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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

目のまえの褥

2007年01月27日(Sat) 07:38:03

「来なさい」
昂ぶってくると、外人のようにたどたどしく言葉をつづる彼。
妻は戸惑いを装って、わたしのほうをちらちらと窺いながら。
それでも手を引かれるまま、腰掛けていたソファから立ちあがる。

由貴子・・・ユキコ・・・
離さない。死なせない・・・
母親に甘える幼な子のように、頑是なく。
男は断固とした口調で、支離滅裂な言葉を迷わせる。
夫婦のベッドのうえ。
はだけられたブラウスから、すこしずつあらわにされてゆく、白い肌。
首筋にしっかりと這わされた唇は、
さっきからどれほどの血液を抜き取ったことだろうか。
妻は蒼ざめた頬に、かすかな笑みを含ませながら、
主人が見てます。
熱っぽい求愛をあらわにする吸血鬼に、理性を取り戻させようとするのだが。
いいや!違う!
きみの主人は、彼ではない。私だ。
彼は、ただの夫なのだろう?きみは私の奴隷なのだろう?
聞き分けもなく言い募る男に、妻は苦笑いをうかべて。
困ったひと。
ぽつりと呟くと、心を決めたように、口ぶりをあらためて。
そう。あのひとはただの夫。ご主人さまは、あなた様おひとかた。つい、言い間違えてしまいましたわ。
吸血鬼の娼婦に、なりきっていた。
結婚の誓いを忘れて、淫らに腰をあわせても・・・かまわないというのだね?
ええ。
はっきりと、うなずく妻。
胸をぐさりと突き刺されたように。
わたしはかすかな呻きを洩らす。
あぁ、きみはわたしのことなど忘れてしまうというのかい?
心の問いが、とどいたものか。
いいえ。夫を忘れることは、できませんわ。
目線はまっすぐに、彼のほうへと向けながら。
声色は明らかに、わたしに向けられている。
忘れることはできないから・・・こうやって・・・見せつけてしまうのよ。
いけない妻ね。
自らすり寄せていった肌が、かすかな血の気を帯びている。
彼の首筋に這う細い指が。
まぐわおうとして沈み込んでくる臀部に応えてゆく腰つきが。
これ見よがしに、愉悦を滲ませている。
さあ、わたくしは、あなたの所有物(もの)。
犯し抜いて。辱め抜いて。恥を・・・忘れさせて。
ぎしぎしときしむベッドのうえで。
今夜も令夫人の操は、むさぼり尽くされてゆく。
吸血鬼は女を酔わせ、己も酔い、盗み見る夫さえも、酔い痴れさせて。
ひたすら、精をそそぎ込んでゆく。
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