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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

吸血鬼退治

2007年01月31日(Wed) 06:40:39

妻の帰りが、遅くなった。
いつも蒼い顔をして。それでいて、妙にウットリとした顔つきになって。
スーツの下に、ストッキングの伝線を滲ませたまま、帰宅するようになっていた。
いったいどうしたんだ?
たびたび問い詰めても、うわの空で受け流されてしまう。
妻は、浮気をしている。
絶対に、外で男をつくっている。
そんな妄想に苦しめられたころ。
いがいにも、妻のほうから切り出してきた。
好きな男のひとが、できてしまったの。
でもそのひとって・・・吸血鬼なんですの。
吸血鬼だって?明日家に連れてこい。そんなもの、退治してやるから。
妻は仕方なさそうに笑いながら。
けっこうですわね。わかりました。段取りいたしましょう。
けれどももしもあなたが仕損じても・・・わたくし怨んだりいたしませんわ。
不思議なことを、いうものだ。
その晩けれども妻は、わたしの腕のなか、いままでにないほど悶えて果てている。

とうとう夜が訪れた。
妻はいつも勤めに着てゆくえび茶のスーツに、薄手の黒のストッキング。
部屋を暗くしないと、現れてくれないわ。
言われるままに、電気を消して。
ソファに腰掛ける妻は、黒ストッキングのふくらはぎを、じゅうたんの上ゆったりと流している。
わたしは息を詰めて、木の杭を握り締め、じいっと様子を窺っている。
がたり。
窓ガラスが、音をたてた。
風だろうか?
いや・・・
錯覚ではなかった。
部屋のなか、黒い霧が立ち込めて、妻の周囲を取り巻いたのは。
まぁ、いらしたのね?早いじゃない。
妻はからかうように、呟いている。
呟きに応えるように。
影は人のかたちになった。
そのまま妻の肩に、なれなれしく腕をまわして、
早くも、うなじを吸いはじめていた。
ちゅう・・・っ。
気の遠くなるほど、濃い色に染まった音だった。

妻の体内から・・・じょじょに、少しずつ、血が抜き取られてゆく。
わたしはいままで思い描いていた意図も忘れて、ひたすら見入っている。
木の杭はとうに手から取り落としていた。
ちぅちぅ。きぅきぅ。
ひとをこばかにしたような、かすかな音を洩らしながら。
妻はまだ、血を吸い取られていっている。
口許に淡い、愉悦の色を浮かべながら。
そろり、と、ひざ小僧が崩れて。
上体がゆらりと、よろめいて。
そのまま、ソファに身を淪(しず)めていった。
そろそろと引き上げられる、タイトスカート。
うっとりするほどに肉づきのよい太ももが、あらわにされる。
薄黒いストッキングに、白い肌をじんわりと、にじませていた。
おいしそう。
そう、感じたときには。
やつが唇を押し当てていた。
そのままぐにゅり、ぐにゅりと・・・
ストッキングもろとも、脚を吸いはじめている。
太ももの周り、素肌によぎる淡い翳は。
みだらなひきつれをにじませて。
じわじわとよじれ、脚線から浮き上がってゆく。
あぁ・・・
芸術家が、作品を愛でながら仕上げてゆくように。
女の衣装はみだらにふしだらに、妖美な乱れを描いてゆく。
はだけられた衣装の奥から、こぼれるようにのぞいた白い肌。
すかさず吸いつけられた淫らな唇に。
うぅん・・・っ
妻はうめき、わたしはひそかなため息を洩らす。
昨晩賞でたばかりの、白い肌を。
巧妙な愛撫が、よりいっそうたくみに、なぞってゆく。
おれのものだ。おれだけのものだ。
そんな主張を、とおりこして。
やつは臆面もなく、妻の素肌を味わってゆく。
白い皮膚に秘められた、うら若い血をさぐるように。
深くしつように、べろの先でなぞってゆく。
上体をしならせて。乳首を震わせて。
男の求めに応じてゆく妻。
見せつけられながら、恥ずかしい昂ぶりにめざめてしまった私。
気品のあるタイトスカートは、腰までせりあげられてしまっていて。
キュッと折れ曲がったひざ小僧のまわり、
破れ落ちたストッキングがからみついて、ふしだらな情景を増幅させている。
あぁ・・・あぁ・・・
あえぎ声は、夜通しつづくのか。
深い寵愛に、女も、女のうえの男も、そして息遣いを抑える家のあるじも。
刻が過ぎるのを、忘れていた。

朝。
妻はいつもより早起きだった。
ベッドの上、目を覚ますと、もうことことと朝食の支度をしている。
濃い緑のスーツのうえ、エプロンを身につけて。
けれどもよく見ると。
首筋には夕べの名残が残っている。
どお?退治できましたか?
薄っすらと笑う顔は、すべてを察し、許している。
そうだね。退治するのはすこし、見送ることにしたよ。
いい心がけだわ。今夜もお招きしようかしら。
そのスーツも、明日はクリーニングかな?
あのひとが、洗ってくださるのよ。血がついた服は、出せないだろうからって。
お礼に、夕べ破いていただいたストッキングを差し上げているの。
そう。
今週はなん足、あげられるかな。亭主としても、気になるね。
やらしいわ。
妻はうふふ、と笑いかけ、すぐに笑みを収めて。
あらいけない。そろそろお出かけのお時間よ。
一瞬のちには、所帯持ちのよい主婦の顔に立ち戻っていた。
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