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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

服を引き裂く女

2006年01月28日(Sat) 06:40:00

深夜の路地裏。
男は黒衣。女は白一色。
スーツ姿のその女は、追い詰められた獣のようにブロック塀を背にしていた。
相手の男をひたと見つめる大きな瞳は、男を捉えて放さない。
なにかを切々と訴えかけてくるその視線に、女を追い詰めたはずの男は一瞬たじろいだようだった。
「吸血鬼さん・・・ね?」
女の問いに、素直に頷いてしまっている男。
「妹の血を吸ったのも貴方・・・なのですね?」
凍りついたような表情を無言の肯定と受け取った女はさすがに少しだけ躊躇いながら。
タイつきのブラウスにほっそりとした指を這わせていた。

びりり・・・

寒々とした街灯が、裂けたブラウスのすき間からのぞく白い肌をこうこうと照らし出す。
ぬるりとした艶を帯びた素肌が迫った息遣いを伝えて、かすかに上下していた。
男は微動だにせず、女の所作を見守っている。
チャッ・・・チャッ・・・
悲鳴に似た耳障りな鋭い音とともに、女は自分の着衣を引き裂いてゆく。
さいごに、浮き出る鎖骨とブラジャーのストラップのあいだに長い爪を差し込んで、
ぴちっ・・・と音を立ててストラップを断つ。
形のよい乳房を束縛するように男の視界から遮っていたブラジャーは、
はじけ飛ぶように女の胸から消え去った。
「妹とおなじようにして頂戴」
ひくい声が、怒りを帯びているようだった。
―――私を差し置いて、妹をさきに牙にかけたのね・・・?
女はあきらかに、先に酔わされた妹に嫉妬していた。

抱きすくめるむき出しの肩。
男は女を引き寄せて、うなじに唇をあてがった。
かりり・・・
かすかな音がしたように、女は感じた。
あうっ・・・。
ひくく呻き、眉をひそめて。
長いまつ毛をもったまぶたが、悩ましげに閉じられる。

引き裂かれた着衣ごしに唇を這わせ、噛んでゆく。
しつように重ねられてくる飢えた唇に、女は初めて満ち足りたように、薄い唇に淫らな笑みを滲ませていた。

さらけ出す 素肌にきざむ 愛の痕


あとがき
ひさびさの「詩歌」カテゴリです。
今回はちょっと趣向を変えて小説をからめてみましたが、お愉しみいただけましたでしょうか?
どちらが襲い、どちらが襲われているのか判別しがたいほどの熱い抱擁。
吸血鬼のまとう黒衣のうえからツタのようにからみつく女の白い腕などを思い浮かべていただけるとさらによろしいかと。^^

秋にオープンした悪鬼さまの「SM川柳」は、はや二万件のHITを数えたそうです。
来訪者はみな、畏敬すべきツワモノぞろい。
コメント欄に自作の川柳を書き込むと、あなたのブログの紹介ともどもアップしてくださいます。
ぜひいちど、御覧になってくださいませ。
http://akkikokoa.blog22.fc2.com/
上記のものも、コメント欄の片隅にひっそりと息づかせてみます。^^

後記
祥子様の「淑やかな川柳」、大変好調なようです。
先日つくった「娘の卒業式」、投句したものをもとにお話として再構成したのですが。
そういえば前にもそんなことやったっけなぁ・・・と思い出したのがこのお話。
去年の1月28日、かつての「吸血幻想」に掲載したものです。
お話そのもののできが、ちょっと地味なようなそうでもないような。^^;
よそ様からご覧いただくと、どのように見えますことやら。(笑)
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コメント

お久しぶりです。
ストッキングなしの話は初めてかも…。

妹に先こされた嫉妬の感情。女の人って自分が一番じゃないとイヤって感じですよね。逃げてたはずなのに、追いかけてこないと寂しいとか?

世間で言われる「女はワガママ」その通り!と思います。でもそれが「女の特権!」とも思います。
by 太陽
URL
2007-02-21 水 13:23:04
編集
>太陽さま♪
おひさです♪
>ストッキングなしの話は初めてかも…。
うおぉ。いみじくも鋭いご指摘です。^^;
ヒロインの熱情に、そこまで観察する余裕を失ったのかも。^^;
彼女、正直な人だと思うのです。
ふつーの女性だったら、こうまでむき出しに口に出さないでしょうから。
心の中では、思っていても。^^
でも。相手が想いを深く重ねた彼だったから、正直になれたのかもしれないですね。
by 柏木
URL
2007-02-22 木 00:31:24
編集

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