスティックな歓びが、全身を通りすぎる一瞬。

べつの方角から聞えてくるのは。
妻の生き血を啜られる音。
家に侵入してきた、べつの屍鬼が。
どうやら妻を、襲っているらしい。
襲う。といっても。
多くの場合。襲われる本人が、薄っすらと含み笑いを浮かべながら。
相手を部屋に引き入れたりもしているのだが。

妻が仕えるのは、村の顔役を務める三代の父子。
さいしょに襲ったのは、白髪頭の長老。
若々しい血がすっかりお気に召したものか、
ふたたび現れたときには、まだ十代の孫を連れてきた。
子供に襲われる。
そんな趣向に、頬をスリリングに輝かせながら。
妻はわざわざ大人びた衣裳を装って、少年の相手をしていた。
いま抱かれているのは。長老の息子。少年の父。
わたしより年上のかれもまた、妻の若さに魅せられてさ迷い出てきたのだという。
すまないね。若い血をいただくよ。
渇望を秘めた熱っぽい囁きに、理性を喪ったわたしは、酔ったように頷き返している。
夫婦のベッドのうえ、あたかも不倫を愉しむ如く。
妻は夫ならぬ身と肌を交わしあい、
ロマンスグレーの逞しい身体に組み敷かれて。
朱唇を歪め、歓喜の電流に全身を貫かれている。

襲うものたちは、みないちように。
影を忍ばせて。音を忍ばせて。
着飾った衣裳のうえ、まといつくように身をすり寄せて。
家族の女たちの血潮を、ひと口またひと口・・・と。
愛でるがごとく、啜り取ってゆく。
柔らかに、忍びやかに。やさしげに。酔わせるがごとく。
すべてを奪い尽くさんばかりにして、
素肌のうえ、しつような接吻を這わせながら。

固く抱きすくめてくる腕のなか。
母も。妻も。妹も。
忘我の境地に身も心も浸しながら、しばしの愛悦に耽り。
わたしも酔いを全身に行き渡らせて、
妖しい愉悦に胸を焦がし狂わせながら、かいま見つづけてしまっている。
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