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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

恭しい拝礼

2006年01月29日(Sun) 08:22:37

訪れるものもまれな寒村に、旅の夫婦が迷い込んだ。
となり村の婚礼の帰りだというふたりは、きちんとした礼装をすきもなく着こなしていた。
住人たちは村をあげて、夫婦ものを歓待した。
夜も更け酒がまわるにつれて、妙な雰囲気が漂いはじめるのを夫は感じた。
若い屈強な男たちが妻に注ぐ目線が、どこか露骨で淫らなものを含んでいたからだった。
予感は不幸にして、的中した。
一座の頭だったものはじぶんよりもやや年上の、気品の漂う風貌の持ち主だった。
秀麗な目鼻だちに憂いをこめた、口数の少ない男だった。
村長だと名乗るその男はおもむろに夫の前にすすみでて、
今宵奥方の貞操を申し受ける、とそう告げたのだった。

村を訪れるものはみなひとしく、妻や娘を差し出すことを求められた。
妻や娘を見初めたものたちの求婚はとても真摯で、ひどく礼儀ただしいものだったが、
拒むことは決して許されず、夫たちは村の男たちが妻に抱いた熱い想いをかならず遂げさせてやらなければならかなった。
少しでも抗う様子をみせると、夫は殺され、妻は性の奴隷として一生を村で送ることになる。
乾いた声で手短かにそう告げた彼はみずからも、
ここの住人となるときに村のすべての男たちに妻を与えたのだといった。
真っ先に妻を抱いたのは当時の村長。
そして、それからは夜ごと、村の男たちは齢の順に、妻の寝室に忍び込んだ。
それがひと渡り済んで初めて、彼は村人としての権利を獲たという。

絶望に顔を昏くした夫婦は引き離されて、それぞれ別の納屋へと押し込まれた。
夫の納屋には三度三度、豪勢な食事が盛られたが。
そんなものには手をつける気にもなれなくて、彼はほとんどものを口にしなくなっていた。
目の前を通り過ぎる村の男たちはまっすぐと妻のいる納屋へと足を向ける。
そのたびに、彼方からは絶望にみちた女の悲鳴がこだました。
さらに耐え難いことに、女の悲鳴は日ごとに悲痛さを消してゆき、
いつか喜悦をこらえかねたような甘美な呻きへとかわっていった。
妻を犯した男たちは帰り道に必ず姿をあらわして、
遠目に夫のいる納屋のほうをのぞんでは、慇懃に鄭重に、
まるでお詣りでもするように恭しく頭を垂れてゆくのだった。
  最愛の女性を見ず知らずの村人にゆだねて、渇いた飢えを満たしてくれるほどの寛大なお人。
  村のものたちは貴方に対して、そういう敬いを抱いているのだ。
そう告げる村長の秀麗な目鼻にも、夫への心からの敬いをたたえている。

あるときふたりの若い男が納屋のまえを通りかかって、
口許に軽侮と嘲りを浮かべて、ざまはないな。お前ぇの女房はいい身体をしていたぞ、とあからさまに夫を侮辱した。
その瞬間男どもはハッとして顔をあげ、満面朱を注いだ村長を見出すと蒼くなって縮み上がった。
「不届き者!」
激怒した村長は男どもをさんざんに打ち据えた。
血みどろになるまで打ちのめされた男たちは地面に突っ伏してしまったが、
村長はそれでも怒りを納めずに、携えていた蛮刀を抜き放った。
幾多の血を吸ったらしいその刃は、銀色の蛇のようにぎらりと光り、
よけいに夫を侮辱したほうの男に差し向けられて、むぞうさに首に食い込んだ。
致命傷ではないものの、深い傷に男は呻いた。
震え上がり命乞いをする男たちの顔は真に迫っていて、
こういうとき村長が本当に殺めるのを熟知しているようすだった。
「待ってください。殺すのは・・・」
夫は思わずそう口にしたが、村長はあなたを侮辱したものを赦すわけにはいかない、と主張した。
しかし、それでも殺すのは・・・
夫はそう、いい募る。誰の命も大事ではないか。
村長は初めて口許を和ませて、この男どもの命も、貴方の命も、取るのはやめにするといった。
そしてはいつくばっている男どもに、
最愛の奥方をお前たちに与えてくれた恩人だ。鄭重にお仕えするように。
そう命じると、男どもは口々に、なんなりとお言いつけになってくださいと夫にいって、もういちど誰よりも恭しく夫に拝礼していた。

一週間後。
夫は村に迷い込んだときに着ていた礼服に着替えさせられて、悪夢の渦巻いたあの宴席にふたたび招かれた。
そこには妻の姿もあった。
妻もまた婚礼のときに身に着けていた小ぎれいなワンピースを装っていた。
すこしはれぼったい目をしていたが。
手荒に扱われたようすもなく、いつもと変わらぬようにみえた。
夫と目を合わせると恥ずかしそうに目を伏せたが、
赦すような優しい目線を注がれると、すがるような謝罪の目線をかえしてきた。
村の主だった男たちのすべてが妻を取り囲むようにして、そこに集っていた。
男たちは村長に恭しく拝礼すると、夫婦の処遇を質した。
夫は殺され妻は慰まれるという、忌むべき村の先例をひきあいにして。
誰もが先例を適用するべきでない、と主張した。
とりわけ、座の末席につらなっていた若い二人の男は熱っぽかった。
いちどは夫を侮辱した者たちだった。
妻を犯した男たちが、自分の命乞いをしている。
そんな風景に夫は唇を麻痺させたように震わせて。
村の男たちすべてを妻の婿として迎えたいと申し出た。
夫妻は即座に解放を許された。

むんむんとした熱気のうちに、その場で宴が催される。
もう妻も夫も、その身のうちに淫らな血をはずませて。
忌むべき儀式を愉しんでいた。
妻の操は初めて、夫のまえで喪われる。
嬉々として息をはずませ愉悦に乱れる妻。
そのようすをドキドキ胸わななかせて見守る夫。
こらえ切れない愉悦の叫びとともに引き裂かれてゆく、都会風のワンピースにストッキング。
乱れる衣装さながらに。
かれらは都会の慣わしを忘れ、狂った風習に身をゆだねていった。
みるかげもなくいたぶりつくされた衣裳のすき間からこぼれる白い肌に、
まるでうわぐすりのように帯びた淫らな艶をみとめて、
夫も初めて、理性を完全に崩していた。
気がつくと自分自身さえもが、男も女も熱っぽく耽りつづける輪姦の渦のなかにいた。

明日は村を出るという最後の夜。
そうなるまでに幾晩を、村で過ごしたことだろう。
もうひと晩とどまりましょう。
進んで申し出たのは、夫のほうだった。
幾多の男たちの精を注ぎ込まれた妻は前にもまして淫らな魅惑を深めていった。
そんな妻を眩しげに見つめる夫は、他の男たちを交えた夜を愉しむすべを心得ていた。
都会に戻っても。村との絆は薄れることはない。
あるときは都会の自宅に招き。あるときは村を訪れて。
洗練された衣裳を引き裂かれ愉悦に酔い痴れる妻のあで姿に、
惑溺の刻を重ねてゆくのだろう。
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コメント

柏木様
このような村がこの世のどこかにあるのであれば・・・・。
悲痛の叫びが悦びの叫びへと変わっていく日々。
この身を輪姦の中に投じれば何かが変わっていくでしょうか?
by 桜草
URL
2007-01-08 月 13:45:07
編集
>桜草さま
なかなか野蛮な設定でしょ?^^
かなり、気に入っているんです。
でもね。
似て非なる世界のほうが多いですから。
実行に移したら、イケマセンよ~。^^
by 柏木
URL
2007-01-09 火 19:01:34
編集

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