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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

息子の恋人

2005年08月06日(Sat) 07:21:37


「こんちはぁ」
明るい声をはじけさせて、少女は私に声をかけてくる。
息子の彼女だった。
お辞儀をした拍子に三つ編みのお下げが白い夏服の胸元に揺れた。
まだ学生さんである。
もう夏休みのはずなのだが。
行儀のいい彼女は昔の高校生のように、よそ行きのときにはいつもちゃんと学校の制服を着ているのだ。
いつも礼儀正しく育ちのよさを感じさせる、初々しい白い肌をもつ少女。

将来のある娘さんなので、名前は仮に庭野律子さんとしておこう。
彼女が息子の婚約者となったのは、まだ小学5,6年生のころだった。
吸血鬼氏に血を吸われるようになったのは、それからのこと。
こざっぱりとしたワンピースに白いハイソックスを履いて、大人しく首筋やふくらはぎを咬まれていったのが、ついこの間のことのようなのに、
今はすっかり娘さんらしくなっている。
通っている女学校の制服はセーラー服。
濃紺の襟章を真っ白なラインが三本横切っているのが、私の目にも眩しかった。
さらに眩しかったのは足許。
黒のストッキングを履いていた。夏服なのに。
白の夏服との意外な取り合わせが、かえって大人びたなまめかしさをひきたてていた。

そこで初めて思い出す。
まえの晩妻を襲いにきた吸血鬼と息子のやり取りを。
たしかあのとき、息子は律子さんとのデートのチャンスを彼に譲ったはずだった。
「きょうはデートかな?」
何気なく声をかける私に、
「えぇ、ちょっと」
少女は言葉をにごらせる。
「ごゆっくり」
屈託のない笑顔をつくって、私は少女をやり過ごす。


階段を昇ってすぐが息子の勉強部屋。
くすくす洩れる忍び笑いに誘われるようにして、私は足音を消していた。
開けっ放しになっているドア。
きちんとしているように見えて、どこか抜けている息子。
彼の半ズボン姿は、私のほうに背中を向けていた。
女の子みたいにきちんと引き伸ばされた真っ白なハイソックスのふくらはぎに、不規則なバラ色の模様が点々と散らされている。
さきに、お手本を見せたのだろうか。
少女の笑みは朝の斜光線のなかで、いっそう初々しく輝いていた。
イタズラっぽく白い歯を見せながらくすぐったそうにウキウキと、彼女は黒ストッキングの脚を前に差し出している。
足許にうずくまる黒マントに包まれた男は、少女のふくらはぎにべっとりと、唇を吸いつけていた。
咬まれてしまっている証拠に、少女のストッキングはひと筋あざやかに伝線を走らせている。
裂け目からのぞく、白い肌。
鋭く伸びた伝線は娘らしい脚の線を映すように微妙なカーブを描いて、濃紺のプリーツスカートの奥まで忍び込んでいた。
ちゅ、ちゅう~っ・・・
いやらしい音をたてて、喉を潤おしはじめている吸血鬼。
小気味よげに見守る息子。
いつかどこかで見たような風景につい見とれている私。

息子がドアをきちんと閉めないのは、どうやら私への気遣いであったらしい・・・


律子さんが帰っていくと、息子をつかまえる。
「いいのかい?あんなにたっぷりご馳走しちゃって」
「彼女の家でもわかっているみたいですよ」
育ちのよい彼は言葉遣いもていねいである。
妻の教育が行き届いているのだろう。
「律子さんが血を吸われているときって、どんな気分な?」
禁断の問いかけかもしれなかった。
「んー。なんかフクザツ、かなぁ・・・」
遠い目をして言葉をきる彼は白い顔をして、
「胸のあたりがゾクゾクして、つい見せてもらってしまうんです」
台本のセリフを読み上げるような口調でそう告げる彼。
私もかつて感じはじめていたのとおなじ想いが、妖しく彼の胸をよぎっているらしい。
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