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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

慈善事業

2007年04月30日(Mon) 07:36:00

出かけてくるわ。
夕暮れ刻に妻がそんなふうに囁くときは。
かなり、あやしい。
白い頬に、謎めいたほほ笑みを薄っすらと浮かべて。
嘲るように、気遣うように。
かすかな声を、ホホ・・・と洩らしながら。
何処へ・・・?
と問うわたしに、待ち構えたように返される応えは。
慈善事業。
まだ少女のように初々しく透きとおる頬に、ポッとさしたバラ色が。
すべてを、物語っている。

結婚できない中年の独身者。
遊ぶほどのお金を持たない少年たち。
吸血鬼のもとに血を吸われに出向く妻たちを留められなかった、わたしの同類項。
そうした、夜のパートナーに不自由している男性たちを、慰めるため。
三々五々、家を忍び出て、夜の闇にまぎれ込んでゆく、人妻たち。
そんな人群れのなかに、ほかならぬ妻の影も交じってゆく、妖しい夜。

今夜はお義母さまも、ごいっしょなのですよ。
まるで華やかな夜会にでも出向くように、ウキウキと告げる妻。
あぁそれと。律子さんもお連れするんですよ。
律子さんは、息子の敦夫の婚約者。
女学生って、需要が高いの。ちょっぴり妬けるわ。
そういえば。
ご近所の独身中年氏が、制服姿の息子をつかまえて。
やっぱり若いお嬢さんは、いいねって。
囁かれた敦夫のやつも、くすぐったそうに笑っていたっけ。
姑ともども。息子の未来の花嫁ともども。
顔を並べ、隣り合わせに犯されてゆくというのだろうか・・・

そんなわたしの思惑も、知らぬげに。
白のタイトスカートの下、薄黒いパンストをむぞうさに脚に通していって。
ぐーんと伸びる薄手のナイロンが、白い脛を今夜も妖しく染めてゆく。
娼婦のように手馴れた身づくろいを、
いままで幾晩、見守ってきたことだろう。
バッチリとキメた、かっちりしたデザインの白いスーツ。
妖艶な気品をたたえた、黒のストッキング。
長い黒髪をきりりと結い上げてあらわにした白い首筋を。
まるで鶴のように気高くふりたてて。
薄い唇を真一文字に引き結んで。
ひっそりと出かけてゆく妻。
闇の向こうには、どんな男たちが待ち構えていて。
清楚に装ったスカートの奥、滾りたつ毒液をほとばせてゆくというのだろうか。
あくる朝、何事もなかったように清楚な笑みでわたしを勤めに送り出す妻。
それとなく家のまえを通りかかる、妻を犯した男たち。
ひと晩妻を共有したものたちの、露骨なまでの感謝のまなざしが・・・痛痒い。
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