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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

はしたないですよ。

2017年05月06日(Sat) 07:34:37

はしたないですよ。
貧血をこらえながら、わたしはやっとの思いでそういった。
愛人を作ったらしい妻。
真夜中になってからおめかしをして出かける妻の後をそっと尾(つ)けていって、
相手の男の邸を突き止めて。
施錠されていないのをよいことになかにあがりこんで、二人のいる現場を抑えてみたら。
相手は、吸血鬼だった。
その場で血を吸われたわたしは、尻もちをついたまま。
くり広げられるふたりの愛の劇場を、否応なく見せつけられるハメになった。
夫のまえでヒィヒィ喘ぎながら、お尻を突き出す妻を見て。
わたしがそうたしなめたのは、むしろとうぜんのことだろう。

はしたないですよ。
吸血鬼の愛人は移り気で、始終ほかの女の尻を追いかける。
待ちぼうけを食わされた妻は不満そうだったが、
とことんつき合いつづけたら吸い尽されてしまうという現実だけは、よく理解していた。
相手もそれを慮って、相手を多数確保しているのだ。
「私一人を見てほしい。それが無理なら、せめて私も大勢にかしずかれたい」
思わず本音を口走った妻に、わたしはまたも同じ言葉をくり返すだけだった。
きっとまた・・・上の空で受け流されてしまうだろうことを、承知のうえで。

はしたないですよ。
望みどおり、なん人もの男をあてがわれた妻は、きょうも夫以外の男を夫婦のベッドに引き入れている。
自宅の玄関の前、夜這いの男がひっそりと佇むと。
妻は男を家にあげて、男にわたしを縛り上げさせて。
わたしは間男の欲求を遂げさせてやるために、夫婦のベッドを否応なく明け渡させられる。
そんな境遇にガマンできたのは。相手の境遇を知ってしまったから。
彼らもまた、吸血鬼に妻を寝取られたもの同士だったから。
たしなめたのは、妻のほう。
たしなめられたのは、わたしのほう。
奥さんを目のまえで犯されているのに、あなた勃っちゃっているのね。
ことさら眉を顰めて非難を向けるそのまなざしは、むしろ楽しげだった。

はしたなくは、ないかもね・・・
大勢の男が自分の身体を通り過ぎて。
妻はひとつのことを学んだらしい。
女に群がって来る男の大半は、たんに身体目あてなのだと。
いまでも、吸血鬼の犠牲となった人妻の夫たちのため、妻は週一でお勤めに励んではいるけれど。
昼間をいっしょにすごすのは、さいしょに作った愛人と、そして夫であるわたしだけ。
真剣交際なんだね。
吸血鬼との仲を冷やかすと、妻は「そういう言い方は、はしたない」と、言葉を切って断言したけれど。
「あなたと同じくらいにね」と、向こうを向いて呟いた。
「はしたないって、言うんでしょう?」
恐る恐る問いかけをした妻に、わたしは呟きかえしていた。

はしたなくは、ないかもね・・・


あとがき
ちょっと前に描いた「一体多数の関係。」の関連作です。
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-3443.html

【映画】呪いの館 血を吸う眼

2017年05月05日(Fri) 14:42:00

たまたま観る機会があったので、映画の感想を描いてみます。
レビューなんてたいしたものではございません。
映画は嫌いではないけれど、知識はほとんどありません。
よって、観たまんまのかんそうになると思います。
あ かんそうなので、ネタバレ注意はお約束ですね。(笑)

知る人ぞ知る映画なので、映画の来歴については私が描くよりも、もっと詳しい別サイトさんを御覧になっていただいたほうが良いと思いますが、1971年にできた映画です。
「血を吸うシリーズ」というのが三作あって、これはその第二作め。
ほんとうは一作目から観るべきなのでしょうが、たまたまのご縁で第二作を先に観ることになりました。

ヒロインにはイカす恋人と、可愛い妹がいます。
姉はおっとりしていて引っ込み思案。妹は活発で、挑発的な「現代美人」です。
姉は20代前半でも、働いているようにはみえません。
妹は姉より3歳年下なので、学生であってもおかしくない世代ですが、これまたなにをしている人かわかりません。
両親はどうやら、他界しているみたいです。
裕福な家に育ったお嬢さん姉妹が、なに不自由なく暮らしている というところでしょうか。

ヒロインには恐怖の過去があって、幼い頃に吸血鬼と恐怖の邂逅をしたようです。
ただし、記憶は薄ぼんやりとしていて、よく思い出せない。
どうやら親たちが忘れさせようとしたらしいです。
真実は、珍しく飼い主を振り切った愛犬を追いかけて海辺の洋館に迷い込み、
そこでピアノの前に腰かけたまま死んでいる美女と、その女性の血を吸った吸血鬼を視てしまった というわけです。
その吸血鬼が16年の時を経て、またヒロインの前に姿を現し・・・というのがストーリーの骨格です。

【怖い姉妹】
ヒロインと準ヒロイン(しばしば姉と妹)がいて、二人とも狙われて、
準ヒロインは血を吸われて死亡。
でもヒロインは危ういところを助かる――という筋書きは、結構多いです。
古くはブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」がそうです。
「血を吸う眼」とくしくも同時期に放送された「仮面ライダーV3」にも、吸血鬼ではありませんが、同工異曲の設定のものがあります。
(第42話 「カタツムリ人間の人体実験!」)
どちらの場合も、くしくも、というべきか、ヒロインはおっとりしていて、準ヒロインは勝気な性格。
「吸血鬼ドラキュラ」では準ヒロインが食われてしまい、「カタツムリ人間」では姉のほうがやられてしまいます。
観る側としては、「どちらがやられてしまうのだろう」と、ドキドキしながら観ることになります。
そうそう。未見ですが、
「ドラキュラ 血の味」というとても気になる映画(これも古いです)があるのですが、やはりヒロインは姉妹のようです。
やっぱり、ドキドキしながら観ることになりそうです。

先に行きましょう。
裕福な姉妹、と描きました。
でも、「血を吸う眼」の設定はかなりしっかりとしていて、
姉は怯えやすく両親の愛を一身に受けた立場。
妹はそんな姉にとても嫉妬している。そんな関係がある場面で浮き彫りになります。
妹は(もしかすると積極的に)吸血鬼に身をゆだね、姉を狙う(ないしは、襲われるように仕向ける)ようになるのです。
吸血鬼そのものももちろん怖いのですが、むしろこうした妹の歪んだ感情が、じつは一番怖いかも。
ブラム・ストーカーもそうですが、ヒロインに負の感情を抱えた準ヒロインは、血を吸われて滅びるのがルールのようです。

血を吸い尽された妹は、病院に向かう車の中で絶命。
さいごには自分の所行を後悔したらしく、姉には「私が死んだら身体をすぐに焼いて」と言い残します。
ヒロインの恋人は常識的な医者なので、「だびに付す前に解剖を」ということを始める。
霊安室で蘇生した妹は、たまたまツーショットになった看護婦に襲いかかり、脱走します。

【犠牲者の群像】
吸血鬼が血を吸ったのは、ヒロインの妹だけではありません。
最初に襲ったのが、自分自身の恋人。(後述)
それから、実の父親。
それから、ヒロイン姉妹に身近な年配男性。(吸血鬼の下僕となってヒロインの恋人を殺そうとするが、落雷のため感電死)
それから、その年配男性を手中にするために使わされた運送業の男。(終盤で死体となって発見。たぶん失血死)
それから、妹がおかしくなる前に恋人の勤務する病院に運び込まれた、正体不明の若い美女。(病室をさ迷い出て転落死)
みんな、死んじゃってるんですね。。。
特に父親は、長期にわたって息子に血を吸われ続けて死んだようです。
一回吸われただけで死ぬわけではなさそうですが、父親以外は精神的に支配されてしまっています。
父親だけが例外なのは、意思が強かったからか、吸血鬼の血統の一員だったからか。
どちらにしても、周囲と共存することが難しそうな吸血鬼です。

ちょっと見ただけではかなり意味不明なのが、病院に担ぎ込まれた美女。
病室からさ迷い出るシーンで明らかになりますが、超ミニ丈のネグリジェ姿という、今観てもセクシーなカッコ。
いかにもミステリアスな存在としてえがかれますが、病院から逃げようとして誤って転落死してしまうという、あっけない最期を遂げます。
存在感があり過ぎるのに最期があっけなさ過ぎて、「なにこの人?」という感じなのですが、
ちょっと気になったのがセリフの中だけで登場する遺族の言いぐさです。
「これ以上恥をさらしたくない」として、解剖を拒否して遺体を引き取り、すぐに火葬にしたというのです。
「恥をさらしたくない」というのは、吸血鬼の餌食になったことだと察しがつきますが、
処置が早すぎないか??
きっとこの遺族は、娘が吸血鬼に襲われたことも、一刻も早く焼かないと吸血鬼として覚醒することも知っていたのかもしれません。
だとすると・・・姿を現さないだけに・・・謎の一族ですね・・・

【ラストシーン】
この吸血鬼は代々呪われた血を持つ家系の出で、代々必ずしも吸血鬼になるというものではなかったようです。
げんに、父親は吸血鬼にならなかった。
本人は突然発症して、恋人を襲い血を吸って、吸血鬼として覚醒したようです。(それが、ピアノの女性)
この父親は最後のシーンで登場するのですが、とても不可思議な存在です。
ヒロインと恋人が洋館の中で発見したときにはすでに、イスに腰かけたまま死んでいる状態。
グラッと崩れ落ちるとき、掌が脱落してそのまま机の表面にへばりつくシーンは、かなーり怖いです。

そこに吸血鬼登場!
お約束どおり、ヒロインに襲いかかろうとして、恋人と格闘になります。
痩せ身で顔色が真っ蒼なくせに腕っぷしは凄くって、恋人のほうが形勢不利。
ヒロインはなん度もつかまえられて、血を吸われそうになります。
さいごはなぜか生き返ったお父さんが吸血鬼と化した息子の足を引っ張り、二階の吹き抜けからあえなく転落。
都合よく置かれていた杭に串刺しになって、悲惨な最期を遂げます。
生き返ったお父さんが吸血鬼として覚醒したのだとしたら、映画が終わったあとにヒロインは結局襲われちゃうところですが、
どうやらそのまま息絶えたみたいです。
哀れ。

【ふろく いささかフェチな感想】
この映画では、ヒロインは咬まれずに終わります。
ヒロインが追いかけまわされて、なん度も咬まれそうになった挙句、無傷で助かる。
めでたいには違いないのですが、こういう「寸止め」な処置は、けっこう欲求不満がたまりますね。(笑)
昭和40年代にはやった女の子向けの「恐怖まんが」でも、この手合いが多いです。

ブラム・ストーカーは、「咬まれても吸血鬼が滅びたので人間に戻った」という処理をします。
当然のことながら、ヒロインが咬まれるシーンが映画での見どころになります。
(観客というのは、残酷なものですね)
ほとんどの映画や小説が、咬まれたときにヒロインが恐怖や苦痛、屈辱以外の感情を持ちます。
いわゆる、うっとり、恍惚・・・というやつです。
ブラム・ストーカーのヒロインは、若妻です。
その若妻が、吸血鬼相手にほんの一瞬にせよロマンチックな感情を抱いてしまう。
その禁忌性が、ひとつの魅力だったりもします。

こんなふうに、「さんざん気を持たせたあげく寸止め」よりも、咬まれてしまったほうがお話としては深みが増すこともあるようです。
でも「血を吸う眼」の場合には、ヒロインがおっかなびっくりのおぼこ娘で、恋人も品行方正なインテリさんですから、
却ってそういう妖しい体験をしてしまうと、観終わった後味があまりよろしくないかもしれませんね。


したがって、それらしい吸血シーンは、妹のものだけとなります。
夜中に湖畔にさ迷い出て、吸血鬼に抱かれ、首すじを伝い落ちる血のすじが胸元に吸い込まれてゆく――というシーン。
これはこれでドキドキするのですが、欲を言えば牙でググッとやるところを観たかったなあ。
(^0^)


さいごに、冒頭に出てくるトラウマシーン。
ヒロインがまだ幼い頃に吸血鬼と邂逅するシーンなのですが、これもなかなかです。
真っ赤なミニスカートに、タイツを穿いているんです。
当時のタイツと言うと、もっさりとしたものが主流だったはずですが、
彼女の穿いているタイツはオトナっぽい薄地のもののようです。
いかにも両家の子女・・・という雰囲気を感じます。
終盤、大人になったヒロインと16年ぶりに邂逅を遂げた吸血鬼が、「お前は私の花嫁になるはずだった」と告げます。
自分の牙の犠牲になることを「花嫁になる」という表現でくるんでいるようです。
16年前は、吸血鬼のお父さんが彼女を逃がしてくれたのですが、
もしも運悪くこの場で花嫁になってしまったとしたら・・・
タイツを穿いた少女の脚に舌なめずりをくり返して・・・なわけは、ないですよね。^^;

お下品な話はさておいて、
この映画を観ての恐怖感は、それほど強くはありません。
ただ、いかにも昭和な空気が画面全体に漂っていること、
昔の乙女の話し口調、ものごしはこんなだったのだなと、
映画全体を包む雰囲気にこそ、魅了されるべきなのかもしれません。

イラストはイメージですが、ちっとも似ておりません。
すでに描いたように、ヒロインは咬まれておりません。
ここは吸血鬼に同情して、ちょっとだけいい思いをさせてやることにしました。^^

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問題があるようなら、削除しますので、いまのうちに御覧下さい。

「感染源」は、夫か息子  吸血開放家庭の知られざる日常

2017年05月05日(Fri) 11:54:08

市内の名門男子校が吸血鬼受入れ宣言を出してから、約1年が経過しようとしている。
すでに教職員は全員、特定ないし不特定の吸血鬼をその家庭に受け容れており、
同様の傾向は生徒や父兄にも拡がりつつあるようだ。

この学園の実態を密着取材している本誌は先日、生徒の家庭を任意で抽出、意識調査を行った。
その結果、すでに半数程度の家庭が吸血鬼を受け容れており、吸血鬼を受け容れた家庭のほとんどが家族全員で献血行為に応じていることが分かった。
既婚女性が吸血の対象となった場合、相手の吸血鬼と性的関係を迫られるので、男子生徒の母親の約半数は貞操を喪失していることになる。
調査の結果によると、アンケート対象となった300家庭のうち256家庭から回答を得、そのうち123家庭において吸血鬼の侵入が確認された。
うち98家庭はすでに全員が献血に応じており、残り25家庭はすべて、家族の誰かが献血に応じるようになってまだ1か月以内と回答されていたため、早晩この123家庭すべてにおいて、家族全員が献血要員となることがほぼ確実である。
家族の誰かが献血に応じるようになってから、献血者が家族全員に広まるようになるのに必要な期間は、おおむね約2週間から1か月。
最も速いもので「ひと晩」というものもあった。
いずれにしても、家族のうち誰か一人でも血を吸われてしまうと、一家の運命はおおむね一か月以内に大きく変わってしまうようだ。

吸血鬼を受け容れた123家庭のうち、一番早く吸われたのは「長男」と回答する家庭が68家庭。
次男以下を含め、息子が初めての犠牲者と回答する家は合計で88家庭にのぼる。
これは、息子の通う学校が吸血鬼の受け入れ先となっているので、むしろ当然の結果であろう。
その他の回答は、「夫」が27家庭、「妻」が5家庭、「娘」が3家庭と、「夫」の比率が圧倒的に高い。
基本的にひとつの家庭を征服するのは単独の吸血鬼である場合が多く(110家庭)、彼らが吸血の対象として最初から家族全員を想定していることがわかる。

「ある家族を吸血の対象として狙った場合、キーパーソンは多くの場合夫です」
と証言するのは、記者が懇意にしている吸血鬼のAさん(48)。
Aさんは根っからの吸血鬼ではなく、もともとこの街に共住していた一般人で、妻子ともども咬まれた後A氏だけが吸血の習慣を持っている。
「妻や娘を狙う場合、最も手ごわい障害となり得るのが夫です。
 逆に言えば、夫を仲間に引き入れてしまえば、家族全員を征服するのはかなり容易になります」
と、Aさんは説く。
Aさん自身、家族の中で真っ先に襲われた経験を持っている。
当時30代後半だったAさんには、同世代の妻、十代前半の娘がいた。
「人妻熟女とまだ男を識らない少女。吸血鬼にとってはもっともねらい目な家族構成だったんですね」
時には笑いを交えながらたんたんと語るAさんだったが、当時はむろん葛藤もあった。
「家族を守らなければならないという意識が高いのが、夫という立場。
 だから、自身が献血に応じることはあっても、家族の手引きまでするのは、ふつうの神経では無理」だという。
事実、相手の吸血鬼に、妻や娘に逢わせて欲しいと懇願されながら、何回も断っている。

「夫が、吸血鬼に家族を紹介する動機は、大きく二つ。
 ひとつは、献血の頻度が高すぎて身体に変調をきたし、家族に気づかれてしまう場合。
 もうひとつは、献血の際に伴う快感に理性を忘れて、相手の吸血鬼に身も心も信服してしまう場合です」
多くの場合は動機の両方が作用し合って、次のステージに移行するという。
「わたしの場合もそうでした。生き血を吸い取られるのが、どうにも気持ちよくなってしまって・・・
 家族にも同じ経験をさせたくなりましたし、若い女性の血で彼のことも十分満足させてあげたいと真剣に考えたのです」
思い切ってすべてを妻に打ち明けたとき、Aさんの顔色が悪くなったのを心配していた妻は、意外なくらいあっさりと面会を承諾したという。
「妻を犯されてしまうのは、夫としてはもちろん抵抗がありました。
 でもそれ以上に、妻がわたしと同じ境遇を受け容れてくれたという歓びのほうが大きかった」
と、Aさんは証言する。
いまほうぼうで侵蝕されつつある生徒たちの家庭でも、同様の事態が進行しているのであろうか。

「娘の場合は、さらに抵抗がありました。まだ将来のある若い人ですからね。
 でもこちらは家内のほうが乗り気で、さっさと主導権を握ると、娘によく言い含めて、差し出してしまいました」
相手の吸血鬼がもっとも好むのは処女の生き血。
でもすでに結婚している身では、自身でその望みをかなえてあげることはできない。
だから、自分の果たせなかった役割を、娘に期待するのではないか――と、Aさんは考えている。
「同性同士は、けっこう残酷なんですよ」
と、娘の行く末についてAさんはいまでも未練があるらしい。

息子を持たないAさんであるが、「息子が窓口になり得るという見解は、十分理解できる」と断言する。
校内でユニセックス化が進んでいるなか、生徒と男性教諭とが一種の疑似恋愛関係に陥るケースがよくあるという。
「純粋な年代なので、自分の尊敬する男性に人の生き血をあてがうことに最善を尽くそうとするんです。
 それに、母親が犯されているのを見て性に目ざめる子もいます。
 母親や姉妹の手引きをすることで、大人の入り口に一歩踏み込んだと感じるのだと思います」
「こうした男性は、結婚をする際にも、吸血鬼に紹介することを前提に相手を選びます。
 本人だけではなく、魅力的な母親や姉妹、兄嫁のいる女性を探そうとしますし、
 そうした女性を魅き寄せるための努力も怠らない。手ごわい若者になるんですよ」

吸血鬼生活を10年送った人ならではのコメントだろうか。

拡がる女装熱 吸血鬼に門戸を開放した男子校、女子制服を採用

2017年05月05日(Fri) 10:40:13

市内の名門男子校の生徒たちに、女装熱が拡がっている。
同校では昨年10月、吸血鬼受入れを宣言している。
現在ではすべての教諭が家庭内に吸血鬼を受け入れており、同様の傾向は生徒やその家庭にも広がっているという。
先月、有志の生徒による任意のアンケートが実施されたが、その結果、約7割の生徒が献血体験を経験済みだとう結果が出た。
生徒の間で女装熱が高まったのは、生徒の献血体験率が増加の一途をたどり始めてからだといわれている。
校内に出没する吸血鬼は女性の生き血を好むといわれており、一部の生徒が彼らの好みに合わせて女装して吸血に応じるようになったのがきっかけといわれている。

同校の制服は夏冬一貫して半ズボンにハイソックスのスタイルであるが、昨年10月の衣替え以後、女性用のストッキングの着用が解禁となると、
生徒の間でストッキングの着用率が急伸。11月からは、校内の購買部でも生徒向けに黒のストッキングの販売を開始した。
さらに4月からは、男子校としては初めて、女性の制服が正式に採用された。

「僕の相手の吸血鬼はいい齢の小父さんなんですが、女好きなんです。
それで、血を吸われるときくらい女の子になってあげることにしたんです。
はじめは姉のお古の洋服を黙って借りていたんです。
でも、血がついてすぐにばれてしまって・・・親には一応怒られましたけど、
姉が着なくなった服を2、3着誕生祝いにとプレゼントしてくれて、一件落着です。
僕の好きそうな服ばかりだったのに驚きましたが、『あんたのわたしを見る目つきを気にしていればすぐわかる』って言われてしまいました。
家族はごまかせませんね(笑)。
制服が解禁になったので、両親に頼んで買ってもらいました。いまは毎日女子として通学しています」
そう証言するのは、同校高等部二年の竹野六郎くん(仮名)。
「最初は僕がうろたえたり、彼が目を血走らせたりして服を汚してしまいがちでしたが、
いまではお互い慣れてきて、めったに服を汚したりはしません。
姉の服を黙って借りる癖は結局治りませんでしたが、けっきょくそれでよかったみたいです。
その後彼が僕の着てあげている服の持ち主に興味をもっちゃって・・・姉貴まで襲われちゃったんです。
それ以来、姉の服はごく一部の気に入り以外は自由に着させてもらっています」
いまでは首すじから吸われても、セーラー服の襟首にシミひとつ付けないと彼氏の自慢をする竹野君。
セーラー服姿の彼が吸血男の自慢話をしているのを目にすると、ふつうに女子高生が彼氏の自慢をする姿と重なってしまう
場合によっては命にかかわるはずの吸血行為を、奉仕活動として受け取っているという竹野君は、「このまま卒業まで、女子で通します」と、爽やかに笑う。

5月末現在、女子制服の着用率は2~3割程度と言われているが、今後「衣替えを機に一段と伸びそう(学校関係者)」というのが大方の予想である。
GW明けには女装教諭が初めて教壇に立ったこともあり、生徒の女装への意識が一段と高まりを見せそうだ。

祥太の母

2017年04月23日(Sun) 08:12:40

祥太が女子の制服で登校するようになって、さらにひと月が過ぎた。
初めてセーラー服でくぐった教室の玄関の向こうからは、予期した通り「おお~」という声があがったけれど。
冷やかすような声はひとつもなくて、「よく思い切ったね」という無言の称賛さえ伝えてくるものもいた。
男子校なのに、女子の制服も採用したこの学校で。
数はまだ少なかったけれど、自分の内面に目ざめた子たちがクラスで決まってなん人か、
半ズボンばかりだった教室のなかに、スカート姿を交えるようになっている。

ユウヤとの関係は、すでにクラス内で無言の承認を受けていた。
もちろん、育ち盛りで大量の血液を必要とするユウヤは、ほかの生徒を相手にすることも多かったけれど、
祥太は嫉妬しなかったし、それが祥太の身体を気遣うユウヤの形を変えた愛情だということも自覚していた。
そんな祥太をある日の放課後、ユウヤはやはり放課後の教室の片隅で抑えつけていた。
セーラー服の襟首に血が撥ねないようにするのは、相手が取り乱さないという前提あってのこと。
すんなりと伸びた首すじに、ユウヤは深々と牙を食い入れて、
その深さが自分に対する執着の深さだと察した祥太は、本物の女子のような淑やかさで、ユウヤの狂態を受け止めてゆく。

「あのさ、頼みがあるんだけど」
「なあに?」
祥太の問いにユウヤは、直截にこたえた。
「きみのお母さんと、仲良くなりたい」
飛び火するって、ほんとうなんだ――祥太は素直にそう思った。
だれかの血を吸って気に入ると、血を分けた親族のことも気になっていくという、ユウヤから教わった彼らの習性。
そういえば、ユウヤは自分の母親の血を好んで吸うといっていたっけ。
それに、こんなことも言っていた。
襲った女性がセックス経験者の場合、ほぼ例外なく性交渉も遂げてしまうと。
みなまで言わなかったけれど、ユウヤは自分のお母さんまで姦っちゃってるんだ。
そのユウヤが、母さんのことを狙っている――
ふつうなら嫌悪しなければならないユウヤの感情に、祥太はなぜかゾクリと胸を震わせた。
「か・・・考えてみる」
「いい返事を期待しているよ」
「そうだね」
「それとさ」
ユウヤはなおも、油断ならないことを言った。
「きみの母さんには、うちのパパもご執心なんだ」

どうしようか?悩む家路は短くて、けれども祥太の結論も速かった。
本人にそのまま、訊いてしまおう。
そんなふうに思えたのは、彼が母親のサバサバトした性格をよく知っていたから。

「アラ、そんなこと言われたの?」
いちぶしじゅうを告げられた母さんは、大きな瞳を見開いて、さすがに驚いていたけれど。
祥太の話を、意外にまじめに受け取ってくれた。
「父さんに相談しようかな――でも、いいって言うわけ、ないよね?祥太が父さんならどうする?
 男ってこういうとき、どういう行動取るものなのかな・・・」
母さんもさすがに、すぐには決めかねたらしい。ちょっと言葉を途切らすとすぐに、
「ちょっと考えとく」とだけ、いった。
息子のまえでそれ以上の動揺を見せるのは適切じゃないと、きっとそう思ったんだろう。
でも、そこははっきりとした母さんのこと、「返事は必ずするから」と付け加えることも忘れなかった。

「ユウやくんだけなら、遊びに連れてきてもいいよ」
母さんが祥太にそう告げたのは、ある日の登校前の事だった。
「えっ?そうなの?」
出勤前の父さんに声が届かないよう、とっさに声をひそめると。
「父さんのことは気にしないでいいから」とだけ、母さんはいった。
気にしないでいい・・・って、どういうこと?
こんどは祥太が悩む番だった。
父さんは母さんが吸血鬼に咬まれるのを認めてくれた?
それとも、母さんは自分のなかだけで、物事を処理しようとしているの?
考えもまとまらないままに、祥太はその日の放課後、ユウヤを家に誘っていた。

ごくり。
生唾を呑み込みながら、つい覗き込んでしまっている。
祥太の勉強部屋のなか、母さんと2人きりにしてあげたユウヤは、
いつもクラスの子たちにするように、母さんのこぎれいなワンピース姿にも、衝動的に抱きついていった。
首すじを咬まれる時、母さんが声をこらえながら立ちすくむのがみえた。
チューッと音をたてて吸い出される、母さんの血――
忌まわしい光景のはずなのに。スカートのなかで一物を逆立ててしまっているのはなぜ?
ふさん着のデニムのスカートのなか、昂ぶり逆立つものが暴れるのを、祥太は抑えることができなくなっていた。
貧血で堪えられなくなった母さんが畳のうえに突っ伏して、
うつ伏せになった母さんにのしかかったユウヤが、母さんのふくらはぎに咬みついて、
肌色のストッキングをむぞうさに咬み破ってしまったところで、祥太の昂ぶりは頂点に達してしまった。
スカートの裏地に生温かい粘液をほとび散らしてしまいながら。
自分の醜態さえも気にかけないで。
祥太はただただ熱い視線で、吸血鬼のクラスメイトの腕のなかで悶えつづける母さんの横顔を、見つめ続けていた。

女の生き血を欲しがる吸血鬼の親友に、自分の母親を差し出してしまった。
禁断の領域を一歩踏み越えてしまったところに、もはや罪悪感も自己嫌悪も雲散霧消してしまっていた。
新調したばかりの母さんのワンピースを、「祥太のお母さんを初めて汚した記念に」と、戦利品としてせしめていったユウヤ。
さすがに下着は恥ずかしいからと回収した母さんは、ブラやスリップ、ショーツにストッキングを洗濯すると、次の日祥太に持たせていった。
「これ、ユウヤくんに渡してあげて」
汚れものを外に出すのだけは嫌だという主婦らしい感覚を母さんが捨てずにいるのが、むしょうに嬉しかった。
その翌日、ユウヤはもっと刺激的なことを、祥太に囁いていた。
「ちょっと小さかったけど、お母さんのワンピース俺でも着れるんだよね」
祥太の母親に執着していた父親のため、ユウヤは「身代わりになってあげる」といって、祥太の母親の服を身にまとい、父親の相手をしたという。
「母さん、ユウヤのお父さんに、もう間接的に犯されちゃっているんだね」
そういうことになるね・・・ユウヤの宣告に、祥太はくすぐったそうに笑い返した。

いよいよ母さんを、ユウヤの家に連れ出す日。
祥太は唖然として、母さんを見つめていた。
若いころ着ていたという超ミニのワンピース姿もさることながら、
もっとびっくりだったのは、母さんの隣に父さんまで立っていたから。
「いちど、ごあいさつをしなくちゃって、父さんも仰るの。あなた、ちゃんと紹介して頂戴ね」
いつものしつけに厳しい母さんの顔が、そこにあった。

1時間後。
ユウヤの家は、たいへんなことになっていた。
自分の妻が襲われるのを見るに忍びなかったらしい父さんは、さきに私の血を吸って意識をなくさせてほしいと願い、
ユウヤの父さんはまず、祥太の父親を咬んでいた。
けれども祥太の父親の希望は半分しかかなえてもらえなかった。
人妻を犯すシーンを夫に見せつけたがるという、けしからぬ趣味を彼は持っていたから。
倒れた父さんの首すじを、ユウヤの母さんがチロチロと舐めつづけながら、囁きかけていた。
「奥さま、きれいなショーツをお召しになっていらっしゃるのね。お洒落なひとは、そういうところから心がけが違うわ。
 えっ?いつもはそんなことないんですって?だとしたら・・・主人のために特別なのかしら。ありがたいことですわ。
 お肌も白くて綺麗・・・主人が執着するわけだわ。いつもああやって、人妻を狂わせてしまうんですのよ。
 いちど狂っちゃうともう、大変・・・お留守の時はお宅にかけるより、うちに電話するほうが奥さまつかまると思うわ。
 私ひとりで主人の面倒を見れるわけではないですから、むしろ助かるんですけどね」
祥太とユウヤは、そんな親たちのようすをかいま見ながら、ユウヤは祥太のスカートの奥に手を這わせてゆき、
祥太はそんなユウヤの欲望に応えるために、あらわになった素肌を彼の逞しい肢体へとすり寄せていった。

ともだち。

2017年04月22日(Sat) 15:23:35

この学園に潜入して、ひと月ちょっとが経った。
ミサキユウヤは、吸血鬼。
生まれつきではないはずなのだが、吸血鬼になる前のことは、あまりよく憶えてはいない。
記憶というものにあまり重きを置かなくなったのは、血を吸う性のせいだとは、なんとなく感じている。
身近な人間の脚や首すじを咬んで血を吸うなどというおぞましい行為など、いくら克明に憶えていたって仕方ないから。
それでも忘れられないのは、親たちからこの学校に転校になると告げられた時、
「安心をし。こんどの学校、吸血鬼を受け入れる宣言をしているんだって。
 クラスのお友だちの血を、好きなだけ吸えるんだよ」
と言われたこと。
ずっと人目を忍んでしてきた行為を、これからはもうおおっぴらにすることができる。
子どもらしい素直な歓びがある一方で、なにかにつけ疑いをさしはさむことを忘れない本能も、捨て去ることができずにいた。
――まてよ、そんなうまい話あるのか?
というわけで、当分は自分の正体を隠して、目立たない存在として新しいクラスにとけ込むことに腐心した。

転校生が注目を浴びるのは、最初の1~2カ月である。
目新しいうちこそいろんな人に声をかけられるけど、
もともとそんなに取り柄のあるわけではなくスポーツマンでもない彼が、人から忘れられるのは早かった。
意図してそう心がけた結果とはいえ、本人が寂しがるほどに。
――どこに行っても、居場所は教室の隅か日陰の廊下なんだな。
そのほうが、居心地はいいんだけど、と、自らを慰める。

その代わり――放課後の、だれかと2人きりになるほど遅い時間の教室は、彼の支配下に入ることになる。
その日の獲物に選ばれた少年は、なにも知らずに彼といっしょに2人きりになって、
むき出された飢えた牙を目のまえに、どうすることもできなくなって、咬まれていった。
軽度のマインドコントロールを心得ていたユウヤは、標的と決めた男子1人だけが教室に残るよう、周囲を仕向けることができたのだ。

――どうして親は、わざわざ男子校など選んだのだ?
吸い取ったばかりの血で口許をネットリさせながら、ユウヤはほんの少しだけ心で愚痴る。
それはやっぱり、どうせ支配するのなら、可愛い女の子のほうが良いに決まっているではないか。
ああ、そうだった。
ここは、吸血鬼を受け入れてくれるって宣言した学校だったっけ。
用心深くいまだに正体を隠している彼にとって、それはまだあまり実感できるありがた味を伴わないメリットだったけど。

血を吸った同級生の記憶は、その場で消すことにした。
うわさが広まるのを防ぎたかったのだ。
口封じに血を吸い尽してしまうという発想は、彼にも彼の家族にもない。
そこまですることはないじゃないか――そんな発想の持ち主である彼らにとっては、吸血鬼を受けれる街は、別天地のはずだった。
記憶を消された同級生は、翌日ほんのちょっと蒼い顔をして登校してきて、
でも仲間に向かってユウヤの存在に対して警告を発することはなかった。
そしてその日は、貧血気味の「お得意様」を除いた別のだれかと、帰りは2人きりになるよう仕向けていく。

咬まれた痕は咬まれた者にしか見えないから、彼が同級生たちに加えた犯罪の痕は、まだ当面気づかれることはないだろう。
濃紺の半ズボンに同色のハイソックスという、男子としてはマイナーなスタイルの制服も幸いした。
首すじでは目立つので、ハイソックスを引き降ろしたふくらはぎに咬みつくことで、
彼の痕跡はさらにしばらく長く、人目に触れずに済むはずだ。
もっとも――ハイソックスに独特な嗜好を持っていた彼はしばしば、衝動のおもむくままにそのまま咬みついて、
よだれをたっぷりしみ込ませながら痕を残してしまうのだが。

その日はしまった――と思った。
体育大会の翌日の事だった。
クラス一丸でがんばったすがすがしい記憶を振り払うことができなくて、その日はだれにも咬みつくことなく家に帰ったのだ。
貧血気味で迎えたその日、彼はだれかひとりを教室に残すためのマインドコントロールを取ることができなかった。

――母さんに頼んで、血を吸わせてもらおう。
脳裏に拡がりつつある眩暈を抱えながら、ユウヤはひっそりとそう思った。
母さんも吸血の習慣を持っていたが、同時にまだ体内にいくらかの血を残していた。
その点はユウヤも同じだったから、彼らは外部で獲物にありつけなかったときには、
お互いの血を吸い合いうことで当座の飢えをしのいでいたのだ。
この学校に来てから、しばらく母さんの血を飲んでいない。
女の柔肌に牙を突き立てるのは、実の母親が相手でも、ちょっとドキドキする。
ユウヤもまた、本来は青春真っただ中の中学生なのだ。

ふと顔をあげると、教室の入り口から中を覗き込んでくる生徒の姿が目に入った。
同級生の越川翔太だった。
「忘れ物?」
ぞんざいに投げた言葉に、祥太はううん・・・とかぶりを振って応えてきた。
そしてこちらに歩み寄って来ると、信じられない言葉を口にした。

もしかして、喉渇いてるんじゃない?

え・・・?
空とぼけようとして外した視線を、祥太は追いかけるようにまわり込んだ。
「朝からずっと具合悪そうにしてたけど、血が欲しいんだよね?」
祥太の質問は真正面過ぎて、応えを躊躇して黙りこくってしまった。
陰にこもった態度は相手を警戒させるから、よくない。
父から教わったことは、まだまだ付け焼刃に過ぎなかったと、いやというほど自覚する。
「だいじょうぶだから。知ってるだろ?ここは吸血鬼を受け入れているって」

祥太のことは、つい3日ほど前に一度、咬んだはず。
ほかの少年たちと同じように、ちょっと戸惑って、なんなく金縛りにかかって、唯々諾々と首すじを咬まれていったはず。
そのあと靴下を引きずりおろすつもりが、性急な衝動のままに舌を這わせて、ハイソックスをよだれまみれにしてしまったのが、いつもと違うところだった。
「ハイソックス咬み破るのが好きなんだよね?
 きょうはなんとなくきみに咬まれそうな気がしたから、新しいのおろして履いてきたんだ」
スッと差し伸べられた脚は、男子にしてはなだらか過ぎる、すらりとしたシルエット。
ひざ小僧のすぐ下までお行儀よく引き伸ばされた濃紺のハイソックスが、教室の窓から射し込む陽射しを照り返して、
真新しいリブをツヤツヤと輝かせている。
しぜんと口許を近寄せてしまい、気がついたら祥太のハイソックスに、じわじわとよだれをしみ込ませてしまっていた。
祥太はクスクスと笑いながらも、彼の行為を受け容れてくれた。
「なんか、くすぐったいな。あと、なんか、やらしいよね?」
行為の本質が伝わるのだろうか?
ユウヤはもういちど舌を這わせて、ナイロン生地のしなやかな舌触りを愉しむと、おもむろに咬みついていった。
牙の切っ先にまでよだれが伝い落ちるほど、喉の奥がはぜるほど、人の生き血に欲情していた。

あー・・・
祥太のあげるうめき声もかえりみず、ひとしきり血を吸い取ったあと顔をあげると、祥太は額を抑えて机に突っ伏していた。
だいじょうぶか?と声をかけ気づかうつもりが、もうどうしようもない衝動のまま、
座った姿勢を崩しそうになる祥太にのしかかって、教室の床の上に引きずり倒す。
そのまま身体を重ねていって、牙の切っ先で長髪になかば覆われた首すじをさぐっていった。
あ・・・
ユウヤの下で、祥太が再び声をあげた。
祥太はユウヤの邪魔をしないよう彼の二の腕に手を添えながら、いった。
「勃(た)ってるね?」
え・・・
ふとわれにかえると、おそろいの半ズボンのなかで、股間の一物が勃起しているのに気づいた。
そうなんだ。こうしているときにいつも感じるのは、この羞ずかしい劣情なのだ。
でも、待てよ。
身体を重ねた相手の変化を感じ取ったユウヤは、ニッと笑ってこたえていた。
「きみだって、勃ってるじゃないか」

「いいから咬んで」
言われるままに牙を埋めた首すじから、十代の少年の新鮮な血液を、じゅうぶんに摂取していく。
胸の奥の空しいすき間を暖かなものが埋めていくのを感じながら、
一方で股間の昂ぶりが一層熱を帯びるのも、感じないわけにはいかなかった。
2人の少年は、かたや血を吸う行為に、かたや吸われる行為に、しばらくの間熱中し続けていた。

きみ、血を吸った子の記憶を消そうとしたよね?
ぼくもだから、危うく忘れかけそうになったんだ。
でも・・・きみに咬まれるのがなぜか、ひどく愉しく思えて・・・忘れることができなかったんだ。
忘れちゃいけないって、そう思って、きみの行動に注意してたら、いつも違う子を狙って2人きりになろうとしているのに気がついて。
目をつけた子だけじゃなくって、順番に咬んでいるのは、弱らせちゃいけないって思っているんだなって思ったら、なんか怖くなくなっちゃって。
体育大会の帰り、だれにも声をかけないで帰ったから、ちょっと心配であとを追いかけたんだけど、
きみはいい顔をしていてさばさばと帰っていったから、みんなと頑張れていい気分でいるのを壊しちゃいけないと思ってあきらめたんだ。
ぼくで良かったら、時々声かけてね。獲物をつかまえられなかった時なんか特に・・・

血を吸われるのが快感で、記憶を抱え続けた子。
そんな子が、クラスにいたんだな。
ユウヤはいままでにない安ど感を、覚え始めていた。けれどもまだ、1日のブランクは埋め切れていない。
浅ましいと思いながらも、ユウヤはいった。
「もう少し、きみの血を吸ってもいい?」
祥太はくすぐったそうに笑って、いいよ、と、こたえた。
屈託のない、眩しいような笑みだった。
ユウヤは祥太の顔に唇を近づけて――気がついたら唇を重ね合わせていた。


かなりの貧血で緩慢になった足取りは、親に気づかれるほどだった。
「ショウ、疲れてるみたいだよ。早く寝たら」
気づかう母親がかけてきた声さえ、「憑かれている」って聞こえちゃうほどに。
ユウヤの支配を受け入れることにした少年は、思い切って口火を切った。
「うちのクラスに吸血鬼がいるんだ。ボク、今度から彼に血を吸わせてあげることにしたから」
母親は大きく目を見開いて息子を見、そして張りつめた視線をフッと、意図的にゆるめた。
「学校が開放されるって、そういうことなんだね」
あなたはそれでいいの?と問いかける母親に、ウン、と応えたときの顔つきを見て、
母親はちょっとだけ逡巡し、それから仕方ないかな、という笑みを浮かべて、いった。
「自分で決めたんなら、そうすればいいよ」

もうひとつ、お願いがあるんだけど・・・
祥太はちょっとだけおずおずとした声色になって、母親の顔色を窺った。
なにか出費を伴うおねだりをするとき、この子はいつもこうだから。
そう思いながら促す母親に、祥太はいった。
「うちの学校さ、四月から女子の制服も採用したでしょ?ボクこんどから、女子の制服で登校したいんだ」
ユウヤの彼女になってあげたくて・・・
うつむきながら、新たに自覚した欲求を告げると、母親は「わかった」とだけ、いった。
「父さんには私から、話をしておく」

その週の週末、祥太は母親に伴われて、入学の時制服を作ったお店に、採寸に出かけていった。

受け容れた吸血鬼の感化? 女装教諭、教壇に立つ

2017年04月21日(Fri) 07:51:28

吸血鬼受入れ宣言を出した市内の名門男子校で、このほど女装の教諭が登場し話題となっている。
同校の教諭たちのほとんどが吸血鬼を受け入れ、そのほとんどが夫人ともども吸血行為に応じていることは本誌でも折々報じてきたが、こうした傾向が同行の風紀を崩壊させる作用を持つ一方で、「一種不可思議な解放感(同校高等部3年生)」を生み出しているのもまた、確かなようである。
女装して教壇に立つようになった教諭は、3名同時に登場した。
この3名の教諭は、一時過剰な献血行為による死亡が伝えられたもののほどなく蘇生、帰宅のうえ復職を果たしている。
3名はGW明けから女装して教壇に立つことを予告、学校側はこれを受け容れ、校内の集会で生徒全員に告知された。
予告通り3名の男性教諭は爽やかなワンピース姿で登校、生徒の注目を浴びた。
生徒たちの反応はいちように好意的で、「種々の障害を乗り越えて長年の欲求を果たした先生は、尊敬に値する」「とにかく理屈抜きで、カッコイイ。夢を実現する力をもらえた」「生死の境目を乗り越えたかいがありましたね」(いずれも学園の裏掲示板より転記)と、肯定的な書き込みが目立っている。
3名はいずれも、「吸血に応じる時には、いつも女装している」と回答。吸血鬼と女装との関係は十分に明らかにされていないが、女装教師の誕生が吸血鬼の希望によるものとも、3名が自発的に希望し、学校側に吸血鬼の口添えが伝達されたともいわれている。

「このストッキング、妻とおそろいなんですよ」つややかな光沢を帯びたストッキングの足許を自慢げに披露するのは、谷口都教諭。(校内では女性風に美彌子と改名済み)
自身の血を吸った吸血鬼がストッキング・フェチだったと明かす谷口教諭は、「それがわたしにも伝染ったんです」と明かす。
やがて夫人の奈々枝さんを紹介する仲となり、親密さは一層増したという。
「わたし抜きで妻だけがデートに誘われることもありますが、むしろ誇らしい気分」という美彌子さん。「でも、女装しているときだと、女同士のような嫉妬を感じることも」と、複雑な胸中もかいま見られた。
「男性として勤務したときの習慣を徐々に忘れつつある」というのは、永村涼介教諭。教諭の事務机には教科書や参考書、出席簿などとともに、数々の香水や化粧セットが並ぶ。「女子生徒から最新の口紅を教わることもあるんです。エエ、もちろん校内でお化粧は禁止で、みんな校則は厳守しています。みんないい子ですからね」教諭によると、「学校を出たときの生徒たちのお洒落のセンスは、ここ最近ですごく進歩している」という。受け持ちのクラスの生徒の3割は吸血体験を済ませているというが、センスの向上は彼女たちの存在が大きいらしい。
しかし、ここは男子校のはず――と記者が水を向けると、永村教諭は明るく笑った。「ご存知のうえでわざわざ、お尋ねになるんですね?当校は先月から生徒たちの女装が解禁になりました。女子の制服も正式に採用され、生徒のうちまだ約2~3割ですが、女子の制服で登校するようになりました」放課後の女子率は、さらに高いという。
男性時代の記憶が薄れつつ問いいながらも、その一方で無類の愛妻家と呼ばれる谷口教諭。校内では奥さんの元美さんと似通った名前の「里美」で通しているという。
「勤務を終えると家内を伴って、お邸に伺うんです」と明かすのは、二村祥太教諭。まだお嬢さんが小さい家庭内では、夫婦ともどもの献血は子供の眼の刺激が強すぎると、「儀式」の時には必ず相手方を訪問するという。
相手方は、受け持ちのクラスの男子生徒の家庭。早い段階から吸血鬼化した一家で、二村教諭の血を最初に吸ったのも教え子だったという。
「一種の家庭訪問ですかネ」と、二村教諭はイタズラっぽく笑った。
「彼がわたしの血を吸うときには、いつも女装するようにしています。そのせいか、さいしょのうちは同性のクラスメイトだけに性的関心を示す子だったのが、女性にも関心を向けるようになったんです。女性体験も、このほど済ませました。家内が相手をして満足してもらったのです。先にお父さんが、“お手本”を見せつけてくれましたけどね」
「いまではどうやら、お父さんのほうが家内にご執心で。(笑)時々二人きりでデートしているんですよ。私の化粧の仕方や服装のセンスは家内の伝授です。だから息子さんが家内を放さないときには、わたしがお父さんとデートすることもあります。あっ、ここは書かないでね」
教室では語ることのできない、奥さんを交えた“良好”な関係をたんたんと語ってくれた。
奥さんを教え子やその父親に犯されてしまうのに、悔しくはないの?という記者の問いには、笑って答えなかった。しかし、その表情からは両家の間に流れる空気の穏やかさを感じずにはいられなかった。

街の意識調査

2017年04月20日(Thu) 08:03:07

当市に所在する名門男子校が吸血鬼受入れ表明をしてから、約1か月。
このほど市による校内の意識調査が実施された。
その結果、同校に在籍する25人の教諭のうち20%にあたる5人が、すでに献血行為を体験したことが判明した。
また、5人全員が「夫婦双方で献血行為を行っている」と回答。
既婚の女性が吸血の対象となった場合は、例外なく肉体関係を伴うとされていることから、
同校の教諭夫人たちの貞操が危機にさらされている現状が明らかとなった。


当市に所在する名門男子校が吸血鬼受入れ表明を射てから、約3か月。
このほど市による校内の意識調査が実施された。
前回の調査対象となった教諭は25名であったが、今回は22名と3名減少した。
これは、過剰な献血行為によって死亡者が出たためである。
もっとも先週の報道で知られるとおり、3名の教諭の未亡人は記者会見の席上「現在置かれている境遇に満足している」と表明、注目を浴びた。3名の教諭宅には引き続き同じ吸血鬼が出入りしているといわれ、「夕方来て明け方に帰っている」(被害教諭宅の近所に住む男性、40代)」という証言もあることから、遺族との間に円満な交際が成立している様子がうかがわれる。
今回の調査では、22名のうち約半数に当たる10名が献血行為を体験したと回答。うち8名は「日常的に献血している」という。
また、前回の調査同様、献血行為経験者の全員が「夫婦双方が献血行為に応じている」と回答。前回同様の傾向を示している。


一時死亡が伝えられた市内の名門男子校教諭3名が全員蘇生して復職していることが市の調べで明らかになった。
3名の教諭は、同校が吸血鬼受入れ表明を出した直後から献血行為に協力するようになり、1か月後に同校教諭を対象に実施された調査において夫婦ながら献血行為を行っていると回答。その後過剰な献血行為が原因で死亡したと報道された。
その際記者会見に応じた3名の教諭の夫人たちはいずれも「現在置かれた境遇に満足している」と表明、周囲の驚きをかっていた。
教諭夫妻の交際相手である吸血鬼は、教諭の死亡後も教諭宅への訪問を継続しており、その夫人や娘を吸血の対象としているといわれていた。
被害教諭の夫人たちが夫の仇敵であるはずの吸血鬼との交際を継続した結果、夫たちの帰宅が実現したようである。
復職した3名はいずれも30代から40代の男性教諭。記者会見に応じた夫婦三組はいずれも「(自身の・夫の)帰宅が実現してとても嬉しい」と表明。夫人が吸血鬼との交際を受け入れて以後も、夫婦仲が円満であることをうかがわせた。その一方で教諭たちはいずれも「妻と吸血鬼が交際を継続することを希望している」とも表明。
同校では教諭たちが夫婦で献血行為に応じていることから、その夫人たちの貞操の危機が懸念されていたが、ここで吸血鬼と教諭の家族たちが平和裏に共存している姿が明らかとなった。
昨今、同校の教諭に限らず、夫婦ながら献血に応じる家庭が市内で急増している。
しかし、一時的にせよ死亡例も報告されていることから、市民課では吸血鬼と交際する場合には注意するよう市民に対し警戒を促している。


当市に所在する名門男子校が吸血鬼受入れ表明を出してから半年が経過した。
このほど市による校内の意識調査が実施された。
調査対象となったのは、同校に在籍する26名の教諭。
前々回と人数が同数になったのは、一時死亡が伝えられた3名の教諭が蘇生して従来通り勤務を続「けていることが判明したため。
今回の調査では26名全員が「日常的に献血行為に応じている」と回答、調査開始以来初めて献血経験100%を達成した。
これで、同校に勤務する教諭の夫人全員の貞操が吸血鬼によって獲得されたことが判明した。
乗田恭作校長は同日、「教諭たちが本校の方針を理解し身をもって実践したことに深い意義を感じる」と表明した。


当市に所在する名門男子校が吸血鬼受入れ表明を出してから1年半が経過したが、
このほど市による校内の意識調査の結果が公開された。
同校に在籍する27名の教諭を対象としたアンケートによると、全員が夫婦ながら日常的に献血していると回答。
先月の調査では1名が未経験と回答しているが、4月に他県から転入した教諭が1名いることから、同人が新たに献血に応じたためと思われる。

わたしはおかま。

2017年04月20日(Thu) 05:35:28

わたしはおかま。
女の人が穿くストッキングが大好きで、
それがきっかけで、こんなふうになった。
わたしはおかま。
醜いおかま。
分は心得ているから、お出かけするのはいつも真夜中。
こんなふうだから、結婚もあきらめて、もう四十過ぎになるけれど、決して後悔してない。
真夜中に出歩くわたしは、もうひとりのわたし。
女の姿をしているわたしと、ほんとうのわたしは、寄り添うようにして、
ふたりきりの真夜中のデートを愉しんでいる。

そんなわたしの目の前に、黒い影が立ちはだかった。
ビクッとしたわたし。
逃げようとするわたし。
でも、おぼつかない足取りを強いるハイヒールは、わたしの動きを封じていた。
うしろから抱きすくめられて首すじを咬まれたとき、相手の正体をやっと察した。
そういえばこの街では、夜は吸血鬼が出没するのだと、薄ぼんやりと思い出していた。
その夜のわたしのお相手は、わたしの血をたいそう美味しそうに、チューチュー音をたてて吸い取っていった。

目まいを起こしてわたしがその場にうずくまると、
男はそれでもしばらくの間、わたしの血を美味しそうにチュウチュウとやって、
それからおもむろに、わたしのスカートをたくし上げ、太ももにまで咬みついてくる。
わたしは思わず、願っていた。
やめて。やめて。このストッキング高いのよ・・・
男の唇が容赦なく、わたしの足許に吸いつけられる。
這わされた舌が、それはしつっこく、わたしの足許をねぶり抜いて、
それからおもむろに、囁いてきた。
あんたの穿いてるストッキング、いい舌触りだな。

もう少し舐めさせてくれという男の願いに、わたしは無言でコクリと肯いていた。
貧血でけだるくなったというのも、もちろんあったけど、
かたちは違っても、男がわたしの足許に魅せられていると、わたしのなかの女心が囁いたから。
そして近場のベンチに腰かけて、貧血にあえぐ上背を、背もたれにしなだれかけながら、
男の求めるまま、薄々のストッキングを穿いたふくらはぎを、好きなように吸わせてしまっていた。

ぴちゃ・・・ぴちゃ・・・くちゃ・・・くちゃ・・・
情けない音にしどろもどろになりながら、男がむしょうにわたしの脚を咬みたがっているのが伝わってきて、
どうしても咬みたいの?って訊いていた。
薄いナイロン生地越しにしつように這わされてくる相手の舌先から、わたしが抱えているのと同じコアな欲求を感じたから。
男は恥も外聞もなく、せわしない舌づかいで応えてきた。
でも、やっぱりストッキングを破かれるのは気が進まなくて、わたしは切り札を使うことにした。
男だって、気づいてる・・・?
おそるおそるの問いかけに、男はいった。
あんたが女のかっこうをしている限り、俺にとってはレディだから。
それ・・・わたしがいちばん聞きたかった言葉。
じゃあいいわ、咬ませてあげる。
わたしの唇は、しぜんに動いていた。

クフフ・・・ククク・・・
含み笑いの下、わたしの穿いているストッキングがむざんに破かれていくのを見おろしながら。
わたしは思わず、呟いている。

いやらしい。

すまないね。
男はそういいながらも、ストッキングを咬み破る行為に熱中しつづけて、
わたしはただ、本物の女のように恥じらいながら、男の行為を許しつづけた。

それ以来。
わたしの夜道歩きは、頻度を増した。
三日にいちどくらいにするんだよ。
男の言いぐさにもかかわらず、毎晩のように、真新しいストッキングを脚に通して、
男の欲求に応えつづけた。
血を吸われるのも、ストッキングを咬み破かれるのも、さいしょは気が進まなかったけれど、
尽くしたい一心の女心が、わたしの心のなかを塗り替えていった。
男は毎晩尽そうとするわたしのことを気遣って、血を吸う量を加減してくれた。
わたしは男の気遣いに応えるために、毎晩真新しいストッキングを穿きつづけた。
穿き古しでもかまわないのだぞ。
男はそういって気遣ってくれたけど。
女の心意気ですからね・・・と囁き返すと、嬉し気にニマリと笑って、なめらかなナイロン生地の舌触りを愉しみつづけた。
せっかく穿いてきたんですもの。気の済むように愉しんでくださいね。
わたしたちはいつか、心を通わせ合っていた。
化粧が上手になり、しぐさも女らしくなって、
気づいたときにはもう――夜だけは完璧なレディに生まれ変わっていた。

わたしはおかま。
醜かったおかま。
それがいまでは、昼間街を歩けば人も振り返るほどの、魅惑的なレディになっている。
血を吸わせ、コアな欲求に応えつづけたお礼にと、吸血鬼がわたしにかけてくれた魔法。
わたしは今夜も、最高の装いで、彼をもてなすために出かけてゆく。

一対多数の関係。

2017年04月17日(Mon) 08:10:51

吸血鬼に献血を始めるようになったのは。
妻が作った愛人が、たまたま吸血鬼だったからです。
ふたりの関係を終わらせようとして訪れた相手の男の家でわたしも咬まれ、血を吸い取られて理性をなくし、
その場でくり広げられた愛の劇場を、さいごまで見物させられる羽目になっていました。

妻の相手は手練れの男で、愛人は妻だけではありませんでした。
さいしょのうち、妻はそのことが不満だったようですが、
彼の旺盛な食欲を考えると、ひとりで相手をするのは無理だとわかったのでしょう。
そこはあきらめることにしたようでした。
でも、妻はわたしに訴えました。
一人対多数なんて、なんか嫌。私も多数の中に入りたい――と。
そう、彼女自身も、多数の愛人と関係を持つことを望んだのです。
首すじに妻と同じ咬み痕をつけられてしまったわたしは、唯々諾々、妻の希望をかなえてやるしかありませんでした。

相手と言っても、吸血鬼というわけにはいきません。
しかし吸血鬼は、かっこうの相手を、妻のために用意してくれました。
そう――それは、自分が寝取った人妻の夫たちだったのです。
以来妻は、法事の手伝いに行くと称して、黒ずくめの礼服姿で、街はずれの荒れ寺に出入りするようになっています。
そこで、自身の貞操の喪を弔う行為に熱中しているのです。
わたし自身も――さいしょのうちこそためらいはあったものの――妻に帯同してお寺詣りをし、いっしょに妻の貞操を弔うことにしています。
そこに集う男たちは、妻を汚す忌まわしい存在であると同時に、わたし自身の裏返しのような存在でもあるのですから。
その場所は、多数の男を相手にする人妻が集う場所でもあると同時に、
妻を吸血鬼に寝取られた夫たちが、愛人自慢をする場でもあったのです。

いちずな妻

2017年04月17日(Mon) 08:03:21

「ねえ、どうしてもあたし一人というわけにいかないの?」
妻の真悠子はいちずな顔つきになって、相手の男に話しかけていた。
男は真悠子から吸い取った血を、まだ口許にしたたらせていて、それを指先でもてあそんでいた。

夫婦ながらこの男に襲われたのが、ひと月ほど前のこと。
さいしょに咬まれた俺は、意識をもうろうとさせながら、いちぶしじゅうを見届ける羽目になっていた。
妻は俺の時と同じように首すじを咬まれ、キャッと叫び声をあげ、クラッと目まいを起こしてその場にひざを突いていた。
じゅうたんに伸びた脚を包んでいた肌色のストッキングが、男の好色な唇にくまなく舐め尽されたうえ、みるかげもなく咬み破かれてゆくのを、俺は歯噛みをしながら見つめるばかり。
妻は身体じゅうの血を舐め尽されたうえ、俺の目の前で犯されていった。

それ以来。
のぼせあがってしまった妻は、すっかり吸血鬼の虜になっていた。
呼び出されるままに夜中に出かけていって、公園の片隅で抱きすくめられ、
よそ行きのスーツを草切れだらけにさせ、ブラウスを惜しげもなく血浸しにして、
ことのついでにスカートの奥は、半透明の粘液で、これまた惜しげもなく浸していったのだ。
帰宅した妻に息荒く迫って、愛人相手のセックスにまだ火照った身体を抱いてしまったとき、
俺は無言でふたりの関係を認めたことになってしまっていた。

妻は嫉妬深い女。
俺がなんどかしかけた浮気は、いずれも血みどろの修羅場で幕切れになった。
そんな妻のことだから、吸血鬼が夜ごとに相手を変えて夜の街をさまようことに、我慢がならなかった。
けれども、吸血鬼に毎晩抱かれてしまったりしたら、そこに待つのは死――
そう、ひとりの身体にめぐる血液の量では、彼らを救うことはできないのだ。
奥さんに逢うのは三日にいちどにする。
そんなヌケヌケとした宣告だけは、俺自身も納得して受け止めていた。
しかし、理屈では納得した妻は、やはり納得し切ってはいなかったのだ。

ひとつだけ、方法がある。あんたが吸血鬼になることだ。
男は怖ろしいことを提案した。
周りの人間どもの血を吸って、その血で自らの身体を満たすがよい。
わしはお前を毎晩抱いて、お前の身体だけから血を啜り取る。
「いいわ、それ、すごく、いい」
妻は声をはずませて俺のほうをふり返ると、伸びた犬歯をガーッとむき出しにした。
・・・・・・。
・・・・・・。
俺の体内の血液は、最愛の妻によって一滴残らず吸い尽された。

「よかったじゃない。あなたもよりどりみどりで」
自分が吸血鬼になることで、吸血鬼を独占することに成功した妻は、今夜もニッと笑って白い犬歯をむき出しにする。
妻が自宅に引き入れるのは、男。
そしてその数日後、なにも知らないその男の妻が、憤然として玄関に立ちはだかる。
そちらの面倒を見るのが、俺の仕事。
夫の浮気相手の女に面会を求める人妻は、そろいもそろってこぎれいなスーツでばっちりとキメていた。
どこか釈然としないものを感じながらも、
うつ伏せに倒れたスーツ姿のふくらはぎに這い寄って、ストッキングに包まれた脚に唇を吸いつけるときには、すべてを納得してしまっている。
人の女房を寝取った亭主はその見返りに、目のまえでの夫婦交換を強要されて、自身も妻の牙で、理性を喪ってゆく――
「こんな生活も悪くはないわね」
妻はそううそぶきながら、次の獲物の物色を始めていた。

期限付きの吸血鬼

2017年04月17日(Mon) 07:38:34

俺は薄ぼんやりとした頭を抱えながら、目のまえで妻の佳菜美が吸血鬼に血を吸い取られてゆくのを、ただぼう然と眺めていた。
スーツ姿の妻は、自宅の畳のうえにあお向け、大の字になって、すでに意識をもうろうとさせている。
胸元をはだけられたブラウスのえり首にはバラ色のしずくを散らし、唇はただ切なげにあえぎつづけて、
精液に濡れた花柄のロングスカートはまくりあげられて、
肌色のストッキングに包まれたむっちりとした肉づきの脚を、太ももまで惜しげもなくさらけ出していた。

気前よく、自分からすすんで血を吸い取らせている――そんな錯覚に襲われたのは、なぜだろう?
近い記憶では、ついさっきまで自分自身が、そうしていた。
ある程度まで血を吸い取られてしまうと、血を吸われること自体がひどく快感になってしまって、やめられなくなるのだった。
きっと佳菜美も、そうにちがいなかった。
やつは佳菜美の血を、俺のときよりも美味そうに味わっている。
そして俺のときと同じように、佳菜美の血も吸い尽してしまうに違いなかった。
予想通り、佳菜美の体内をめぐる血液を、一滴余さず吸い取ってしまうと、
やつは初めて佳菜美の胸元から顔をあげ、
こっちをみてにまっと笑った。
とても満足そうな笑みだった。
俺も思わず、にまっと笑い返していた。

30分後。
佳菜美はけだるげに体を起こし、身づくろいをしていた。
乱れた髪を手ぐしで整え、頬に着いた血をタオルで乱暴に拭って、
吊り紐の切れたブラジャーを自堕落な手つきではずすと、くずかごのなかに放り込み、
くまなく唇を当てられて咬み破られてしまったパンストを脱ぎ捨てると、これもくずかごのなかに放り込んだ。
血がないのに身体が動いている――ということは、俺たちはその場で吸血鬼になってしまったのか?
「お察しのとおり」
俺と同年輩の吸血鬼は、またもにまっと笑った。
悪戯をしかけた悪童が、自分のしかけた悪戯がばれて舌を出すときみたいな、そんな笑いだった。
お前の女房は寝取ってしまったからな――そう言いたげな得意そうな笑みに、俺はむかっ腹を立てた。
「あんたがたは、他人の血がないと生きていけない。
 生き延びたかったら――そうだな――知り合いや親せきを一人ずつ家に招んで、血を吸うんだな。
 まず手始めは、息子と娘から血をもらうことだな」
「冗談じゃないわ!よりにもよって自分の子供からだなんて!」
妻は猛反発したし、俺も相手を罵った。
「そんなことないよ」
ふすまの向こうからの声に、俺たちはビクッとしてふり返った。
「僕たちの血でよかったら、吸いなよ」
半ば怯えた顔つきが、それでもはっきりとした意志を言葉にしてつむいでいた。
「小父さん、父さんと母さんを死なせないでくれて礼を言うよ。どういうつもりか知らないけどさ」
吸血鬼は、ふふんと笑った。
「親に似ずにいい子たちだな。せいぜい助けてもらえ」
やつはそう言い捨てて、スッと姿を消した。
妻の佳菜美のほうをかえりみると、もう顔つきが変わっていた。
もの欲しげな表情に、「若い子の血が欲しい」って、書いてあった。
「あなた、正美の血をもらうといいわ。あたし、勝哉のをもらうから」
妻に仕切られるまま、初めての吸血行為が、ぎこちない近親相姦のように始められた。
息子の勝哉は佳菜美の腕のなかで、
観念したように目を瞑った娘の正美は俺の腕に抱かれたまま、
うら若い血液で干からびた親たちの血管を浸してくれていった。
「あたし、父さんのために友だち家に招ぶからね」
腕のなかの正美のささやきに、俺は浅ましくも、「頼むね」と、言いつづけていた。

「あの子たちがまじめで、よかったわね」
「まったくだ。さすがに実の娘とセックスするわけにはいかないからな」
ホホホ・・・佳菜美がいやな笑いかたをした。
「あなた、怒るかもしれないけれど――あたしが家に招ぶ第一号は、浮気相手にするわ。奥さんがあたしに会いたがってるの」
浮気相手の妻が面会を要求する。
妻の言いぐさはさりげなかったが、それは修羅場じゃないかと、俺は思った。
「修羅場じゃなくしてしまいましょうよ」
自分のしたことを棚にあげて、妻はしゃあしゃあと俺を誘惑した。
あのひとの奥さんって、美人なのよ・・・と付け加えることを忘れずに。

翌日はたしかに、修羅場だった。それも一方的に、向こう夫婦にとって。
こういうときのつねとして、相手の奥さんはこぎれいなスーツでキメてきていた。
「たしかに美人だな」
俺は浮気妻をふり返って、にんまりとした。
「気に入って良かったね」
佳菜美は自分の亭主が浮気相手の妻に舌なめずりするのを、他人事みたいに笑って受け流した。
十数分後。
妻はいつもの浮気セックスに励んでいたし、
俺は俺で、ダンナのまえで人妻を抱くという素晴らしい経験を、満喫してしまっていた。
パンストを破られた脚をばたつかせて泣きじゃくりながら犯されていった女は、俺が首すじからそそぎ込んだ毒液にほだされて、
ものの数分もすると、もっと・・・もっとお!って、よがり狂っていた。

娘の同級生を襲ったのは、つぎの日のことだった。
「制服汚しちゃダメよ」
娘はそういって友だちに催眠薬入りのジュースを飲ませて眠らせると、
彼女の履いている紺のハイソックスをずり降ろして、ふくらはぎをあらわにした。
「ここなら目だたないから。一回血を吸ったら、いうこと聞くんでしょ?」
そういえば。
あのあと吸血鬼にも血を吸われてしまった娘は、毎晩のように制服に着替えると、どこかへと出かけてゆくようになった。
「処女の血って、人気あるみたい」
うつろな声色の呟きをうっかり聞き流しにして、俺はむき出しのふくらはぎに唇を吸いつけていた。
ピチピチとした生気を帯びた生硬な素肌が、俺の牙を妖しく疼かせた。

俺の父や兄は、妻の佳菜美が。
母や兄嫁は、俺自身が。
佳菜美の父と義弟は、妻の佳菜美が。
義母と佳奈美の妹とは、俺自身が。
そう、男は女の、女は男の血を欲しがるものなのだ。
そんなふうに俺たちは、周囲の男女を次々と、毒牙にかけた。
自分自身が灼けつくような渇きから、逃れるために。
そしてあっという間に、ひと月が経った。

「だいぶおおぜい、餌食にしたようだな」
吸血鬼はにんまりと笑った。
抑えつけた佳菜美から吸い取った血を、口許からしたたり落しながら。
「よくやった。褒美にお前たちを、もとの人間に戻してやるよ」
そういうとやつは佳菜美の首すじを咬み、俺の首すじにも咬みついた。
咬まれた牙から注入されたおびただしい液体が、俺にもとの生気を取り戻させた。
「どういうことなんだ」
「あとは俺と仲間とが、引き継ぐことにする。
 なにしろ、人間どもは警戒心が強いからな。
 見ず知らずの人間や、行きずりの人間を襲って血を吸うのは、結構難儀なのだよ。
 だから、お前たちを利用した。
 お前たちだったら、気を許して一人で家に来るやつがいるからな。
 これで、お前たちの周囲の人間は、全員俺たちの奴隷となるのだ」
そういうことだったのか――かすかな後悔が胸をかすめる。
そんな俺の胸中を察したのか、妻が言葉を添えた。
「あなた、毒を喰らわば皿までも よ」

こんどは血を吸われる愉しみが経験できるのよ。
あたし、たっぷり抱いてもらうの。あなたも好きなひとを選ぶといいわ。
あたしたちも、愉しんじゃいましょ。
そういえば、あたしの浮気相手の奥さま、言ってたわ。
貴男に血を吸ってもらえるのなら、亭主のしていることに目をつぶってもいいっていってくれてるの。

気丈な姑 6  吸血鬼の遠い記憶

2017年04月13日(Thu) 08:00:19

「イヤです!血を吸われるなんて・・・お義父さま、お義母さま、どうか堪忍してくださいッ!」
うら若い白い頬に血の気をのぼせ度を失って訴える少女に、大人たちは諭すように告げた。
「なあ初枝さん、堪忍していただくのはこちらのほうですぞい。
 あのお方を慰めることができるのは、もはやあんたのうら若い血しかないのですからの」
朴訥な父はとどめを刺すようにそう告げたし、
「初枝さん、世の中きれいごとでは済まないことがあるのですよ。
 当家の人になってくださるのなら、ここをこらえていただかないと」
そういう母は、いつの間にか初枝の背後にまわり込んで退路を断っている。
母の頬は鉛色で生気がなく、首すじには赤黒い痣がふたつ、くっきりと浮かんでいる。
「もう遅いのじゃ。お招きしておるのでな。初枝さんの血を吸うのを、愉しみにしておられたのじゃ。
 当家の嫁として、粗相のないようにしてくだされや」
父の顔色も蒼く、首すじには母のそれと同じ間隔を置いて、ふたつの痣。
そしてそのまがまがしい記憶をいまだに消せずにいる俺も、同じ痣をふたつ、首のつけ根に疼かせていた。

つぎの記憶は、自分の嫁になる少女が、黒衣の男に立ったまま抱きすくめられているところ。
「ああっ!」
涙声の悲鳴を呑み込んで、唇をキュッと噛みしめるのと。
抱きすくめた初老の男の口許から覗いた牙が、彼女の首すじに突き立つのとが、同時だった。
黄ばんだ犬歯が、その尖った切っ先を白い素肌に埋め込まれてゆく光景は、いつ思い出してもどきりとする。
「諦介さん、たすけてえっ」
自分を呼ぶ叫び声に、思わず耳をふさいだあの日。
けれどもつぎの記憶はさらに鮮明に、俺の脳裏に灼きついている。

黒のストッキングの足許に、俺と両親の血を吸ったその男は舌を這わせて、
薄黒く上品に透けたふくらはぎを、舐めくりまわす。
その有様を無念そうに見おろす少女の目線は、すでに理性を喪いかけて宙を迷っていた。
白い首すじにしたたるバラ色のしずくが、ピンク色のブラウスのえり首を浸そうとしているのに、
もはや彼女はそんなことなど意に介していないのだ。
男の卑猥な唇は、薄手のストッキングがくしゃくしゃになるまでいたぶり抜いて、
しまいに牙を突き立てて咬み破っていった。
少女はふらふらと身を崩し、その場にあお向けになって、
あお向けになった少女のうえに、彼女の未来の夫からすべてを譲り渡された幸運な男がのしかかり、
ねだり取った花婿の権利を、無垢な肢体に行使してゆく。
太ももまでめくれ上がったスカートの奥に、逞しくそそり立つどす黒い魔羅が忍び込んでゆくのを、
鋭利な牙が初枝の首すじに埋め込まれるのを見たときと同じくらいドキドキしながら、
とうとう視線を外すことができずに、さいごまで見届けてしまっていた。
そそぎ込まれた精液は、彼女のスカートの裏側を濡らしただけで、身体の秘奥を侵すことがなかったのは。
たんに、処女の生き血をもっと吸い取りたいだけだったのだと、容易に想像することができた。

三か月後に決まっていた祝言の日取りを俺はもう三か月伸ばして、
やつが初枝の身体からむさぼり取る処女の生き血の量を増やしてやることにした。
いぶかる初枝の両親がすべてを納得するのに、時間はかからなかった。
一人でも多く支配して、享受する血の量を確保したかったあの男の手で、
初枝の両親もまた、うちの両親と同じ運命に堕ちてしまったのだから。

それからどれほどの年月が流れたことか。
「黒のストッキングがお好きなの?いつものことながら、いやらしいわね」
軽い非難をこめた目で、女は俺を上目づかいで睨みつける。
その目線にかすかな媚びがあるのを、俺も、彼女の亭主も、見逃してはいなかった。
「いいわ。穿いてきてあげる。今度のあなたのお宅の法事、お手伝いに伺うわ」
女は亭主のまえ、気前よく咬み破らせてくれた肌色のストッキングを穿いたまま、
これ見よがしに亭主に見せつける。
「ね、黒のほうが、目だつわよね?」
不承不承に頷く亭主は、チラッと俺のほうを窺い目線を交えると、
「わたしも心配なので、伺うよ」
と、言ってくれた。
きっと、失神した女房をかばって自宅に連れ帰る役目を、引き受けてくれるつもりなのだろう。

この夫婦は、このあいだモノにした若夫婦の、婿さんの側のご両親。
嫁の不倫を咎めようとして俺の邸に上がり込み、返り討ちに遭ってしまった、おっちょこちょいな女だった。
その実、悪賢い嫁が口うるさい自分の姑を堕落させるために仕組んだ罠だったということに、いまだに気づいていないけれど。
俺の褥で弄ばれて、汚され尽したあとなのに、
いまだに元教師らしい凛とした潔癖さを失くしていない。
「そこが好ましい。そこに惚れた」
よりにもよって亭主にいうことではなかったけれど、いわずにはいられなかった。
あんたの女房は良い女だ と。
亭主をまえにぬけぬけと、女はいった。
「ねえ、今度から悠子って呼んで。ほかにそう呼ぶのは、ダンナだけなの」

五十に近い齢を感じさせないうら若さを秘めたこの女は、いま俺を癒すだけではなく、救おうとさえしている。

気丈な姑 5

2017年04月12日(Wed) 08:15:56

「お待ちになったかな」
「ううん、そうでもないわ。私もいま来たところ」
ほんとうは、30分待った。
きっと、前の訪問先で、お相手とほんの少しばかりよけいに名残を惜しんできたのだろう。
その証拠をさりげなく、私は指摘してやる。
「お口」
真新しいハンカチで拭った彼の口許は、だれかから吸い取った血でまだ濡れていた。

ショルダーバッグをひるがえして、すすんで腕を差し出して、
若い恋人同士みたいに、腕を組んで歩く。
あとから尾(つ)けてきているにちがいない主人はきっと、
嫉妬のほむらを燃やし、そのぶん目はうつろになって、私たちの後ろ姿を追っているに違いない。
ああ、いじましい。(笑)

すれ違う街の人たちの目も、もう怖くはない。
「アラ悠子さん、お出かけ?」
わざわざ見え透いたにこやかさで話しかけてくる、女の知人。
そう、あなたがなにを言いたいのかは、わかっている。
「また浮気?見かけによらず、あなたふしだらなのね」
そう仰りたいんでしょ。
でももう、なにも怖くない。私は平気。

さいしょは自由奔放に振る舞って私の一人息子をキリキリ舞いさせている嫁への、対抗心もあった。
嫁の浮気を叱り飛ばしたのは、恥を掻かせてやりたかったからだけど、その裏側には嫉妬もあった。
あなたは若いうちから勝手なことをしているのね。
私は学校の先生だったから、みんなの模範にならなければならなかったし、
浮気はもちろん、好きなことも我慢しなければならなかった――
でもそんな私の目論見は、嫁の浮気相手が吸血鬼だという未知の事実のおかげで、すっかり狂った。
嫁に恥を掻かせるはずが、恥を掻いたのは私だった。
私は嫁の目の前で犯され、夫以外の男の身体を初めて識った。
むぞうさに遂げられた禁断の行いは、それまでの私のかたくなな倫理観を、いともあっさりと突き崩したのだ。

美那子さんが貧血のときは、私がデートの相手をする。
吸血鬼にとって、四十女の私はきっと、第二志望。いや、すべり止め?
それでも私は、いい加減で日和見な主人にこれ見よがしに、彼とのデートに応じていった。
――美那子さんより罪は軽いわ。もう子供を産む齢ではないんだし。
でもそれは、「もう若くない」ということの裏返し。
きっと美那子さんも気づいているし、一番傷つくのは私自身。

吸血鬼とのデートは、案外危険も少なく、いやらしくもない。
いえもちろん、さいごは彼の家でファックされてしまうのだけれど。
そうなる前は、映画館通いに、美術館めぐり。
彼は高い教養と良い趣味の持ち主で、いざなわれる映画はどれも古典的な名作だったし、
美術館での彼の博識ぶりは、もと教師の私も知らない奥深い世界をかいま見させてくれた。
だから、私たちのデートをつけ回す主人は、行き先が意外なくらいまっとうなのに、ちょっと拍子抜けするのだという。
「若い人にはわかってもらえない話を、貴女は理解し楽しんでくれる」
そういう彼の横顔も、どこか誇らしげで楽しげだ。
そしてそんなふうにして――さりげなく触れられたくもない私のコンプレックスを、あのひとはさりげなく、覆い隠してくれる。

2人ともに気づかれているのも、主人のほうでも気づきながら。
主人は妻の浮気現場を抑えようと、ばか律儀な尾行をつづける。
それが妻へのIの証しだと、いわんばかりに。

夫の尾行を黙認する私たち。
そして、私の浮気を黙認する夫――
不思議な黙契は十数歩の距離を置きながら、つかず離れずの関係を保っている。

さいごはもちろん、ファック、ファック、ファック。
こんな下品な言葉、自分で口にするなんて、思いもよらなかった。
息子さえ結婚している齢になった私が、唯一堕落したと認めざるを得ないこと。
夫以外とのセックスこそ、最大の堕落 ですって?
必ずしも、そういうものではないでしょう。
私が身をもって彼に尽くしている証しだし、
彼が私を支配するのと裏腹に、私は自身の血液と柔肌で、彼のことを守っている。

時には道ばたの草むらのなかでさえ乱れてしまう私たちを、
主人は邪魔だてもせず、遠くからじいっと見守っている。
最愛の女性が他の男に肌を許すのを。
自分がプレゼントしたスーツで装った妻が、それが礼装フェチの愛人のための装いで、
夫の好みの服を愛人に辱めさせてしまうのを、じっと遠くから視て・・・そして昂っている。
二等辺三角形の一辺だけが異様に近いこの距離感で。
私たち3人は3人ながら、それぞれの歓びに目ざめてゆく。

夫が恋し手に入れた女は、
夫が買い求めた服もろともに弄ばれて、
買い求めた服と、その服を着た妻とが、同時によその男を満足させる姿を見せつけられる。

「ただいま」
素知らぬ顔をして、帰宅する私。
「おかえり」
素知らぬ顔をして、出迎える主人。
「楽しかった?」
おずおずと訊いてくる主人に、私はいけしゃあしゃあと、応えてゆく。
「エエ、とっても。あなたもきょうは、楽しい一日だったかな?」

ブログ拍手♪ 「気丈な姑」シリーズに、連続拍手をいただきました。

2017年04月12日(Wed) 07:32:53

おお、すごい!
昨日あっぷした「気丈な姑」シリーズに、連続拍手が。
最多は「気丈な嫁 4(いまのところ最終話)」の5つです。
万年閑古鳥な「妖艶な吸血」では、驚異的な数字です。

個人的には、「2」が好きなんですけどね。
吸い取った血で持ち主の服を汚したいというお相手の吸血鬼の好みに合わせて、
机上で潔癖なお姑さんがキチンとした服装ででかけてゆく みたいなくだりが。^^
ほんとうは、「もっと若いうちにお逢いしたかった」という奥さんのひと言にご主人がトドメをさされるところがメインだったんですけどね。
でも、テーマ性らしいものが一番あるのは、やはり「4」かな。

拍手の主の慧眼に、拍手♪

気丈な姑 4

2017年04月11日(Tue) 08:19:25

息子・貴志の独白。

男にとって、致命的な経験を、ぼくは二回も遂げてしまった。

ひとつ目は、自分の妻となる女性が他の男の誘惑を受けて、目のまえで処女を捧げてしまったこと。

相手は吸血鬼で、いっしょに血を吸われたぼくは、婚約者の美那子ともども、すぐに彼と仲良くなってしまった。
彼に処女の生き血を吸わせてやりたい一心で、ふたりは結婚前を生真面目な交際で通し、
ぼくは美那子を彼の邸に連れ入ていって、彼女が処女の生き血を吸い取られウットリとなってゆく有様を、息をつめて見守っていた。
ふたりはやがて、ぼくに黙って逢うようになったけれど、
むしろそうした事実を知ることで禁断の昂ぶりに目ざめてしまったぼくは、ふたりの関係を黙認しつづけたのだった。

挙式前夜にお祝いをしてくれるといって招ばれた彼の邸で、美那子は初めて彼に女として抱かれた。
デートの時によく着て来たピンクのスーツ姿のまま猿臂に巻かれ、
ストッキングを破かれ、ショーツをむしり取られ、
吊り紐の切れたブラジャーもそのままに、はだけたブラウスのすき間から覗くピンク色の乳首を舐められながら、
彼女はぼく以外の男と接し、両脚をゆっくりと、開いていった――


ふたつ目の致命的な体験は、母の悠子のことだった。
しつけに厳しい毅然とした母は、嫁の浮気について優柔不断なぼくよりも、ずっと峻厳な態度を取った。
そして堂々と彼の邸を訪れて、浮気の現場を抑えると、ふたりに対してしてはならない叱責を浴びせてしまったのだ。
結果はもちろん、淫らなものにすり替えられていた。
母はその場で、嫁の血を吸い取ったその唇を素肌にあてられ、苦悶しながら血を吸い取られ、奴隷に堕とされた。
吸血鬼はセックス経験のある婦人を相手に選ぶとき、例外なく性的関係を結ぶという。
ぼくの母だからということで、斟酌はなかった。
嫁の見ている前で母は、時折洩れてしまうはしたない声を悔しがりながら、婦徳を穢されていったのだ。

知ってる?あなた・・・
寝物語に聞いた、妻の情夫と母との不倫。
その不倫を、あろうことか父までもが、真面目な交際として認めているという。
ぼくは思わず、ほっとしていた、
これでもう、母さんに叱れずに済む。

けれども、自分を生んだ女が、父親以外の男のものになるということは、
人知れずぼくの心の奥に、居心地のよい闇を作った。
それは、自分の妻を犯され次代を奪われる脅威に直面するのと同じくらいの深さを持った闇だった。

もしかしたら母は、嫁に負けないくらいの体験をぼくに突きつけることで。
いまでも嫁と、張り合っているのかもしれない。

気丈な姑 3

2017年04月11日(Tue) 08:05:34

知ってる?あなた。お義母さま、長いのよ。
ベッドのなか、傍らで寝ていた妻の美那子が、ちょっと意地悪そうな笑みをたたえて、ぼくに囁いた。
え?どういうこと?
お義父さまも、ふたりの仲を認めていらっしゃるんですって。お洒落なご夫婦ね。
ますます話がみえなかったぼくに、美那子は一連の話を語って聞かせてくれた。

きょうのヒロインは、貴志くんのお母さんの悠子さんです。
悠子さんは長年連れ添った近田さんと、おしどり夫婦で知られていました。
息子の貴志くんは結婚前に知り合った吸血鬼の小父様と仲良くなって、
未来の花嫁である美那子さんの生き血を吸わせてやるようになりました。
結婚してからも、小父様が美那子さんを愛人のひとりに加えることに賛成をして、
ふたりの逢瀬に協力的になるくらい、理解のある夫です。
吸血鬼が人妻の生き血を狙うとき、ふつうは夫が最大の障害になるのですが、
貴志くんは立派な紳士だったので、むしろ最大の協力者になっていたのです。
でも母親の悠子さんは、そんな息子にがまんがなりませんでした。
そうです。吸血鬼が人妻の生き血を獲るのに、姑が最大の障害になったのです。
悠子さんは身持ちの正しい姑として、吸血鬼を𠮟りにいらっしゃいました。
でも、吸血鬼は惚れっぽいので、五十手前の悠子さんにまで、ときめいてしまったのです。
そして吸血鬼のお邸を訪問した悠子さんは、貞淑なご婦人のままそのお邸を辞去することはできなくなったのでした。
めでたく結ばれた二人は逢瀬を重ねましたが、
悠子さんのご主人は息子の貴志くんと同じくらい穏やかな紳士だったので、
永年連れ添った妻と情事を重ねる吸血鬼を許してあげたのです。
血を吸い尽さない代わり、貞淑だった四十路妻を吸血鬼の愛人の一人として捧げることに同意したお義父さまは、
最愛の妻が吸血鬼に生き血を愉しまれ、犯されてゆくいちぶしじゅうを見届けたのでした。
着ているよそ行きのお洋服をくしゃくしゃに着崩れさせながら、はしたない喘ぎ声をあげる奥様をまのあたりに、
いつかお義父さまも、覚えてはならない歓びに目ざめてしまったのでした。

どお?このおとぎ話、ウケるでしょ?

妻の笑みには毒気がなかった。
だいじょうぶよ。私たちはみんなお仲間。
わたくしの母の生き血も、少しでも若いうちにあのひとに愉しませてあげたかったから、
父には内緒で連れ出して犯していただいたのだし、
父もそんな母と娘を、内心好もしく思っているんですって。

それに――あの小父様ご自身もお若くてまだ真人間でいらしたころに、奥様ともども血を吸われて、
自分の血を吸った相手に、奥様を愛人として差し出して、末永く三角関係を愉しんでいらっしゃるんですってよ。

わたくしたち・・・まだ序の口ですわね。
妻はそううそぶくと、再び眠りに入ろうとする。
「やだ!眠いのにっ」
目ざめてしまったぼくは、ギュッと目を瞑る妻を抱きすくめ、股間を熱く逆立てていった。

気丈な姑 2

2017年04月11日(Tue) 07:50:13

息子さんの挙式のときからね、貴女にひと目惚れしていたんですよ。
貴女がお嫁さんの浮気の件で私を叱りに見えたとき、
あのときとおなじスーツを着てきたのに気づいて、夢かと思ったくらいです。
気がついたら貴女に迫って、咬んでいました――。
そんな口説き文句を、いけしゃあしゃあと囁く彼は、わたしよりも年上の吸血鬼。

「いいじゃないの、少しくらい。
 美那子さんがするよりも、罪は軽いわ。もう子供を産む心配は、ないんですから」
浮気は夫に対する裏切り行為なのだと、日ごろから嫁を非難するときには必ずついてまわったあのふた言目は、すっかり忘却の彼方らしい。

「いつでも吸わせてあげる」
と、妻は男を家に誘い、わたしのまえで抱かれていったし、
「切羽詰まってるらしいの、あなたもいらして」
と、わたしの血まで栄養補給に提供させられた。

「喉が渇いているんだって。行ってあげなきゃ」
と、夜中もいとわず彼の邸を訪問するときは、必ずこぎれいなよそ行きの服に着替えていった。
「きれいなブラウスを、持ち主から吸い取った血で濡らすのがお好きなんですって」
そんなフラチな嗜好までこころよくわきまえて、よそ行きのブラウスを気前よく汚させる女。
「ストッキングを穿いた脚を咬むのがお好きなの。破いて愉しむんだって。いやらしいわよねぇ」
のろけ話をするような嬉々とした口調でそんなことまで夫に語り、
やはり気前よく真新しいストッキングを脚に通して出かけていって、ためらいなく咬み破かせる女。
そんな女に、いつの間になってしまったのだろう?

とどめのひと言は、家にあげた情夫と組んづほぐれつしたあとに、彼の腕のなかで呟いた言葉。
「もっと若いうちに、お逢いしたかった。
 そうすればもっと美味しい血を差し上げられたし、もっと若い身体で抱いてもらえたのに」
わたしは夫として、引退したほうがよいのか。それとも、かなわぬと知りながら妻を堕とした相手と闘うべきなのか?
思い詰めかけたわたしの気分をほぐしてくれたのは、意外にも彼のほうだった。
「あんたにはつねづね、感謝している。佳い奥様をおもちで、羨ましいですよ」
同性としての賛嘆の念が、瞳の奥の深い輝きにこめられていた――

妻もまた、わたしには少し、気を使っているらしかった。
遣っている最中は、つい言葉のやり取りも過激になるというもの。
「俺だけのものになってくれ」という彼に、
「とっくになっているじゃないの。あたしは一生あなたのもの」
夫のわたしが聞いていると知りながら、そんなことを口走りつつも、
「でもあのひとに、感謝してね。あのひとあってのあたしだし、あたしあのひとのこと心から尊敬しているの」
夫とは絶対別れない・・・愛人の切なる願いを無にしてまで、そう宣言していた。

種明かししてあげようか。
あるとき妻は、意地悪い笑みをたたえながら(それが、わたしに戯れかかるときの、昔からの彼女の癖なのだ)、こちらへとやって来て、囁いた。

ほんとうはね。最初からあなたと別れる気はないの。
彼にもその気はないの。
だって彼、なん人もの血を吸わないと生きていけないでしょ。一夫一婦ってわけには、いかないのよ。
だから、人の妻を餌食にするのがお得意なわけ。
あのひと、言ってたわ。
悠子を近田夫人のまま犯しつづけたいって。
あたし、あのひとの趣味に合わせることにしたの。
身を近寄せる妻の息遣いが、いつになく色っぽい。
いつのまに、彼女はこんな面を持ち合わせるようになったのか。
わたしは彼女をその場に押し倒し、ふたりは久しぶりに夫婦らしい交歓をともにする。

いままで黙認してたけど。こんどはっきり彼に言おう。
永年連れ添った愛妻の悠子を紹介します。
末永い交際を、どうぞよろしくお願いします――と。

気丈な姑 1

2017年04月11日(Tue) 07:30:22

息子の嫁の浮気相手に、妻は文句を言いにでかけていった。
それが、真人間だった妻を視た最後になった。
嫁の情夫は、吸血鬼だったから。

不幸中の幸い、相手の吸血鬼は人情味のあるやつだった。
いきなり奥さんが無言で帰宅したりしたらこたえるだろうからと、
ちょっとした貧血程度になるまでで我慢してくれた。

帰宅してきた妻は、ちょっときまり悪そうで、
その日一日は黙りこくっていたし、
妻のご機嫌がうるわしくないと感じ取ったわたしも、彼女との接触をなるべく避けていたのだった。
きまり悪かった理由は、あとでわかった。
セックス経験のあるご婦人を相手に選ぶとき、吸血鬼は例外なく性的関係を結んでいくという。

それ以来。
妻はなん度も、出かけていった。
「また美那子さんと逢っているらしいの。私説教してくるわ」
そういうときの妻はいつになくウキウキとしていて、
よそ行きの服で若作りをして、それどころか前日にはふだん行かない理容室で髪をセットまでして、出かけてゆくのだった。

「父さんは行かないの?僕は美那子のときにはいつも、お邪魔しているんだよ」
嫁の浮気の現場をのぞき見する愉しみを、くったくなく語る息子。
そういう息子の首すじには、嫁がつけられたのと同じ咬み痕が、どす黒い痣になって、くっきりと浮いていた。
そしてわたしの首すじにも、いつか同じサイズの咬み痕が、どす黒い痣になって、くっきりと浮いているのだった。

たしか数日前――「あなたも叱ってあげてくださいな」。そういって妻が連れてきた、嫁の浮気相手。
彼と酌み交わした酒はいつか意識を迷わせて、いつの間にか正体を告白されていて、
わたしは彼の正体を理解をもって接し、献血にも応じてやって、
妻がすっかり慣れっこになっていた献血をわたしのまえでするのさえ、咎めもせずに見守っていて、
吸血鬼がセックス経験のあるご婦人に対していかに振る舞うものなのかまで、いちぶしじゅうを見せつけられてしまっていた。

「きょうも叱ってあげてくださいな」
先日と同じように、妻が連れてきた吸血鬼。
わたしの血を先に吸って酔い酔いにしてしまうと、
おもむろに妻に迫って、首すじを咬んでゆく。
日ごろ几帳面だった妻なのに。
花柄のロングスカートをしどけなくたくし上げられ、太ももを咬まれ、穿いていたストッキングまで破かれてしまうのを。
「いやだわ、やらしいわ」とか言いながら、
自分よりも年上の男の痴戯を、面白そうに見おろしつづけていた。
彼の帰り際、「また来てね」と、妻は小手をかざしてバイバイをした。

「また来てね」「またいらしてね」「また咬んでね」
「また、主人のまえで抱いて頂戴ね」――
妻の要求はエスカレートしていったが、彼は妻の要望に、律儀に応えつづけていった。
そしてわたしも、とがめだてひとつせず、嫁の不倫相手に犯されてゆく妻の痴態を、ただの男として愉しみはじめてしまっていた。

あんた、糖尿だね?

2017年04月09日(Sun) 09:53:23

「あんた、糖尿だね?」
貧血を起こしてぶっ倒れたわたしの顔をのぞき込んで、やつは言った。

自宅に侵入した吸血鬼に手もなく首を咬まれたわたしは、ものの数分間でギブアップして、
リビングのじゅうたんの上に、寝そべってしまったのだ。
「血を吸わせてもらったお礼に、ちょっと毒素を抜いておいた。
 あしたの人間ドックの結果、ちっとはよくなっているかもな」

自分の血を吸った相手に、わざわざお礼を言うのも変だな・・・と思っていると、
物音を聞きつけて、妻が入ってきた。
「どうしたんですか?えっ!?どなたですか!?」
あわてる妻もまた、わたしとまったく同じようにしてやつの猿臂に巻かれ、首すじを咬まれてしまった。

四十路女の熟れた血潮を、たっぷりとたんのうさせていただいた――あとで聞かされた、やつの言いぐさ。
たしかにやつは、妻の生き血を見るからに美味そうに、呑み耽っていった。

妻の場合は、それだけではすまなかった。
生き血を恵んでくれたご婦人とは、やたらと仲良くなりたがる・・・
巷のうわさをわたしは、直接見る羽目になっていた。
なにしろ、ひどい貧血で、身じろぎひとつできないでいたのだから。
そのあいだ妻はずうっと恥じらいつづけ、「あなた視ないで」と、苛立たしそうに言いつづけていた。
ワンピースのすそを腰までたくし上げられたまま、妻はなん度もイカされていった。
やつは欲望を果たしてしまうと、はだけたワンピースから覗いた胸の谷間から顔をあげて、
「ご主人すまないね」とわたしに向かってわびながらも、もういちど妻の首すじに唇を吸いつけて、咬みついていった。

妻はまだ、意識があった。
咬まれてゆくふくらはぎを見おろしながら、
穿いていたストッキングを舌でいたぶられ、チリチリに咬み破かれてしまうのを、妻は悔しそうに見守っていたが、
股間に荒々しく手を入れられて、破けたストッキングをつま先までずり降ろされて、ポケットのなかへとせしめられてしまうを、
もう無抵抗で受け容れてしまっている。

「ありがとう。時々吸わせてくだされや」
リビングであお向けになったままのわたしたちに、吸血鬼はねぎらうような声色で言い捨てて、忽然と姿を消した。


今夜も妻は、きちんとした服装に着替えると、やつの棲み処へと出かけてゆく。
「いいの。自分の役割わかっているから」
一本気で勝気な妻は、きょうもわたしの制止を振り切って、面と向かった化粧台から振り向こうとはしなかった。
しょせん私たちは、栄養源。それでもいいの。
家庭を壊したくはないし、彼もそれは望んでいない。あくまでご主人の顔を立てたいっていうの。
私もちょっとの貧血なら耐えられるし、なによりも――血をあげればその見返りに、愛してくれるから。

慰みものにされて咬み破かれてしまうと知りながら、ストッキングはいつも真新しいものを脚に通して。
「履き古しなんかだったら、恥かくから」
さいしょに襲われたとき、たまたま履き古したストッキングだったことを、彼女はまだ悔やんでいるらしい。
初めて咬み破いたストッキングは宝物なのだといって、恥じて回収したがる妻の求めに、やつは応じてくれないのだという。
そんなたわけた話まで聞かされながら、わたしもまた首すじの咬み痕を日々新たにし続ける日常。
しょせんわたしのほうは、栄養源なんだろう?ほんとうの目当ては、家内だろう?
問い詰めるわたしをまえにやつは、夫婦ながら血を吸うのが趣味なのだとしゃあしゃあと応えたものだ。
そういえば。
人間ドックの数値は、年々改善のきざしをみせて、担当医がいぶかるほどになっている。

考えてみれば。
すっかりご無沙汰だった夫婦の営みは、
やつの来訪を機に復活し、特に妻がやつの棲み処から戻ったあとは、迷惑がられるほどに強くなってしまっていた。

吸血鬼の棲む街☆裏のタウン情報

2017年04月08日(Sat) 11:04:49

吸血鬼を迎え入れる家庭が密かに急増? 世帯の6割が「歓迎」

当市に吸血鬼の出没が報告されて、はや一年を迎える。
その後、市街地・郊外を含め昼夜を問わず吸血鬼が街出没するようになり、
道ばたの草むらで吸血鬼と人間の恋人同士による和気あいあいの吸血シーンを目にすることも珍しくなくなっている。
本誌はかねてから、当市に居住する10代から50代の男女を対象に意識調査を継続してきたが、このほどその結果の一部が明らかにされた。
もっとも注目されたのは、実際に吸血鬼と接触を持った人たちの受け入れ度。
調査を開始した昨年5月のデータでは、「迷惑に思う」が90%。「仕方なく受け入れている」が10%。
それが夏を過ぎた頃から好意的な見解がにわかに増加して、初めて「好意を持って受け入れている」が5%と低率ではあるが出現した。
さらに年末になると「迷惑に思う」は65%に減少。20%は「仕方なく受け入れている」だったものの、10%が「好意を持って受け入れている」となり、「歓迎する」が5%と初お目見え。
このほど公開された4月の統計ではその傾向がされあに拡大。
「迷惑に思う」はわずか8%にとどまり、「仕方なく受け入れている」も15%。そして「好意をもってけ入れている」「歓迎する」を合計すると、じつに77%の高率を記録し、吸血鬼と人間との関係性が様変わりしているところを見せつけた。
このうち、「迷惑に思う」と回答した8%のすべてが、吸血されて一週間以内であった。
なん度も吸血されるうちに親しみが生まれ、受け入れ度が高まることを示している。

特に夫婦ながら同じ吸血鬼を受け入れているケースが目立ち、「妻が吸われているところを視ると昂奮を感じる」という意見が多く見られた。
限定公開されている当サイトならではの、人々の本音を反映したものといえよう。
吸血鬼筋によると、配偶者の受難の光景を目にして性的昂奮を覚える男性は、「無類の愛妻家がほとんど」。
その情報が拡散したこともあって、愛妻家を自称する夫、夫に愛されていることを自覚したい妻が、すでに吸血鬼を受け入れている知人を介して相手探しをするケースが増えているという。

                  ―――

「なかなか刺激的な記事だね」
ぼくの背後で吸血鬼が笑う。
パソコンに向かうぼくの後ろで、やつに抑えつけられ血を啜られているのは、妻の裕子。
そう、ぼく自身が、吸血鬼を「好意をもって受け入れている」夫の一人なのだ。
さいしょはもちろん、抵抗があった。
けれども、夫婦ながら血を啜られつづけているうちに奇妙な愛着がわいて、
いつの間にか三日に一度と決められていた訪問が待ち遠しくなり、
こちらからお願いをして二日に一度――夫婦で血液を提供する場合、健康を損なわないぎりぎりの頻度――まで頻度を上げてもらい、
さらに今では、彼を居候の一人として養うまでになっていた。
「あんたが妙なサイトを立ち上げてくれたおかげで千客万来、わしらは大助かりぢゃ。心から感謝するぞ」
男は感謝のしるしに・・・と、自分のものにしてしまった人妻に、劣情に熱っぽく濁った粘液をありったけそそぎ込んでゆく。
なにが感謝のしるしなのだ?
いや、やっぱりこれは、感謝として受け入れるべきものなのだろう。
だってぼくは――マゾになってしまったから。
そんな自問自答をしながら、ぼくは部分的には真実も含まれる記事をつぎとぎと、アップしていく。

「知人を介して・・・か。言い得て妙だの」
失神した裕子をそのへんにころがしてしまうと、男は興味津々、ぼくのPC画面をのぞき込んでくる。
「おかげであんたのご両親も、お兄さん夫婦も、わしらに献血してくださるようになったんだからの」
ぼくの頭のなかで、どす黒い悪夢が旋風のようによみがえる。
法事と称して呼び出した肉親の女性たちは、だれひとり洩れることなく吸血鬼の餌食にされ、犯されていった。
居合わせて夫婦ながら血を吸われた夫たちもまた、惑溺の彼方に。
吸血鬼がその鋭利な牙から分泌する淫らな毒に理性を冒されてしまうと、
夫たちは彼らに若い女の生き血を吸わせるため、自分の妻や娘を悦んで差し出すようになる。
いまでは彼らの欲望を満たすための奉仕を、当番制で代わる代わる務めるために妻たちが着飾って出かけてゆくのを、止めるものはいない。
そう。たしかにぼくの周囲に限っては、「好意を持って受け入れている」「歓迎する」といった人たちばかりになっているのだ。
そしてきょうも――

コン、コンと控えめな音でノックされるドアを、ぼくはおそるおそる開けた。
ドアの向こうには、来月結婚する親友の和樹が、彼女の舞を伴って、恥ずかしそうなニヤニヤ笑いを泛べている。
「ブログ、読んだよ。吸血鬼に奥さんや彼女の血を吸わせるのって、愛している証拠なんだって?」
彼女のほうにせがまれちゃってさあ・・・と、言わない約束になっていた事実をぼろっと口にして、彼女にブッ叩かれた。
「やだ!もう!言わないって言ったじゃんっ!」
活きの良い若い声が玄関先ではじけるのを、やつが聞き洩らすはずがなかった。
若さは強さでもある。
貧血から目ざめた裕子のうえに、またも馬乗りになっていた男を指さして、ぼくはいった。
「このひと、女房の彼氏なんだけど、和樹がヤじゃなかったら――」
「そうね。相手のいるひとのほうが安心かも」
結婚を控えた女子らしい慎重さで、舞はやつを値踏みした。
未来の夫の親友が妻を犯されている現場に居合わせているというのに動じないのは、
いまどきの子だからなのか。それとも、可愛い顔に似合わずドライな感情の持ち主だからなのか。
あやまった値踏みだとも知らないで、舞は「この人と吸血体験する」と、和樹にいった。
和樹もひと目みて、やつのことが気に入ったらしい。
「舞がよければ」と、異存はないようだ。
もちろん、和樹も自分の選択がおおいに誤っているとは夢にも思っていないし、
ぼくはぼくで、みすみす罠に堕ちようとしている親友に警戒するよう忠告することを故意に怠ってしまっていた。

「さあ、お嬢さん、くるんだ」
先に血を吸われてめろめろになってしまった和樹をまえに、舞はさすがに怯えた声で彼氏をふり返る。
「いいのかな・・・和樹?」
不安げにゆがむ口許のすぐ下、柔らかい首すじに、やつの淫らな牙が、容赦なく突き立った――

あとは、ぼくの前でまだ結婚前だった裕子がもてあそばれたときと、まったく同じ再現だった。
結婚を控えた彼女が処女を散らす光景をまのあたりに、禁断の歓びに目ざめてしまった親友は、称賛の声をあげる。

試合のあとの交流

2017年04月04日(Tue) 07:40:46

サッカーストッキングの脚をさらして街を歩くのが、いつになく恥かしかったのは。
行き先と、そこで待ち受けることがぼくの脳裏を離れなかったから。
「よう」
途中でチームメイトに声をかけられてビクッとして、飛び上がってしまったのもそのせいだった。
チームメイトのタツヤは、サッカーストッキングだけでなく、全身ユニフォーム姿。
彼女のチカさんも、いっしょだった。
「これから行くの?俺、もう済ませてきたぜ」
やつの声色は、ちょっと自慢めいていた。
どうしてこんなことが、自慢の種になるのだろう?
タツヤの履いているサッカーストッキングのふくらはぎは赤黒く濡れていた。
チカさんのハイソックスは紺色だったから目立たなかったけど、やっぱり同じことになっているらしい。
そしてぼくも――吸血鬼の待ち受ける邸に出向いて、彼らと同じように咬まれてしまうのだ。

吸血鬼チームとの親善試合に負けたあと。
グラウンドの隅に集められたぼくたちは。
もういちど、親善を深める羽目になっていた。
負けたチームの子の血を吸うのが、彼らの愉しみだったから。
どさくさまぎれに、応援に来ていた女子たちも、やつらに食われてしまったのだ。
チームメイトの彼女も大勢来ていたが、そういう子は特に狙われた。
わざわざ彼氏のまえに連れてきて首すじを咬んで、それから地べたに転がして犯してしまうのだ。
ぼくの彼女の好子もまた、そのなかに含まれていた。

そんな体験を済ませた後で、どうしてユニフォームなんか着て、ヤツらに会えるというのだろう?
だのにヤツは、連絡を取ってきた。
ぼくの血を吸ったあと、すぐそばに好子を転がした相手だった。
「好子さん、身体空いてる?もし無理だったら、ヨウタだけでも来てよ。試合のときのストッキング、必ず履いてきてくれよな」
負けたチームの選手の脚に咬みついて、ストッキングを両脚とも咬み破ってしまうのが、
彼らはたまらなく、楽しいらしい。

「そんなにしかめっ面するなって。愉しんで来いよ。好子も連れてくればよかったのに」
ぼくは黙って、彼らとすれ違っていった。

「よくきたね。あがってよ」
彼女を連れてこなかったことを咎めもせずに、ヤツは朗らかに笑ってぼくを家にあげてくれた。
家人はだれも、いないらしい。
「お袋も妹も、病院行ってる。貧血症なんだ」
どういうことなのか、すぐわかる。
それときみは、セックスをしたことのある女とはだれでも、エッチをするって言ってたよね?
「聞きたいことが顔に書いてある」
ヤツはふふっと笑った。
「図星だよ。お袋はオレにとって、初めての女なんだ。恥ずかしいけどね」
照れくさそうに笑う顔つきは、話の内容はともかく、十代の普通の男子そのものだった。
若干、顔色が悪いのを覗けばの話。
「顔色が良くないぜ」
ぼくはさりげなく、指摘してやった。

「あんまり顔色が良くないとね、周りからヘンに思われるから。
 来週、親戚の結婚式に招ばれてるんだ。
 おやじの弟がお袋に執心でね。
 着飾ったお袋を抱く代わり、娘を襲わせてくれるっていうんだ。
 奥さんも来ればいいのにって言ったけど、どうなるかな・・・
 この間襲わせてもらったときは、ちょっとうろたえていたけどね。
 でも娘のことは叔母さんも賛成みたいだから、いずれ会えると思うけど」
親戚の家庭を崩壊させたことを、さりげない口調で語る彼。
しょせん彼とぼくとでは、役者が違うのかも。
「それで、正体をごまかすために血が要りようで、ぼくを呼んだんだな?」
「すまないね」
そのときだけは、彼は本気ですまなさそうな顔をした。

「いいよ。咬めよ。好きにすればいいさ」
ほとんど捨てばちになってあお向けになったぼくの足許に、
ヤツはそろそろと這い寄ってきた。
ぞくり・・・とした。
獣じみた熱い息が、サッカーストッキングを通して脛にふりかかる。
あ・・・と思ったときにはもう、咬まれていた。
ちゅ、ちゅうううう・・・っ
勢いよく血潮を吸いあげられて、ぼくは絶句した。
きのう呼び出された好子さんも、こんなふうに吸われたのか・・・
どす黒い衝動が、ストレートに股間を衝(つ)いた。
ぼくは思わずうめき声をあげ、のけぞっていた・・・

・・・・・・。
・・・・・・。

試合と練習のときにしか着ないユニフォームを身に着けて、
きょうもぼくは、街を歩く。
傍らに寄り添う好子さんとは、いまでも仲の良い恋人同士。
でも、だれもいないヤツの家の玄関をくぐると、ぼくたち二人はふたりとも、ヤツの奴隷になり果ててしまう。

先にぼくが、サッカーストッキングのふくらはぎを咬まれて血を吸い取られ、制圧されてしまって。
そのすぐかたわらで好子さんが、いつも学校に履いて行く紺のハイソックスのふくらはぎに、唇を吸いつけられてゆく。
もーろーとなっているぼくのすぐかたわらで。
ヤツは好子さんの制服を脱がせて、プリーツスカートの奥深く、たくましい腰を突き入れてゆく。
――もういちど、あの試合のあとの風景を視たいんだ。
そんなぼくの願いをかなえてやる・・・というずるいやり口で。
ヤツは公然と、好子さんをモノにする。
全身全霊こめてぶつけられる絶倫な精力に屈した好子さんがうめき声をあげるのを、
ぼくは制止することができない。
ぼくもさっき、彼女にお手本を示すようにうめき声をあげてしまっていたから。
これ見よがしに彼女を犯されて。
ぼくはその衝撃と昂奮さめやらぬまま、彼女を連れて家路をたどる。
気がつけば、途中で見かけたチームメイトに、堂々と声をかけることまで、できるようになっていた。
きょう出会ったテルカズは、血を吸われ始めたばかりのはず。
あいつ、きのうの試合のあと彼女を抱かれて、それを血走った眼で見つめていたっけ。
「よう。これから行くの?俺もう済ませてきたぜ。彼女も連れてくれば、よかったのに」

先生の奥さんと娘

2017年04月04日(Tue) 07:07:18

若かった。
先生はセーラー服姿の僕の妹に、目の色を変えてのしかかっていったし、
おなじ部屋のなか、
僕は先生の奥さんに馬乗りになって、紺色のストッキングをずり降ろしていた。

妹を相手に三回も果ててしまった先生は、
奥さんのまえなのにまだ息をゼイゼイさせたまま、
「きみの妹さん、もう処女じゃないんだね?」
と、教育者らしく咎めるような声でいった。
僕はしらじらとした声になって、こたえた。
「だって、僕が穴開けちゃいましたからね。ですから僕は自分の女を、先生に紹介したことになるんですよ」
「兄妹で・・・そいつはけしからん」
お仕置きをしなくちゃな・・・と言いたげに、先生はもう一度妹にのしかかっていったし、
僕もまたもういちど、先生の奥さんのライトブルーのワンピースをめくりあげていった。

その後妹はOLになって、勤め先のエリートサラリーマンと、しれっと結婚した。
同時に先生との関係はなくなった。
僕も結婚していたけれど、時折外商のついでに先生宅に顔を出して、
先生がいてもいなくても、奥さんを誘惑しつづけた。
先生はそんないけない僕をとりたてて咎めだてもせずに――まったくそういうときの先生は、およそ教育者らしくなかった――だまって部屋をあけたり出かけたりしてしまうのだった。

「恥かきっこなんですよ」
定年退職近くなった先生が、照れながら周囲に見せびらかす自慢の娘は、ほんとうは僕と奥さんとの間の子。
その事実は、もちろん僕たち三人しか知らない。
娘さんが中学にあがるころ。
先生はおよそ教育者らしからぬ顔つきで、僕にむかって耳打ちをした。
「こんどはうちの娘をお願いできるかな?きみ、近親相姦は得意だったよね?」

夜想曲 ~勤め帰りの夫と吸血鬼の対話~

2017年03月21日(Tue) 01:31:55

だんな:ただいまぁ・・・おや、家のなかが真っ暗だ。
吸血鬼:お帰りなさい。^^
だんな:なんだ、あんた来てたのか。食事は済んだの?
吸血鬼:ああ、奥さんからたっぷりと、頂戴した。

よく見ると吸血鬼の口許からは、吸い取ったばかりの妻の血がしたたり落ちている。
その足許には、手足を不自然にくねらせ、あお向けに倒れた妻。白目を剥いて気絶している。
大の字になった脚は、ストッキングを片方脱がされている。
片脚だけ残ったストッキングは吸血鬼の咬み痕を太ももに残し派手に裂け、
乱れたスカートのすそは、白く濁った半透明の粘液で、しとどに濡れている。

だんな:やれ、やれ。ずいぶんとハデにやりなさったね。
吸血鬼:ああ、景気よく暴れてくれたからね。ご馳走さん。
だんな:ところで娘は、まだ帰ってきていないようだね。
吸血鬼:留守電に、終電になるって入っていたよ。
だんな:だとするともうすぐか・・・こんな有様を見せたくないな。
吸血鬼:わしに任せなさい。(意味ありげににんまりと笑う)
だんな:「まかせなさい」じゃなくて、「咬ませなさい」の間違いだろう?(露骨に嫌な顔をする)
吸血鬼:何でもよいから、あと始末を早くね。
だんな:娘は女子大に行く時、ピンクのスーツだったよ。あんたの好きなグレーのストッキング穿いてな。
吸血鬼:う、ふ、ふ。そいつは愉しみ。^^
だんな:さっさと出ていけ。おとといお出で。
吸血鬼:おお怖。お嬢さんのほうは、ブラウスが汚れないよう手際よく咬んでやるからな。
だんな:娘のほうは、よろしくね。気絶したら介抱して。ちゃんと身体を洗って、、寝かしつけてくださいよ。
吸血鬼:お互いに・・・ね♪

吸血鬼の棲む街☆コミュニティ情報 ~「ぼくたちは、彼らのロマンスの受け皿なんです。」吸血鬼と交渉を持つ少女を花嫁に迎える夫たち

2017年03月21日(Tue) 00:53:19

成村ちさよさん(29、仮名)は、中学二年のときに吸血鬼との初体験をして以来、十数年にわたって交際をつづけた。
処女を捧げたのは高校の卒業式前夜、「卒業祝い」と称してセーラー服のまま抱かれたという。
以来十年以上の関係になる吸血鬼とは、一生を誓い合った関係だったが、彼はほかの女性からの採血行為もしており、すれ違いが続くのも事実。
やはり結婚相手は人間から選ぶとお互いに決めて、白羽の矢が立ったのが、高瀬元晴さん(27、仮名)だった。
おくての元晴さんは、新婚当時から花嫁が処女ではなかったことに気づかなかったという。
不審を感じたのは、ちさよさんの勤め帰りがいつも遅いことと、朝の出勤の時とストッキングの色が違うときが多いことだった。
「よく破けちゃうのよ」と笑って打ち消したちさよさんだったが、やがて勤め帰りの公園で彼氏と逢引きを重ねているところを夫に目撃されてしまう。
「びっくりしましたね。街灯がこうこうと照っている真下なのに、男にのしかかられた妻がスーツのすそを乱して脚を開いているんですから。でも、その場で事を荒立てることができなくて、妻には声をかけずにその場を立ち去りました」
ちさよさんが帰宅したのは、それから1時間も後のことだったという。
「その1時間、どんなことをしていたのか?って、想像が頭のなかをかけめぐってしまいましてね」
その夜の夫婦の営みは、別人のように長かったんです――元晴さんは恥ずかしそうに苦笑しつつそう告白する。
「さすがにびっくりしました。でも、裏切られたという思いは、意外なくらいありませんでした」と語る元晴さん。
じつはちさよさんの処女を勝ち得た吸血鬼は元晴さんが兄と慕う男性だったからだという。
「兄貴にとってもちさよは大切な人、そのちさよの夫が私で良いのか?って逆に感じてしまいましたね。それで、二人きりで逢ったんです」
そこで「兄貴」は初めて元晴さんの血も吸い、二人の関係は「とても親密になった」という。

嫁の「乱行」をもっとも糺すべき立場にあるはずの元晴さんの母親もまた、吸血鬼を恋人に持つ人妻の一人。
「父も、母が愛人の吸血鬼とデートに出かけるのを、おだやかに送り出しています」という元晴さんは、「そういう家庭環境は、妻と兄貴との関係を受け容れる素地になった」という。
少女の純潔を勝ち得たあと、その嫁ぎ先にまで心を配る吸血鬼。その想いを大切にしようとする少女とその夫たち――
その裏には吸血鬼が複数の人間を吸血の対象にしなければならないという事情が横たわる。
愛する女性の健康に留意して、相手を増やそうとする吸血鬼。
パートナーの配慮に感謝しながらも、別の女性と逢瀬を遂げている彼のことを想う孤独な刻をしのばざるを得ない女性たち。
そうした気遣いの重なり合いが、彼女たちに人間の伴侶を選ぶという結論を与えたのだ。
吸血された彼女たちを花嫁に迎える夫たちもまた、吸血鬼と日常を共にする両親や兄や兄嫁、姉たちを見て育つという家庭環境で成長してきた人々。
「私が受け皿になることができてよかったです」
きょうもちさよさんは彼と逢っている――そう語る元晴さんの顔に、曇りはない。

未来の花嫁が、嫁入り前に吸血鬼に襲われること、処女を奪われること、その後も関係を結ばれてしまうこと。
そうしたことに夫である自分自身が甘んじること。
吸血鬼と共存する家庭環境に育った夫たちが禁断の関係の受け皿になることで、周囲のだれもが納得を得ている一例といえるだろうか。


追記
記者は三か月後、結婚を来年に控えた婚約者を伴い街を再訪した。

吸血鬼の棲む街☆コミュニティ情報 ~少年のころから親しい父子に、婚約者の純潔を――半吸血鬼となった青年の選択

2017年03月21日(Tue) 00:40:07

庄司悦治さん(29、仮名)が半吸血鬼になったのは、まだ学生時代のことだった。
「男の子目あてに学校に出入りしている吸血鬼たちがいたんです。部活のときに履いているライン入りのハイソックスが彼らの目をひいたらしくって。
卒業前にはチームメイト全員が咬まれちゃっていました。運動部の部員は体力があるから、学校でも率先して献血に励むよう指導されていたんです」
と語る。相手は学校周辺に住居を構える、40~50代の男性たちだった。
「父より年上の人たちでしたね。でも全員、夫婦で献血歴があるんです。
ご存知だと思いますが、セックス経験のある女性が咬まれると、性関係も結ばされます。
だから、もっとあからさまに言ってしまうと、夫婦ながら咬まれた上に奥さんを日常的に、お相手の吸血鬼に犯されている人たちなんですよね。
でも、それを彼らは嬉しそうに語るんです」
さいしょのうちこそ違和感を覚えたものの、咬まれる機会を重ねるうちに「血を吸われるのが愉しくなっちゃった」。
「そのうち彼らに、同情を感じるようになったんです。たしかに彼らはぼくたちの血を吸ったり咬んで愉しんでいるけれど、そのまえには奥さんを襲われちゃっているんだよなって。だからぼくたちも気持ちをこめて相手をしてあげるようになっていました」

なかには同性愛に目ざめてしまったものもいたという。
「短パンにハイソックスを履いた脚を見ているうちに見境がつかなくなったって言うんですけど、どうなんでしょうね。ぼくは太っちょでしたから、ダメでした。血液を大量に摂れるので、彼らの開く吸血パーティーにはしょっちゅう招ばれましたが」
悦治さんは笑って当時を回想する。

卒業後も関係の続いた吸血鬼の一人に、古雅芙美夫さん(58、仮名)がいた。
長男の武治さん(32、同)も半吸血鬼になっていて、父子ともども妻の生き血をほかの吸血鬼に与えているという
「同情しちゃいましてね。奥さん取られている間は寂しいだろうなって。たぶん、ぼくの血を一番吸ったのは彼らだと思っています」
奥さんが浮気に出かけた留守宅に招かれて、奥さんの服を着て抱かれながら血を吸われたこともあるという。
「同性愛ではありませんでしたが、近い感情は持っていたかもしれません」
と、悦治さんは告白する。

将来お嫁さんをもらったら、真っ先に彼らに紹介して犯してもらおう――と思いつづけている中、降ってわいたように縁談が。
お相手は、親同士が同じ勤務先というご縁の定村貴和子さん。(25、仮名)――いまの庄司夫人ある。
「そのときにはぼくも、半吸血鬼にされてしまっていましたから・・・彼女が処女かどうか、味わって試してみようと思ったんです。『あとはお二人で』と言われて二人きりになるとすぐに、彼女の足許にかがみ込んで、ふくらはぎを咬んじゃったんです」
当時貴和子さんは22歳。
肌色のストキングに包まれた初々しいふくらはぎに夢中になって、ひたすら血を吸い取ってしまったという。
「さぞかしびっくりしたことだろうと思うんですが、彼女は声もたてずにそのまま脚を差し伸べて、吸わせてくれたんです」
ストッキングに裂け目が拡がり脛を露出させてしまってもなお、われに返ることなく飲み耽り、よそ行きの礼装をくしゃくしゃにしていったという。
「びっくりしました。でも、親からも、もしかしたらそうかもって聞かされていたので」
いまは悦治さんの妻となっている貴和子さんはそう明かす。
「不思議と怖くはありませんでした。ご縁だったのでしょうか。ただ、貧血を起こして身体が斜めになったとき、吸うのをやめて抱き支えてくれたんです。それで、この人でもいいのかな・・・と」
さいごのくだりはどうやら、おのろけのようだった。

お店の人の目があるからしきりに気にする貴和子さんを、悦治さんは庭園に誘った。
「お勘定を済ませる彼を待っている間、破けたストッキングを穿いたまま、足許がスースーするのを感じて、お店の人に気づかれないかとヒヤヒヤしていました」
と、貴和子さんは笑う。むしろ庭園のほうが人目がなくて、おおっぴらに脚を咬ませてしまっていたという。
二人の相性はよく、縁談はとんとん拍子に進展。交際一年で挙式にこぎつけた。
当時悦治さん25歳、貴和子さん21歳の春だった。

結婚が決まったとき、悦治さんが真っ先に報告したのが、古雅家の親子である芙美夫さんと武治さん。
武治さんも当時新婚だった妻を、自分の血を吸った吸血鬼にはもちろん、実父にも吸わせ始めていた時分だという。
お世話になってきた人たちに、きみがまだ処女のうちに血を吸ってもらいたい――そんな悦治さんの申し出を、貴和子さんは戸惑いながらも応じた。
「さすがにびっくりしました。けれどもそのころにはもう、父も母も、庄司の両親を通じてこの街の吸血鬼の方たちを紹介されてしまっていましたから・・・進んで状況を受け容れる気になっていました。じょじょに外堀を埋められて、慣らされてしまったのでしょうね」
結納を交わしたその足で二人は古雅家を訪問し、その場で体験させられてしまったという。

「悦くんの婚約者がせっかく貴重な処女の生き血を下さるというので、父子で楽しみに待っていたんですよ。さいしょはなん度かに分けて彼女の血を吸って愉しむつもりだったんですが・・・」
悦治さんとは兄弟のように育ったという武治さんは、ちょっとだけ語尾を濁す。
「もののはずみとはいいながらね」と、悦治さんもまた、遠慮しがちに貴和子さんの横顔を窺う。
それもそのはず、体験させられたのは吸血行為だけではなかったからである。
セックス経験のある婦人がほぼ例外なく、自分の血を吸った相手から性的関係を結ぶのは習慣として定着しつつあるものの、
処女がみだりに犯されることは禁じられており、未来の花婿が希望した場合に限られている。
貧血に蒼ざめた顔をしかめ、身をよじりながら吸血に耐える貴和子さんを目のまえに悦治さんは、「本能がゾクゾクと騒ぐのをこらえきれなくなった」という。
貴和子さんのブラウスを吸い取った血潮で濡らしながら、しきりに乱れたスカートのすそから覗く太ももを窺う芙美夫さんに、悦治さんはためらいなく、未来の花嫁のスカートのすそをあずけていった。
「はっとしたときには、もう遅かったのです。主人が私の着ていたブラウスの釦をすべて外してしまっていたのです。だからもう、身体の隅々まで、お父さんの掌がすべり込んできて・・・」
本能の赴くままに頬をほてらせていたのは、どうやら悦治さん一人ではなかったようだ。

肌色のストッキングを片脚だけ脱いだまま犯されてゆく貴和子さん。
「容赦なかったです。モノにされたって、直感しました。それくらい痛かったし、あからさまでした」
立て続けに三回突かれたと洩らす貴和子さん。しかしその語調にはなぜか誇りのようなものさえ感じられる。
初めての痛みが去らないうちに、こんどは武治さんが貴和子さんにのしかかっていった。
「自分の嫁の純潔も父に差し出していたので、今回も二番目で良いと感じていました。悦治さんよりも先で嬉しかったかも。もちろん、すまない気持ちもちょっとはありましたけど・・・花嫁の純潔をほかの男に食われちゃうのって、結構悪くない体験なんですよ。それを悦くんに経験させてあげることができたのは、とてもよかったし、我々父子を選んでくれたのが何よりうれしかった」と、武治さんは当時を語る。

花婿である悦治さんは、貴和子さんにとって三人目の男性に甘んじることを余儀なくされた。
「自分の親しい男性に婚約者の血を吸わせるとき、どちらが彼女の純潔を勝ち得るかをあらかじめ決めておくケースは多いんです。でも、うちみたいにどちらとも決めかねてなり行きに任せちゃう場合もあるし、決めておいても予定通りにならないこともある」と、悦治さんは語る。
「そのときのムードがすべてですね」と呟く悦治さんに、貴和子さんは「成り行き任せって無責任ですね」と指摘しながらも、夫の選択自体には不満はないという。
「お相手がよかったんですね。ふつうの関係じゃない、主人の血をいちばん吸った親子ですから。行きずりの相手に処女を奪われる娘さんも多い中、夫にとって重要な存在である男性たちとたいせつな刻を過ごすことができたのは、夫にとっても私にとっても貴重な経験でした」と結論づけた。
「時々、夫を交えて輪姦パーティーをやるんですよ。あのときを再現しようって」と、貴和子さんは悪戯っぽく笑う。

未来の花嫁の純潔を親しい知人にゆだねた経験は、生真面目一方だった悦治さんの人生観も変えた。
街の青年会のリーダーを務める悦治さん。
「婚約者の身持ちを確かめるため、新婚生活を豊かに深めるため、未来の花嫁の初体験を信頼できる知人男性に」
そんな悦治さんの呼びかけに応えて、すすんで婚約者を連れてきた後輩もいるという。
親しい後輩に希望された場合には、婚約者の処女破りにも積極的に応じているという悦治さん。
すでに今年だけでも、結婚を控えた3人の若い女性を陥落させている。
「婚約者の処女喪失体験を共有するという体験で、同性同士の親密な関係がいっそう深まる」と説く悦治さん。
結婚を来年に控えた記者自身もまた、悦治さんの誘いを受けたことを告白しておく。

吸血鬼の棲む街☆コミュニティ情報 ~兄の好意で兄嫁をゲット。義弟への献血と輪姦に耐えた、気丈な主婦

2017年03月21日(Tue) 00:23:34

市内に住むサラリーマンの原埜靖幸さん(28、仮名)も半吸血鬼の一人である。
先年、兄の定幸さん(32、仮名)の許可を得て兄嫁の血を吸ったときの体験を明かしてくれた。
半吸血鬼になった理由は、「同じクラスに吸血鬼の同級生がいて、面白半分に自分の血を吸わせていたら病みつきになった」というもの。
自分の血を吸って半吸血鬼にした幼なじみに自身の母親や妹を紹介した頃には、すでに兄の定幸さんは都会の大学を出て市外の女性と結婚していた。
「兄が里帰りしたときのことなんです。通りすがりの吸血鬼に、兄が血を吸われちゃいましてね。真相をいえば、ただの通りすがりではなくて、例の幼なじみですです。里帰りした兄について来た兄嫁の華代さんが狙われちゃったので、まずその夫を・・・というわけです」
都会育ちの華代さんの洗練されたファッションが、吸血鬼の目を惹いたのだと靖幸さんはいう。
週末には近在の荒れ寺に一家で出向いて献血奉仕をしている原埜家の一員として、華代さんもデビューを迫られた。

吸血のしきたりは外部に洩らさないというのが、この街の不文律。
妻の口を封じる必要に迫られ渋々OKを出した定幸さんは、「妻のパートナーにはぜひ弟を」という条件を出した。
「身内なら、あまり酷いことはしないと踏んだんです。せめてもの護身術ですかね。でも果たして相手が身内でよかったのかどうか・・・いまが円満に過ごせていますので、うちの場合はまあ良かったとしているんですよ」
とは、結果的に妻と弟との交際を許した定幸さんの弁。
さっそく夫の両親や靖幸さんに伴われた華代さんは、義父母がそれぞれのパートナーを相手に献血を始めるなか、はじめて義理の弟の抱擁を受けた。

既婚女性に対する吸血行為はセックスを伴うのが常識なのを、華代さんも夫からそれとなく聞かされて、薄々知っていた。
「それでもいいの?」って訊き返そうとして、やはりあからさまには訊き返すことができなかったと、華代さんは言う。
でも、淡々としきたりを語る定幸さんの態度から、弟の靖幸さんを信じ切っているし、しきたり通りのことが義弟との間にあっても黙認するということだろうと思うことにした。
「そこは身内ですもの。皆まで語らせるのは酷なことだってありますものね」
妻への愛情としきたりとの板挟みにあった定幸さんを、華代さんはそういってかばう。
「相手が身内であれば家の体面も保てるから、夫も安心。若さを持て余していた靖幸さんも、気になる兄嫁を抱けて満足。私も逞しい靖幸さんとの不倫を愉しめてラッキー。添う割り切ることにしたんです」
小声でそう打ち明けた華代さんも、なかなか隅にはおけないようだ。

当日は、洋装のブラックフォーマルで参加したという華代さん。
「若い同士じゃないですか。やっぱりドキドキしてしまいますよね。そのうち靖幸さんも、ガマンできなくなっちゃって・・・」
いまでもそのときのドキドキ感が去らないらしい華代さんは、恥じらいながら当時のことを明かす。
夫からは、街で流行している「血なし病」の治療と聞かされていた。弟もその病気にかかって苦しんでいるから、救ってやってほしい、と夫から頼まれたのだ。
素肌をじかに咬まれて血を吸われるということに、本能的な警戒心を感じたものの、「義理の弟を救う」という使命感をふるいたたせて寺に向かったという。
「けれども、いざというときにはやっぱり、身体がすくみました。夫に対して申し訳ないと・・・そこを靖幸さんがうまくリードしてくださったんです」
ふくらはぎを咬まれたときに破れたパンストを片脚だけ脱いだ華代さんは、羞恥心と罪悪感にかられつつも、遠慮会釈なくスカートの奥に腰を擦りつけてくる靖幸さんに迫られるまま、夫の前ですこしずつ脚を開いていった。

夫の定幸さんはその光景を、さいごまで見届けたという。
妻が初めて献血行為を体験するときには、夫が付き添いさいごまで見届けることが義務づけられているという。
明るくなったらその種の話題を家族でするもしないもその家の判断に任せることになっていたし、定幸さんはむしろ日中はその話題は封印するつもりだった。
しかしそうだとしても、一度は必ずあからさまに見届けることで、両者の関係の成就を確かめ合わなければならないのだ。
「やっぱり、なんともいえない気分でしたね。自分で言い出したこととはいえ、妻が目のまえで弟を相手に、そういう行為に熱中してしまうわけですから」
熱中してしまったのですか?といういささかぶしつけな記者の問いに、華代さんは恥じらいながらも「はい」と、はっきりこたえてくれた。

兄嫁の貞操をゲットするという幸運に恵まれた靖幸さんは、
「やっぱりドキドキでしたよ。相手は兄貴のお嫁さんですからね。でも、いちど抱いちゃうとあとはもう、欲望の渦で・・・」
と笑う。
組んずほぐれつするうち男と女として打ち解けあってしまった二人に、もう怖いものはなかった。
華代さんは夫以外の男性を初めて識ってしまったその場で、ほかの吸血鬼たちの輪姦も進んで受け入れ、一夜にして娼婦となり果ててしまったという。

輪姦のメンバーの中には、華代さんを見初めて靖幸さんの兄の血を吸った地元の吸血鬼も含まれていた。
「しつこかったんで、すぐわかりました」と、華代さんは苦笑する。
もともとは、華代さんにご執心だったのは靖幸さんの幼なじみのほうなので、靖幸さんはむしろふたりの媒介役を買って出たまでだったのが、いつか義姉・義弟間の熱愛に変わっていたのだ。
もとより兄弟同然に育ち、自分の血を昔から吸っていた幼なじみのことだったから、かち得たばかりの兄嫁の貞操をすすんで分かち合ったのは言うまでもない。
「たぶんぼくが嫁をもらうときにも、彼に堕としてもらうつもりでいます。彼とはほんとうに、近しい関係でいたいので」
兄嫁を共有する悪友を思う靖幸さんの笑顔に、屈託はない。
もともと華代さんが堕ちた原因を作った幼なじみ氏もまた、この都会育ちの若妻のお相手の一人として、同家に迎えられている。

めでたく?結ばれた妻と弟を、先に帰宅した夫の定幸さんは寛大に迎えた。
「二人が帰って来た時、どんなふうに声をかけようかと、ちょっと悩みました」定幸さんは当時のことを思い出して、まるでその時に戻ったかのような困り笑いを泛べる。
「でも、案ずるより生むがやすしでした。妻は帰りに商店街に寄り道をして、バーゲンセールでたくさん買い物をして戻ってきたのです。弟は体よく荷物持ちをやらされて・・・かなりハードな体験だったはずなのに、帰宅したときにはもう、すっかり主婦の顔に戻っていました。女は強いですね」
定幸さんは「身内同士なんだし、仲良くしてもらってかまわないから」と二人の交際を認め、
自身が在宅していない時には弟との情交を自由に許しているという。
「喉が渇いた、血が欲しい――といわれると、どうしても譲らないわけにはいかないですよね?兄弟ですから」
淡々と笑う定幸さんに、どす黒い憎悪や嫉妬の影はない。
嫁を堕とされる歓びに、夫として目ざめてしまった――と語るときにみせた、はにかむような微笑が印象的だった。
身内に吸血鬼を抱えた一家が道徳観の喪失と引き替えに得た、ひとつの正解と言えるかもしれない。

吸血鬼の棲む街☆コミュニティ情報 ~夫人の生き血を吸わせた学校教諭

2017年03月21日(Tue) 00:04:21

公立中学校の教諭を勤める永村和生さん(48、仮名)は、市が吸血鬼の受入れ政策を打ち出した当初から、吸血鬼の校内受入れに積極的に対応してきた。
「率先垂範」を教育のモットーとする永村さんはその手始めとして、夫人の和代さん(46、同)を親しくなった吸血鬼のA氏に紹介、
永年連れ添った妻の生き血を惜しげもなく吸い取らせてしまっている。
「いきなりの求愛でびっくりしました」
と、今では笑顔で語る和代さんも、襲われた最初は「恐怖の渦」だったと回想する。
まだ三十代だったころの若い血をゴクゴクと呑み込まれた浅ましい音は、いまでも鼓膜に残っているという。
「きっと喉渇いていたんだなあ・・・って思ったときにはもう、レ〇プされたあとでした。ことのついでに、そういうこともするんですよね。仲良くなりたい一心でそうしたって言われましたが、単にエッチなことなさりたかっただけだと思っているんですよ」
告白される体験の生々しさとは裏腹に、和代さんの口調はなめらかで軽い。
「考えてみたら、あと一週間で四十歳というタイミングでした。少しでも若いうちに、主人はあのひとに私の血を吸わせたかったんだと思います」
さいしょはかたくなだった和代さんも、その場で男女の関係を結んだ相手にほだされるままに交際を継続、いまでは夫も認めるステディな関係に。
「主人とあの方と、お互いが尊重し合っていることが長い良いおつきあいにつながった」と、夫人は語る。

永村さん自身は、夫人の貞操と引き替えに「永年の夢だった」という半吸血鬼になっている。
半吸血鬼とは、吸血鬼に血を吸われることで吸血鬼同様の嗜血癖を身に着けてしまった人のこと。
多くは、夫婦ともに吸血された夫のほうが罹患し、半吸血鬼となる。
吸血鬼となる以前と変わりのない日常を継続するので、はた目にはそれとわからないという特徴がある。
妻の生き血を目あてに自宅に侵入してくる訪客とも、仲良く獲物を分け合う習性をもつといわれている。
「うちの場合は、まったくそうですね。昼はあの方、夜は夫・・・両方かけもちで相手をするので、よく貧血になるんですよ」
和代さんは笑って語る。
「本人は血を吸い尽されて半吸血鬼、妻も血を吸われて犯されて・・・って、一方的にやられ放題なんですけどね」と、永村さんは笑う。
その満ち足りた笑いからは、言葉通りの「一方的」な受難ではなかったことが窺われる。

「私は半吸血鬼ですから、死んだりお弔いをしたりというおおげさな手続きを踏まないで、人間を卒業しました。戸籍も職業もありますから、日常生活も、まったくいままでどおりです。でも、いままでと違うのは、世間体を気にしたりしないで気になった教え娘を誘惑していることですかね」と笑う。

父兄の評判も、上々である。
在学中に娘を襲われたという父兄のひとりは、
「面倒見のよい先生。性教育のほうも面倒見られてしまったけれど、娘を疵(きず)ものにされたといって文句を言いたいとは思わない」
と明かす。
「この街に棲んでいる限り、いつかは吸血鬼に襲われます。むしろ担任の先生など身近な大人に上手に引き入れてもらったほうが、親としては安心なんですよ」
そんな永村さんがもっとも好む血は、今でもやはり妻の和代さんのものだという。
「吸血鬼になり替わって、べつの愛し方を見つけることができました」
晴れ晴れと笑うご夫婦を見ていると、吸血鬼に襲われることが必ずしも悲劇につながるとは限らないことを実感させられる。

「りくつ子」。

2017年03月08日(Wed) 07:16:29

りく子という名前を「りくつ子」と陰口たたかれるほど、その子は理屈っぽい子だった。
万年学級委員の優等生。
どこのクラスにも、必ず一人はいる女子生徒。
グレーのブレザーの制服が、ほかの子の着ている制服とはべつの生地でできているのかと思うくらい、
そのたたずまいはいつもモッサリとしていて、齢不相応な分別くささを漂わせていた。
黒ぶちメガネの奥の瞳は深い輝きを秘めていて、
左右にくっきりとわけたおさげの黒髪は、年ごろの少女らしいつややかな輝きを帯びていたけれど、
そんなことすら、周囲のものの目には留まらなかった。

学校が吸血鬼に占領されて、クラスの女子が1人ずつ、咬まれていったときも。
りく子の番は、なかなか回ってこなかった。
そのりく子に目を留めたのは、吸血鬼のなかでも頭だった、50年配の男。
りく子の両親よりも年上だった。
担任の女教師はもちろん、校長夫人さえモノにしたとうわさされた彼は、
放課後そそくさと下校しようとした彼女を、あえて教室に引き留めていた。
授業の終わったあとの教室は毎日、血を吸い取られる女子生徒のうめき声に満たされていて、
さながら吸血鬼のためのハーレムと化していた。
そんな光景を、堅物のりく子が目にしたがらないのも、当然といえば当然のなり行きだったが、
男はそんなりく子のわがままを、決して許そうとはしなかった。

クラスメイトたちが教室の床に組み敷かれて、
制服のスカートのすそを乱しながら首すじを咬まれてゆく光景に、
決して視線を向けまいとかたくなに目を背けながら、
彼女もまた、白い首すじを咬まれていった。

りく子が「りくつ子」なのは、じつは照れ隠しだったのだと、クラスのみんなが知ったのは、その日以後のことだった。

休みの日に出かける時さえ制服を着ているという彼女は、
週末になると咬まれる以前と同じように制服姿で外出をして――行き先はいつもの図書館や美術館ではなくて、男の邸だった。
男が制服姿の少女を好むと知って、やはり外出は制服で通した彼女。
分別くさいしかめ面をかたくなに崩そうとはせずに、
「あたしのは慈善事業だから」
そういってはばからなかったという。

しかめ面のまま、男の邸を訪れ、
吸血行為が終わると礼儀正しく一礼して、来た時のまんまのしかめ面で黙々と辞去していく彼女。
そんなかたくなな態度を咎めもせずに、男は三日にいちどはりく子を呼び寄せたし、
りく子も唯々諾々と、呼び出しに応じていった。

結婚前に男に肌身を許すなど、想像さえしたことのなかった彼女が、
なぜかクラスでの処女喪失第一号の栄誉に輝いたとき、みんながびっくりしたけれど。
自分の秘密がクラスじゅうに知れ渡ったと気配で察した彼女はやはり、言い放っていた。
「だって、慈善事業だから」

共感。

2017年03月08日(Wed) 06:27:25

ハイソックスを履いたぼくの脚をギュッと床に抑えつけて、
カツヤくんはぼくのふくらはぎを咬んでいた。
きつくつねられたみたいな痛みを帯びて、
カツヤくんの唇が、ぼくの血を吸いあげてゆく。
真新しい紺のハイソックスは、ぼくの血潮で生温かく染まっていった。

眩暈を感じても。
頭痛を訴えても。
カツヤくんはぼくの脚を放してくれようとはしなかった。
そのうち意識が遠くなって、ウットリしてきても。
それでもカツヤくんはぼくの脚に執着しつづけた。
ぼく、死んじゃうの?
放った質問の意味と、われながらシンとしたその言葉の響きとに、
ぼくは内心どきりとして、そしてなぜだかわくわくしていた。

なん度呼びかけても応えてくれないカツヤくんに、なん度めか。
われ知らず、ちがう質問を放っていた。
――ぼくの血が、おいしいの?
カツヤくんは初めて顔をあげ、口を開いた。
――ウン、おいしいね。
しんそこ嬉し気な声だった。
カツヤくんは口許に、ぼくから吸い取った血潮を、べっとりと光らせている。
ふだんだったら卒倒しそうなその光景をみて、ぼくは思わずつぶやいていた。
――きみの頬っぺたには、ぼくの血が似合うんだね。
カツヤくんはぼくに向けて、初めて笑いかけてきた。
――気に入ってくれて、よかった。
あり得ないやり取りを口にしながら、ぼくはなぜか満ち足りていた。
カツヤくんもとっても、満足そうだった。

きみのパパの血は、僕のママが。
きみのママの血は、僕のパパが。
いまごろたっぷりと、吸い取っているさ。
きっとそれぞれ、仲良くなって。
いまごろは、打ち解けた関係になっているはず。
そう――家族ぐるみで仲良くなるって、そういうことさ。
この街で暮らしていくにはそのほうが、居心地よく暮らせるんだから。
カツヤくんの言いぐさは、まだ子供だったぼくには、意味が半分しかわかっていなかったけれど。
そう・・・って、ごくしぜんに相づちを打ってしまっていた。

これから泊りがけで、都会に行ってくる。
先月まできみの住んでた、あの街に行って、
きみの彼女のこずえさんの血を吸ってくる。
どう?うらやましいだろ?
きみはまだだけど、ぼくは彼女の血が吸えるんだぜ。
きっと――なにも知らないこずえさんは、見ず知らずのカツヤくんに征服されてしまうのだ。
彼女を征服される。
そんなおぞましいはずの想像に、なぜかぼくはふたたび、胸をワクワク昂らせてしまっていた。
こずえさんのうら若い、温かな血潮が、いまのぼくと同じみたいに、カツヤくんに吸い取られてしまう。
カツヤくんのことをうらやましと思えるのは、なぜ?
血を吸ったこともないぼくが、自分自身がこずえさんの血を味わったような気分になっているのは、なぜ?
その問いに対する答えが与えられるのには、すこしだけ時間がかかった。

おはよう。
ぼくの家の玄関のまえ、いっしょに都会に住んでいた時と全く同じように、
こずえさんは制服の肩先に三つ編みおさげの黒髪を揺らして、いっしょに学校に行こうと声をかけてくる。
幼い頃から仲の良かった、こずえさん。
将来はいっしょに結婚するんだと、ごくしぜんにそう思い込んでいた。
それが、父さんの借金のおかげで、住み慣れた街を夜逃げどうぜんに出ていくはめになって、
お別れも言えない永遠の訣(わか)れに、ぼくは胸を暗く閉ざしていたものだ。
それなのに。
都会の制服からこの街の女学校の制服に衣替えしたこずえさんは、いまぼくの前にいる。
顔色をちょっとだけ蒼ざめさせてはいたけれど。
イタズラっぽく覗かせる白い歯の輝きは、ひと月まえまで見慣れていたそのままだった。

ぼくはカツヤくんに、週1回血を吸われる。
こずえさんもカツヤくんに、週1回血を吸われる。
カツヤくんはこずえさんの血を欲しがるときにはいつも、ぼくにエスコートを頼むことになっていた。
ママがカツヤくんのお父さんに呼び出されるときと、同じように。
ぼくはカツヤくんの家の閉ざされた玄関のドアのまえ、1時間ほども待ちぼうけを食わされて、
彼女が咬まれる光景を想像しながら、じりじりとした刻を過ごす。
そのじりじりが、なぜか愉しくて。
こずえさんが吸われる木曜日が、ひどく楽しみになっていた。

「ヘンなひと」
こずえさんはぼくの態度にちょっぴりあきれながらも、イタズラっぽく輝く白い歯を、隠そうとはしない。
咬まれた後の白いハイソックスに撥ねた血を街じゅうに見せびらかしながら、
ぼくにエスコートされて、古びた商店街をおっとり歩くのが、いつか彼女の習慣になっている。
きょうもこずえさんは、濃紺のプリーツスカートの下、
真新しい真っ白なハイソックスのふくらはぎを、初々しく輝かしている。
ぼくはぼくで、彼女と同じ色のの半ズボンの下、濃紺のハイソックスのリブをツヤツヤとさせて、彼女の前に立つ。
こずえさんがぼくにナイショで、ひとりきりでカツヤくんのおうちにお邪魔して、
ふたりきりで逢っているのは、お互い口にしないことにしている公然の秘密――
でもぼくは、なかば血のなくなりかけた身体じゅうに、淫らに走り抜ける快感のなかで。
カツヤくんがこずえさんの血を吸い取ることにたいする共感を、なんら違和感なく受け止めてしまっている。
――将来はきみも、こずえさんの血を吸える身体にしてあげる。
もしかしたら空手形かもしれないそんな彼のささやきに、
ぼくはウンウンと嬉しそうに、うなずき返してしまっていた。