いつもやさしいサヨ小母さんも。
仲良しでおてんばなケイコちゃんも。
喉がかわいてきたときには・・・ただの食べ物にしか見えなくなる。
後ろから、とりついて。
しがみつくように、抑えつけて。
うなじにきゅうっ、と。唇をつけると。
あら、あら・・・
きゃっ!やだ・・・
ふたりとも、ろくにあらがいもしないで。
その場にひざを崩してくれる。
人心地がつくのは、
キュウキュウ音をたてて、喉の渇きがおさまるまで吸い取ってしまうころ。
人肌のぬくもりが。夢見心地な身じろぎが。
なによりも。
身体に満ちた、どんより澱んだなま暖かい血液が。
オレを我に返らせてくれる。
わざと組み敷かれていって、”獲物”を演じてくれた親しい女のひとたちを。
あわてて抱き上げて、介抱している・・・
いいんですよ。
ふたりとも、蒼ざめた顔に、微笑さえ漂わせながら。
じぶんから、スカートをめくってくれる。
小母さんの履いている、なよなよとした肌色のストッキングが。
ドキッとするほど、スベスベしていることも。
ケイコのお気に入りの、真っ白なハイソックスが。
オレに襲われるときにかぎって、いつも真新しくて、しなやかな舌触りのすることも。
とうに気づいていながらも、いやらしい舌のぬめりを抑えることができないでいた。
いちばん気になるのは。
部屋の向こうの廊下から、手持ち無沙汰にしながら、
母親や妹が襲われるのを、じっと覗き込んでいるあいつ。
お砂場で遊んでいるときに。さいしょに襲って。
我を喪わせてしまったあとは。
ろくに、襲った憶えはないのに。
どういうわけか。オレがもの欲しげな顔をしていると。
意味ありげな含み笑いを浮かべながら、近づいてきて。
うちに来るかい?
オレが強くうなずき返すような囁きを、口にして。
そこの電話ボックスから、わざわざうちに電話をかけて。
玄関に入るやいなやダッシュするオレのことを、
後ろからにまにまと見つめつづける。
だって・・・ママやケイコがキミに襲われちゃうと。
どういうわけか、ドキドキするんだ。とても・・・
誰にも言わないでね。と告げながら、そんなふうに囁くお前が。
なぜかオレよりも、ずっと大人びてみえた。
あとがき
吸血少年の追想です。
あとを続けるかどうか・・・どんなお話にしたものやらって思ったら、理性の世界に戻ってしまいました。A^^;