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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

前作のあとがき。

2018年02月07日(Wed) 08:05:59

先日、ひどく体調を崩してしまったのですが、前作はそのときの夜、出張先で携帯で打ったお話です。
若干の加筆はしましたが、意外にお話のつじつまが合っていたので、ほとんどは打ったままを載せました。
布団の中でかなり症状に苦しみながら過ごした夜だったのですが、そのいっぽうでこんなことができてしまうのは不思議です。
お話作りは、苦痛からほかに注意をそらせるには、役に立ったような気がします。

交わりが拡がってゆく。

2018年02月07日(Wed) 08:00:52

木内には、女装趣味があった。
そして、長年の親友に吸血鬼がいた。
初めての出逢いは、真夜中の散歩のときだった。
吸血鬼は木内のことを女性として接し、生き血を求めた。
木内は自分を女装者と知りながら自分に分け隔てなのない態度で接してくる吸血鬼に好意を感じて、
求められるまま首筋を咬ませた。
その時木内が着ていたのは、セーラー服だった。
彼は血を吸い取られることよりも、大事にしていたセーラー服かを汚されないかを気にかけていた。
そして、それと察した吸血鬼が襟首を汚さずに吸ってくれたことに、さらに好意を覚えた。

木内には妻がいた。
彼女は夫の嗜好に、常識的な婦人としてはまことに当然な嫌悪感を抱いていた。
血液を吸い取る代償に、女装をしての深夜の散歩のエスコートをするというふたりの関係にも、
女性としての直感から、胡散臭さを感じていた。
けれども彼女は人並みに夫を愛していたし、
ふだんは紳士的な物腰である夫の親友にたいして、会釈を交わす程度の間柄にはなっていた。
賢明な彼女は、相手が吸血鬼だというだけでむやみと相手に垣根を作ろうとはせずに、
実害の及ばない範囲では夫の親友に対する礼儀を忘れなかったのだ。

3人の間にあった均衡が破れたのは、木内が妻に、
「きみも良かったら」と、自分の親友のための血液の提供をもちかけたときだった。
木内夫人はいずれ自分の番がまわってくる予感をかねてから抱いていたので、
自分でも意外なくらいあっさりと、夫の提案を承知した。
夫と親友との親しすぎる関係が、やや過度すぎる献血を夫に課するようになっていて、
彼女は妻として、夫の健康に気遣いを感じるようになっていたからだ。
あるいは、ふたりの男性の関係に、ある種の嫉妬を感じ始めていたのかも知れない。

夫人は夫の親友と二人きりで逢うのは心細いと訴え、そのような折りには夫にも同席してほしいと懇願した。
木内は親友の意向を訊いたが、もとより無理をお願いしたのは私であるから、奥方のもっともなご意向に沿いたいと応えた。
木内はある種の予感を胸に、罪悪感とえもいわれぬ歓びとにゾクゾクしながら、当日に臨んだ。
彼はまず夫人に手本を見せるため、女性の姿で夫人の前にたち、自らの首筋を咬ませた。
木内は洋装の喪服姿だった。
やがてそれが、夫人の貞操を弔う衣裳となることを、彼はすでに十分予感していたのだ。

貧血を起こして昏倒した木内の傍らで、吸血鬼は木内夫人の首すじに噛みつき、血を吸った。
彼にとっては念願の、熟れた人妻の生き血だった。
吸血鬼の親友が最愛の妻を相手に嬉しそうに血を啜るのを、木内もまた嬉しげに見守った。
夫人は気丈にも、恐怖の念を押し隠して夫の親友の相手をつとめ、
白い素肌に夫ならぬ身の唇を這わされながら、40代の人妻の血潮をふんだんにあてがったのである。

木内夫妻の心尽くしを悦んだ吸血鬼は、その場で木内夫人を犯した。
夫人は唐突な求愛に戸惑いながらも、夫の目の前での行為を受け入れた。
夫がそうすることを望んでいると、直感したからである。
初めての交わりは夜明けまで続き、男ふたりはひとりの女を代わる代わる愛し抜いた。
一見すると輪姦でしかなかったかもしれないその行為を受け容れながら、夫人は、
いま自分の身に行われていることが、ひとりの女を二人の男が共有するための儀式なのだと直感した。
そして、その直感は正しかった。
木内夫人もまた、日ごろの賢夫人としての振る舞いを取り戻して、
予期していなかった関係をためらいなく受け入れていた。
賢明な彼女は、今後は夫の親友のために、自らの生き血を過不足なく提供することを約束し、
寛大な夫はその際必然的に生じる男女の関係を許容すると誓った。
親友が望んでいるのは、彼の妻を木内夫人のまま犯し続けることだと、熟知していたからである。


ひとつの関係はさらに別の関係の糸口となり、それはさらに新たな関係の契機となる。
吸血鬼と木内夫妻との関係が、まさにそれであった。
木内夫人は子をもつ母親としてのたしなみと遠慮を持っていた。
夫に対してもそうであった。
木内は妻の身代わりの献血行為を率先することで妻の身を庇おうとし、
夫人は夫の親友に接するときには、自分が希望しているのはあくまでも夫への貞節を守ることであり、
いまは心ならずも彼の欲望に従っているという態度を取り続けた。
それでも内心まで偽ることのできなかった彼女は、自分でも不思議に感じるある願望を抱くようになった。
時を遡って処女の頃に吸血鬼と出逢って、自らの純潔さえ捧げたかったと熱望するようになったのだ。
その願いは夫である木内の知るところにさえなったが、
親友である吸血鬼に進んで最愛の妻を与えた彼は、妻が吸血鬼に抱いた気持ちをむしろ尊重さえしているのだった。

実現不可能にみえた夫妻の願望を、別の意味でかなえたのは、彼らの一人娘だった。
夫妻は自分たちの大人同志としての関係を子供たちと分かち合うことを避けていた。
人並みな親として、息子や娘の将来に、人並みの幸福を期待していたのだ。

均衡が破れたのは、ある冬の日のことだった。
○学校の卒業を控えた娘が帰宅したとき、幸か不幸か親たちは家を留守にしていた。
待ち受けていたのは、喉をからからにしていた父親の親友だった。
彼女は彼の正体を親から聞かされていて、あまり近寄らないようにと注意さえ受けていた。
しかし彼女は苦しんでいる年上の親しいおじ様の苦境に同情して、自分のことを咬んでも良いと告げた。
少女は吸血鬼のもてなしかたを、かねてから垣間見ていた母親の振る舞いから、よく心得ていたのだ。
透き通るストッキングを穿いて脚を差し伸べる母親に倣って、その場にうつ伏せになると、
よそ行きのときだけに履く真っ白なハイソックスのふくらはぎに、唇を吸いつけられていった。
少女は自分の生き血をおいしそうに吸い上げられるチュウチュウという音にうっとりと聞き惚れながら、
真新しいハイソックスの生地になま暖かい血潮をしみ込まされてしまうのを、ドキドキしながら感じ取っていた。
親たちが帰宅したときにはもう、すべてが終わっていた。

少女はパパのお友だちでママのナイショの恋人でもある小父さまに、処女の生き血をプレゼントすることを、
指切りげんまんをしてお約束してしまっていた。

木内夫妻の長男は都会の大学を出て、就職先も都会の会社だった。
重役の娘に見初められて、結婚間近だった。
血は争えないもので、彼もまた父親と同じく婦人の装いを嗜んでいた。
そして、そのことを未来の花嫁に知られることを、ひそかに恐れていた。
彼は両親の口から意外な近況を聞かされると、その週の週末には恋人を伴って、実家に姿をみせた。
将来を誓いあった男性の実家に招かれて、重役令嬢はなんの疑いもなく、婚約者に帯同されてこのひなびた街へと脚を踏み入れた。
透き通った白のストッキングに包まれた初々しいふくらはぎが、垣間見る者を魅了したなどとはつゆ知らず。

その日、都会育ちの善良なお嬢様は、桜色のスカートスーツのすそを深紅に染めて、
自らの体内に宿した、うら若く健康な血潮を、気前よく振る舞う羽目になった。

荒っぽい歓迎ぶりに、さすがに顔色をなくした彼女だったが、
しつように吸いつけられる卑猥な唇に素肌を馴染ませてしまうのに、さほどの時間はかからなかった。
吸血の因習を避けて都会暮らしを選んだはずの長男だったが、
いったんあきらめをつけてしまうと、すでに母と妹を堕落させてしまった吸血鬼と互いに打ち解けあって、
いまは婚約者に告げずに逢瀬をくりかえすようになった未来の花嫁のあられもないありさまを、
ワクワクしながら覗き見するようになっていた。
重役令嬢は、恋人の貧血を補うために身代わりになるという婚約者のために、彼が彼女の服をねだることを許した。
日ごろの悩みを解消することができた青年は、妖しい儀式の待ち受けるお邸に、
理解ある婚約者と2人肩を並べて出入りするようになった。

幼かった妹にも、彼氏ができた。
まだ年端もいかぬ少年でしかないはずの彼は、自分の恋人と吸血鬼の関係を受け入れることに同意して、
その証しに未亡人である母親を吸血鬼に紹介した。
吸血鬼が母親の首すじに唇を迫らせて、喪服を脱がしてゆくありさまのいちぶしじゅうを見届けてるはめになった彼は、
自慢の母親が堕ちるのを目の当たりに、未来の姑が嫁の不倫の頼もしい共犯者になると確信したのだった。

このようにして、ひとつの好意はいくつもの好意を呼び寄せた。
世間なみの幸福を子どもたちに望んだ親たちは、自分と同じ道に堕ちた彼らといままで以上に交わりを深め、
そうした交わりは妖しい歓びをともにできる者たちの間だけで拡がりつづけた。

おおぜいの人間から血液の提供を受けるようになった幸運な吸血鬼は、仲間に自慢したという。
俺は夫と妻、その息子と娘、その婚約者や恋人とその母親たち――合わせて8人もの女をモノにしているのだ、と。


【付記】
冒頭部分を、弊ブログの読者である”霧夜”さまがビジュアル化されています。
詳細はコチラ↓
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-3575.html

【付記2】
木内の妻が夫に伴われて吸血の場に臨むまでのシーンが、”霧夜”さまによってビジュアル化されています。
詳細はコチラ↓
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-3578.html

異形の影

2018年02月04日(Sun) 06:36:48

秋の夕暮れの、週末のことだった。
息子は塾に行って帰りが遅く、わたしは暑さの残る昼間のけだるさに、つい午睡(うたたね)をしていた。

異変に気づいたのは、まどろみが目覚めにかわるころだった。
隣室で、クチャ・・・クチャ・・・と、妙に生々しい音が洩れてきたからだ。
ドラキュラものかゾンビの映画で生き血を啜っているシーンか、人肉を喰らっているシーンに出てきそうな音だった。
その部屋は和室の居間で、妻が寝ているはずだった。

わたしは恐る恐る部屋を出て、廊下にまわった。
居間へは直接に行けず、いちど廊下に出なければならない間取りだった。
ふらり、と、わたしの目のまえを、異形の影が横切った。
だれ・・・?と思う間もなく、そいつはこちらのほうをふり返った。
居間の前まで出て横目に見た妻はさいごに見たときと同じようにたたみのうえに自堕落に横たわり――
そして、首から血を流していた。
妻の身に起きた異変を見たか見ないかのうちに、異形の影はわたしに取りついて、無防備だった首を咬まれた。
咬まれた痛み以上に、万力で抑えつけるような猿臂の力に、わたしは思わず悲鳴をあげた。
異形の影はわたしの叫びに構わず、首すじに刺し込んだ牙でさらに皮膚を深くえぐり、
ドビュっとほとび出た血を、それは美味そうに啜り取っていった。
さっきまで妻が、同じ目に遭っていたのだ・・・と、こんどはすぐに察することができた。
わたしはたちまち貧血を起こし、その場にくたくたとへたり込んだ。

邪魔者が倒れたのを見て取ると、異形の影は思い直したように回れ右をして、ふたたび妻の入る居間へと戻った。
一瞬だけかいま見た妻の様子は、あきらかに日常と違っていた。
首すじから血を滴らせ、顔色は鉛色だった。
放恣に伸びた両脚は、スカートをまくり上げられて太ももまであらわになり、
その太ももには半透明の粘液が、ヌラヌラと忌まわしくまとわりついていたようだ。
妻はあのとき、息をしていたのだろうか?

昏倒したのは一瞬のことで、失血で不自由になった身体をいざり寄らせるようにして、わたしは居間をのぞき込んだ。
世の亭主ならふつうそうするように、妻を救わねばならない――と思ったからだ。
目のまえに、妻の両方の足の平が見えた。
片方はストッキングを脱がされていて、ふたつの足の平のあいだに、異形のものの腰が見えた。
腰は、スカートをたくし上げられた妻の臀部に深く食い入り、激しい上下動をくり返していた・・・
居間の入り口まで身を運ぶのがやっとで尽きてしまった自分の体力を、わたしは呪わずにはいられなかった。
わたしは居間の前の廊下で横倒しになったまま、妻が犯される様子から視線を放すことができなくなっていた。
彼が欲望を果たして、眠りこけた妻の頬に別れのキッスをしてしまうまで。

彼が身を起こしたとき、その下敷きになっていた妻の顔色は、まえよりも良くなっていた。
抜き取り過ぎた血を戻したのだ――と、わたしは直感した。
あとから親密になった彼から聞いたのだが、抜き取り過ぎたどころではなく、
いちどは一滴余さず吸い尽してしまっていたという。
たまたま通りかかったわたしの血で喉を潤して満足したので、
無用の殺生はしまいと思い直し、もういちど妻のうえにのしかかったのだという。
ちなみに、さいしょの吸血の段階で、すでに妻の貞操は喪われていた。
彼女は唐突な侵入者に生き血を吸われ、性の快楽におぼれながら、
彼が必要とする血液を唯々諾々と提供し続けてしまったのだ。
侵入者は、一家のあるじの肩を親し気に抱き、謝罪とも感謝ともとれる会釈を残し、音もなく立ち去った。

「黙っていて」
妻は必死のまなざしでわたしに訴えた。
そろそろ、息子が帰る刻限だった。
わたしたちはとりあえず、目のまえで起きてしまったことには目をつむり、
状況を隠ぺいするための共犯者同士として行動した。
息子が玄関のドアを開けたてする音が家の中に響いたとき、
妻はいつものように夕餉の支度に台所に立っていて、わたしは別の部屋で消えやらぬ懊悩にまだ悶々としていた。

異形の影の来訪は、その後も続いた。
わたしが居合わせたときにはまず、わたしのほうに現れた。
いつも唐突な現れ方をするので、無防備に首すじを噛まれて、血を抜き取られてしまうのがつねだった。
そのうちにわたしは、そうされる行為に快感を覚えるようになっていた。
思い切り刺し込まれる牙の強引さに。
生き血を激しく抜かれるときの、無重力状態のような頼りなさに。
わたしの血を呑み込む喉が心地よげに鳴る音で、相手の満足感が伝わってくることに――
その後決まって襲われる妻もまた、無抵抗だった。
異形の影が近づくとすすんで身を任せ、相手の欲望に自らをゆだねていった。
失血で身体の動きもままならないわたしは、妻の襲われている現場まではどうにかたどり着くことができたが、
侵入者により凌辱を妨げることができなかったばかりか、むしろいちぶしじゅうを見せつけられてしまうのがつねだった。
わたしは嫉妬のあまり激しく射精し、すべてが終わったあと妻は、廊下に広がった精液を表情を消してぬぐい取っていった。

異形の影の来訪は、決まって息子のいないときだった。
彼の来訪は、しぜんと予感することができるようになった。
妻がいつになく化粧を濃くし、身なりをこぎれいに改めるからだ。
そうすることで、妻が彼の侵入行為を断固拒絶しているわけではないことを、察せざるを得なかった。
出し抜けに背後から羽交い絞めにして、おとがいを仰のけて、首すじにがぶりと咬みついて、
こぼれた滴りが着衣を汚すまで続けられる。
貧血を起こした妻がうつ伏せに倒れ臥してしまうと、もの欲しげに頬を弛めてにじり寄って、
ストッキングを穿いたふくらはぎを舐めはじめるのが、行為の始まりだった。
先に失血したわたしは、横倒しに倒れた廊下からそのようすを、見せつけられるように覗きつづけた。
きちんと穿かれたストッキングの生地が、舌の誘惑に負けるように皺くちゃになり、
ヌラヌラとしたよだれをあやしながら引き破られてゆくのを、ジリジリしながら見守っていた。
「黙っていて」
すべてが終わると妻はきまり切ったようにそう囁いて、ふたりは情事の痕跡を消すことに熱中した。

だいぶあとになってから、聞かされた。
さいしょに咬まれたのは、じつは息子のほうからだったと。
半ズボンを脱がされた息子は、異形の影の腰の勁(つよ)さを一番さいしょに体験させられて、
お母さんにもこういう目に遭ってもらおうよと誘われて、つい気軽にOKしたのだという。
そして、塾には行かずに家にとどまり、わたしとはちがう部屋からいつものぞき見していたのだという。
はじめのころは、母さんが血を吸い尽されないかと心配していたけれど、
父さんが自分の血を吸わせるようになってホッとしたころからは、むしろ愉しんで視ていたという。
その彼は年ごろになると、親密になった異形の影に恋人を引き合わせて、処女の血を愉しませるようになった。
異形の影が自分の恋人に惚れ込んで、望まれてしまうのならかなえてあげようとさえ思っていたほどだったが、
影はむしろ、息子が恋人と順当に結婚するのを望んだ。
そして若い夫婦の同意のもと、わたしたち夫婦と同じ関係を取り結ぶことに成功した。
いまごろはきっと――相応の年齢になるふたりの息子が、親たちの密かな愉しみに魅せられ始めているかもしれない。

ふしだら母さん ~スリップ一枚の寝乱れ姿~

2018年01月24日(Wed) 06:31:48

「アー、夕べは楽しかったわ~」
寝室から現れた母さんはスリップ一枚のあられもない姿。
乱れた髪の毛を手串で解かしながら、洗面所にむかった。
真っ赤なスリップ一枚に、びりびりに破けたねずみ色のストッキング――
このごろすっかり見慣れてしまった、寝起きのスタイルだった。

父さんがいなくなったすぐ後に、母さんは吸血鬼に襲われた。
喪服のスカートの下に穿いていた黒のストッキングに、相手の吸血鬼が目の色を変えたのだ。
さすがに母さんはちょっとだけ抵抗したけれど、
スカートの中にまさぐり入れられた淫らな指に、あっという間にマイッてしまう――
父さんの写真のまえで散々に犯された母さんは、以来情夫を真っ昼間から家にあげる、淫乱女に堕落していた。

「なにひとのことじろじろ見てんのよ。さっさとあんたも支度しなさい」
洗面所から出てきた母さんは、上からバスロブを羽織っていて、母親の尖った眼をちょっとだけ取り戻していて、真っ赤なスリップからはみ出そうなおっぱいを無意識に目で追った高校生のぼくを、叱りつけていた。
自分はふしだらにも、「あぁ極楽極楽」なんて言いながら、それでも朝ごはんのまえには父さんの写真のまえで律儀にお線香をあげ、手を合わせることだけは忘れない。

吸血鬼が真夜中しか出没しないなんて、嘘だ。
母さんの情夫である吸血鬼の小父さんは、いつも我が家に真っ昼間から出没する。
彼とぼくとの間には、ちょっとした黙契があって――ぼくが勝手にそう思っているだけかもしれないが――母さんがスリップ一枚で小父さんを迎えるのを見て見ぬふりをする代わり、ぼくが時々二人が淫らにまぐわっているのをのぞき見するのを、そ知らぬ顔してやり過ごしている。
案外母親との情事を息子に見せつけて愉しんでいただけなのかも――って気づいたのは、だいぶあとのことだった。

「視てたでしょ」
一戦終えた吸血鬼が立ち去ったあとも、寝室のふすまのこちら側でぼうっとしていたぼくを見とがめ、母さんは睨みつけた。
「あぁ、視てたよ、良い眺めだったから」
平然と答えてしまったぼくもまた、母さんのアブノーマルな血を受け継いでいるのかも。
そう思ったときにはもう、覆いかぶさって来た母さんの下敷きになって、
真っ赤なスリップからはみ出かけた母さんのおっぱいを、夢中になって揉みつづけてしまっていた。
いつも穿いているねずみ色のストッキングは太ももまでの丈だったと、スリップの裾に手を入れたことで初めて知った。
毒を喰らわば皿まで――そんなことしか頭になくなって、
「濡らしてもいいから思い切りしなさい」
と囁く母さんの言うままに、白く濁った粘液をびゅうびゅうと吐き散らして、スリップを浸してしまっていた。
「ほら、父さんも悦んでいるじゃない」
ぼくに抱かれた格好のまま、母さんは楽しそうな上目遣いで、父さんの写真をふり仰ぐ――
不覚にも、とんでもない場所でしてしまったと知ったぼくを、母さんは逃がさなかった。
手慣れた手管でぼくの腰を抱いたまま、ぼくの精液をしぼり取るようにして、
なん度もなん度も、果たさせていった――

吸血鬼以外にも、ぼくの家にやって来る男たちがなん人もいた。
彼らはいちように、吸血鬼の小父さんに妻を寝取られた夫たちだった。
連れ添った女をモノにされた代償に、母さんとのエッチを許されたという。
母さんの貞操は、完全に吸血鬼の私物と化していた。
ぼくは母さんと彼らとのセックスも、半ば公然とふすまのすき間から覗いて愉しむ、いけない息子になっていた。
「好きにしなさい。気になるんだったら、別に覗いてもいいよ」
自分の情事を隠そうとしない母さんは、ぼくにもあけすけにそんな風に言って、
「するのも愉しいけど、視るのも愉しいもんなんだね」
と、ぼくのことをからかった。
そういうときの母さんは、かつてしつけに厳しかった母親の目ではなく、
熟女の情婦の目つきだった。

「ね、あんた結婚しなさいよ」
真っ赤なスリップ一枚の母さんは、今朝も寝乱れた髪を手串で解かしながらリビングに現れて、だしぬけにそんなことを切り出した。
「エッ、急にどうしたの?」
訝るぼくに、母さんが言う――

うちに出入りしている男のひとの親類でね、良い娘さんがいるの。
お母さんも、きれいな人なの。
それで、あんたと婚約したらさ、小父さんに襲わせてあげようよ。
処女だったら、処女の生き血を愉しめるし、
もう男を識っていたら、すぐにその場で犯しちゃうし。
そうしたらさ、その子に知られても、母さんとあんたで、堂々とエッチできるじゃん。
どのみち小父さんはあんたのお嫁さんをモノにする。
お嫁さんが小父さんと浮気している間は、母子で楽しもうよ。
そのうちお嫁さんも小父さんにたぶらかされちゃって、
きっと自分のお母さんのことも、手引きするようになるから。
あたし、先方のお父さんを引き受けてもいいって、小父さんに言っといたから。
あんた、視る愉しみのほうも、増えるからね・・・

母さんは狂っている。
そんな母さんと同じ布団のうえで寝物語をして、頷いてしまっているぼくも、やっぱり狂っている――

【イラスト】正義の味方なき怪人物語~吸血怪人!チスイヒトデ きみも顔が蒼くなる!

2018年01月22日(Mon) 06:30:12

稚拙なものですが、前作のイラストをあっぷしてみます。
果たして見やすい感じで載りますかどうか・・・

本編のURLはこちら↓
【素案】正義の味方なき怪人物語~吸血怪人!チスイヒトデ きみも顔が蒼くなる


180121040★
チスイヒトデはワタル少年の足許を這い上ると、ライン入りのハイソックスの上から血を吸い始めました。

180121072★
ワタル少年は貧血を起こしてその場に倒れてしまいましたが、
チスイヒトデはまだ飽き足りないらしく、もう片方の脚にも取りついて、ワタル少年の血を吸い取ったのでした。


180121256★
突然現れた真っ赤なヒトデ状の怪人に、お母さんは悲鳴をあげてその場に尻もちを突いてしまいました。
チスイヒトデは動転してしまって動けずにいるお母さんの足許に這い寄ると、
ひざ丈の緑色のスカートから覗くふくらはぎによじ登り、
肌色のストッキングの上からお母さんの血まで吸い始めたのです。

180121320★
チスイヒトデは、うつ伏せに倒れてしまったお母さんの両脚から血を抜き取ると人間体に変態して、
裸体のまま、お母さんにおおいかぶさっていきます。


180121343★
血を吸われて洗脳されてしまったワタル少年も、お父さんまでも、
お母さんが犯されてゆくのを面白そうに見守りつづけていました。


180121136★
ワタル少年はタカシくんに迫っていって、足許にかがみ込むと、
ポケットからチスイヒトデを取り出して、タカシくんの脚になすりつけました。
「うわ、わ・・・っ!」
叫び声の下、チスイヒトデはみるみる変色して、
タカシくんの履いているひし形もようのハイソックスの上から、この少年の血を吸い取ってしまったのです。

【素案】正義の味方なき怪人物語~吸血怪人!チスイヒトデ きみも顔が蒼くなる!

2018年01月21日(Sun) 06:44:02

引っ込み思案のワタル少年は、きょうも独りで公園で遊んでいました。
独りベンチに腰かけていたワタル少年の足許に忍び寄るのは、怪人チスイヒトデ。
子どもの手のひらくらいの大きさで、ふだんは土や草など、周りの色に同化して見分けがつきにくい生き物です。
チスイヒトデは音もなくワタル少年の足許に這い登ると、
ワタル少年の履いているライン入りのハイソックスのうえから、血を吸い始めたのです。
「アッ!なんだこれっ!?」
声をあげたときにはもうすでに遅く、チスイヒトデはワタル少年の血で真っ赤になりながら、
強烈な勢いで血を吸いあげてゆくのです。
「ウ、ウ~ンッ・・・」
ワタル少年は貧血を起こして、その場に倒れてしまいました。
チスイヒトデはまだ飽き足らないらしく、もう片方の脚に取りついて、ワタル少年の血を吸い取ってしまいました。

「ただいま」
玄関でぽつりとそう呟くと、ワタル少年はすっかり蒼ざめてしまった顔を視られないようにと、
すぐに勉強部屋へと引き上げてしまいました。
チスイヒトデはワタル少年の脚から離れて壁の色と同化しながら台所に移動して、
こんどはお母さんの血を狙います。
そこにちょうど、お父さんが勤めから帰宅しました。
チスイヒトデは目標を変えて、まずお父さんの脚に取りついて、血を吸い取りました。
「あらッ!?お父さんどうなさったのですか!!?」
急にその場に倒れてしまったお父さんに、お母さんはびっくりして駆け寄ります。
そのお母さんのエプロン姿に、チスイヒトデは素早く迫っていったのです。
突然現れた真っ赤なヒトデ状の怪人に、お母さんは悲鳴をあげてその場に尻もちを突いてしまいました。
チスイヒトデは動転してしまって動けずにいるお母さんの足許に這い寄ると、
ひざ丈の緑色のスカートから覗くふくらはぎによじ登り、
肌色のストッキングの上からお母さんの血まで吸い始めます。
「あ・・・あ・・・アァ~」
お母さんは悲鳴をあげますが、夫婦の血で真っ赤に変色したチスイヒトデを引きはがすことはできません。
穿いているストッキングがパリパリと裂け目を拡げて、
その下に透きとおるお母さんの白い肌も、ワタル少年のときのようにみるみる蒼ざめていったのです。

チスイヒトデは人妻の血を吸うと、人間体に変態する習性を持っていました。
そして、人間体になると、居合わせた女という女を襲って犯してしまうといういけない習性も持っていました。

チスイヒトデは、うつ伏せに倒れてしまったお母さんの両脚から血を抜き取ると人間体に変態して、
蒼い身体の裸体のまま、お母さんにおおいかぶさっていきます。
お母さんの間近に倒れていたお父さんは、顔をあげるのが精いっぱいでした。
自分の妻が醜い怪人に襲われて、みるみる血を吸い取られて、あげくの果てに犯されてしまうのを、
ただぼう然と見つめるばかり。
ワタル少年もいつの間にか二階の勉強部屋から降りてきてお父さんの背後に立ち尽くすと、
家族に隠していた蒼い顔をさらして、
お母さんがエプロンを着けたまま犯されてしまうのを、面白そうに眺めていました。
お父さんもワタル少年も、血を吸われたために、二人とも洗脳されてしまっていたのです。
二人はにやにやと含み笑いを泛べながら、
チスイヒトデがお母さんの血を美味しそうに吸い尽したり、
緑色のスカートをお尻がみえるほどまくり上げられて侵されてしまうのを、満足そうに見守りつづけていました。

こうして、ワタル少年の家は、チスイヒトデによって家族全員が吸血されて、たったひと晩で征服されてしまったのです。

翌日の夕方、ワタル少年はいつものように独りでベンチに腰かけていました。
そこに通りかかったのは、いじめっ子のタカシくんです。
「よう、何独りでいじけてんだよ。学校だって、ずる休みしたんだろ!?」
タカシくんはワタル少年に邪慳に突っかかっていきました。
テストで悪い点を取ったりすると、いつもそんなふうにワタル少年のことを小突き回して、愛さを晴らしているのです。
でもこの日のワタル少年は、いつもと違いました。
俯いていた顔をあげると、いつもと違ったふてぶてしい笑いを泛べて、タカシくんのことを視かえしたのです。
タカシくんはワタル少年の顔色の蒼さにビクっとして、
「お前、その顔色どうしたんだよ??」
と叫びました。
ワタル少年はタカシくんに迫っていって、足許にかがみ込むと、
ポケットからチスイヒトデを取り出して、タカシくんの脚になすりつけました。
タカシくんの履いていたひし形もようのハイソックスの上で、チスイヒトデはピンク色に変色して発情します。
「さあ、こいつの血を吸い尽すんだ」
チスイヒトデの仲間になってしまったワタル少年がそういうと、形勢逆転、いじめっ子のタカシくんは初めて怯えた顔になりました。
「うわ、わ・・・っ!」
叫び声の下、チスイヒトデはみるみる変色して、
タカシくんの履いているひし形もようのハイソックスの上から、この少年の血を吸い取ってしまったのです。

「そのヒトデ、きみにあげるよ。家に持って帰って、お母さんの血を吸い取らせてあげるといいよ」
蒼い顔を近寄せて囁くワタル少年に、やはり蒼い顔になってしまったタカシくんは肯きかえすと、
「こんどから、仲良くしような」
「ウン、指切りね」
と言いました。
ふたりは、同じチスイヒトデに血を吸われることで、仲良しになったのです。

「じゃあね、チスイヒトデ。タカシくんの家族の血を吸ったら、また戻っておいで。
 父さんも、きみが母さんのことを征服するのをまた視たがっているんだ。
 母さんを襲ってぼくたちを夢中にさせてくれたら、またお友だちを紹介するから。
 ぼくはもう、独り遊びはやめて、友だちをおおぜい作るから。
 いろんな人の血を、きみに吸わせてあげるために・・・ね」

誘拐ごっこ

2018年01月19日(Fri) 07:40:30

ぼくの住んでいる街では、「誘拐ごっこ」が流行っています。
本当の誘拐ではないので、被害届は出されません。
誘拐されるのはほとんどが結婚している女の人で、
その人のことが好きな男の人たちが、女の人本人や、その人のご主人の小父さんと示し合わせて行います。

狙った女の人に声をかけるのは、勤め帰りとか、買い物帰りとか、あまり迷惑のかからない時間帯を選びます。
専業主婦の場合は、子ども達が学校に行った後とかが多いみたいです。
声をかけられた女の人は、ご主人の小父さんの手前ちょっとだけイヤそうな顔をしたり、いちどは断ったりしてみますが、
最終的には連れていかれます。
連れていかれる場所は、街はずれの廃ビルとか、郊外の草むらとか、人目のないところです。
男の人はたいがい2~3人組で、連れてきた女の人をその場で襲います。
女の人は、服を脱がされ、おっぱいをまる見えのされたりしながら、犯されてしまいます。

女の人には、ご主人に連絡を取ってもいいことになっています。
たいがいの場合は小父さんに、
「誘拐されました。私の着替えをもって、何時にどこどこに迎えに来てください」ってメールします。
14時に誘拐されたら16時とか、17時に誘拐されたら20時とか、ちょっと遅めの時間に来てもらうようにお願いするのです。
どれくらいの時間誘拐されているのかは、男の人の人数や仲の良さでちょっとずつ違うみたいです。
小父さんのほうも慣れていますし、誘拐犯の男の人たちは友だちだったりする場合があるので、
奥さんが指定する時間よりもわざと少しだけ遅れていったりします。
逆に、早く行って、自分の奥さんが襲われているのをのぞき見をして面白がったりする、いけない小父さんもいるみたいです。

ぼくのお母さんも、このあいだ誘拐されました。
誘拐したのは、ぼくの友だちのユウくんとマサルくんと、マサルくんの弟のマサシくんです。
3人はぼくの家に電話をかけてきて、「お母さんを誘拐しちゃった、面白いからきみもおいでよ」と言ってくれました。
ぼくはびっくりしてお父さんに電話をしましたが、お父さんは仕事で来るのが遅れるって言いました。
「裕也はあと1時間くらい待ってから行ってあげなさい、父さんもあとから行くから」
というので、電話をくれたユウくんと話し合って、あと30分したら行くことにしました。
時間が早めになったのは、ユウくんやマサルくんやマサシくんがぼくのお母さんにしていることを、見せつけたいからでした。
ぼくはお母さんのたんすの引き出しから、いつも見慣れているワンピースを取り出して、
ドキドキしながら誘拐現場に行きました。
誘拐現場は、放課後の学校の、ぼくたちのクラスの教室でした。
ついこのあいだの父兄参観で、お母さんも来たばかりでした。

教室につくと、もう誘拐ごっこが始まっていました。
お母さんは、見慣れたねずみ色のスーツを着ていました。
でも、白いブラウスはボタンがはずれていて、その下に着けていたブラジャーもひもが切れていて、
おっぱいがまる見えになっていました。
すごく小さいころに視たッきりだったおっぱいを、仲良しのユウくんが唇を吸いつけて、
チューチュー音を立てて、夢中になって吸っていました。
まるでユウくんが赤ちゃんになって、お母さんの子供になっちゃったみたいな、変な気分でした。
マサルくんはお母さんのはいている肌色のストッキングを面白がってビリビリと破いていました。
大人の女の人がはくストッキングが、子供の手でむしり取られていくのが、
なんだかお母さんがマサルくんに征服されちゃうみたいな感じがして、ぼくはちょっとドキドキしてしまいました。
いちばん年下のマサシくんは、なんとママとキスをしていました。
お母さんも自分のほうからキスにこたえていっていて、自分のことを誘拐した三人組の男の子とすっかり仲良くなっちゃったのを知りました。
ぼくだけのお母さんを、他の男の子たちに征服されてしまったのです。

お母さんをとられてちょっとさびしいような、仲良くなってうれしいような、不思議な気分だったけど、
ユウくんにうながされてぼくもお母さんとキスをしました。
お母さんの唇はなんだかなま温かくて、柔らかくて、さいしょのうちはとてもヘンな気分だったけど、
そのうちに慣れてくると、母子で夢中になってキスのやり取りをしちゃっていました。
そのあいだにマサルくんは、お母さんのストッキングを脚からむしり取って、ぶら下げて見せびらかしてきました。
「じゃあ始めるからね」
とユウくんがいうので、キスをしただけで終わりじゃなかったんだと思いました。

ストッキングとショーツを脱がされたお母さんは、スカートも太ももが見えるくらいまでたくし上げられていました。
お母さんは、男の子たちに、「順番よ、乱暴にしないでね」と言いました。
みんな素直に「ウン」と言うと、その場でじゃんけんをして、順番を決めました。
ぼくはお母さんの子だからという理由で、じゃんけんからははずされて、いちばん最後にすることになりました。
最初がユウくん、それからマサシくん、さいごがマサルくんでした。
マサルくんはマサシくんに、「弟のくせにお前のほうが先なんだな」って言いましたが、マサシくんも負けていません。
「兄ちゃんがお嫁さんをもらったら、ボクが先に犯してあげる」とか言い出したので、
お母さんは、「兄弟げんかしないでね」って、注意していました。

順番が決まったので、まずユウくんがお母さんのうえにのしかかりました。
ユウくんは半ズボンを脱ぐと、お〇ん〇んをまる出しにして、お母さんのねずみ色のスカートの奥に忍び込ませていきました。
そして、まる見えになったお母さんのおっぱいを唇に含みながら、お母さんにしなだれかかるようにして、体を寝そべらせていったのです。
とってもいけないことをされているんだ・・・って、直感的にわかったけど、
ユウくんにはそれをやめてほしくない気がしました。
ほかの2人の男の子も、「セックスって初めて見る、すげえ」って、目を輝かせてぼくのお母さんに見入っていました。

ユウくんはお母さんの上に馬乗りになって、ギュウギュウとお尻を押しつけるようにしていましたが、
やがて、小さな子みたいにおもらしをしてしまいました。
ユウくんのおもらしはお母さんのスカートや太ももを濡らしましたが、おしっこと違って、白っぽくてネバネバしていました。
ユウくんは、おしっこをし終わったみたいなスッキリした顔になって、マサシくんにあとをゆずりました。
鼻息荒くお母さんに組みつこうとしたマサシくんを、マサルくんはお兄ちゃんらしく「待て待て」といって引きとめて、
お母さんの太ももを濡らしたユウくんのおもらしをふき取りました。
「きれいにしてからやるもんだぞ」と弟をたしなめたマサシくんは、いつものようにやっぱり、きちょうめんでした。
ぼくのお母さんにしがみつくようにして挑んだマサシくんのあとは、
マサルくんが「うふー」と嬉しそうな声を洩らして組みついていって、お母さんのことを犯しました。
ユウくんが「ちょっとたまらなくなってきた」と言い出したので、
ぼくをはずしてもういちど、今度はユウくん、マサルくん、マサシくんの順番で、お母さんを犯しました。
みんなお〇ん〇んをむき出しにして、お母さんがお勤めの時に着けているスカートの奥におもらしをして行くのを、
ぼくは不思議な気持ちで視ていました。

「さあ、こんどは裕也の番だぜ」
ユウくんがぼくをうながすと、マサルくんも「親子でかけ合わせちゃおう」っていいました。
相手がお母さんだとそんなにいけないのかな?って思ったけど、
小さいころから見たことのなかったお母さんの裸にドキドキしながら、
無抵抗なお母さんのうえに身体を重ね合わせていきました。
知らず知らずおっきくなったぼくのお〇ん〇んをユウくんがつまんで、むぞうさにお母さんのまたの奥へとくっつけました。
それからなにがどうなったのか、ぼくにもよくわかりません。
お母さんはぼくのことを今までになくギュッと抱きしめて、気がついたら夢中になって、ぼくもおもらしをしてしまっていました。
「いい子だね、気持よかった?」とお母さんがきくので、気持ちよかったと正直にこたえると、
お母さんは、「ほかの男の子にもやらせてあげようね」っていいました。
それから暗くなるまで、だれも来ない教室のなかで、ぼくたちは代わりばんこに、お母さんとエッチを楽しみました。

「あっ、小父さんが来た!」
ユウくんが声をあげました。
見ると、教室の入り口にお父さんが立っていました。
勤め帰りだったのか、まだ背広を着ていました。
「こんばんは」
お父さんのこともよく知っていた3人の男の子たちは、悪びれもせずに夜のあいさつをしました。
「やあ、こんばんわ」
お父さんも愛想よく、子どもたちにあいさつを返しました。
「みんな初めてだったの」というお父さんに、
「ぼくは2人め。ママとしたから」とユウくんがいいました。
「ぼくも2人め。相手は母です」とマサルくんもいいいました。
いちばん年下のマサシくんが「ぼく5人目!」と声を張りあげると、
マサルくんは、「ウソつけ、初めてだったくせに」といいました。
「じゃあマサルくんは、きょう男になったんだね、おめでとう」
お父さんは自分の妻を犯した男の子たちに、すごく寛大でした。
「女の人が欲しくなったら、小母さんのことを誘拐してもいいからね。でも、よそで悪さをしてはいけないよ」
さいごの発言はとても大人だなって、ぼくは思いました。

学校を出ると、みんなで「おやすみなさい」を言って、別れました。
ぼくたちだけになると、
お母さんはお父さんに「おかえりなさい」とだけ言って、
お父さんはお母さんに「おつかれさま」とだけ言いました。

それ以来。
ぼくは誘拐犯のグループの仲間入りをしました。
四人でお互いのお母さんを誘拐し合ったり、
どのお母さんも都合がつかないときには、ぼくのお母さんを家から連れ出して、
空き教室や廃ビルや近くの公園で仲良くしました。
いつも厳しいお母さんを、よその男の子が征服してしまうのは、とても不思議な気がしています。
同時に、ふつうのエッチよりもいやらしい感じもします。
でもぼくたちは、お母さんを取り替え合うといういけない遊びに、それこそ夢中になってはまり込んでしまったのです。


――あれから20年が経った。
わたしが結婚をしたとき、新婚妻に最初に挑みかかったのは、あのマサシだった。
マサシがパンストフェチになったのは、母から勤め帰りのストッキングをねだり取ったあの日以来だったというけれど、
わたしの妻からも、ウェディングドレスの下にまとった純白のストッキングを、むしり取っていったのだった。
わたしたちはこの街で大人になって、いまでも棲みついている。
そして息子たちが大きくなって色気づいてくると、お互いの妻を融通し合って、
決められたルール通りに誘拐させ合うようになっている。
子ども達に誘拐された母親たちは、自分たちが襲われて犯されることで、
子ども達に性の大切さや女の人のいたわり方を身をもって教え続けている。
きっと息子の代になっても、彼らは譲り合い気づかい合いながら、妖しい生を愉しみ合っていくのだろう。

月にいちどのお務め。

2018年01月17日(Wed) 07:42:00

月にいちど。
村はずれの荒れ寺に、都会妻たちが集められ、村の男衆に奉仕をする。
都会に棲めなくなった夫婦ものを引き受ける、村の出張所が主催する、お愉しみ行事なのだ。

熟女・若妻・新婚妻までも取り交ぜて、
パーティードレスにワンピース、よそ行きのスーツや着物、果ては喪服姿まで、
思い思いの衣装に着飾った都会妻たちは、
自宅に夫たちを残して、さりげなく家を抜け出して、
ウキウキとしたようすなどおくびにも出さずに、三々五々集まって来る。
そのくせお互いさぐり合うように、
あの人嫌々来ているのかしら。
ほんとうは目あての男がもういるのじゃないかしら。
そんなふうに、互いに互いの顔色を窺いながら。

お寺の本堂に集められた女たちがなにをされるのか、
おめかしして出かける妻を送り出した夫たちを含めて、だれもが知っている。
女たちは皆、
着物の襟足をくつろげて、
ブラウスのボウタイをほどかれて、
ロングスカートを腰までたくし上げられて、
ストッキングをひざまでおろして、
ショーツを自分から、つま先まですべらせて。
息荒くのしかかって来る男どもを、それとは劣らぬ熱い吐息で迎え入れてゆく。

夜明け近くになったころ。
その晩あったことなどはおくびにも出さず、
私は貞淑なのよといわんばかりに楚々として、妻たちは帰宅の道をたどる。
ふだんとは違う眼の色をした夫たちをまえに、
妻たちは見え透いた弁明をくり返す。
私だけはなにもなかったの。だれにも挑まれたりしなかったの。
危なかったけど、さいごまで貞操を守り抜いたの。って。

でも夫たちは、知っている。
目のまえの妻の着崩れした衣装が、
ほつれた乱れ髪が、
破けて引きずりおろされたストッキングが。
必要以上のことまで、白状してしまっているから。

そうでなくても、夫たちの一部は、もっとよく知っている。
そういう夫たちは、素知らぬ顔で妻を送り出した後、
自らもこっそり、妻のあとを尾(つ)けてお寺に出向いて、
本堂の向こう側から、覗いて見届けてしまっているから。
妻たちがどれほど積極的だったのか、
どれほど不熱心に、身に降りかかる恥辱を振り払おうとしたのか、
そしてどれほど熱っぽく、彼らの劣情に接しつづけたたのかを。

そうした夫たちを持つ妻たちもまた、
夫に覗かれていると知りながら、清楚な衣装とはおよそ不似合いな、これ見よがしな痴態に耽り抜いて、
あなたごめんなさい感じちゃってるのとか、
主人のものよりおっきいわあ、あなたのほうが素敵♪とか、
あらぬことまで口にする。

そうした妻たちをモノにする村の衆もまた、情婦の夫をそそのかして、
女房の様子が気になるんだろ?
思い切って覗きに来いよ。
あんたの目のまえで、母ちゃんよがり狂わせてやっからよ。
見届けるのも、夫の務めってもんだぜ と。

それでも夫たちは、いそいそと妻のあとを追う。
ひっそりと、妻の帰りを待ちわびる。
月にいちどのお務めが済んだあと。
そこにはいまだかつてないほどの、熱っぽい夫婦のまぐわいがあるのだから。

村の回覧より~先日の美野家ご一家の婚礼について

2018年01月17日(Wed) 07:12:55

皆さまご承知の通り、去る9月×日、田貫家において、
令息要之助様と美野家令嬢の美織様との婚儀が、滞りなく挙げられましたことを改めて報告します。

夜の披露宴には、
新婦美織様のご母堂規矩子さま並びにご夫君の富晴様、
ご令兄の辰夫様と夫人の雅恵様、
叔父市晴様と夫人の由香里様もご臨席賜り、盛大を極めた席となりました。

ことに都会のお美しいご婦人方の黒留袖姿に村の男衆は魅了され、
お三方のご令室様はお1人の例外もなくその場を去ることなく、くり返しの凌辱を受けられました。
先に献血を済まされたご夫君たちは、他の男性と打ち解けてしまったご令室様のご様子を目にして潔く観念をされ、
意気投合した男衆たちのため、ご自身から改めて、永年連れ添ったご令室様の貞操を譲り渡すと申し出られたのでした。

一夜明けて、ご一家はお召し物を直されたあと長老の染谷瓢右衛門氏の来訪を受け、
お祝いのご挨拶をお受けになられました。
特にご令室がたの奥ゆかしい応対にはご褒詞があり、ご夫君方はいたく恐縮されたよし。
また、お三方のご令室様は乱れたお着物の着付け直しを受けられ、行き届いた応対に感謝されたよし。
村独特の荒っぽいあしらいに、ご一家は最初のうちこそ驚いたご様子でしたが、
すべてが親愛の情によるものだとすぐにご理解をされ、
あとは潔く、永年連れ添われたご令室様を自然のなりゆきにゆだねられていきました。

白日の下、はだけられた黒留袖の装いからさらけ出された白い柔肌に男衆たちは驚喜し、
その後のお召し替えでは、都会ならではのモダンな洋装に思い思いに装われたご令室様に、いちように称賛を送りました。
もとより通りいっぺんの称賛ではなく、
そのあと三人ながら納屋に引きずり込まれて、心のこもった歓待を受けたのはいうまでもありません。

「まるで母と妻の貞操を処刑されているようでした」とは、辰夫さんの弁。
まさに言い得て妙、この儀式を済まされたご令室様がたは、都会の日常の合間を縫って当村を訪れ、
都会妻でありながら村の男衆の気持ちを込めた愛撫を受ける日々をお過ごしになられることでしょう。

新婦美織さんのご令妹である沙織さんは、まだ未経験の乙女であるため、大人の席には加えられず、
けなげにも村の長老様につききりで、うら若い血潮を吸い取られるご奉仕を尽されました。
美織さんの兄嫁である若妻の雅恵さんは、お名前の通り優雅な恩恵を村の男衆に与え尽されましたが、
都会のご実家に小さいお子様を置いてのご来訪。
これからもお子様を都会において、夫の目を盗んで泊りに来るとのことでした。
ご親戚のご令室である由香里様は、「今度は息子の嫁を連れてきますね」と明るくお約束をしてくださいました。
「まだ息子以外の男を識らないようだから、早く愉しませてあげたい」との、頼もしい弁。

今後は当村を訪れる都会妻がまた、増えることが期待されます。
ご令室様方のご健勝と、理解あるご夫君方のご活躍を、当村の男衆一同、心から願うものであります。

晩夏の挽歌~婚礼の翌朝

2018年01月17日(Wed) 06:46:49

まだ暑さののこる時分のことだった。
美野辰夫はさっきからぼう然と座り込んだまま、庭先にかしましい蝉しぐれを、聞くともなしに聞き入っていた。
広い座敷の奥からは、木立ちの豊かな庭の野趣あふれる風情を見通すことができた。
眩しい朝――しかしそこには、清々しいばかりではないなにか不健全に澱んだ空気が、そこかしこに漂っている。
さっきまで。
この部屋で行われていたことがただならぬ狼藉であったことは、
周囲に散らばった髪飾りや黒留袖、金襴の帯などが、露骨なほどに物語っていた。
散らばされた衣装のあるじである辰夫の妻の雅恵は、白の襦袢だけを羽織らされたまま、
やはり放心状態で、夫とはやや距離をおいて座り込んでいた。

ふたりの首すじにそろってつけられた、二つの赤い斑点。
吸血鬼による咬み痕の周りには、吸い残された血潮が数滴、まだ生々しく滲んでいる。
ふたりがぼう然としているのは、失血のせいもむろんあったが、それ以上に奪われたものが大きかったのは、周囲の状況から明らかだった。
この村に棲む吸血鬼が人妻を襲うとき、獲るものは生き血だけではなかったから。

ふすま越しにこちらに人が歩み寄って来る気配を感じ、辰夫は背後のふすまのほうに目を移した。
妻の雅恵も同じように、夫以上にビクッとして、ふすまの向こうを見通そうとした。
足音の主に害意がないのは、歩み寄る気配の穏やかさでそれと分かった。
足音の主は、二人だった。
彼らが居ずまいを正す間もなくふすまが静かに開けられた。
そこには辰夫の両親の姿があった。
父の富晴は紋付きを、母の規矩子は黒留袖を着つけている。
もっとも母の黒留袖はなんとなく着ずれしている感じだったし、
昨日美容院で数時間かけてセットしたという髪は、乱れ髪をかろうじて抑えたというふうであった。
二人とも、首すじには若い夫婦と同じ赤黒い痕を、毒々しく滲ませていた。
「だいじょうぶ?」
規矩子は母親らしい気遣いを、息子に投げた。
雅恵のほうをわざと見なかったのは、恥辱の名残りをまだありありとさせている嫁に対する、別の意味での気遣いだった。
雅恵も姑とは目を合わせずに、かすかに会釈を返しただけだった。

やや遅れて、着物姿の老女が一人、そそくさとした足取りで現れた。
気が利いているのか利いていないのか、乱暴狼藉の痕跡もあらわな若い嫁のようすを目にすると、
「あっ、これはどうも・・・」
と、少し耳障りな声をあげて、
「では、若奥様もお直しを・・・」
と、こんどは事務的な声色になって、雅恵の手を取った。
容赦ないほど事務的な扱いに、むしろ雅恵はすんなりと応じて、少しよろけながらも、ともかくも起ちあがる。
老女は周囲に散らばった雅恵の衣装を手早くかき集めると、
「では、しばしのあいだ、ごゆるりと・・・」
と、目立たぬ含み笑いで残りの三人を見比べて、雅恵を促し、奥の部屋へと消えていった。
まるで雅恵自身がもとからいなかったかのような鮮やかな姿の消し方だったことに、辰夫はなんとなく安堵を覚えた。
老女のやり方は、明らかに慣れていた。
きっとこの屋敷では、過去にもこうしたことがしばしば、起きているのだろう。

父親の富晴が息子になにか言いかけたとき、
縁側の廊下から一人の老人が姿をみせた。
夕べ行われた華燭の典を取り仕切った、この村の顔役だとすぐにわかった。
老人は、すでに齢は還暦をはるかに越えて、人の好い枯れきった爺様という穏やかな風情をしている。
瓢右衛門と名乗るその老人は、折り目正しく正座すると、三人の前で三つ指をついて深々と頭を垂れた。
老人のあくまで律儀で恭しい態度に引き込まれるように、富晴も、規矩子も、辰夫までも、いちように座り直してきちんとした会釈を返していく。
彼は、初めて彼ら一家のまえに現れたときと寸分たがわぬ、もしゃもしゃとした老人特有のしわがれ声で
「おはようございます。瓢右衛門でございます。よきお目覚めでしょうか。
 このたびは、まことにおめでとうござりました」
といった。
「ありがとうございました」
ついそんな返事を返して、三人はいちように「しまった」という表情をした。
老人が言っているのは、夕べの婚礼に対してではないと直感したのだ。
三人の思惑を態度で察したらしく、瓢右衛門氏はすぐに言った。
「いや、いや、ほんとうにおめでたいのですよ。
 都会のご婦人方のご来訪など、この村ではめったにないこと。
 皆の衆も、たいそうな悦びようでしてな・・・
 花嫁の美織様はたいそうな気に入られようで、まだ殿方のお相手に励んでおいででございます。
 当地の嫁入りのしきたりでしてな、他所の土地から嫁にくるおなごはだれもが通る道なのでございます。
 ふた晩、三晩かけてでも、皆の衆と仲良うなってから、ここでの暮らしが始まるのですぢゃ」
「あの・・・沙織のほうはどうしているのです?」
さっきから気づかわしそうにしていた規矩子が、花嫁の妹の名を口にした。
老人はおうむ返しにこたえた。
「ご安心めされませ。沙織様はまだ殿方のご経験がないとわかりました。
 お若いお身体ですから、献血のほうはそれ相応にお願いいたしましたが、
 ご心配されておられるようなことは、なにもございませぬ。
 当村では、処女のおなごは貴重ですのでな」

「あの・・・由香里叔母さんと市晴叔父さんは・・・」
辰夫がいっしょに都会から来た叔父夫婦のことを気づかうと、
「ご安心めされませ。市晴様は当地の男衆たちとさっそく意気投合されましてな。
 ご令室の由香里様の晴れ姿を、いまでもあちらの離れでご一緒にお愉しみになられておいでです。
 お盛んな方のようで・・・村の女衆も交えてですから、お互い恨みっこなしということでしょうかの」
老人のこともなげな応えで知った弟の態度に、富晴はさすがにあっけにとられたようすだったが、
傍らの規矩子が囁くように、意外なことを言った。
「郷に入りては・・・ということかもしれませんね・・・」
「まさかお前!?」
富晴はびっくりして、永年連れ添ったはずの妻を、見知らぬ別の女でも見るような目で視かえしたが、
規矩子はそれには構わずにつづけた。
「ひととおりのごあいさつをしなければ、この村から出ることもできないのでしょう?」
続けはしたものの、そこまでが規矩子の限界だった。
「でもちょっと私・・・恥ずかしいわ・・・息子だっているのに」
妻の悩まし気なためらいように、今度は富晴がいった。
「いや、ごもっともです。それにしても、こう申してはなんですが、変わったお土地柄ですな。
 ふだんからこのようなことをくり返しておられるのでしょうか?」
「エエ、そうですな。身内の恥を申すようですが、かくいう私も新婚そうそう、家内を寝取られましてございます。
 嫁入り前の身体から生き血を啜り取られて、すっかり参ってしまったのでしょうな。
 彼らは夜這いの時には、地酒を持ってまいりましてな、亭主殿にしたたかもてなして、酔いつぶしておいて、
 それから嫁御に挑むのですな。地酒と引き替えに、嫁の身体を・・・というわけでございましてな。
 エエ、娘も、息子の嫁も、皆々そんなふうにして、夜は姿かたちを変えるのですぢゃ。
 誰もが恨みっこなしで、人の嫁を、娘をと、群がり集いましての。
 婚礼などのような晴の席は、おなご衆も着飾ってまいりますから、そうしたことの格好の場なのですぢゃ」

ひとしきり話が済んだころに、黒留袖を着つけ直してもらった雅恵が現れた。
どことなく着ずれしていて、髪型も不自然にまとめられているのは、姑と同じだったが、
とにかくも宿までは歩いて帰れそうな感じだった。
「お身の回りのものは、お宿から引き払って当屋敷でお預かりしておりますぢゃ。
 後ほどお部屋にご案内いたしますでの。
 落ち着かれたらまた・・・ここにお出でなさいませ。
 なに、いきなり男衆がおおぜい群がるような無作法なことはございません。
 そういうことは、得心がゆかれてからのほうがお愉しみいただけるものですからの。
 お気持ちが据わられたら、このお座敷で、お昼のご用意などさせていただきますでの」
――要は、昼前に腹を据えて、妻たちを差し出す気持ちを固めろ・・・ということなのであった。

結局、富晴も辰夫も、自分たちの妻を村の男衆に提供することに同意した。
女たちはいちようにためらいを見せ、恥じらったが、
「できれば少しでもお手柔らかに」とまで言う夫たちに逆らうこともできず、
着付け直された黒留袖のまま、渋々のように男衆の待つ席へと足を向けた。
男衆どもが、都会の奥様方の着物姿をもう一度おがみたいと望んだためだった。
夫たちも、ためらいながらもその場に立ち会った。
そして、夕べと同じ落花狼藉が、真昼間の庭先で再現されるのを、息をのんで見守った。

「母と雅恵の貞操を処刑されているうようだった」と、あとで辰夫は語る。
むき出された白い柔肌が黒留袖に映えるありさまが、母ながらなまめかしかったと。嫁ゆえに悩ましかったと。

「まさに、晩夏の挽歌でしたな。しゃれにもなりませんが」と、凌辱の現場で富晴もひとりごちた。
「お察ししますよ」老人は応じた。「でも、良い眺めでござんしょ?」
老人の言いぐさに富晴はちょっとためらいをみせたものの、素直に肯きかえしていた。
女たちは今や恥を忘れて、夫たちに見せつけるようにして、
身につけた礼装にはおよそ不似合いな、露骨な痴態に耽っている。

テルヤと紗栄子と僕。

2018年01月17日(Wed) 05:23:57

いけすかない、虫が好かん。
幼なじみのテルヤを見るたび、紗栄子は必ずそういって毒づいた。
高慢ちきな美少女にとって、村はずれの貧しいあばら家に棲むテルヤなどは、軽蔑の対象でしかないらしい。
それとは真逆に、テルヤと仲良しの僕は、大病院の院長の息子。
地元の名士の御曹司と、街で評判の美少女とは、将来を誓い合った仲だった。
そんな紗栄子のことを、テルヤがいつも遠くから、もの欲しげな目で見つめるのを、僕は見逃していなかった。


ああッ・・・
ダメだよッ・・・
この、ヘンタイッ・・・
村はずれの納屋でのことだった。
良家の子女にあるまじき口ぎたない言葉で罵りながら、
紗栄子はのしかかってくるテルヤをどうすることもできなくなっていた。
テルヤは紗栄子の上に馬乗りになると、紗栄子の首すじにガブリと喰いついて、
むさぼるように血を吸い取った。
ひいッ、何するのよッ!
美少女は声だけは手厳しく相手を叱りつけたけれど、
押しつけられた唇を引き離すことは、とうとうできなかった。
テルヤは日ごろの引っ込み思案な自分をかなぐり捨てて、紗栄子の首すじを露骨に吸って、
ちゅ、ちゅ~と聞こえよがしな音まで立てて、若い血潮を吸い上げる。
そして、紗栄子の身体から力を抜けてしまうと、藁の上にうつ伏せになったふくらはぎににじり寄って、
こんどは脚に唇を這わせた。
テルヤのような家の子がめったにありつけるものではないはずの、
いいところのお嬢さんハイソックスが、いやらしい唾液に浸されてゆく。
しばらくの間ハイソックスの舌触りを愉しむように舐めまわすと、
テルヤは吸いつけた唇にグッと力を込めた。
紗栄子の履いている真っ白なハイソックスが、たちまち赤黒いシミに濡れた。
毒々しいシミがじわじわと拡がっていくのを、ほとび出る血潮のなま温かさで感じるのか、
紗栄子は悔し気に歯がみをする。
なだらかな肉づきをした紗栄子の脚に、僕は心ひそかに執着していた。
けれどもその侵すべからざる脚に、テルヤは僕の彼女と知りながら、
臆面もなく唇を吸いつけて、
欲望のままにむさぼって、
ハイソックスの舌触りを愉しんで、
吸い取った血潮でためらいもなく汚してゆく。
これは、僕にはできない愛しかただった。

僕はそのようすを、物陰からじいっと見つめるばかり。
どうして助けないのか?って?
僕は知っているから。
紗栄子はきょう、部活があるから先に帰ってと僕に言った。
でも、紗栄子は帰宅部で、どんな部活にも参加していない。
先に僕を帰した後、テルヤと示し合わせて、彼の家の近くの納屋で落ち合って、
生き血を吸い取らせてやっているのだ。
相手を口ぎたなく罵りながら、形だけは意に反して無礼なあしらいを受けてしまったというていをとりつくろって。
そんないけない習慣を、いつから身につけたのか。

テルヤは正直に、語ってくれた。
学校帰りに待ち伏せをして、ところも同じこの納屋に彼女のことを追い詰めて、
白のハイソックスの脚を辱め抜いてしまったのだと。
僕の彼女だと知りながら、でも僕の彼女だからこそ、征服してみたかったのだと。

きみは紗栄子と結婚すればいい。
でもできたら、きみのお嫁さんと逢わせてくれないか?時々でいいからさ。
ぼくはきみには恥をかかせないし、ぼくたちの関係を笑うやつがいたら、ぼくがただではすまさない。
だから、きみの嫁を襲わせてくれないか?
紗栄子が生娘でも、人妻になっても、ぼくは彼女の生き血を愛しつづけていたいから――

まるで恋人に気持ちを告白するような真剣な態度で、テルヤは僕にそういった。
僕は、正直に言ってくれてありがとうとだけ、テルヤにこたえた。


ふん、いけすかない。
ふたりで歩いている僕たちを気づかって、きょうもテルヤは会釈だけしてすれ違ってゆく。
たったそれだけのことなのに。
紗栄子はテルヤの存在自体が我慢できないと言わんばかりに、テルヤを嫌悪しつづける。
裏では僕には告げずに部活だと言ってはテルヤと示し合わせて、
あの真っ白なハイソックスで装ったふくらはぎを、惜しげもなく咬ませちゃっているというのに。
その想像をするたびに、僕の胸ははげしくジンジンと騒ぐのだ。
血が騒ぐって、こういうときにいうのだろうか?
未来の花嫁が襲われて、衣装もろとも汚されてゆく光景を視るといういけない歓びに、
ぼくはいつの間にか目ざめてしまっていた

きょうは部活だから。
見え透いた口実で僕を遠ざけるとき、紗栄子はちょっとからかうような顔つきで、僕の横顔を盗み見る。
彼女もまた、未来の夫に見せつけるといういけない歓びに、目ざめてしまっているに違いなかった。


あとがき
昨日あっぷした前作を描いた直後、同工異曲のお話がもう一つ泛びました。
たいとるを前作と似せているのは、そのせいです。
いまほどサッと手直しをして、あっぷ♪

良太と真由美と僕。

2018年01月16日(Tue) 08:11:21

「イヤだよ、きょうのハイソックス、白なんだもん」
僕の彼女になった真由美は、学校帰りに良太にせがまれて、血を吸われそうになっている。
それを物陰からひっそりとのぞき見している僕は、やはりいけないことをしているのだろうか?
きのう良太に血を吸われて貧血になった僕は、学校を休んでいた。
そういうときは、良太は僕に遠慮なく、真由美といっしょに下校するのが常だった。
彼氏を征服した男は、彼女を支配する権利があるんだ――良太は憎まれ口をたたくけれど、
内心しんそこぼくたちのことを好いている彼の言葉の裏には、毒はなかった。
それでも、生身の男としてもじゅうぶん真由美に恋着している彼は、よく意図的に僕の血を吸い過ぎて、僕を欠席に追い込むのだった。

「ちょっと待ってよ!白の日はダメって言ったじゃん・・・」
真由美の非難は、徐々に語勢を弱めてゆく。
すでに良太は真由美の足許にかがみ込んでいて、
プリーツスカートの下から覗くふくらはぎに、舌を這わせ始めている。
「やだ・・・みんな見てるよ、恥かしいよ・・・」
気の強い真由美がおろおろするのを面白がって、いっそう露骨に舌をふるいつけて、真由美のハイソックスの舌触りを愉しむと、
「じゃ、そこの草むらで隠れてしよ」
そういうと、大人しくなった真由美の手を引いて、肩ほどの高さのある雑草の彼方へと、身を沈めていったのだ。

ガサガサとかき分けた雑草のかなた。
真由美は四つん這いになって、それ以上の無防備な姿勢は許すまいと歯を食いしばりながら、
それでも恥ずかしいことをされる自分の足許が気になるのか、チラチラと目線だけは、泳がせている。
ほど良く発育したふくらはぎの柔らかそうな肉づきを包む、真っ白なハイソックス。
その上から良太は臆面もなく唇を吸いつけて、真由美の血を吸い始めていた。
ぼくの彼女になった真由美の血を。
履いている通学用のハイソックスを、意地汚く咬み破りながら。
そんないけない光景を目にしてドキドキしてしまっている僕は、もっといけないことをしているのだろうか?

やがて二人は、草むらから出てきた。
そして何事もなかったようなそぶりで、
良太は真由美の制服のスカートの上からおしりを触ろうとし続けて、
真由美は触らせまいとして手を払いのけ続けながら、
お互いの手と手とは裏腹なありきたりな会話をはずませながら、家路をたどっていった。
ただの仲の良いカップルの何気ない下校風景に見えたけれど、
少女の履いている真っ白なハイソックスのふくらはぎに、赤黒いシミがべっとりと着いているのがいっそう唐突で、
ぼくの網膜を狂おしく彩っていった。


そよぐスカートのすそから入り込んでくるそらぞらしい冷気。
まったく経験のなかった感覚に戸惑いながら、僕は真由美から借りた制服を、真由美の手を借りながら身につけてゆく。
サイズがひとまわり小さい紺のハイソックスは、いつも履いている自分用のものよりも強く足許を締めつけてきて、
やはりひとまわり小ぶりなサイズのブラウスが、胸元に揺れるリボンが、真由美の髪型に似せたウィッグの毛先の揺れが、
まるで真由美自身がグッと身近に寄り添うように、僕の身体を拘束する。

きのうしたたかに血を吸い取られた真由美は、白い顔をしていた。
まだ吸い足りないっていうの・・・
困り顔の真由美のために、ぼくはとっさに口走っていた。
「身代わりに僕が、きみの制服を着て良太に逢おうか・・・?」
真由美は驚いたように息をのんだが、案外いいアイディアかもね、といって、自分の制服を僕に貸すことに同意してくれた。
真由美に誘いの電話をかけてきた良太に事前にそう告げると、歓迎するよ、と、言ってくれた。
そして、傍らの真由美に聞こえないよう声をひそめて、
「実は、前からそうしてもらいたかったんだ」
と、彼はいった。
貴志なら女子の制服、似合いそうだから・・・
彼の言いぐさに内心ズキリとしたのは、いけないことだったのだろうか?
なにも知らない真由美は、「貴志ったら本物の女の子みたい♪」と、ただ無邪気に笑って僕のことをからかっていたけれど。


「責任、取りなさいよね」
真由美の声は、いつになく尖っていた。
声が尖って、当然だった。
卒業を明日に控えたその日の夕方。
村はずれの納屋でのことだった。
真由美は藁の上に組み敷かれたままの姿勢だったし、
良太は果たしてしまった後、まだ真由美の上におおいかぶさったままの格好だった。
行為に及ぶ前にしたたかに血を抜かれたぼくは、ただ惚けたように、納屋の一番隅っこで、ふたりのいちぶしじゅうを見せつけられていた。
「僕、責任取るから」
弱々しい声色だったけど、われながらきっぱりと言い切ることができた。
そう、お嫁入りまえの娘が男と仲良くすることは、この村では厳しく禁じられていた――そう、表むきだけは。
真由美は僕の声にはっとすると、素直な声色になって、「ごめん」とだけ、いった。
僕はかぶりを振って、真由美に応えた。
「そんなことない。僕も内心、こうなると良いと思っていたから」
それは真由美のためについた嘘だったけれど、どこまで嘘だったのか、いまでも確信を持てなかった。
でも案外、それは本音だった。
つい最近知ったことだけど、良太はすでに女を識っていた。
相手が僕の母だと知った時、良太にすべてを支配されることが、ひどく心やすいもののように感じることができた。
それに――
真由美の身代わりに、真由美の制服を着て、真由美になり切った僕と逢ったとき。
良太はいつもよりたっぷりと僕の身体から血を吸い取って、もちろん真由美のハイソックスもくまなく咬み破ったあと、
逆立った股間を真由美のスカートの奥へと、沈み込ませてきた。
自分でもびっくりするほど素直に受け止めてしまった僕は、彼のお〇ん〇んの剛(つよ)さをしんそこ味わわされて、
この快感を真由美にも体験させてやりたいと感じていた。
なぜかとても素直に、そう感じることができたことにも、歓びを覚えることができた。
吸血鬼に恩恵を与えるためだけではなくて、人間の男子として真由美を良太と共有できることが、嬉しいと感じた。
そのために、僕は今日、女になったのだ と・・・。

「罰としてあたし、結婚してからも良太と逢うから」
制服を着崩れさせて藁まみれになったまま、真由美は不貞腐れたような声色で、僕に毒づいた。
「いいよ、できればそうしてあげてほしい」
僕はドキドキを抑えながら、そう応えた。
「ウン、わかった。これ、貴志の嫁の務めだと思うことにする」
真由美はぽんぽんと男のように受け答えする。
「きみを良太と分け合うことができて、嬉しいよ」
良太はさすがに、ちょっとのあいだ言葉をさしはさむのを遠慮していたが、
ふたりのやり取りがおだやかにおわると、おずおずと言った。
「ありがと、貴志。ところで、もう一度だけしても、良いかな?」

何事もなかったように納屋から出てきた三人は、
真由美をはさんでいつものように仲良く、どうでもいいやり取りをしながら家路をたどった。
道行く人は、真由美のスカートから覗く太ももに血が垂れ続けているのに気がつくと、いちようにぎょっとしたが、
ぼくたちが気にせずに歩いて行くのをみると、なにも見なかった顔をして通り過ぎていってくれた。

卒業式前夜の納屋ではじけた情熱を、ぼくたちはきっと、生涯忘れることはないだろう。


あとがき
爽やかな青春日記・・・ではない、ですかね・・・? ^^;

同級生のハイソックス

2018年01月15日(Mon) 08:26:07

その当時貴志の学校では、
半ズボンにハイソックスといういでたちは、良家の令息のステータスだった。
貴志も毎日、詰襟の制服の代わりにブレザー姿で登校していた。
校則は、とくに良家の子女にはゆるやかだった。

貴志の幼なじみの良太は、幼いころから吸血鬼だった。
吸血鬼と人間とが共存しているこの街では珍しくない、半吸血鬼の家系だった。
貴志は良太の母に頼まれて、学校で良太が飢えたときに自分の血を吸わせてやるようになっていた。
本人同士はもとより、母親同士が仲が良かったのも幸いした。
色気づいて来た良太のために、貴志の母親が筆おろしの相手になってやったことを、このころの貴志はまだ知らない。

良太は、ハイソックスに執着する性癖を持っていた。
喉が渇くと貴志のいる教室に行って、授業中でも構わず貴志のことを呼び出すと、
鼻息荒く貴志の足許に唇を迫らせて、ハイソックスの上から唇を吸いつけてきた。
そんなときでも貴志は、
「授業中に、やだなあ・・・」
と苦笑いしながらも、担任の先生に断って教室を出、手近な空き教室や裏庭で、吸血に応えてやっていた。
良太が自分の服装を気に入ってくれているのが、むしょうにうれしかったのだ。
貴志は、露骨に舌をふるいつけてくる良太のために、気の済むまでハイソックスを舐めさせてやり、
ふくらはぎに食いついてくる牙で、ハイソックスを惜しげもなく破かせてやっていた。
貴志が咬み破られて血の撥ねたハイソックスを履いたまま教室に戻って来ても、だれもが見て見ぬふりをした。
吸血鬼に関係のあるものも、そうでないものも、その程度の配慮はわきまえていた。

「気になる女の子がいる」
良太が出し抜けにそう言い出したのは、やはり授業中に貴志を呼び出して吸血に及んだあとのことだった。
組み敷かれた格好のまま貴志は、「そうなんだ」とだけ、こたえた。
良太は口許からぽたぽたと、さっき吸い取ったばかりの幼なじみの血をしたたらせてくる。
それをわざと、真っ白なワイシャツの胸に受け止めながら、
「こら、こら。着替えないと教室に戻れないじゃん」
といった。
手足をだらりとさせた大の字の格好で、足許ににじり寄って来る幼なじみを見るともなしに見守りながら、
「誰なんだい?」
と、さっきの話の続きを促した。
「きみのクラスの真由美ちゃん」
以外に素直に帰って来た返事に良太の欲求の強さを感じた。
ふくらはぎに這わされた唇の両端から、牙がチクチクと滲んでくる。
2本の牙が、ずぶっと、貴志のふくらはぎに刺し込まれる。
じわじわと滲んできた血潮がハイソックスになま温かくしみ込むのを、貴志は感じた。
「わかるよ」
咬まれる快感に夢中になって置き去りにしてしまったこたえを、貴志はいまさらながらに口にした。
「彼女、美人だものなあ」
「貴志は、好きな子はいないの」
「僕?うん、とくにいないけど」
「頼みがあるんだ」
「わかってるよ」
「そうなんだ」
「彼女のこと、呼び出してくれっていうんだろ?」
「いいの?頼んでも」
貴志は良太がまだ真由美と同じクラスになったことがなく、
同級生の女子にさえろくに口をきけない良太がまだ真由美と言葉も交わしていないことを知っていた。
「僕が紹介してやるよ。仲良くなれるといいね」
「でも――」
良太がちょっとだけ、言いよどむ。
そう、吸血鬼の家に生まれたものは、人間の娘とは結婚できないしきたりになっていた。

入れ替わってやれるとよかったんだけどなあ――と、貴志は思う。
まだ若すぎるのかもしれないけれど、貴志には女子に対する思い入れがあまりなかった。
良家の子女にふさわしい美貌を備えた貴志は、その実クラスの女子の注目の的だったのだけれど、
そんなことは彼には、どうでもよいことだった。
あの内気なやつが、どうやって真由美に挑むというのだろう?
モテる男子が、モテない男子をからかうような優越感は、彼にはなかった。
むしろ、幼なじみが意中の子にうまくアタックできるのかどうかが、気になるだけだった。

「ご対面」は、さっそく次の日の放課後に行われた。
「話があるから来て」とだけ言って誘い出した真由美は、
ある種の期待を込めた女子の顔つきをして、言われるままに学校の裏庭にやって来た。
そしてそこに貴志だけではなく、良太の姿をみとめて、露骨に眉をひそめた。
良太が吸血鬼だということは、校内のだれもが知っていたので、
ふつうの女子としての潔癖さを、彼女も同じように表に出したに過ぎない。
「僕の幼なじみの良太。いつも僕の血を吸わせてやっているんだけど――」
戸惑う真由美を前に、ちょっと酷だなと思いながらも、貴志はストレートに言った。
「彼、きみの血を吸いたがっているんだ」
口に出した瞬間、酷だったのは真由美に対してではなく、良太に対してだと初めて気づいた。
良太はギクッとして顔色を変えて、その場から逃げ出すように足を半歩引いていた。
貴志は良太の手をさりげなく抑えながら、つづけた。
「――よかったら、僕といっしょに献血に応じてあげてくれないかな?」

ガマン出来なくなったら、いきなりきみのことを襲うかもしれない。
そんなふうにされちゃうのは、きみのプライドも許さないだろうし、
こいつ吸血鬼のくせに、傷つくやつなんだ。
あとできっと暗く後悔する。
そうするとまた、僕のところに来るんだよね・・・
実際にあった記憶がよみがえり、貴志はにやにやしながら良太を見た。
「いいだろ・・・」
口を尖らせる良太を、貴志が気安くどやしつけるのを目にしたときには、
少女はすっかり気持ちを落ち着けていた。
もともと気丈な娘だった。
「いいわよ、貴志くんといっしょだったら、血をあげてもいい」
ぱっと顔色を輝かせる二人の少年を交互に見比べながら、真由美は貴志に訊いた。
「このひと、血を吸うときハイソックス破っちゃうって、ほんと・・・?」

さいしょに貴志が手本を見せ、あとから真由美がそれにならった。
貴志は半ズボンの下にいつものように舌をふるいつけてくる良太を苦笑しながら見おろし、
そんな貴志を真由美は眩しそうに見つめていた。
いよいよ自分の番になると、貴志に、「やっぱり怖いから、手を握っていて」といって、自分から手をつないできた。
真由美は、濃紺のハイソックスを履いていた。
良太が真由美の履いているハイソックスのうえから唇を吸いつけたとき、
貴志はいつも自分が吸われているとき以上にドキドキしているのを感じた。
「白いやつじゃなくてよかった」
と、真由美が呟いた。
真っ白なハイソックスでは、シミが目だってしまうからだとわかったときにはもう、
良太は躊躇なく、真由美のふくらはぎに牙を埋め込んでしまっていた。

ちゅう、ちゅう、ちゅう・・・
真由美の血が音を立てて、良太に吸い取られてゆく。
こういうときは、いつもの引っ込み思案はかげをひそめて、良太はひたすら強欲に、獲物の血をむさぼるのだ。
さすがに気丈な真由美も顔色を蒼ざめさせて、貴志に促されるままに、手近なベンチに崩れるように腰を下ろした。
真由美が姿勢を変える時だけ、良太は唇を放して貴志を手伝ったが、
すぐにまた自分が初めてつけた傷口に唇をふるいつけて、血を啜りつづけた。
そのあいだずっと、貴志は真由美の細い肩を抑えつけながら、
幼なじみが目のまえの美少女の生き血を吸い取る光景を、いつになく胸をわななかせながら見守りつづけていた。

真由美は案外度胸の据わった娘だった。
すっかり大胆になった良太に求められるまま、左右どちらの脚も、ハイソックスを履いたまま咬ませてやっていた。
もう片方の脚をねだられたとき、気持ちずり落ちていたハイソックスをわざわざきちんと履き直すほど、しっかりしていた。
「すごいね、きみは」
貴志は真由美にいった。
「怖くなんてないから」
真由美は白目で貴志を睨みながら、こたえた。
その実内心はかなり怖がっているのが貴志にはよくわかっていたし、
良太のほうも吸い取った血の味で、彼女の気分を察しているはずだった。
「家まで送るから」
控えめにそういった貴志に、真由美は「ありがと」とだけ、こたえた。
貴志は良太と目線を合わせ、良太が頷くのを見て、自分のしたことがよけいな差し出口ではないことを察した。
どんなに好きでも、吸血鬼に家まで送られることを、少女が肯んじるとは思えなかったから。
「こいつさ、自分が咬み破ったハイソックス、コレクションにして集める趣味持ってるんだぜ」
良太のコアな趣味を貴志が明るい口調で暴露すると、真由美は初めて声をたてて笑った。
「そうなの?ヘンな趣味ね」
「僕のはだいぶ、ストックされちゃってる。ほんとはお前・・・真由美ちゃんのも欲しいんだろ?」
貴志が面白そうに、良太の顔を覗き込むと、良太の反応から目をそらしながら真由美がいった。
「あげるわよ。穴の開いた靴下なんて、もう履けないし」
良太が目の色を変えて、真由美の足許に取りついた。
履いているハイソックスを引きずりおろそうとする良太の手を、真由美は手厳しくはねつけると、
「ばかね、ちゃんと洗ってからにしなさいよ」
と、そこは少女らしい恥じらいをみせた。

「吸血鬼って、人間の女の子と結婚できないんだってね」
真由美は意外に、詳しかった。
母親からいろいろ聞かされていたというのだ。
まるで母娘の間の性教育みたいだ、と、貴志はなんとなく思った。
「でもあたし、ちゃんとお嫁さんになって、家庭を持ちたい人だからね」
真由美の宣言は、貴志が気づかったほどに、良太を傷つけなかった。
「わかっているさ。分はわきまえているつもりだからね」
そして、意外なことを口にした。
「貴志は、真由美ちゃんと付き合う気はないの?」
え?
完全に虚を突かれて、貴志は言葉を失った。
さっき、真由美が初めて咬まれる瞬間によぎったドキドキの意味が、やっとわかってしまったから。
真由美は貴志の目を見ずに、ぶっきら棒にいった。
「私、貴志くんとつきあってもいい」

「おまえ、結局いちばんおいしいところだけをつかまえたな」
翌日の学校帰りに、貴志は良太のことを小突いた。
真由美の血を末永く愉しむために、真由美を幼なじみである貴志の嫁にする。
寛大な貴志はきっと、若い女の血を欠かせない幼なじみのために、自分の嫁を気前よく差し出すことだろう。
「ばれた?」
照れ隠しに笑う良太はそれでも、
「俺、貴志の嫁を支配するから」
と、憎まれ口をたたいた。
二人の間に交わされる言葉の裏に毒々しさがまったくないのを、
貴志も良太も――そして多分真由美さえも――よく知っていた。

その次の日、真由美が良太のために初めて咬み破らせたハイソックスを洗って持ってきて、良太に手渡したのを、
貴志は真由美の口から聞かされた。
「こないだのハイソックス、良太くんに渡しといたから」
「これからも、良太くんに襲われて、血を吸われることにしたから――良太くんと、貴志のために・・・」
二人は寄り添い合って、初めての口づけを交わした。
長い口づけだった。
いちど離れた唇と唇は、少女の側からもういちど、重ね合わされた。
「ありがと。私初めてだったんだ。いまの記憶で、これからなにがあっても私やっていけるから」
真由美は初めて少女らしく、無邪気な笑いをはじけさせる。

二人の幼なじみの、片方の妻になって、もう片方の恋人になる――
そんな難しい役柄を、きっと演じ切って見せる。
かたく引き結ばれた少女の薄い唇に滲んだ決意に、貴志はもういちど少女のことを力をこめて抱きしめていた。

俺のハーレム 2

2018年01月14日(Sun) 00:44:56

吸血鬼になってハーレムを構えた良作のところに、いの一番に棲みついたのは、叔母の奈津江だった。
それ以来。
女たちは一人また一人と、年齢の別なく集まって来た。

つぎにやってきたのは、母の春江だった。
春江は、良作が初めて血を吸った女だった。
ついでにいえば、筆卸のあいても春江だった。
「吸血鬼になったんだから、そのうちどこかのお嬢さんたちを相手に、”姉妹で味比べ”なんてする機会あるでしょ?」
まず私たちが、お手本になってあげる――春江はそんな奇妙な理屈をつけて、息子のハーレムにあがり込んできた。
たしかに。
ちょっと着飾ってばっちりとメイクをすれば、40代の人妻と30代のピアニストである。
決して悪い取り合わせではない。
ほかにだれもいないハーレムで、良作は、実母と叔母との3Pなハーレムを、幾夜も楽しんだのだった。
やがて父親が出張から戻ってきて、「世間体が悪いからそれだけは勘弁してくれ」と言い出して、母は連れ戻されていった。


入れ違いにやってきたのは、妹の冬美だった。
叔母の奈津江がピアノのお稽古のためにハーレムを空けたとき、学校帰りの冬美がたまたま、ハーレムの前を通りかかった。
窓辺からそれを見かけた良作は、ベッドのうえで組み敷いていた母の春江に、
「”母娘の味比べ”をやりたい」とねだり、冬美をハーレムに引きずり込んで、セーラー服のまま犯した。
お兄ちゃんに犯されるのは初めてではなかったけれど、母親といっしょのベッドでというのは、さすがにこたえたらしい。
「お兄ちゃんやめて」と激しく恥じらう冬美のようすにそそられた良作は、
まくり上げた濃紺のプリーツスカートの奥に、白く濁った体液をとめどなく吐き散らした。
「やり過ぎでしょ」
逃れるように帰宅していった妹と入れ違いに戻って来た叔母に、良作がきついお灸をすえられたのは、いうまでもない。


隣町に嫁に行った従姉の照美がふらっと現れたのは、ハーレムを作ってふた月ほど経ってからだった。
「もっと早く来てあげるつもりだったけど、いろいろあって出てこれなかったのよ」
「いろいろ」の中身を従姉はついに語らなかったが、婚家での気苦労がそれこそ「いろいろ」あるらしいことは、
さすがの良作にも容易に見て取れた。
良作が中学生のころには、眩しくてまともに見つめることのできなかった白い顔が、かすかにやつれを見せていた。
ミセスの女の悩ましい翳が秘める魅力を、良作もそろそろわかりかけていた。
周りに、大人の女が多すぎたせいかもしれない。
「リョウくんがハーレム作ったっていうから、あたし絶対来てあげようと思ってたの。
 でも、だんなもいるし家をあまり長く空けるわけにいかないから、実家に戻ってきたときだけだからね」
さいごに逢ったのが、二年前の春だった。
結婚のあいさつに来た照美は、ピンクのスーツ姿。
良作はもう高校生になっていたけれど、眩しさに変わりはなかった。
それを意識してか、ハーレムにやって来た照美は、あのときと同じピンクのスーツを身につけていた。
「人妻になってまでピンクなんて、おかしいよね」
自虐してみせる照美に、良作は囁いた「似合うよ、従姉(ねえ)さん」
「この子ったら、もう!」
とっさに良作のお尻を叩いて照れ隠しをした照美は、かつて中学生の良作を恥じらわせたころの女子大生と変わらなかった。
――照美従姉さんは、あのときの自分を取り戻しに来たのかもしれない――
度重なる吶喊にわれを喪って白目を剥いた従姉を見おろしながら、良作は思った。
だらしなく半開きになった口許からよだれを垂らし、ピンクのタイトスカートを腰までたくしあげられて、
あのときと同じグレーのストッキングを見る影もなく引きむしられた両足を大の字に伸ばしながら、
細い肩先をセイセイとはずませて失血に耐える照美の瞼に、良作は優しく口づけを重ねた。


高校のころ在籍していた読書部の後輩だった浩子を誘ったときは、いままでより積極的だった。
吸血鬼になってこの方、陽の光に当たるのを恐れていた良作が珍しく、母校のかいわいまで出かけていって、
部活を終えて浩子が出てくるまで、2時間以上も辛抱強く(執念深く?)待ち受けていたのだから。
引き締まった足許を覆う真っ白なハイソックスに目をくらませて迫って来る良作を前に、
学校帰りを襲われた浩子は、校庭を這いずるようにして逃げ回ったが、
良作はお目当ての真っ白なハイソックスに赤黒いシミを撥ねかせながら17歳の生き血にありついて、啜り取っていった。
いちど咬まれてしまうと、思い切りの良い子だった。
赤黒いシミの撥ねたハイソックスのまま良作に送られるようにして帰宅すると、
「私明日から、先輩のハーレムから登校するね」と母親に宣言して、
娘と同じくらい思い切りのよい母親は、
「おめでとう。幸せにしてもらうんだよ」といって、娘を潔く送り出していた。
その母親も、「お父さんの出張の時だけね」といって、
娘の隣室に入居して、よそ行きの時だけ脚に通すパンストを惜しげもなく、性急でぶきっちょな手にむしり取らせてやっていた。
「若い子は駄目」
といっていた叔母は、自分の教え娘以外の少女の運命まで関知しないことにしているらしく、このときはなにも言わなかった。

「結婚退職することになったの」
高校の時の担任の女教師だった貴子が良作のハーレムを訪れたのは、そのすこしあとのことだった。
いまどき結婚退職なんて珍しいねという良作に、貴子は言った。
「だんなになる人が、嫉妬深いの。
 この街が吸血鬼と共存していて、女教師も狙われる対象だって知っちゃったものだから、もう大変」
そんなめんどくさい男、別れちゃえばいいのにという良作に貴子は、「結婚のチャンスをふいにしたくない」とだけ、言った。
貴子は28だった。
結婚するのに決して遅すぎる年齢ではなかったけれど、子どもが欲しければ職を離れる覚悟をしなければいけないものらしい。
「先生って言いながら犯して」
貴子に頼まれるまま、良作はかつての教え子と女教師の関係に戻って、貴子を襲い、犯しつづけた。
いいのかい?結婚前なのに・・・という良作に、
いいのよ、もともと学校に来る長老に処女奪られちゃってるし・・・と、貴子は理屈にならない理屈をこねた。
貴子は寿退職をしてすぐに街を去り、しかし1年も経たずにまた、街に戻って来た。
「だんなと別れちゃったの?」と訊く良作に、貴子は笑ってかぶりを振った。
「この街でいっしょに住むことになったの。教師の仕事も、つづけるわ。
 あたしが処女じゃなかったことで、われにかえっちゃったみたい」
女の悪行は、男の愚かな独占欲を無毒化することができるのか――良作はちょっとだけ、ぼう然とした。
俺にはまだ、わからないことが多すぎる――


菜穂子がハーレムに棲みついたのは、ふとしためぐりあわせだった。
ピアニストの叔母はレッスンが立て込んで良作一人にかまけてはおれず、
母や妹は父の差し金で足が遠のき、従姉は婚家に帰り、後輩は貧血を起こして一時帰宅していた。
喉が渇いた良作は、このごろ時折そうするように、ハーレムの近くの公園に出没していた。
むろん、学校帰りの少女や、勤め帰りのOLが目あてだった。
不運にもやって来た女は、良作をみとめるとすぐにその正体を察したらしく、立ちすくんだ。
お通夜か法事の帰りなのか、女は黒一色の礼服姿だった。
白い脛の透ける薄手のストッキングの脚が、街灯になまめかしく映えていた。
「お嬢さん、悪いが脚を咬ませてくれないか?」
良作は怯えて立ちすくむ女の前に立ちはだかって、露骨なことを言った。
発した言葉の露骨さに自分でドキドキしながら、俺はなんてガキっぽいやつなんだと思いながらも、
やはりこういうドキドキがこたえられない――そんなふうにも思っていた。
「あんたの穿いているストッキングの舌触りを、ためしてみたいんだ」
股間がギュッと逆立つのを、こらえることができない・・・と思う刹那、女は意外なことを囁いて来た。
「ごめんなさい、私・・・男なんです」
え?
思わず顔をあげたが、きちんとしたメイクの向こう側に男の顔だちを思い浮かべるのにちょっと時間がかかった。
良作はしかし、喉がカラカラだった。もうこのさい、男でも女でもかまわない・・・
「あんたがヤじゃなければ、”女”として相手してくれないかな」
「わかったわ・・・ありがとう」
”女”はすぐに、気持ちを決めたらしい。おずおずとだったが、黒のストッキングの脚を差し伸べてきた。
「黒のストッキング、お好きなんですね」
凛とした透きとおった声が、良作の頭の上に降って来た。
”女”も、黒のストッキングを好んで脚に通す習慣を持っているらしい。
気に入りの装いをいたぶられ辱められることが、どんなに嫌なことか・・・と思ったけれど、
やめることができなかった。
良作は”女”の足許に唇をふるいつけ、薄手のナイロン生地をべろでいたぶり、くしゃくしゃにずり降ろし、咬み剥いでゆく。
けれども”女”のほうも、良作が自分の吸いやすいように気づかうように脚をくねらせ、角度を変えて、応じてきた。
片方の脚を辱め抜かれたあとは、まだ侵されていないもう片方の脚まで、差し伸べてくれた。
「ありがとう・・・すまないね」
良作は息を切らしながら、やっとの想いでお礼を口にした。
「あたしを女として扱ってくれたから・・・感謝のしるし」
”女”は口早にそういうと、礼儀正しいお辞儀さえ残して、楚々とした足取りで立ち去っていった。
以来2度3度、女は公園に現れて、良作になまめかしく装ったストッキングの脚を差し伸べて、
誘われるままにハーレム入りをした。
”女”は菜穂子といい、この街では女性として暮らし、あるオフィスでOLとして働いているという。
彼女はやがてハーレムに移り住んできて、長く住まうことになった。
良作は自分でもびっくりするほどすんなりと彼女の立場を受け容れて、
彼女もまた、どの女にも劣らない女らしさで、良作に尽くした。
すべては最初の夜、良作が菜穂子を女として遇したことから、始まったのだった。


兄貴が未来の花嫁を連れて都会から戻ったのは、ちょうどそのころだった。
生真面目な兄は相変わらず物堅く、良作はけむたい印象しか持てなかった。
いずれは家を継ぐ――といっても、これといった正業を営んでいるわけでもないこの家に、兄夫婦が棲みつくことはあるのだろうか?
相手の女は兄貴の上司の親類で、上司の紹介だというから、そんなところも兄貴は義理堅すぎると、良作は思った。
そんな兄貴が、ハーレムにやって来た。
「処女のうちは犯さないって、ほんとうなんだな」
兄貴はくどいほど念押しをすると、乃里子をハーレムで預かってほしい、と申し込んできた。
未来の花嫁の身持ちを確かめたい――独占欲が強く潔癖な兄貴の考えそうなことだった。
なにも知らない乃里子を兄貴ともどもハーレムに招いた良作は、その場で乃里子を襲った。
吸血鬼の本性をさらけ出した弟が、自分の婚約者の白い首すじに咬みつくのを、
兄貴は血走った眼で、こちらが照れくさくなるくらい長いこと、見つめつづけていた。
以来、兄貴は隣の部屋に泊まり込んで、
弟とひとつ部屋を共にする乃里子が咬まれるのを、いちぶしじゅう見守りつづけた。
服の上から胸を触れるくらいまでは許す――と言われていた。
うっかり唇でも奪おうものなら、隣室から逆上してなぐりかかってくるかもしれない・・・と思ったが、
かりにも兄嫁になる女を、そうそう気軽に犯せるものではなかったし、
処女の生き血に飢えていた良作の本能が、生身の男女としての一線を越えさせようとはしなかった。
兄貴は予定通り乃里子と結婚し、新婚旅行へと旅立っていった。
「結局お預けを食っただけだったね」
叔母の奈津江にはそんなふうにからかわれたが、良作はそれで良かったと思っていた。
ところが――
兄のすすめで新婚旅行帰りの乃里子の首すじを咬んだとき、良作は驚くべきことに気がついた。
乃里子はまだ、処女だった――
「初夜浪人ってやつさ。どういうわけか、体がいうことをきかないんだ。
 乃里子がお前に血を吸われているのを覗き見していたときのほうが、よほど昂奮するんだ。
 だからお前、もういちど乃里子を咬んでくれないか?」
咬まれた乃里子を見て俺が満ちてきたら、交代するんだ――兄貴は昔と変わらず尊大で、勝手だった。
乃里子さんがそれで良ければ・・・良作がそういうと、
乃里子は白い顔で肯いた。
どこまでも従順な女なのか。
尊大な兄貴には、似合いの嫁のようだった。
良作は、兄貴をお約束どおりぐるぐる巻きに縛り上げて、部屋の隅に転がすと、
やおら乃里子の首すじに牙を突き立てた――
乃里子は声をのんでその場に倒れた。
じゅうたんの上に、ワインカラーのロングスカートのすそが拡がった。
ロングスカートを、太もも丈のストッキングの口ゴムが見えるほどたくし上げて、
ブラウスの胸元を引きしめる百合の花のようにふんわりとしたタイを荒々しく解くと、
純白のスリップのうえからDカップの胸を揉みしだく。
「ァ――」
兄貴が嫉妬のうめきをあげる。
悩まし気に半開きになった乃里子の唇に、自分の唇を強引に押し重ねる。
「ゥ・・・っ」
兄貴がふたたび、嫉妬のうめきをあげる。
じたばたと暴れる足許から、ストッキングを見る影もなく咬み剥いでやる。
「おい・・・こら・・・ッ!」
兄貴がまたも、咎めるような声を洩らした。
「あいにくだけど、兄さん、義姉さんの処女はぼくがいただくぜ」
良作は逆立った一物を扱いかねて、
放恣に伸び切った乃里子の両太ももの間に股間を肉薄させ、吶喊を開始した。
すでになん人もの女を相手に、知り尽くした行為だった。
同じ手順を踏んで、兄嫁を兄貴の目のまえで犯すことに、刺激や愉しみを感じ始めていた。
「ウウ・・・ッ、ウウ・・・ッ、ウウ・・・ッ」
兄貴が鼻を鳴らし、無念そうに歯がみをしている。けれどももう、かまうものか。
俺は、あんたの都合どおりに動く人形じゃない。
こわばった肢体の生硬な秘所がじょじょに潤いを帯び、満ちていた。
良作は無念そうなうめきをあげる兄貴の尖った目線をくすぐったそうに受け流して、乃里子をぞんぶんに犯し、愛し抜いた。

いつの間にか、兄貴が乃里子の上にいた。
いまや夫婦の交歓は、最高潮に達している。
いったい、どういうことなんだ?
兄貴は乃里子の上で果てると再び良作を促して、新妻と義弟との交合を血走った眼で目の当たりにする。
そして、弟が果てるとふたたび、嫉妬のほむらをたぎらせるようにして、新妻にいどみかかってゆく。
そういうことだったのか。
潔癖で尊大な兄は、こうすることで初めて、歓びを感じることができるのだ。
乃里子もまた、虐げられる歓びを、婚前から、義弟の牙を通して体得してしまっている。
夫に視られながらの好意を彼女がじゅうぶんに愉しんでしまっていることを、
腕の中の華奢な身体が包み隠さず告げていた。
背徳の宴はいつ果てるともなく続き、兄弟は真の和解に至る。

「ほかのやつは、わかってくれなくて良い。
 俺たち夫婦はお前のハーレムを新居にする。
 だからお前、できれば夫婦の営みの間に割り込んで、俺と乃里子とを昂奮させてくれないか」
兄貴の申し出はありがたかった。(多少身勝手だったけど)
そして乃里子は、兄貴がいないときにもしばしば俺のところに忍んできたし、俺の来訪をこっそり迎えるようになっていた。


あとがき
久しぶりに描いたと思ったら、ばかみたに長くなってしまいました。^^;
良作という新米吸血鬼が、ハーレムのあるじとなりながらも、
決して思い通りにならない周囲の思惑に振り回される――そんな話にしたかったんですがねぇ・・・
(^^ゞ

俺のハーレム

2018年01月13日(Sat) 23:12:37

吸血鬼と人間とが共存するこの街に育った良作は、19歳の時に血を吸い尽されて、吸血鬼になった。
自分の意思で吸血鬼になることを選択した彼は、血を吸い尽された瞬間ふと、
――女の子が処女を捨てる時も、きっとこの程度にしか感じない。
と、ふと思った。
その直感は、たぶん正しかった。

彼の血を吸った吸血鬼は、長老と呼ばれる存在だった。
長老の手で吸血鬼にされた良作は、自身の欲する血液を確保するために、ハーレムを持つことを許された。

ハーレムといったところで・・・
あてがわれた邸のがらんとした無駄に広い空間を見回しながら、ふと思う。
てっきり、活きの良い若い女の子が初々しい身体をピチピチとはずませながらそこかしこを行き来している――
そんな風景は、しょせん妄想の産物だった。現実は厳しい。
そう――ハーレムに住まう女は、自分の腕で狩ってこなければならなかったのだ。
街では有数の良家の生れとはいえ、特別な将来が約束されているわけでもない次男坊である彼は、
無条件に女の子にもてるほど、魅力のある男ではない。少なくとも自分でそう自覚してしまっている。
供給が無くても需要はつねにわいてくるものらしく、さっきから喉がむしょうに渇いて仕方がなかった。
これから女を狩りに行かねば・・・
たいびそうに起ちあがった良作のようすは、どうみてもあまり、恰好のよろしいものではない。
ふと人の気配を感じた玄関先に、

りぃん・ろぉん・・・

だれかの訪問を告げるインターホンの音が、能天気に響いた。

たいぎそうに開け放ったドアの向こうにいたのは、叔母の奈津江だった。
齢は30代半ば、母とは年の離れた妹にあたる。
白い肌と高雅な目鼻立ちの持ち主で、人並みならぬ教養の持ち主だというのに、
どういうわけか独身を通し、
半吸血鬼になった良作がふとした衝動で押し倒してしまうまで、なんと男を識らない身体だった。
ピアノ教師の顔を持つ彼女は、それ以来、教え娘たちをこの甥っ子に引き合わせ、
つぎからつぎへと毒牙にかけさせてやっているという、ありがたい存在。
その美貌の持ち主が、飛んで火にいるなんとやらといっていいような状況で、
にわか吸血鬼になって喉をカラカラにしている甥の目のまえに姿を現したのだった。

奈津江はもの欲しげな甥っ子の様子など眼中にないらしく、
さっきから物珍しそうに、だだっ広いだけのお邸のようすを物色している。
「リョウくんがハーレムをかまえたってお姉さんに聞いたから来てみたけれど、
 なぁんだ、ただの家じゃないの」
奈津江は小ばかにしたように鼻を鳴らして、スリッパをつっかけた脚をずんずんと奥へと進めた。
一階はリビングに書斎、それに台所。
二階には長い廊下に面してほぼ等間隔に小ぎれいなドアが並んでいる。
全部で10室ね、と、奈津江は目で数えて良作をふり返る。
「で、なん人つかまえたわけ?」
ドキドキするほど綺麗な輝きをたたえた瞳をまえに、良作はどぎまぎしながら目をそらす。
なりたての吸血鬼はまったく、かたなしだ。
「ははーん。やっぱ噂どおり、閑古鳥か~」
奈津江は後ろから自分のことを羽交い絞めにしようとした猿臂をするりと切り抜けて、
ドアというドアを片っ端から開け放ち、なかががらんどうであることを確かめていく。
良作はもう、ばつの悪そうな顔をして後につき従うしか手がなかった。

「いいわ、決めた。このお部屋」
奈津江はいちばん奥の一室に入り込むと、ベッドのうえに勢いよく飛び乗って、
気持ちよさそうに横たわった。
「あたしがリョウくんのハーレムの、最初の住人になってあげる」


気がついたときにはもう、翌朝になっていた。
「咬んでもいいのよ」と囁いて叔母がブラウスの襟首をくつろげた後は、もうあまり記憶が定かではない。
びろうどのような輝きを秘めた首すじのきめ細かい素肌に唇を這わせると、
奈津江が邸にあがり込んでからずっと疼きつづけていた牙を、グイっと埋め込んでしまっていた。
しっくりと吸いついた唇はもう、本能のままにうごめいて、
力まかせに巻きつけられた猿臂は、叔母の華奢な肉体を折れるばかりに抱きすくめていた。
何度めかの抱擁のあと、戯れに足許に這わせた唇が、ストッキングのしなやかな感触に触れたとき、ウットリとした気分になって、
そのままブチブチと、無作法に咬み破っていって、
「まあ」と奈津江がさすがに眉をひそめるのも構わずに、はしたない裂け目を拡げていったときには、
ずっと鼻づらをひきまわしていた叔母に仕返しをできたような気分にさえなっていた。
先月の奈津江のリサイタルには招待されて出向いたけれど、
濃い緑のドレスに身を包んだ叔母の奥ゆかしい風情に良作はたちまち参ってしまい、
公演を終えた直後の叔母に楽屋で迫ってドレス姿のまま素肌に牙を埋め、犯しながら生き血を吸ったときのあの快感を、再び彼は味わっていた。
そんな夢心地を、奈津江はだしぬけに、やけに現実的な声色で、容赦なくぶち破る。
「あと9人、引き込まなくちゃいけないんだよね?」

ゥ・・・
良作は、一言もなかった。
高校生のころも、まったく女の子にはもてなかったし、
そういう状況は吸血鬼になったからといって、急変するものではなかったのだ。
良作がなにか言いかけるのを、賢明な叔母はすぐに制した。
「あたしの教え娘は駄目。あの子たちはまだ幼いから、女としての判断ができるまでここには来させないわ」
叔母のところに出入りしている少女をすでに5~6人、良作は毒牙にかけていたのだが、
これでまたもや話が振り出しに戻ってしまった。
「なんか、何やってもうまくいかないんだよなあ・・・」
良作は泣きそうな声になって愚痴った。
「かっこ悪い吸血鬼もあったものね。自分の獲物くらい自分で狩りなさいよ」
私は明日、引っ越してくるから――叔母はそういうと、
軽くはない貧血を起こしているはずの身体を勢いよく立て直して、辞去を告げた。
でも帰り際、彼女は愛しの甥っ子に囁くのを忘れなかった。

「あんた、見込みあるわよ。あんたは女の子のことを人として見ているから、踏ん切りがつかないの。
 吸血鬼になったからといって浮かれまくって、周りの女を手当たり次第にハーレムに引き込んで、
 みんなに総スカンを喰らって吸血鬼の看板を下ろしたやつもいるんだからね」
「吸血鬼の看板を下ろす・・・?」
そんなことがあるのか?と問いたげな良作に、奈津江は言った。
「周囲の和を乱したペナルティで、そいつはもとの真人間に戻ったわ。
 それで、親友の奥さんを引きずり込んだ見返りに、自分の奥さんをほかの男たちにまわされて、
 同僚の娘さんを引きずり込んだ報いに、自分の娘がほかの吸血鬼のハーレムに住まわされて、
 親戚の息子さんをたぶらかした落とし前に、息子はふたりとも血を吸われたわ」
要するに、見境なく寝取った代償に、自分が逆の立場に戻されて見境なく寝取られたってわけか――
薄ぼんやりと反応する良作の顔を、女は覗き込んで、言った。
「それってだれだかわかる?」
「知らないよ」
「あんたのお父さん♪」

奈津江は来た時と同じくらい軽やかな足どりで、若い娘のようにほっそりとした肩にロングの黒髪をなびかせて、
優雅にハミングしながら後ろ姿を遠ざけてゆく。
さっきまで自分のものだと思い込んでいた華奢な肢体は、
しっかりとした骨太な意思をもって、力のある足どりで前へ前へと進んでゆく。
女は自分の意思で相手を選び、自分の居所を決めていた。
「あんた、見込みあるわよ」
女の声がふたたび、良作の耳の奥によみがえる。
「もっと自信持ちなさい。この私が、あなたのハーレムの、最初の住人になってあげるんだから」

年上の女との、微妙な力関係の日常が、良作のハーレムでその日から始まった。

間男の奥方

2017年12月27日(Wed) 08:17:13

アラ柏木様、きょうはお帰り?
そういいながら靴ベラを差し出す奥方は、齢相応の奥ゆかしさを滲ませた、素敵なご婦人。
こんな奥様をお持ちなのに、この家のあるじはどうして、女にあれほど手が速いのだろう?
わたしの妻の由貴子は、結婚前からすでに、彼の手中に堕ちていた――

娘が年頃になったいまでさえ、週に2、3度はお召しがある。
わたしが知らないでいるあいだに、ふたりきりで逢う夜もあるらしい。
けれどもそういうときには、見て見ぬふりをするのが、夫の務め――
なぜって?
それはやっぱり男と女だから、
独り占めにしたい刻もあるのだろう。
そういうときはきょうのように、夫であるわたしはさりげなく座をはずすことを求められて、
吸血鬼はわたしの愛妻とふたりきりの刻を過ごす。

夫としての義務を放棄したわけでは、むろんない。
そう――間男を家庭に受け容れる決断をしたと同時に発生する同席の義務。
それをわたしは嬉々として受け容れて、
目のまえで羞じらいながら征服されてゆく妻のあで姿を、昂ぶりながら見届けてゆく。
でもきょうはどうやら、由貴子のことを独り占めにしたいらしい。
だからわたしは、座をはずす。

もっとも――
きっと数時間も経ったら、ふたたびお呼びがかかるはず。
「由貴子の服を濡らしちまった。悪いが、着替えを持ってきてくれないか?」
人の善すぎる間抜けな夫は、妻の濡れ場の後始末をするために、いそいそと着替えを届けに情夫の邸に参上する。
そしておそらくはもういちど・・・
巻き込まれた気の毒な夫の目のまえで、妻は思うさま征服されるはず。
そして気の毒ははずの夫もまた、目の前で恥を忘れ果てた妻を目の当たりに、
みずからもきっと、恥を忘れる――

「このままお帰りになるの?もっとゆっくりしていらしてもいいのよ」
奥方は意味深な上目遣いをわたしに与えるが、
わたしはその手には乗らずに、丁寧な会釈だけを置き土産に家路をたどる。
そう。
魅力的な奥方との交換条件で妻を差し出したのではない。
彼と最愛の妻との交際をあえて認めたのは、無償の好意ゆえなのだから。


あとがき
ちょっと体調を崩して、遠ざかっていましたが。
復活してみようと思った直後、あっという間に描き上げちゃいました。 (^^ゞ

吸血鬼になったお兄ちゃん

2017年12月07日(Thu) 07:32:58

豊畑数雄は吸血鬼に襲われて、生き血を吸われ、犯された。
男子でも犯されることってあるんだと、数雄は初めて身をもって知った。
けれども結局彼は、自分を犯した男に、19歳の生き血を一滴余さず、気前よく、吸い取らせてしまっていた。
ボクって気前がいいんだな・・・
そんなふうに思えたのは、自分の生き血と引き替えに、数雄自身も吸血鬼になってしまったからだった。
彼の身体はそのまま自宅の勉強部屋に安置されて、ひつぎのなかに置かれた。
「かわいそうなお兄ちゃん。お供えに、あたしの制服着せてあげるね」
数雄の女装癖を知っていた妹の真衣が、自分の制服を着せてくれたのが、むしょうに嬉しかった。
真衣の制服は紺のブレザーの制服だった。
ごく普通の、普通すぎるくらい普通の制服を、真衣は「ダサダサの制服」だといって気に入っていなかったけれど、
お兄ちゃんが隠れて麻衣の制服を着て愉しんでいるのに気づいてからは、自分の制服をちょっとだけ見直す気持ちになっていた。
真衣は母さんに頼んで、制服をもう一着作ってもらった。
いままで着ていた制服をお兄ちゃんにあげちゃった麻衣には、
もう一着、自分が学校に着ていく制服が必要だったから。
けれども麻衣はやがて、三着目の制服が要りようになった。
若い女の子の生き血を欲しがるお兄ちゃんのために着てあげる制服を。
はた目には、おなじ制服を着た女の子同士が抱き合って、片方がもう一方の生き血を吸っているようにしか見えなかった。
華奢な身体つきのお兄ちゃんはそれくらい、真衣の制服になじんでいた。
そして血を分けた実の妹である真衣の血は、カラカラに干からびたお兄ちゃんの喉に、とてもしっくりとなじんでいった。

娘の血を吸い尽させるわけにはいかないと、お母さんはときどき、息子のために吸血を受け容れるようになった。
自分の生き血を吸わせるときに、数雄はお母さんに、いつもPTAの会合に着ていくよそ行きの黒のスーツを着てほしいとおねだりをした。
お母さんは息子にねだられるままに、よそ行きのスーツを着て、息子の相手をした。
吸血鬼が既婚の女性の血を吸うときに、ことのついでに犯してしまうという習性を、お母さんは自分の身体で識るはめになった。
息子想いのお母さんは、それでも献血を止そうとはしなかった。
気丈にもお父さんにすべてを話し、そのうえで息子の相手をつづけて、
懸命にも理性を保ちながら、40代の人妻の生き血を、過不足なく息子に与えた。
遠い日に自分の母乳で子供たちを育てたときのように――

母娘ふたりの血では、数雄一人を養うには足りなかった。
足りない分は、数雄が自分で調達することになった。
彼は真衣の制服姿で夜な夜な自宅をさ迷い出て、声をかけてくる男や、同じ制服を着た女子を、片っ端から襲っていった。
そのうちに。
麻衣の学校の女子生徒の間で、「吸血クラブ」という同好会が生まれた。
会員は、真衣を筆頭に、真衣のクラスメイトやお兄ちゃんが襲った女子生徒が、全部で8人いた。
彼女たちは2人ずつ交代で夜道を歩き、同じ制服を着た麻衣のお兄ちゃんと待ち合わせて、
真っ白なブラウスの襟首を真紅に濡らしながら、生き血を吸われた。
ハイソックスを履いた脚を咬みたがる数雄のために、だれもが学校に履いて行く白のハイソックスを脚に通して、
連れ込まれた公園でスカートをたくし上げて、ハイソックスの脚を見せびらかして、
真っ白なハイソックスが真っ赤になるまで、愉しませてあげるていた。
親たちは娘の異変に気づきながらも、見て見ぬふりをしていた。
すでに街じゅうに、同じような目に遭う若い男女が増え始めていたから、
自分の娘が吸血されるということが、ごくありふれたことになっていた。
血を吸われた若者たちのお母さんたちもまた、数多く餌食になっていた。
首すじに、息子や娘たちと同じ赤黒い痣を浮かべたお母さんたちは、
娘の血を吸いたがる吸血鬼を自宅に手引きしていたし、
女のこの服を着て真夜中の街を歩きたがる息子たちのために、娘や自分の服を着せてやり、メイクまでしてやるようになっていた。
理性を毒された夫たちは、妻たちが吸血鬼に襲われるのを、見て見ぬふりをしていたし、
誘惑に屈した妻たちは、自分を襲った吸血鬼に熱をあげていた。
夜ごとにひっそりと自宅を抜け出して愛人との逢引きを愉しんだり、
夜ごとに訪う黒い影を自宅に引き入れては、不倫の恋に耽るのだった。

「吸血クラブ」の面々は、クラスメイトの真衣がお兄ちゃんに吸血されていく、近親相姦みたいなシーンを興味津々でのぞき見しながらワクワク、ドキドキしていたし、
男子のなかには自分も吸血鬼になって、気になってる女子の血を吸いたいと願うものまで現れた。
数雄の親友の珠樹も、そのひとりだった。
数雄は珠樹の妹の血を、日常的に吸っていた。
妹同士が、クラスメイトだったから、真衣が真っ先に自宅に招いて、お兄ちゃんに襲わせたのだ。
妹が親友の餌食になるという自分の立場を、珠樹は昂奮をもって受け容れた。
けれどもそのうちに、自分自身も、妹といっしょに兄妹ながら、親友の餌食になりたいと願うようになった。
彼は数雄を自宅に招び寄せて、数雄が吸血鬼化したときと同じように、全裸にハイソックスだけを履いた姿で、数雄に首すじを吸わせた。
年ごろの青年ふたりは、お互い肌を合わせるうちに昂奮を感じ合って、
珠樹は数雄に犯されていた。
珠樹のお母さんは、その様子を物陰から、ドキドキしながら見守っていた。
そして、数雄が珠樹のことを首尾よく吸血鬼にしてしまうと、
血に飢えた息子とその親友にわが身までも襲わせて、自分自身の血を与えるのだった。
「自分も吸血鬼になりたい」と息子に相談されたとき、彼女は息子のために真っ先に餌食になろうと決意していた。
子ども達が吸われたのと同じように、自分も血を吸い取られながら、
「珠樹くんや裕子ちゃんと味が似てるね」って囁く数雄の言いぐさに、ウットリと肯きかえしていた。
愛息の吸血鬼化を祝うため、実の息子とその親友であるふたりの青年にかわるがわる犯されて、
心優しい母親は、ふたりの若い吸血鬼を祝ってやった。

それ以来。
夜な夜な街をさまよう制服姿が、2人になった。
地域の公立中学の女子の制服に身を包んだふたりは、学校帰りや塾帰りの女子生徒を襲って、
首すじを咬んではブラウスの襟首を真っ赤に汚し、
ふくらはぎを咬んでは真っ白なハイソックスを赤黒いまだら模様に染めあげていった。
けれども彼女たちは白のハイソックスを履くことをやめないで、
手近な公園や道ばたで襲われた後、靴下を濡らしたまま家路についた。

きょうもウキウキとして、女子生徒たちは白のハイソックスを履いて、夜の街へと出かけてゆく。
「帰り道に気をつけてね」
そういって娘を気づかう母親たちもまた、首すじに赤黒い痣を浮かべて、
色とりどりのストッキングには、派手に破けた痕を、スカートの奥まで忍び込ませてしまっている。


※この物語はフィクションであり、登場する人物・団体等はすべて架空のものです。

「ひとの女房を〇しやがって!」

2017年12月03日(Sun) 09:05:06

飲み友だちの吸血鬼が、俺の妻を襲った。
やつは襲った獲物の生き血を吸い尽さない代わり、
自分の餌食になった女が気に入ったら犯していく習性をもっていた。
幸か不幸か、やつは妻のことを気に入ってしまった。
妻の生き血を吸い取ったあと、欲望のままにしたたかに犯して、たちまち飼い慣らしてしまっていた。

やつが妻を襲って犯したあと、いっしょに飲んだ時、俺は思わず毒づいた。
「人の女房を犯しやがって!」
「すまんすまん」
やつは頭を掻き掻き素直に詫びて、憎めないテレ笑いを泛べて、
おかげで俺の怒りの矛先はあらぬ方へとつんのめって、行くあてをなくしてしまった。
いつものテなのだとわかっていながら、俺はちょっと毒づくだけで、やつのことを勘弁してしまっていた。
「けどお前の奥さん、いい女だったな」
やつがふと洩らしたひと言が、なぜか俺の胸をずきん!衝いて、
秘めていたマゾの血を沸き立たせてしまった。

やつと妻とはしばらくの間好い仲で、
時折俺の目を盗んではラブホテルにしけ込んで、吸血プレイを楽しんでいた。
たまには俺の留守中家にあがり込んで、したたかに吸血して、したたかに犯して、夫婦のベッドを汚していった。
そんなことを逐一知ってしまったのは、やつが俺にはわりと忠実で、妻との逢瀬を遂げるとちゃんと報告してくれるからだった。
もちろん――いつだか恵んでやった俺の血の味から、マゾの気配を察してのことに違いなかった。

やつと妻との仲は、近所でも評判になるほどだった。
けれどもやつのことだから、きっと妻にはすぐに飽きてしまって、
妻は捨てられてしまうだろうと、俺はたかをくくった。
案の定、やつはひと月と立たないうちにべつの女とつるみはじめて、妻とは疎遠になった。
そのあとやつといっしょに飲んだ時、俺は思わず毒づいた  
「人の女房を捨てやがって!」
「どっちがいいのだ?」
やつは困惑しながら、俺に訊いた。
知るもんか・・・とそっぽを向きながら、俺はそれでも妻が寂しがっていると教えてやっていた。

寂しがりな妻は、いちど男を識ってしまうともうとめどがなくなって、
こんどはべつの男とつるんでいた。
相手の男は真人間で、俺とは違ってエリートのサラリーマンだった。
悪いやつでは決してなかったけれど、俺はやつにかたき討ちを頼んでいた。
やつは妻の浮気相手の奥さんに手を出して、したたかに血を吸い取っていた。
それなりに気に入りもしたらしくって、ことのついでに犯していった。
「女房の浮気相手の奥さんまで犯しやがって!」
とは、さすがの俺も言わなかった。

妻が間男と浮気をしているあいだ、やつは間男の奥さんのところに入り浸って、
妻のときと同じように、飼い慣らしてしまった。
「なんだか食物連鎖みたいだな・・・」
俺がそんなふうに愚痴ると、やつは面白そうにふふふと笑った。
妻が間男に誘惑されて、その間男の妻がやつに生き血を吸われてゆく――
もちろん最下位は、俺の占める場所だった。
そのことがひどく俺のプライドを傷つけて、なおかつ俺のマゾ気質に火をつけていた。

幸か不幸か、夜のベッドで俺が独り寝することはめったになかった。
だってふたりとも、妻といちゃいちゃしているところを、やたら俺に見せたがるやつらだったから。
妻もまた、退屈することはなかった。
吸血鬼、人間の間男、俺と、三人の男の相手をしていたから。
間男のエリート・サラリーマンは、自分の妻が吸血鬼に犯されていると知って、
ひどく心配をして、ついでに嫉妬までして
――自分が人の妻を抱くのはよくて、自分の妻が他人に抱かれるのは良くないというのだから、勝手なものだ――
やつと仲が良いからという理由で、ひともあろうに俺を相談相手に指定してきた。
俺はお人好しにも、やつの相談相手になってやった。
「どうせなら、愉しんじゃえばいいじゃないか」
間男氏はびっくりして、俺を真顔で見つめた。
恥かしいことを口にした後顔をまともに見られるのは、けっこうキツいものだと、ちょっとだけ後悔したけれど。
やつは「そんなものなのかな」といって、お代を二人分払って居酒屋を後にした。
目のまえの男が、妻を自分に寝取られているとも知らないで(実はよく知っているのだが)、真顔で相談に乗ってくれたことに対する、きっと罪ほろぼしだったのだろう。

数日後。
間男氏は晴れ晴れとした顔をして、ふたたび俺の前に現れた。
「あんたの言うとおりだったよ。嫁を犯されるところを視るのって案外、感じるものなんだな」
自分が犯した女の亭主と飲むというサディスティックなことに歓びを感じる男が、
妻を目のまえで犯される光景に絶句する歓びに目ざめた瞬間だった。

ご機嫌で俺と別れた間男氏は、またもお代を二人分払ってくれた。
まったく、エリートってやつは、羽振りがよくって妬ましい。
ところがこの話に間男氏の話さなかった尾ひれがあることを、後日やつから聞いて知った。
やつと意気投合した間男氏は、目の前で自分の妻を抱いてもらい、
うっとりとなった自分の妻に、こんどは己自身がのしかかっていったという――
吸血鬼にすっかりたらし込まれていた間男氏の奥さんはなかなかの賢夫人でもあって、
夫と情夫とを同時に満足させるためとても熱心に振る舞ったという。
尾ひれはまだまだ、続いていた。
昂奮冷めやらぬ間男氏は、自分の奥さんが気絶するまで、
熟れた人妻の生き血を気前よくやつに寄付した後で、
俺のいないわが家に押しかけてきて、二人で妻のことまで輪姦していったというのだ。
「人の女房をまわしやがって!」
とは、さすがの俺も言わなかった。
そのときにはもう、極彩色に彩られた淫らな妄想が、俺の頭のなかを駆けめぐってたのだから――
妄想のなか
妻は吸血鬼の好みに合わせ、見慣れたよそ行きのスーツを着込んだまま、
ふたりの男相手に組んづほぐれつの凌辱プレイに、心ゆくまで耽り抜いていた――

優しい伯母。

2017年11月27日(Mon) 07:36:56

高級住宅街の瀟洒なたたずまいの一角から、優雅なピアノの音色が漂ってくる。
「奥村敏恵 ピアノ教室」
そんな古びた看板が生垣に埋もれかけたお邸からは、かなり流ちょうな旋律が踊るように流れてくる。
その流れが、ふと途切れた――

「アラ、間違いよ。あなたいっつもここで、途切れるわね」
親切そうな中年のピアノ教師・奥村敏恵は、うわべだけの優しいほほ笑みを、教え子の少女の横顔に投げかける。
逃げられないように抑えつけた少女の両肩にかけた掌に、ギュッと力を込めながら。
少女の足許には、背後から近寄せられた男の唇が、もの欲しげに吸いつけられている。
白の薄地のハイソックスが、少女のひざ小僧の下までお行儀よく引き伸ばされていたけれど。
ヒルのように密着した、赤黒い唇の下。
ピンク色の脛を滲ませた白の薄地のハイソックスはむぞうさに噛み破られて、
裂け目が縦にツツッ・・・と走る。
そしてひと呼吸おいて、真新しいナイロン生地にはバラ色の血の滴りがしみ込んで、拡がっていった。
息をのんだまま硬直した少女の凍りついた顔つきを、敏恵は小気味よさそうに覗き込む。
「優子さん、もう少しの辛抱よ。
 あなたの若い血で、うちの甥っ子をもう少しだけ、愉しませてあげて」
気品のある白い頬に意地悪い笑みを泛べて、ピアノ教師は教え子に、うわべだけのいたわりを囁きつづけた。

男は少女の椅子の下、這いつくばった姿勢のまま、
喉をゴクゴクと鳴らしながら、うら若い乙女の血潮に酔い痴れている。
若いピチピチとした活力を、痩せこけた身体いっぱいに行き渡らせようとして。

白い顔になってソファに横たわる少女を、ピアノ教師は無同情に見おろした後。
「30分もすれば回復するわ」
と言い捨てて、
「由佳さん、よろしいですよ」
と、つぎの教え子の名前を呼んだ。
「あなたはあっちにいらして、この子の相手をなさい」
甥っ子にそう言い捨てると、気絶した教え子にはもう関心がないといわんばかりに、ふたりに背を向けている。

ふすま一枚へだてた向こう側。
ズズッ・・・じゅるじゅるっ。
不気味な音が洩れてくるのを、つぎの少女はことさらに無視してピアノの前に座った。
若い女の生き血を啜る音だと気づいていないわけはないはずなのに、
ブゾーニの何番をお願いします、と、お行儀よく頭を下げて、セミロングの黒髪を揺らせる。
「じゃあいつものところから」
ピアノ教師はうわべだけの優雅な笑みを湛えながら、少女の指先に奏でるようにと促していく。
ピアノ教室に出入りする少女たちは、いずれも良家の子女である。
こういう場にくるときには例外なく良い服を着て、先生に教えを請いに訪れる。
由佳と呼ばれた少女もまた、淡いピンクのワンピースの下、齢不相応にストッキングを脚に通していた。
仲の良いお友だちの優子ちゃんのつぎの獲物は自分なのだと、自覚し過ぎるほど自覚していたし、
せっかく穿いて来た大人っぽい肌色のストッキングも、
レッスンの後で見る影もなく咬み破られてしまうとわかっていながら、
心の動揺を覚られてしまうのは恥だといわんばかりに、ことさらもの静かに、優雅なメヌエットを奏でてゆく。


「ショウジさん、よかったわね。皆さん優しくて・・・
 お嬢さんたちはだれも、あなたのこと嫌がったりしなかったじゃないの。
 あなた、もっと自信持ちなさいよ。
 それから早く、あの子たちのなかから、お嫁さんを選んでね」
教え子たちが順ぐりに咬まれて、破れた靴下を穿き替えて帰宅していったあと。
敏恵は血色を取り戻した甥っ子の横顔を、優しいまなざしで見つめる。
さっきまでのうわべだけの笑みとは裏腹な、いたわりに満ちたまなざしだった。
甥っ子には甘く、どこまでも親切な伯母だったのだ。

甥のショウジに初めて襲われたときには、びっくりして取り乱してしまった。
そのままじゅうたんの上に押し倒されて、ショーツを引きずりおろされたときには、まさかと思った。
この齢になったのに、敏恵がセックスを識ったのは初めてだったのだ。

吸血鬼になった息子を姉の家に差し向けた妹は、あとからすべてを告げた。
妹の一家は家族全員が吸血鬼に襲われて、甥のショウジが吸血鬼になったということを。
後出しは卑怯だわ。
したたかな妹に、姉は冷ややかにそういった。
首すじに咬み痕をつけられた後であっても、そういうところまでは崩れ果てないらしい。
姉と同じ痕をつけられた後、すべてを崩れ果てさせてしまった妹は、
姉の気丈さとひさびさに向かい合って、さすがだと素直に思った。
「わかったわ。うちの教室に若いお嬢さんが大勢出入りしているから、私にあの子を預けるというのね?」
皆まで言わせず、露骨に言い切った姉に、妹は綺麗な女の冷酷さを見る思いだった。

それ以来。
独り住まいのピアノ教師の邸に居候を決め込んだ甥っ子は、若い好奇心のまま、
伯母の教え子たちを襲いつづけた。

同性には冷酷なこの女はしかし、甥っ子にはどこまでも優しかった。
血を欲しがって呻きをこらえる甥っ子のまえ、優雅に装ったドレス姿を見せびらかして、
すすんで押し倒されていって、股間も首すじも、ためらいもなく愉しませてやった。
女性が脚にまとう丈の長い靴下に執着するショウジの嗜好を、
「いけない子ねぇ」と優しく咎めただけで、
ストッキングで上品に装った足許を、ロングスカートをたくし上げて惜しげもなくさらけ出すと、
狂おしい本能のおもむくままに、荒々しくむしり取らせてしまっていた。
さいしょは伯母のもとに出入りする教え子たちのことを、恐る恐るのぞき見するだけだった甥っ子の好みを、優しい伯母は懇切に聞き取ってやり、
甥っ子が手を出してもよさそうな娘を択んでは、レッスン後に二人で逢わせてやるようになった。
――あなた、吸血鬼に襲われてみない?
先生にそんな誘いを受けて戸惑う教え子たちをあるときはなだめすかして、あるときは高飛車に抑えつけて、
レッスン室の隣のお座敷に送り込まれた教え子たちは、
ひとり、またひとりと、甥っ子の毒牙にかかっていった。
それが近所の評判にならなかったのは、少女たちが口が堅かったのと、
たまたま知ってしまった親たちも外聞を憚って見て見ぬふりをし、
自分の娘が吸血に狎れてしまったことに薄々気づきながらも、
ピアノのレッスンを続けたいというまな娘の願いを叶えつづけた結果だった。

良家の子女のなかには、すでに男を識ってしまった娘も、当然のようにいた。
そうした娘たちには、敏恵は容赦がなかった。
「お行儀の悪い子は、犯してもいいのよ。遠慮なくおやりなさい」
敏恵の言いぐさはひどくそっけなかったけれど、甥っ子への歪んだ愛情に満ちあふれていた。
伯母の冷ややかに澄んだ声が突き放したような言いぐさを口にするのを、
ショウジはくすぐったそうに受け流しながら、
小ぎれいなお洋服に着飾った伯母の教え子を組み伏せて、荒々しくスカートをたくし上げてゆく。
鋭利な牙を秘めた唇を柔らかな首すじにあてがうと、
どんなに気の強い少女も例外なく怯えた視線をさ迷わせながら、従順になっていった。
生き血を吸い取られてゆくあいだ。
ハイソックスの脚がじたばたと暴れ、
切なげに足摺りをくり返し、
やがて力を失ってぐったりと横たわる。
けれどもショウジの黒ずみ痩せこけた腰がスカートの奥に肉薄し、深く沈み込んでくると、
ふたたび身じろぎを始め、淫らな躍動をはじけさせてゆく――
敏恵はワイングラスを片手に弄びながら、
そんな恥知らずな教え子たちが甥っ子に組み伏せられて、
嫁入り前の娘としての名誉を奪われてゆくのを、
小気味よさそうに眺めていた。


「ありがとうございました」
丹生加奈子はお行儀よく両ひざの上で手を重ねて、レッスン後のあいさつを終えた。
ロングの黒髪を揺らしてお辞儀をする少女に、敏恵は、
「あちらにいらっしゃい。甥っ子があなたのことを待ちかねていますよ」
と、少女を促した。
加奈子はちょっとだけ羞ずかしそうな笑みを色白な童顔によぎらせると、
「ではちょっとだけ、お邪魔していきますね」
と、白い歯をみせた。そしてピアノの前から起ちあがりかけて、
「きょうのレッスンは、私が最後ですよね?」
と、忘れずに確かめていた。

「白のカーディガン、汚れが目立たないかしら」
首すじを咬まれたあとの血のほとびを気づかわれたと知りながら、少女は笑みを絶やさない。
「だいじょうぶ。彼、優しくしてくれますから」
加奈子が白い服を着てくるときには、血が撥ねないようにソフトに咬んでくれるのだという。
「きっときょうは、優しく咬まれたい気分なのね」
心優しい伯母は、甥っ子の相手をためらいなくつとめてくれる少女のことを、そう判断した。
リビングのドアが開いて、ショウジが顔を出した。
「やあ」
おおぜいの女の子を組み敷いて来た彼には珍しく、よそよそしいはにかみを泛べているのを、伯母はほほ笑ましく見守る。
つぎの教え子が控えているときには、
イスの下にもぐり込んでハイソックスのふくらはぎをひと咬みするだけで、
レッスンを終えた少女をすぐに連れ出してしまうショウジが、
加奈子がいちばんさいごにレッスンに訪れるときだけは、レッスン室に長居をするのだ。
加奈子もショウジの抱いている好意を、それとなくわきまえているらしい。
「おニューのタイツ履いて来たの。楽しんでね」
笑くぼを滲ませて人懐こく笑うと、こげ茶のスカートのすそを抑えながら、
「失礼」と先生にひと声かけて、じゅうたんの上に身を横たえていく。
真新しい黒タイツに包まれた発育のよいふくらはぎが、しなやかなナイロン生地ごしにピチピチとした生気を滲ませていた。
ウウ・・・
吸血鬼としての本能を目覚めさせてしまったらしい甥っ子が、
少女の足許に性急に唇を圧しつけてゆくのを、
心優しい伯母は「あらまあ、ホホホ・・・」と、嬉し気に見つめていた。

少女が純潔を喪ったのは、それから小一時間ほど経ってからのことだった。

濃い紫のドレスに身を包んだ伯母は、最愛の甥っ子が自分の教え子を女にしてゆくのを、そむけた背中越しに感じつづけていた。

相手の女がすでにセックスを識っているとき、甥っ子は必ず彼女を犯した。
けれども相手が身持ちの良い少女の場合には、生き血を吸い取っても犯すことはなかった。
相手が処女でも犯してしまうとき、彼が本気なのだということを、
敏恵は自分の身体で識っていた。

加奈子さんのご家族には、ご挨拶に伺わないとね。
お母さまはおきれいな方だし、お父さまは物わかりのよい方よ。
中学にあがったばかりの、可愛い妹さんもいらっしゃるの。
あの子もきっと、ピアノを習うようになるわ。才能あるから。
あなたは特別な子なんだから、お嫁さんはなん人ももらうといいわ。
伯母はどこまでも、甥っ子に甘く優しかった。


あとがき
このお話に登場する人物・団体名は、他のお話同様架空のものです。
・・・なんて断り書きを入れるのは。
だいぶ前のことですが、たまたま同姓同名だったらしい方から「私のことを知ってるの?」と問い合わせられたのを思い出したからなのでした。

さいごに加奈子さんの妹さんを「才能あるから」と評価した伯母さまは。
妹娘のどんな才能に注目したのでしょうか?
気になるところではあります・・・

受話器 2

2017年11月27日(Mon) 06:26:29

夜が明ける。
真っ暗にしたはずのこの部屋にも、閉め切ったカーテンの向こうから、明け方の気配が洩れてきていた。
男は顔をあげ、あたりの様子を窺った。
女はとうに、気絶している。
気絶した女の傍らに、黒い受話器が転がっている。
男は吸血鬼。
魅入らせてたらし込んだ人妻を呼び寄せて、ひと晩かけて欲望を満たしつづけていた。
血を吸うだけではない。
ちゃんと女として、愛し抜いた。
夫は単身赴任のサラリーマン。
そんな手薄な身辺に近寄るのは、たやすいことだった。
やすやすと堕とした女の肢体に、夜な夜な酔い痴れる。
もちろん吸い取る血液の量は、手かげんしている。
軽い貧血が却って陶酔をそそるのか、
女は心地よげに男に身をあずけ、守り抜いてきたはずの貞操を、惜しげもなく差し出してくる。

転がった受話器を、男は手に取って、耳にあてがう。
もしもし――?
とうに切れていたと思っていた受話器の向こう側は、まだ回線がつながっていた。
ツーツーという無機質な発信音の代わり、耳元に聞こえてくるのは、男性の昂った息遣い。
切迫し切った息遣いは、女の夫のものだった。
あんた、きょうは仕事だろ?
・・・休むよ。
息遣いの主の声色は、長時間続いた緊張の果てにある疲労と愉悦に満ちていた。
家内、ぼく相手のときには、そんな声立てないんですよ・・・
満足できた?
ええ、とっても・・・

手ごめにした人妻の夫は、男にとって幸いなことに、マゾヒストだった。
そして夫自身にとっても、己の性癖は幸いしていた。
ことの真相を知った夫は協定に応じ、潔く吸血鬼の軍門に降ると、
留守宅を守る妻の肢体をよろこんで提供すると約束してくれた。
そのご褒美に。
今夜は逢瀬を遂げるというその晩に、夫のところに電話をかけて、
ことのなりゆきを面白がって笑いこけるその妻のまえ、電話をつないだままの受話器を転がしてみせた。
――今夜はあんたの愛妻の、悩ましい喘ぎ声をプレゼントしてあげる。
吸血鬼の言いぐさに、受話器の向こうでおっとりと頷く夫。
転がした受話器の揺れが止まる前に、吸血鬼は女に襲いかかっていた――

ひと晩寝ずに、奥さんの声を聞きつづけていたのか?
眠れる夜じゃ、ないからね・・・
きみは良いご主人だ。
あんたも、良い間男だ。
うふふふふふっ――男は、くすぐったそうに笑う。
軽はずみな女だが・・・これからも家内のことをよろしくな。
ああ、任せておけ。
震えを帯びた昂ぶりの声の主は、やっと自分のほうから電話を切った。
あとに残るのは、ツーツーという無機質な発信音。
男は受話器を置いて、傍らに転がる女の肢体を見おろした。
女は口許にかすかな唾液を滴らせ、整った目鼻立ちに淫らな陶酔の痕跡をありありと残している。
クククククッ・・・
男はくぐもった昏い笑いを洩らすと、われにかえって身じろぎを始めた女のうえにのしかかり、
アッと声をあげかけた唇を、自分の唇でふさぎながら。
もういちど女の背中に腕を回して、ギュッと抱きすくめていった。


あとがき
前作に触発されて、受話器をテーマにもう一話描いてみました。
昨日から、前作に触発されて次のを描き、さらにそのまた次のお話・・・と、つむいでしまいました。
たまにはこううことも、ありますよね?^^

受話器。

2017年11月26日(Sun) 08:29:25

「お義母さまにも、いい想いをさせてあげましょうよ。すこしでもお若いうちに」
妻のそんないけない囁きにそそのかされて、受話器をとったわたし――
ここは吸血鬼の棲む村。
村の衆は誰もが彼らのいうことを聞き、妻や娘さえも捧げることを、むしろ誇りとし悦びとしていた。
そんな土地だと知りながら、都会に住むことができなくなったわたしたちはこの村にやって来て、
いまではわたし自身すらが、妻が愛人をつくることに同意してしまっていた。

母をこの土地に招ぶ――
多少の罪悪感と後ろめたさを感じながら、わたしは受話器をとった。
受話器の向こうから聞こえてくる声色は落ち着いていて、
それでも熟れた美味しい血を宿した女が放つ声だと自覚してしまうのは、
この土地に慣れ親しんでしまったものの身につける忌まわしい感覚なのだろうか。
母は、紅葉の見ごろになったら父といっしょに遊びに来ると、約束してくれた――

身体が埋もれるほど積み重なった紅葉のうえで。
それまで気丈に振る舞っていた母は、
帯を解かれ襟足をはだけられ、眩しいほどの裸身を輝かせながら、
息荒く群がる男衆たちを相手に、気丈に振る舞い抜いていった――

数か月後。
母は父を連れて、この村に移り住むようになった。
うわべは渋っていた父もまた、母と村の衆との交際を認めないわけにはいかない仕儀となったらしく、
いまは潔く?妻の貞操を荒々しい抱擁と吶喊とに、譲り渡してしまっている。

握りしめた受話器の向こうから聞こえてくる、母の声は。
ひどく若やいではずんでいて、
きっとよそ行きのスーツを奥ゆかしく着込んでいるはずなのに、
そのスーツのすそを腰までまくり上げられて、
ストッキングを脛まで引きずり降ろされて、
後ろからズンズンと突き抜かれつづけているらしく、
「あなたもっ・・・典子さんにきをつけてッ・・・あげなさい・・・ネッ・・・!?」
と、声の抑揚もどことなく、おぼつかなくなっていた。

数か月前の老成しきった、もの静かで冷静な声色とは、20歳は若返ったかのように、はずみきっていた。

受話器の向こう側はどうやら、収拾がつかないことになってしまったらしい。
やがて母の手から受話器をひったくったらしい父が出て、いった。
「もういいから、かんべんしてあげなさい。あとは父さんが面倒見ておくから」

振り返ると妻は、ベッドのうえに片脚だけもたれかけさせながら、床のうえに大の字になって気絶している。
口許からは、だらしなく垂れたよだれがしたたり、
ベッドのうえに無造作に投げられた脚は、ひざ小僧までずり降ろされたストッキングが、ふしだらな光沢を放っていた。

目のまえには、抜け殻どうぜんになるまでむさぼられた妻の裸体。
受話器の向こう側からは、理性を塗り替えられた両親の声。
そのどちらもが、わたしの理性をも狂おしく塗り替えてゆく。

妻のすすめ

2017年11月26日(Sun) 08:09:11

吸血鬼に襲われて生き血を吸われ犯された妻は、愛人との逢瀬をわたしに認めさせ、
すすんで彼の奴隷となった。
妻は女の生き血に飢えている愛人のため、自分の母親を実家から呼び寄せて襲わせた。
娘の生き血をたんのうした男にとって、その母親の生き血はどうしても、気になるところだったから。
見返りに妻は、義母の不在を寂しがる義父とのあいだに、父娘ではあり得ない結びつきをもつようになった。
「父はね、前から私のこと気にしていたの」と、妻はうそぶいた。
「母の献血を認めてくれたから、お礼をしたかったの。いいでしょ?」
きっと舅は、「献血」だけではなく「不倫」までも、認めさせられてしまったのだろう。
すっかり主導権を握られたわたしは、妻のもっともらしい言い分に、ただ頷くことしかできなかった。
妻と情夫との濡れ場を目の当たりにすることを歓びと感じてしまう恥ずかしい性癖を、
しっかりと植えつけられてしまったから。
娘に対し「恥を知りなさい」と咎めだてをした気丈な義母は、いまでは公然と不倫に耽るようになって、
永年連れ添った妻が痴態もあらわに納屋で男衆と乱れ合うのを、その夫は恥を忘れてのぞき見することに熱中していた。

自分の母親に、愛人を。
父親に、妖しい歓びを。
そんな贈り物で“親孝行”を果たした妻は、そしてわたしにも、囁きかけてきた。
「お義母さま、少しでもお若いうちに、生き血を味わってもらいましょうよ」
「御実家からこちらへ、おひとりで来てもらいましょうよ。あとの手引きは私がするから」
「どうしてもお義父さまもついていらっしゃるというのなら、私お相手するわ。そのあいだにお義母さまを、味わっていただくの。どう?」
嫁の乱行を、夫以上にとがめだてするはずの存在を、この際葬ってしまおう――そんな意図をありありと感じながらも、わたしは知らず知らず受話器をとってしまっている。
母のときはもしかすると、妻のときよりも昂ってしまうかもしれない――そんないけない妄想にとりつかれながら・・・

戦利品 その2 ――蟻地獄――

2017年11月26日(Sun) 07:54:12

「嬉し恥ずかし」の初応接の時期が過ぎると、妻と交際を続ける男衆の頭数はぐっとしぼられてくる。
犯す側と犯される側とのあいだには、必然的に「相性」というものが生まれてくるからだ。
いまは、2~3人の特定の男衆が代わる代わる妻をあの藁納屋に誘い出して、
時には一対一で、時には複数で、辱め抜いてゆく。
「辱め」といっても、人妻本人にもその夫にすらも苦痛を感じさせることがないのは、こういう村ならではのことなのだろう。
わたしもまた、妻ともども彼らに誘われたときには、できるだけ応じるようにしている。
彼らは獲物にした人妻を夫の目のまえで弄びたがるというけしからぬ趣味を持っていたので、彼らの願望を好意的にかなえてやるために――
都会育ちの人妻の淫らな遊戯は、夫までも巻き込んで、明け方までつづくのだった。

妻の身体からはぎ取られ、せしめられていった洋服や装身具たちは、
その後交際から遠ざかった男の手から、交際を続ける男の手へと移っていって、
さいごはひとりの男が、あのときの服装のすべてを手にすることになる。
それを見せつけられた夫は、妻と間男との交際に、三人で乾杯をして、
「おめでとう、末永く妻をよろしく」と言って、すべてをゆだねることになっている。

妻の父親もわたしの父も、わたしと同じように寛大な夫になるのに、そうは時間がかからなかった。
さいしょに妻を咎めたのは、実の母親だった。
けれども彼女はすぐに、母娘もろともあの納屋で輪姦されて、すっかり大人しくなってしまった。
身ぐるみ剥がれてムシロ一枚の「お菰さん」なんかにされてしまっては、それまでの人生観など無に等しいものになってしまったとしても、あながち本人を責められない。
「娘に関心があったら、お袋のことも抱きたくなるもんだね」
妻の洋服ひとそろいをの所有者になったあの男衆は、そういいながら、
さっきわたしの義母を犯してきたという一物を、ズボンのうえから自慢げに撫でさするのだった。

彼がふたたび自分の一物をズボンのうえから自慢げに撫でさするのを見たのは、それからひと月あとのことだった。
相手はわたしの母だった。
ぐうぜん妻の濡れ場を目撃して、姑として厳しい咎めだてをしたときのことだった。
そのときも。
嫁と姑はひとしく男衆たちの餌食にされて、納屋の中で衣装ひとそろいをせしめられて、
引きかえにムシロを一枚渡されて、家に帰されたのだった。
そのときの妻の機転で、母は自らの裸体を通行人にさらす機会をあまり多く持たずに済んだ。
自分の母親の時もそうだったから、もう慣れたものだった。
母は自分が咎めようとしたはずの嫁の機転に、後々まで感謝することになる。
そして息子に隠れて――息子であるわたしは、すべてを知ったうえで黙認したのだが――毎朝毎昼毎晩情事にいそしんで、いままで厳しく守り抜いていたあそこをゆるゆるにされて、都会の自宅に戻っていった。
そして次の訪問のときには、父のことも連れてきた。
「どうして父さんまで連れてきたの?」と訊くわたしに、
「だって、お父さんだけのけ者じゃ、かわいそうじゃない」と、彼女は答えたものだった。
母の不始末をネタにやんわりと脅された父は、脅しに屈することなく――しかも彼らの好意的な真の意図をきちんと見抜いたうえで――自発的に妻の貞操をプレゼントすると彼らに約束した。
彼らが都会妻たちと関係を取り結ぼうとする強引なやり口から、独特の好意を汲み取ることができる才能は、もしかしたら“血”だったかもしれない――
彼らはきっと、その血を口にすることで、獲物に見合った待遇を決めるのだろう。

もう、還暦を過ぎてしまったのに――
そういって恥じる母に父は優しく、「魅力と年齢とは関係ないのだよ」と諭し、
若い肉体を持て余す男衆の待つ藁納屋へと、促してやっていた。
楚々としたワンピースも、なまめかしいストッキングも、一枚のムシロにひき変えられてしまうと知りながら――

村の男どもの棲み処にまた、女もののよそ行きの衣装がこれ見よがしにとひるがえる。
落ち着いた年輩の婦人が好んで身につける、洗練された衣装たち――
それは花柄やベーズリー柄のワンピースだったり、高価なシルクのブラウスだったりする。
スカートハンガーに丁寧に吊るされた丈長のスカートたちは、その裏側に、
忌まわしくも淫らな粘液をたっぷりと吐き散らされて、
裏地が白茶けるほど濡らされているのだろう。
なん足も引きむしられたストッキングは束にされて、持ち主が犯された回数を誇示するように、夫たちの目のまえにぶら提げられる。
夫たちはそれを見あげて満足げに、こう呟く――
「家内のことを気に入ってもらえて、嬉しいですな」と。

村を中心にして親族知人を巻き込む“蟻地獄”は、こうして今回も平和裏に、都会の家族を呑み込んでいった。


あとがき
人妻が堕ちてしまったあとにどうしてもつけ加えたくなるのが、その母親や姑の濡れ場です。
悔しがり、歯がみをし、羞じらいながらも欲望に勝てずに、それまでの気丈さをかなぐり捨てて耽ってしまう彼女たち。
村の男衆と永年連れ添った妻たちとの関係を快く受け容れる、寛大な父親たち。
あり得ない風景かもしれませんが、どういうわけか鮮明に妄想することができてしまうのです。

戦利品。

2017年11月26日(Sun) 07:32:44

村の男衆たちの手で、納屋に引きずり込まれるまえ。
妻が着ていたよそ行きのスーツの代わり、
納屋からふらふらとさ迷い出てきた妻がまとっていたのは、一片のムシロ。
むき出しの腕や藁にまみれた裸足を隠しかねながら、
まだ息荒く、それでもあたりのようすを憚るように身をかがめながら、
こちらへと戻って来た。
いつもの気の強さには不似合いな、オドオドとした目線をあたりに配りながら。

出し抜けに首すじに貼りついたヒルのような唇が、欲望を果たし切ってしまうまで、
とうとう離すことができないままに、
くらくらと貧血を起こしてその場に倒れたわたし。
そのわたしを気づかうような、昏い視線だけを残した妻は、
吸血の習癖を持つ男衆の手で、納屋に引きずり込まれていった。
妻がようやく解放されて、貧血から立ち直りかけたわたしの許に戻ってくるまでに、
小一時間が経過していた。

生き血を吸い取られる意外になにをされたのかは、明白だった。
けれども、わたしにはどうすることもできなかった。
彼らがそういう性癖を持つことまで知りながらこの村を訪れたのは、
他に行く場を失ったわたしたち夫婦の意思だったから。

妻のあとをついてくるようにして、男衆たちも納屋から姿を現した。
手に手に妻の身体からはぎ取った衣類を、戦利品としてぶら下げながら。

ブラウス。
ジャケット。
ネックレス。
スカート。
スリップ。
ブラジャー。
ショーツ。
ストッキング。
ハイヒール。
どれもがひとつひとつ、別々の男の手に持たれて、せしめられている。
見返りに妻に手渡されたのは、かろうじて身を覆うことができる大きさの、一片のムシロだけ。
妻は怯えたように彼らを見回し、
彼らはなれなれしい目で、自分たちが支配した女を眺めまわす。

「真面目な奥さんなんだな。ずいぶん手こずったぜ」
若い衆のひとりが言った。
「んだんだ。でも、エエ身体しとるのぅ」
もうひとりが応じるようにして、そう言った。
「こんな女優さんみたいな嫁さんもろうて、羨ましいのぉ」
べつの男がしんそこ眩し気に、わたしたち夫婦を見る。
「気ぃつけて」
さいごに口を開いた頭だった男の声色は、奇妙な親しみといたわりに満ちていた。

道行く人たちは皆、見て見ぬふりをしてくれた。
こちらの異変に、明らかに気づいていながらも。
自分の妻を捧げた夫を、侮辱してはならない――そんな不文律に支配されているかのように。
村に迎えられるためにだれもが通らなければならない荒っぽい通過儀礼は、
こうしてわたしたち夫婦の間を、嵐のように通り過ぎた。


「早くしよ。遅れたら失礼よ」
そういってわたしを促す妻は、真っ赤なスーツに黒のブラウス。
足許を染める薄地の黒のストッキングは、肉づきのよいふくらはぎをなまめかしく染めて、
淡いピンク色をした脛が、ジューシィに透きとおっている。
休みの日ごとにかかるお誘いに、きょうも夫婦そろって出かけるのだ。

迎える男衆はたいがい、独り者だ。
夫婦者の場合には、自分の妻がほかの男の相手をしに出かけていったときに、声をかけてくる。
女っ気のない寒々とした部屋に妻を呼び入れる彼らの目的は、わかりきっている。
熟れた人妻の生き血と、その血を宿す瑞々しい肉体――
身につけたスーツを突き通すように鋭い男どもの視線は、
夫であるわたしの目の前であるにもかかわらず、露骨に鋭くもの欲しげだった。
応接間には、これ見よがしに掲げられた、女もののジャケット、ブラウス、ストッキング――
初めてのとき、納屋のなかで組み敷いた妻からせしめた戦利品が、あの日の出来事を鮮明に蘇らせる。

男どもの接待は、それは念が入っていて、
土地の料理からここでしか口にすることのできない地酒にいたるまで、至れり尽くせりなのだ。
わたしはわざとのように途中で酔いつぶれ、
あとは妻と相手の男との痴態が、夫の目の前もはばからずくり広げられる。
夫公認の浮気にすっかり狎れてしまった妻は、
いけませんわ、いけませんわ・・・あなた、助けてえっ!
と、相手とわたしの気を引くような声をわざとあげながら、息荒い欲情のもとに、組み敷かれてゆく。

目のまえの凌辱を愉しむことができるようになったわたしにとって、
こうしたお呼ばれに、苦痛を感じることはない。
若い血液と都会妻の肉体を、男どもと分かち合う歓びだけが、
狂った鼓膜と網膜とを痺れさせてゆく――

かつては妻の地位と品性とを彩っていたネックレスが、ブラウスが、スカートが。
愚かな痴態に耽るわたしたちを見おろすように、ハンガーにかけられてぶら下げられている。
なにもかもが初めてだった妻の身体からはぎ取られ、せしめられた戦利品たちが、
わたしたちの和解を祝っているのか、呪っているのか、
ただ無表情に、わたしたちのことを見おろしている。

逢う瀬のあとに

2017年11月21日(Tue) 07:06:16

幼なじみの“彼”が妻といっしょに、夫婦の寝室に入ってから約一時間。
妻の声に呼ばれて部屋に入るとすでに“彼”は立ち去ったあと。
ベッドのうえには首すじから血をしたたらせ、よそ行きのワンピースを着崩した妻がひとり、じっとこちらを視ていた。
「妬きもちやかないの?」と、わたしの気分を逆なでしようとする妻。
「相手が“彼”ではね」と、受け流すわたし。
わたしは知っている。
昔からこの街に棲んでいる人間で吸血鬼になったものは皆、自分だけではなく妻も娘も吸われているのだと。
「だから、お互い様だと思えるんだよ」
「あなたも吸血鬼になっちゃえばいいのに♪」と、挑発する妻。
「ほかの女を襲いたいとは思わないから」
不思議なくらい、こたえがさらりと出てきた。
そのさらりと出た答えに妻は納得したのか、もう何も言わなかった。
わたしはベッドのうえの妻に近寄り、ふたりはしっかりと抱き合っていた。
犯されるきみが理性を狂わせてゆくのをのぞき見するほうが、他の女よりもよほどそそられるから――
かみ殺したはずのそんな想いは、いつもよりも激しい衝動となって、きっと妻にも伝わったはず。
妻はなにもかも心得ているかのようにわたしに応じつづけて、
まるで新婚のころのような熱情あふれた交歓を、くり返してゆく。

もつれ込んだベッドのうえで過ごした時間は、たぶん“彼”の襲撃よりも長かったはず。
「男のひとって、単純ね」と、妻は挑発をつづけようとする。
――「長い」とか。「おっきい」とか。ばっかみたい。
つまらない男の見栄をあっさりと笑い飛ばすと、わたしの腕をすり抜けるようにして、台所へと立ってゆく。
あわてて目線で追った後ろ姿はもう、エプロンを締めかけていた。
女というやつは、おそろしい。たとえ女房であっても。
女は非日常の痴情から、こともなげに日常に戻っていく。
きっと妻は・・・
きょうのような公然とした訪問以外の誘惑を、その何倍も受け止めているのだろう。

「こんどはいつ来るのかしら」
テーブルのうえに料理を運びながら、独り言を呟く妻。
エプロンの長いすそから覗いた脛の上を、ストッキングの伝線の太いすじが、あざやかに走っていた。
わたしはふと言いかけて、あわてて押し黙る。
そんなことを指摘したらまた、彼女は不倫妻のモードに戻ってしまうだろうから。
そういえば。
勤めから戻ったわたしを迎える妻はよく、ストッキングを伝線させている。
じわりと肚の底にこみ上げた衝動をかろうじて押し隠し、わたしは食卓につく。
今夜も覚悟をしているのか、小ぎれいに身づくろいをした妻は、なにかを待ち受けるようにわたしのことを盗み見た。

管理人のつぶやき

2017年11月14日(Tue) 06:59:07

今月は、第一作が13日と、ひどく遅咲きです。^^
淫らな妄想がもつれ合って、どうにもうまくお話をつむぐことができませんでした。
うち一、二作目は、「花火」がテーマです。
本当は二作目のほうが先に着想したのですが、11月ではいくらなんでも季節外れだなあと思い、
その前段で「季節はずれの花火」を描いたのです。
そのうち二作目のほうも構想(妄想?)がふくらんで、成稿をみたのがやっと今朝のこと。
まあ、せいこうってほどのもんでもありませんがね・・・ (^^ゞ

ナースステーションの宴

2017年11月14日(Tue) 06:53:46

真夜中のナースステーションは、吸血鬼の楽園。
この夜のために選ばれた若い看護婦も。
ややとうはたったけれどまだまだイケるベテラン看護婦も。
しっかり者で知られた四十代の婦長も。
夜中なのによそ行きのスーツでバッチリとキメた、院長夫人までも。
きゃあきゃあと悲鳴をあげながら、首すじを咬まれていって。
ひとり、またひとりと姿勢を崩し、ストッキングに包まれたひざを床に突いてゆく。

首すじから血を流した女たちは、
うつ伏せに伸びたふくらはぎにまで、もの欲しげな唇を吸いつけられる。
若い看護婦は、透きとおる白のストッキングを。
ベテラン看護婦は、本来禁止が不文律の光沢入りの白ストッキングを。
婦長は、もっさりとした白タイツを。
院長夫人は、光沢のよぎる高価な肌色のガーターストッキングを。
ヌルヌルとしたよだれに濡らされ、
飢えた牙にメリメリと裂かれてしまう。

悔し気に歪む整った目鼻立ちは、辱めを受ける足許に目線をクギづけにして、
さらに悔しそうに、キュッと歯がみをしてみせる。

吸血鬼を患者として受け容れるこの病院では、
患者への輸血行為が、深夜の看護婦たちの業務のひとつ。
だから選ばれた女たちは深夜のナースステーションに集められ、
わが身をめぐる血潮で、患者の渇きを満たしてゆく。
長患いに鬱積した気分を、己れの身につけたストッキングを食い破らせてやることで、まぎらわせてゆく。

けれども彼女たちのお勤めは、これだけでは終わらない。
ああ・・・
悲しげなうめきをあげて、ベテラン看護婦がのけぞった。
身につけた白衣はびりびりと引き剥がれ、はぎ取られたブラジャーの下からは、豊かな乳房を惜しげもなくさらけ出してしまっている。
吸血鬼の長い舌がもの慣れたやり口で、三十路女の乳首をいたぶった。
そしてストッキングを剥ぎ堕とされてむき出しにされた太ももを抱くようにして、
ユサユサと女の身体を揺らしながら、淫らな吶喊をくり返した。

このひと、ご主人いるのよ。
訴えるようにそう囁いた婦長のうえに、男は劣情もあらわにのしかかる。
つぎはお前の番だといいたげに。
生真面目な婦長は四十にもなって、吸血鬼相手に初めてのものを散らしていた。
いや・・・いや・・・いやぁん・・・
齢がいもない、あられもない声を洩らしながら。
純な気持ちに齢は関係ないのよといいたげに、
肉づき豊かな腰つきを、男の強引な動きにけんめいになじませようと努めている。
いまはすっかり狎れ合ってしまった、肉と肉――
婦長が満足するまで、男はなん度も犯しつづけた。

私、もうじき結婚するんです・・・
そう哀願した若い看護婦も例外なく、劣情の餌食となった。
すでになん度も犯されてしまっている嫁入り前の女は、
男のテクにすっかりイカされて、不覚にもはしたない声をあげてはじめている。
純白のウェディングドレスの下に身につけるはずの白のストッキングは、
彼女の足許を清楚に引き締めていたけれど、
襲う男には、ただ劣情しか催さなかったらしい。
業務ですよ、あくまで業務・・・
うつろな目になった婦長が、幼子に言い聞かせるような口調で囁きつづけるのに肯きながら、
女は禁じられた淫らな舞いを、吸血鬼相手に披露しつづけた。

さいごは院長夫人だった。
このなかではいちばん年配の彼女を最後の獲物に選んだのは。
いちばんおいしい獲物をさいごまで取っておくという、
彼なりの礼儀作法なのだという。
陽のあたる場所では威厳たっぷりの街の有力者も、
吸血鬼のまえでは、一介の素人女――
心見だされ、淫らに舞ってしまうのは、ほかの女たちといっしょだった。
人手の足りないナースステーションに彼女を送り込んだのは、他ならぬ夫の院長だった。
今夜血液を提供する看護婦の頭数が足りない――そんな婦長の申し出に応じて、
躊躇なく、自分の妻に吸血鬼の夜伽(よとぎ)を命じたのだ。
お手本は、いちばん頭だったものが見せるもの――
夫の言葉に妻は肯いてみせて、夫を裏切る行為に、いまは耽り抜くようになってしまっている。

深夜のナースステーション。
そこは歪んだ宴の場。
今夜も救いと癒しを求める吸血鬼どもが、前の廊下を徘徊し、
待ち受ける女たちは、強いられた淫らな業務に息を詰め、心震わせながら、従事してゆく――

妻は地に舞う大輪の花火

2017年11月14日(Tue) 06:26:09

ねっ、花火見に行こ♡
妻はウキウキとした顔をして、わたしのことを肘で小突いた。
えっ?
わざとうろたえた声をして応じると、妻は「うふふッ」と肩をすくめて笑い、逃げるように台所に入っていった。
季節外れの花火に誘われてあの村に出向いたのは、去年のいまごろのことだった。

花火師の棲むその村では、来年あげる花火の品定めをするために、季節外れのこの時期に内輪のものたちだけを招く花火会をやるという。
たまたまなにかの縁で毎年招かれるようになったという友人に強く誘われて、わたしは妻を伴ってその村に行った。

花火よりも先に、振る舞い酒に酔い痴れた友人とわたしはいつの間にか、
村の男衆たちの手でぐるぐる巻きに縛り上げられて、草地に転がされていた。
空を舞う大輪の花火。
その下で友人の妻も、わたしの妻までも。
男衆の手で浴衣をはぎ取られて、やはり草地に転がされた。
一糸まとわぬ二体の裸体が、明滅する光芒に切れ切れに照らし出され、
夫たちの目を眩しく射抜く。
その上に、息荒くのしかかった男たちは、彼女たちの股間に忘れられない衝撃を加えていった。
都会育ちの妻たちはその夜、地を舞う大輪の花火になった――

こと果てたのち。
縛めを解かれたわたしたちは、それぞれの妻を介抱しながらほうほうのていで宿に戻った。
部屋に落ち着いたわたしたちが互いに目を背け合って座り込んでいると、
友人は自分の妻を連れて、わたしたちの部屋に現れた。
「これから出かけるんだけど、いっしょに来ない?」
「どこへ?」
「さっきの連中のたまり場」
「なにをしに?」
「こいつ、もういちどやってもらいたいって言うんだ。で、ぼくは妻を守れなかった罰ゲームで、見せつけられに」
友人の顔にあるのは卑屈で後ろめたい作り笑いなどではなく、
むしろこれからなにか特別なイベントを楽しもうという、サバサバとした晴れやかなものだった。
面白そう――
声をあげたのは妻だった。
さっきまでの憔悴した表情はかき消えて、白い歯を嬉し気に洩らして屈託なく笑っている。
「ね、あたしたちも行こ。あなたも罰ゲームよ」
わたしは妻に急き立てられるように座を起って、村の男衆たちのところへ出向いていた。

地元の姐さんたちを相手に乱交していた彼らは、わたしたちの奇特な訪問を歓迎してくれた。
「あんたの奥さん、貞操堅固だな。手こずったぜ」
目を細めて笑う老爺は、還暦をずっと過ぎた目じりを皺くちゃにして、屈託なく笑った。
周囲にいたもっと若い男どもも、乾いた声で笑った。
老爺はみすぼらしい格好をしていたが、なぜか威圧されるものを感じて、受け答えが知らず知らず敬語に変わってゆくのをわたしは自覚した。
「こ、今夜は・・・どうぞよろしくお願いします」
かすれた声で応じたわたしは、自分でもどういう表情を作っていいかまだわからずに、あいまいに笑って見せた。
「それでいいんだよ。あんたは正解」
だれかがいった。
男どもは口々に、難に遭ったわたしたちのことを侮辱するふうはなく、
「今夜は災難だったな」と、いたわる者。
「あんたの嫁、エエ身体してんなぁ」と、露骨にうらやましがる者。
「今夜は楽しかっただろ?」
「みんなでもっと楽しもうな」
「まったく手間を掛けさせやがって」
とかいいながら、どこか称賛のこもったまなざしを、わたしたちに向けてくる。
「都会の綺麗な女を嫁にできて羨ましい」と顔に書いたように、素直な称賛と羨望の視線を、わたしたち男性に、そして妻たちに、そそぎつづける。
わたしたちの妻を犯した村の男どもは、女好きという同じ人種の共感をこめて、
都会育ちのふた組の夫婦のほうへと歩み寄ってくる。
わたしは戸惑いながらも、老爺の悪びれない笑みに応えた。
「びっくりしたよ。こんなこと初めてだから」
「そうだろうね、ここじゃ日常茶飯事なんだけどな」
「妻が、もういちどしてみたいって・・・それで連れてきたんだ」
「一人で来させなかったってことは、あんたも見せつけられたくなったかい?」
老爺はからかうように言ったが、なぜか腹は立たなかった。
「いや――さすがに一人で出すのは心配だから――」
「あんた、好いだんなだね。教わんなくてもちゃんとわかるのは、奥さんのこと愛してる証拠だよ」
「そうなんですか?」
「しまいまできちんと見届けるのが、夫の務めってことだ」
「よくわからないけど・・・わかるような気もします」
自分でもびっくりするような受け答えだったが、なぜかすらすらと言葉が出てきた。
敬語と他人行儀な言葉つきが入り乱れているのは、まだきっと状況に慣れていないせいだろうと思ったけれど。

「なあお前ら、女房がほかのやつに姦(や)られるの、ズキズキ来んぢゃろ?」
老爺は仲間をふり返ると、田舎言葉でそういった。
えへへへへへっ・・・
だれもが身に覚えがあるらしい。
「わしは爺さんのおっ母さんで筆おろししたしの」
「お前ぇの女房抱いてるときに、お前ぇずっと部屋の隅っこで視ておったろうが」
「じゃけど~、気になるからの~」
彼らはしばしの間笑いをはじけさせながら、みじかいことばで互いの女房の痴態をはやし合った。
邪気の全くない笑い声を、わたしたちはあっけに取られて聞いていた。

「さてと、宴の続きに入ろうかい」
老爺がそういったときにはいつの間にか、村の姐さんたちは姿を消していて、女といえば妻と友人の妻だけになっていた。
対する男は、わたしと友人を抜きにしても、8人――
頭数を無意識に勘定してしまい、そんなことをしてしまっている自分に、思わずゴクリと生唾を呑む。
「だんなの名誉は守らないとな」
頭だった男がそういうと、夫たちは村の男衆たちの手でふたたびぐるぐる巻きに縛られて、
妻たちがなにをされているのか見えるように転がされた。
「あんたたち、抵抗できない状態で、女房を犯されたんだよな?みすみす指くわえて、自分の女房が姦られるのを覗き見してたわけじゃあないってことだ」
「ウン・・・そうだ。もちろんそうだとも」
友人が応えた。
「でもこんどは、典子が犯されるのを見たくて連れてきたんだ」
「素直でよろしい」
あんたはどうなんだ?わたしもそう訊かれた。
妻が息を凝らしてわたしのことを見つめているのを意識しながら、わたしはいった。
「ぼくもだ」
カサカサに乾いた唇から洩れた言葉は、昂ぶりに上ずっていて、それは妻にも伝わったようだった。
妻は身体から力を抜いて、村の男衆たちのほうをふり返り、媚びるような笑みを浮かべた。
それが合図だった。
「うへへへへっ」
一人の男が妻に、別の男が友人の妻に襲いかかると、男どもは飢えをこらえ切れなくなった獣のように、わらの上に横倒しになった二人の都会妻の身体のうえに、折り重なるようにしておおいかぶさっていった。
二人の都会妻は洗練されたワンピースを引き裂かれて、きゃあきゃあと小娘みたいにはしゃぎながら、犯されていった――


「旦那さんがたも、愉しんでいただけたようですな。来年もぜひ、いらっしゃい」
夕べの老爺が目を細めて、わたしたちに親し気な視線を送って来る。
あたりは、夕べの熱気にむせかえった闇は幻だったのかと思うほどの、冴え冴えとした晴れ空――
この村では昔から、夜這い合う風習があって、どの人妻も村じゅうの男という男の身体を識っていた。
それが近年の過疎化で女不足となり、村に少しでも縁故のある夫婦が招かれては、こんな夜を体験するのだという。
あくまでも口コミで、親しいものが親しいものを誘い込む形で、少しずつ“輪”が拡がりつつあるそうだ。
その“輪”のなかに、わたしたち夫婦は友人によって引き込まれ、“輪”は少しだけ、その広がりを増した。

なにも知らない夫婦を“輪”に招き入れるとき、もっとも重視されるのが夫の資質で、こうしたことに耐えうるかどうかが基準になるという。
そういえばかつて、友人が妻を誘惑して堕としてしまったのを知ったわたしは、
内心の昂奮を押し隠しながら、ふたりの交際を黙認していた過去があった。
かつて友人に、見て見ぬふりをして妻を捧げたように。
わたしは田舎の男衆たちの、粗野で荒々しい腕のなかに、妻をゆだねる決意をかためた。
こうして都会妻がまたひとり、村を彩る花火になった。

ところでどうでしょう?
今年も花火大会、あるんですけど・・・
あなたも来ませんか?よかったら、奥さんを連れて。

季節はずれの花火

2017年11月13日(Mon) 07:45:38

ひどい眩暈がぐるぐると、俺の頭のなかを渦巻いている。
闇夜でいきなり羽交い絞めにされて、首すじに尖った異物を刺し込まれて・・・
それが吸血鬼の牙だとわかったときにはもう、抵抗もできないほどに、血を抜かれてしまっていた。
その場でへたり込んだ俺のまえで。
連れだって歩いていた真由美までもが、襲われた。
「やだー!助けてー!」
悲鳴をあげて逃げ惑う真由美もすぐつかまえられて、俺と同じように首すじを咬まれてしまった。
ゴクゴクと露骨に喉を鳴らして、男は真由美の血をもの欲しげに啜りつづけた。
黒のワンピースを血しぶきに濡らしながら、じょじょに姿勢を崩してゆく真由美の姿が、薄らいだ意識の向こうへと埋没していった――
うつ伏せに倒れたまゆみの脚に、吸血鬼の老いさらばえた唇がもの欲しげに吸いついて、
ストッキングをパリパリと破りながら血を吸い上げる光景が、俺の記憶を狂おしく染めた。

気がつくと、傍らで真由美がべそをかきながら、俺の顔を覗き込んでいる。
どうやら俺のほうが、重症だったらしい。
あたりはまだ暗く、でも俺たちを襲った忌まわしい翳は、とうにその気配をかき消していた。
「血・・・吸われちゃった・・・へへ・・・」
真由美が下手な照れ笑いを作りながら、目じりの涙を拭っている。
片方だけ脚を通したストッキングは見る影もなく裂け、それだけではなく、
ワンピースのすそはめくれあがって、白い太ももが眩しく俺の目を射た。
どうやら血を吸われただけでは、すまなかったらしい。
けれども真由美は吸血鬼に犯されたことをあからさまに口にはしなかったし、
俺もそんなことを訊くことはできなかった。
話題を択ぼうとして目線をさ迷わせた真由美が、ふと自分の胸元に目を止めた。
気に入りの黒のワンピースに撥ねた血潮が折からの月の光を浴びて、チロチロと毒々しい輝きを放っている。
「花火みたい・・・だね――季節はずれだけど・・・」
放射状に伸びた血潮の痕を目でたどりながら、真由美は独りごとのように呟いた。
こんなに可愛い恋人を守り切れなかったのか――そんな無力感と敗北感にさいなまれそうになった。
そのうち沈んだ空気を追い払うように、真由美がいった。
「ねえ、もういちど、してもらお」
びっくりするほどハッキリとした、いつもの真由美らしいあっけらかんとした声色だった。

え・・・なにを・・・?
戸惑う俺に、真由美はいった。
「あの人言ってたの。週1でだれかの血を吸わないと、灰になっちゃうんだって。だから、感謝するって言ってたよ。また夜道であっても絶対死なせたりしないから、仲良くしよう、また吸わせてほしいって」
そんなバカな・・・言いかけた俺を、真由美は押しとどめた。
「ウフフ。あたしが吸われてるのを見ていて、洩らしちゃったくせにぃ~」
俺の股間に手を差し伸べて、ズボンのうえからイタズラっぽく撫で撫でをする細い指が、半透明の粘液に濡れていた――


「うわ・・・わッ!何するんだッ!?」
いきなりの襲撃にうろたえた声をあげる俺。
でもその声は、すぐに突き入れられた強烈な食いつきに、断ち切れてしまう。
「あんたの首は咬み応えがエエ」
男はそういいながら、なおも深々と、俺の首すじを抉ってゆく。
「くそ・・・く・・・そっ・・・」
歯ぎしりしながら相手を罵りつづける声は声にならず、ただ相手を愉しませるばかり。
俺の生き血がみすみす相手の栄養源になって、その力を得て真由美を犯す気だ――
そんな魂胆を知りながら、もうどうすることもできなかった。
そのうち、くらあっ・・・・とした眩暈が俺を襲い、俺はだらしなくその場に尻もちをついてしまう。
「きゃーっ!ユウくん、ユウくんっ、助けてえッ!」
真由美のあげる悲鳴はどことなく芝居じみていて、わざとらしくて。
逃げ足も遅く、ただバタバタと大げさに、かっこうの良い脚をうろうろさせている。
いくらヒールの高いパンプスを穿いていたとしても、もう少し早く逃げられそうなものだ。
これじゃあ俺の視界にいるうちに、咬まれちまうだろうが。
そんなことを薄ぼんやりと考えながら尻もちを突いたままの俺のまえ、
吸血鬼は真由美のことをつかまえて、不必要に弄ぶように振り回し、
俺によく見えるように真由美の首を締めあげて、白い首すじにガブリ!と食いついた。
「きゃあーッ!」
かん高い絶叫が、夜空にこだました。
愛しい恋人がムザムザと生き血を吸い取られるありさまを、
俺ははじめからおわりまで、たんのう――いや、見せつけられる羽目になったのだ。

「ううん・・・ううん・・・だめ・・・だめえッ・・・」
真由美の拒絶は甘えがちな声色になって、
迫って来る男をはねつけようとしているのか、そそりたてようとしているのか、わからないくらいだった。
卑猥な唇を足許に近寄せてくる吸血鬼のまえ、黒のストッキングになまめかしく染めた脚をくねらせながら、真由美はひたすらお慈悲を乞うている。
もちろんそんなものが認められるはずもなく、
吸血鬼は真由美の脚にストッキングのうえから舌を這わせ唇をふるいつけて、
むざんな裂け目をメリメリと拡げてゆく。
「ああーッ、いやぁ~ッ!ユウくーんッ!」
真由美がまたも、俺の名を呼んだ。

わざとなのだ。
すべてわざとなのだ。
襲われ始めたところから、すべては俺たちのお芝居。
吸血鬼に襲われるカップルを熱演したご褒美に、俺たちは若い血をたっぷりと吸い取られて、
あげくの果てに真由美はストッキングを剥ぎおろされて、
股間に深々と、もうひとつの牙を埋め込まれていき、
俺は俺で、恋人が吸血鬼に姦られるハードなベッドシーンを、心行くまでたんのうさせられる。
真由美はわざと、ユウくん、ユウくんと俺の名を呼びつづけて、俺のなかで覚醒してしまったマゾヒズムを、強引なまでに掻き立ててゆく。
いつもベッドのうえで、俺を無理やりその気にさせるときと、同じようにして――

「花火・・・」
貧血を起こして助け起こされた真由美が、吸血鬼の腕に抱かれたまま、
今夜のために着てきた純白のブラウスの胸に視線を落とす。
撥ねた血潮が放射状に散って、たしかに花火のように見えなくもなかった。
それ以上に真由美の脳裏には、もうひとつの花火が散っている。
恋人のまえで犯されて、ありのままの本能をさらけ出して悶え狂ってしまう――そんな衝動が昏(くら)い閃光となって、真由美の脳裏を狂おしく染めていた。
そして俺も――
植えつけられたマゾヒズムが妖しい触手を拡げ、心の奥を侵蝕し、塗り替えてゆく。
支配され飼い慣らされてゆく恋人を目の当たりにする悦びに、
今夜も不覚にも、激しい射精をくり返してしまっている。

花火は夏だけとは、かぎらない。
恋人の足どりが薄黒いストッキングに妖しく映える秋。
欲情に満ちた吸血鬼の目が次にとらえるのは、貴男の恋人の足許かも知れない――

もとは人間だった吸血鬼

2017年10月30日(Mon) 06:17:40

この街に棲みついている吸血鬼は、二種類いる。
ひとつは、この街を征服した、齢何百年になるかわからないという吸血鬼と、その親族。
もうひとつは、そうした吸血鬼に咬まれて吸血鬼になった、もとはふつうの人間だった人たち。
吸血鬼になるには、根っからの吸血鬼に咬まれないと駄目なので、そこに一定の歯止めはかかってはいるものの、
吸血鬼になった元人間も、かなりの数棲息しているのはたしかだった。
邑田タツヤもまた、そうした一人だった。

若いころ、妻ともども咬まれた彼は、ほどなく吸血鬼になった。
彼の妻を狙った吸血鬼は、自分の恋人を独り占めにするために、夫のことも咬んだのだ。
お弔いをされて墓からよみがえるまでの一週間くらいの間、
吸血鬼は、恋した人妻に対する欲望を、気の済むまで成就させていた。
望まれた妻もまた、夫の仇敵であるはずの男にほだされてしまって、
それまで夫以外の男を識らない身体を、放恣に開いていくようになっていた。

墓場から泥だらけになって出てきて帰宅を許された夫は、寛大な夫になった。
吸血鬼に促されるまま、彼は自分の妻だった女の血を吸った。
身体じゅうから血液を抜かれて空っぽになった血管を、自分の妻の血潮で充たしたのだ。
欲するだけの血液を妻から獲ることができた夫は、
妻と吸血鬼のと交際を認め、最愛の妻が吸血鬼の情婦に堕ちることを許した。
いちど弔われた事実さえも意図的に消され、
それまでと同じように妻とは夫婦として暮らしたけれど、
夜な夜な訪れてくる吸血鬼と妻とを二人きりにしてやるために家を空ける雅量を備えていた。
同時に彼は、自身の欲求を満たすために、
妻の情夫の手を借りて、そこかしこの人妻に手を伸ばして、次々と射止めていった。

もと人間の吸血鬼は、周囲にあまり迷惑をかけないために、自身の欲する血液はまず身内からまかなうのが不文律だった。
母親が若いうちは、母親が。
それから、その母親に説得された兄嫁が。そして、弟の婚約者が、
齢の順に毒牙にかかった。
父親も、兄も弟も、吸血鬼になった家族を餓えさせないために、
息子が、ないしは兄弟が、自分の妻に不義を働くのを、
さいしょは見て見ぬふりをして、
やがて妖しい歓びに目ざめていって、
すすんで献血に協力し、ひいては不倫の交際の手助けをするようになっていった。

夫が長じてからは、
結婚前の娘に手を出してはらませてしまったり、
息子の嫁をたぶらかしてしまったり、
姪娘はもちろん、甥っ子の結婚相手にまで手を出していった。
ついでにいうと、姪娘のひとりは、彼自身の種だった。
それでも、毒牙にかかった女の夫たちは苦笑しながら、
自分の嫁が押し倒されてわがものにされてゆくのを、見て見ぬふりを決め込んでいた。

そんな彼がもっともたいせつにしているのは、自分の妻との逢瀬だと、知っていたから。

吸血鬼の寵愛を得た妻は、在宅はしていても、めったに自分の身体を空けることはできなかった。
月に一夜か二夜――吸血鬼が浮気に出かけた晩、男は自分の妻との逢瀬を遂げる。
そんな夜がいちばん長いのだと、だれもが知っていた。
そうした夜、どの家の夫たちも、どんな重要な用事も放り出して自宅に帰り、
自分の妻との本来の営みに、明け方まで没頭するという。
強制された別離は、かえって愛情を深めるものだと。
吸血鬼になったものも、そうでないものも、等しく自覚していたのだった。