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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

資料室

2006年01月25日(Wed) 08:11:00

ここは奥まった資料室。といいながら、実態は物置き部屋。
チエとアケミはさっきから、重たいファイルをばたばたと取り出してはめくり、また元に戻している。
「見つかったぁ?」「だめー。14年度のだけ抜けてる」
「もう、面倒くさいなあ」
ぶちぶち文句を言いながらの上司からの言いつけ仕事。
そのとき。
刻が止まった。

・・・・・・。
凍りついたように止まったチエのうなじに、傍らの空気に溶けるように潜んでいた男の影が忍び寄る。
ぬらぬらと唾液を光らせたヒルのような唇が、
健康そうに日焼けした肌に覆われたチエの首筋に、
くちゅっ・・・
音を忍ばせて、貼りつけられる。
ちゅ、ちゅう~っ・・・
女は「あ・・・」とかすかな呻き声を洩らして。
それでも椅子に腰かけたまま、凍りついたように動かない。
ブラウスのうえから両肩を抑えつけた掌に力がこもり、
鋭いしわがベストの奥にまで入り込んだ。
ごくり。
男が旨そうに喉を鳴らした瞬間。
チエはふらあっと白目をむいて、テーブルのうえにうつ伏した。

ショートカットのすぐ下につけたふたつの痕には、ぬらぬらとした唾液を静かに光らせている。
目だつかな・・・
男はちょっと立ち止まり、指で拭き取るように女のうなじをなでた。
まるで拭い去ったように、咬み痕は消えている。
男はフッ、と口許をゆるめると、こんどはアケミのほうへと忍び寄る。
余裕しゃくしゃく、黒光りするようなロングヘアをさらさらとかきのけて、
首のつけ根のあたりの白い皮膚に唇をあてがって。
さっき同僚にしたように、ちゅうっ・・・と力をこめて、肌を侵してゆく。

ふたりともうつ伏してしまうと、男はいっそうにんまりと頬をゆるめた。
制服のスカートからにょっきりとのぞく、二対のふくらはぎ。
各々微妙に色違いなナチュラルのストッキングにおおわれている。
このごろの若いコはストッキングに気を使わないな。
若手OLたちのストッキングは、薄手なだけがとりえらしい安物だった。
それでも男は順ぐりに、女たちの足許に唇をあてがってゆく。
ぴちぴちとした脚線美の周りでストッキングはよじれ、波立ち、さいごにひきつれるように破られてゆく。

ふふぅ・・・
口許についた血を手の甲で拭い、蛭田はとても満足そうに笑んでいる。
手をひと振りすれば女たちは目覚めて、何事もなかったようにふたたびけだるそうにファイルを繰りはじめることだろう。
と。
震えるような怯えた視線を感じて、蛭田はハッと振り返る。
両手を口に当てて怯えて立ちすくむ若い女。
大きな瞳を小心そうに震えさせ、その場を立ち去ることもママならず脚をすくませている。
女の足許は、薄手の黒のストッキングに彩られている。
庶務課の満智子だった。

透明度の高い黒ストッキングに縁取られた脚線の輪郭は、主の思惑をはなれて艶めかしく薄闇に浮かびあがっていた。
相手が怯えきって身動きできずにいるのをいいことに、
蛭田はすすっと素早く満智子の傍らに寄り添うように迫ってゆく。
「アッ!」
うなじを咬まれて、満智子はのけぞった。

「ごめんよ」
血に濡れたうなじから唇を離して、蛭田は囁いた。
「・・・・・・。」
女は答える気力もないようすで、震える息に肩を上下させている。
大人しくて目だたない女。できれば牙にかけたくなかった。
でもまぁ、見られてしまった以上は仕方がない。
記憶を消そうか・・・
そう思いながら。
喉の奥に漂う処女の血潮の余韻に、濃い欲情を覚えはじめていた。

ストッキングの色が変わったことを、誰かに気づかれるだろうか?
満智子は内心びくびくしながら、持ち合わせていた少し濃い目の肌色のストッキングに包んだ脚を進めてゆく。
あのあと別室に引き入れられて、黒のストッキングに魅了された蛭田によって足許をぞんぶんにあしらわれてしまったのはいうまでもなかった。
「悪いね。ちょっとだけ、目をつぶってくれる?」
そういって足許に迫る蛭田の言うとおりにした数刻を、彼女はよく思い出すことができずにいた。
うなじのつけ根はまだひりひりと、痛んでいる。
蛭田の毒液は女が当然感じたはずの屈辱や不潔感をきれいに拭い落としていたけれど、
素肌に初めて受けた男の唇の感覚は、拭いようがなかった。

「また、逢ってくれるね?」
男は、そう囁きかけてきたけれど。
たしかにその場でなんとなく、肯いてはしまったけれど。
性感の乏しい満智子ですら、彼の言葉の裏にあるなにか淫らなものがまとわりついてくるのを、どうすることもできずにしまっていた。


あとがき
社内のOLを、つぎつぎと毒牙にかけてゆく蛭田くん。
前作があまりにもかっこうわるかったので、少しいい思いをしてもらいましょうか・・・。^^
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