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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

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吸血鬼になったお兄ちゃん

2017年12月07日(Thu) 07:32:58

豊畑数雄は吸血鬼に襲われて、生き血を吸われ、犯された。
男子でも犯されることってあるんだと、数雄は初めて身をもって知った。
けれども結局彼は、自分を犯した男に、19歳の生き血を一滴余さず、気前よく、吸い取らせてしまっていた。
ボクって気前がいいんだな・・・
そんなふうに思えたのは、自分の生き血と引き替えに、数雄自身も吸血鬼になってしまったからだった。
彼の身体はそのまま自宅の勉強部屋に安置されて、ひつぎのなかに置かれた。
「かわいそうなお兄ちゃん。お供えに、あたしの制服着せてあげるね」
数雄の女装癖を知っていた妹の真衣が、自分の制服を着せてくれたのが、むしょうに嬉しかった。
真衣の制服は紺のブレザーの制服だった。
ごく普通の、普通すぎるくらい普通の制服を、真衣は「ダサダサの制服」だといって気に入っていなかったけれど、
お兄ちゃんが隠れて麻衣の制服を着て愉しんでいるのに気づいてからは、自分の制服をちょっとだけ見直す気持ちになっていた。
真衣は母さんに頼んで、制服をもう一着作ってもらった。
いままで着ていた制服をお兄ちゃんにあげちゃった麻衣には、
もう一着、自分が学校に着ていく制服が必要だったから。
けれども麻衣はやがて、三着目の制服が要りようになった。
若い女の子の生き血を欲しがるお兄ちゃんのために着てあげる制服を。
はた目には、おなじ制服を着た女の子同士が抱き合って、片方がもう一方の生き血を吸っているようにしか見えなかった。
華奢な身体つきのお兄ちゃんはそれくらい、真衣の制服になじんでいた。
そして血を分けた実の妹である真衣の血は、カラカラに干からびたお兄ちゃんの喉に、とてもしっくりとなじんでいった。

娘の血を吸い尽させるわけにはいかないと、お母さんはときどき、息子のために吸血を受け容れるようになった。
自分の生き血を吸わせるときに、数雄はお母さんに、いつもPTAの会合に着ていくよそ行きの黒のスーツを着てほしいとおねだりをした。
お母さんは息子にねだられるままに、よそ行きのスーツを着て、息子の相手をした。
吸血鬼が既婚の女性の血を吸うときに、ことのついでに犯してしまうという習性を、お母さんは自分の身体で識るはめになった。
息子想いのお母さんは、それでも献血を止そうとはしなかった。
気丈にもお父さんにすべてを話し、そのうえで息子の相手をつづけて、
懸命にも理性を保ちながら、40代の人妻の生き血を、過不足なく息子に与えた。
遠い日に自分の母乳で子供たちを育てたときのように――

母娘ふたりの血では、数雄一人を養うには足りなかった。
足りない分は、数雄が自分で調達することになった。
彼は真衣の制服姿で夜な夜な自宅をさ迷い出て、声をかけてくる男や、同じ制服を着た女子を、片っ端から襲っていった。
そのうちに。
麻衣の学校の女子生徒の間で、「吸血クラブ」という同好会が生まれた。
会員は、真衣を筆頭に、真衣のクラスメイトやお兄ちゃんが襲った女子生徒が、全部で8人いた。
彼女たちは2人ずつ交代で夜道を歩き、同じ制服を着た麻衣のお兄ちゃんと待ち合わせて、
真っ白なブラウスの襟首を真紅に濡らしながら、生き血を吸われた。
ハイソックスを履いた脚を咬みたがる数雄のために、だれもが学校に履いて行く白のハイソックスを脚に通して、
連れ込まれた公園でスカートをたくし上げて、ハイソックスの脚を見せびらかして、
真っ白なハイソックスが真っ赤になるまで、愉しませてあげるていた。
親たちは娘の異変に気づきながらも、見て見ぬふりをしていた。
すでに街じゅうに、同じような目に遭う若い男女が増え始めていたから、
自分の娘が吸血されるということが、ごくありふれたことになっていた。
血を吸われた若者たちのお母さんたちもまた、数多く餌食になっていた。
首すじに、息子や娘たちと同じ赤黒い痣を浮かべたお母さんたちは、
娘の血を吸いたがる吸血鬼を自宅に手引きしていたし、
女のこの服を着て真夜中の街を歩きたがる息子たちのために、娘や自分の服を着せてやり、メイクまでしてやるようになっていた。
理性を毒された夫たちは、妻たちが吸血鬼に襲われるのを、見て見ぬふりをしていたし、
誘惑に屈した妻たちは、自分を襲った吸血鬼に熱をあげていた。
夜ごとにひっそりと自宅を抜け出して愛人との逢引きを愉しんだり、
夜ごとに訪う黒い影を自宅に引き入れては、不倫の恋に耽るのだった。

「吸血クラブ」の面々は、クラスメイトの真衣がお兄ちゃんに吸血されていく、近親相姦みたいなシーンを興味津々でのぞき見しながらワクワク、ドキドキしていたし、
男子のなかには自分も吸血鬼になって、気になってる女子の血を吸いたいと願うものまで現れた。
数雄の親友の珠樹も、そのひとりだった。
数雄は珠樹の妹の血を、日常的に吸っていた。
妹同士が、クラスメイトだったから、真衣が真っ先に自宅に招いて、お兄ちゃんに襲わせたのだ。
妹が親友の餌食になるという自分の立場を、珠樹は昂奮をもって受け容れた。
けれどもそのうちに、自分自身も、妹といっしょに兄妹ながら、親友の餌食になりたいと願うようになった。
彼は数雄を自宅に招び寄せて、数雄が吸血鬼化したときと同じように、全裸にハイソックスだけを履いた姿で、数雄に首すじを吸わせた。
年ごろの青年ふたりは、お互い肌を合わせるうちに昂奮を感じ合って、
珠樹は数雄に犯されていた。
珠樹のお母さんは、その様子を物陰から、ドキドキしながら見守っていた。
そして、数雄が珠樹のことを首尾よく吸血鬼にしてしまうと、
血に飢えた息子とその親友にわが身までも襲わせて、自分自身の血を与えるのだった。
「自分も吸血鬼になりたい」と息子に相談されたとき、彼女は息子のために真っ先に餌食になろうと決意していた。
子ども達が吸われたのと同じように、自分も血を吸い取られながら、
「珠樹くんや裕子ちゃんと味が似てるね」って囁く数雄の言いぐさに、ウットリと肯きかえしていた。
愛息の吸血鬼化を祝うため、実の息子とその親友であるふたりの青年にかわるがわる犯されて、
心優しい母親は、ふたりの若い吸血鬼を祝ってやった。

それ以来。
夜な夜な街をさまよう制服姿が、2人になった。
地域の公立中学の女子の制服に身を包んだふたりは、学校帰りや塾帰りの女子生徒を襲って、
首すじを咬んではブラウスの襟首を真っ赤に汚し、
ふくらはぎを咬んでは真っ白なハイソックスを赤黒いまだら模様に染めあげていった。
けれども彼女たちは白のハイソックスを履くことをやめないで、
手近な公園や道ばたで襲われた後、靴下を濡らしたまま家路についた。

きょうもウキウキとして、女子生徒たちは白のハイソックスを履いて、夜の街へと出かけてゆく。
「帰り道に気をつけてね」
そういって娘を気づかう母親たちもまた、首すじに赤黒い痣を浮かべて、
色とりどりのストッキングには、派手に破けた痕を、スカートの奥まで忍び込ませてしまっている。


※この物語はフィクションであり、登場する人物・団体等はすべて架空のものです。

「ひとの女房を〇しやがって!」

2017年12月03日(Sun) 09:05:06

飲み友だちの吸血鬼が、俺の妻を襲った。
やつは襲った獲物の生き血を吸い尽さない代わり、
自分の餌食になった女が気に入ったら犯していく習性をもっていた。
幸か不幸か、やつは妻のことを気に入ってしまった。
妻の生き血を吸い取ったあと、欲望のままにしたたかに犯して、たちまち飼い慣らしてしまっていた。

やつが妻を襲って犯したあと、いっしょに飲んだ時、俺は思わず毒づいた。
「人の女房を犯しやがって!」
「すまんすまん」
やつは頭を掻き掻き素直に詫びて、憎めないテレ笑いを泛べて、
おかげで俺の怒りの矛先はあらぬ方へとつんのめって、行くあてをなくしてしまった。
いつものテなのだとわかっていながら、俺はちょっと毒づくだけで、やつのことを勘弁してしまっていた。
「けどお前の奥さん、いい女だったな」
やつがふと洩らしたひと言が、なぜか俺の胸をずきん!衝いて、
秘めていたマゾの血を沸き立たせてしまった。

やつと妻とはしばらくの間好い仲で、
時折俺の目を盗んではラブホテルにしけ込んで、吸血プレイを楽しんでいた。
たまには俺の留守中家にあがり込んで、したたかに吸血して、したたかに犯して、夫婦のベッドを汚していった。
そんなことを逐一知ってしまったのは、やつが俺にはわりと忠実で、妻との逢瀬を遂げるとちゃんと報告してくれるからだった。
もちろん――いつだか恵んでやった俺の血の味から、マゾの気配を察してのことに違いなかった。

やつと妻との仲は、近所でも評判になるほどだった。
けれどもやつのことだから、きっと妻にはすぐに飽きてしまって、
妻は捨てられてしまうだろうと、俺はたかをくくった。
案の定、やつはひと月と立たないうちにべつの女とつるみはじめて、妻とは疎遠になった。
そのあとやつといっしょに飲んだ時、俺は思わず毒づいた  
「人の女房を捨てやがって!」
「どっちがいいのだ?」
やつは困惑しながら、俺に訊いた。
知るもんか・・・とそっぽを向きながら、俺はそれでも妻が寂しがっていると教えてやっていた。

寂しがりな妻は、いちど男を識ってしまうともうとめどがなくなって、
こんどはべつの男とつるんでいた。
相手の男は真人間で、俺とは違ってエリートのサラリーマンだった。
悪いやつでは決してなかったけれど、俺はやつにかたき討ちを頼んでいた。
やつは妻の浮気相手の奥さんに手を出して、したたかに血を吸い取っていた。
それなりに気に入りもしたらしくって、ことのついでに犯していった。
「女房の浮気相手の奥さんまで犯しやがって!」
とは、さすがの俺も言わなかった。

妻が間男と浮気をしているあいだ、やつは間男の奥さんのところに入り浸って、
妻のときと同じように、飼い慣らしてしまった。
「なんだか食物連鎖みたいだな・・・」
俺がそんなふうに愚痴ると、やつは面白そうにふふふと笑った。
妻が間男に誘惑されて、その間男の妻がやつに生き血を吸われてゆく――
もちろん最下位は、俺の占める場所だった。
そのことがひどく俺のプライドを傷つけて、なおかつ俺のマゾ気質に火をつけていた。

幸か不幸か、夜のベッドで俺が独り寝することはめったになかった。
だってふたりとも、妻といちゃいちゃしているところを、やたら俺に見せたがるやつらだったから。
妻もまた、退屈することはなかった。
吸血鬼、人間の間男、俺と、三人の男の相手をしていたから。
間男のエリート・サラリーマンは、自分の妻が吸血鬼に犯されていると知って、
ひどく心配をして、ついでに嫉妬までして
――自分が人の妻を抱くのはよくて、自分の妻が他人に抱かれるのは良くないというのだから、勝手なものだ――
やつと仲が良いからという理由で、ひともあろうに俺を相談相手に指定してきた。
俺はお人好しにも、やつの相談相手になってやった。
「どうせなら、愉しんじゃえばいいじゃないか」
間男氏はびっくりして、俺を真顔で見つめた。
恥かしいことを口にした後顔をまともに見られるのは、けっこうキツいものだと、ちょっとだけ後悔したけれど。
やつは「そんなものなのかな」といって、お代を二人分払って居酒屋を後にした。
目のまえの男が、妻を自分に寝取られているとも知らないで(実はよく知っているのだが)、真顔で相談に乗ってくれたことに対する、きっと罪ほろぼしだったのだろう。

数日後。
間男氏は晴れ晴れとした顔をして、ふたたび俺の前に現れた。
「あんたの言うとおりだったよ。嫁を犯されるところを視るのって案外、感じるものなんだな」
自分が犯した女の亭主と飲むというサディスティックなことに歓びを感じる男が、
妻を目のまえで犯される光景に絶句する歓びに目ざめた瞬間だった。

ご機嫌で俺と別れた間男氏は、またもお代を二人分払ってくれた。
まったく、エリートってやつは、羽振りがよくって妬ましい。
ところがこの話に間男氏の話さなかった尾ひれがあることを、後日やつから聞いて知った。
やつと意気投合した間男氏は、目の前で自分の妻を抱いてもらい、
うっとりとなった自分の妻に、こんどは己自身がのしかかっていったという――
吸血鬼にすっかりたらし込まれていた間男氏の奥さんはなかなかの賢夫人でもあって、
夫と情夫とを同時に満足させるためとても熱心に振る舞ったという。
尾ひれはまだまだ、続いていた。
昂奮冷めやらぬ間男氏は、自分の奥さんが気絶するまで、
熟れた人妻の生き血を気前よくやつに寄付した後で、
俺のいないわが家に押しかけてきて、二人で妻のことまで輪姦していったというのだ。
「人の女房をまわしやがって!」
とは、さすがの俺も言わなかった。
そのときにはもう、極彩色に彩られた淫らな妄想が、俺の頭のなかを駆けめぐってたのだから――
妄想のなか
妻は吸血鬼の好みに合わせ、見慣れたよそ行きのスーツを着込んだまま、
ふたりの男相手に組んづほぐれつの凌辱プレイに、心ゆくまで耽り抜いていた――

優しい伯母。

2017年11月27日(Mon) 07:36:56

高級住宅街の瀟洒なたたずまいの一角から、優雅なピアノの音色が漂ってくる。
「奥村敏恵 ピアノ教室」
そんな古びた看板が生垣に埋もれかけたお邸からは、かなり流ちょうな旋律が踊るように流れてくる。
その流れが、ふと途切れた――

「アラ、間違いよ。あなたいっつもここで、途切れるわね」
親切そうな中年のピアノ教師・奥村敏恵は、うわべだけの優しいほほ笑みを、教え子の少女の横顔に投げかける。
逃げられないように抑えつけた少女の両肩にかけた掌に、ギュッと力を込めながら。
少女の足許には、背後から近寄せられた男の唇が、もの欲しげに吸いつけられている。
白の薄地のハイソックスが、少女のひざ小僧の下までお行儀よく引き伸ばされていたけれど。
ヒルのように密着した、赤黒い唇の下。
ピンク色の脛を滲ませた白の薄地のハイソックスはむぞうさに噛み破られて、
裂け目が縦にツツッ・・・と走る。
そしてひと呼吸おいて、真新しいナイロン生地にはバラ色の血の滴りがしみ込んで、拡がっていった。
息をのんだまま硬直した少女の凍りついた顔つきを、敏恵は小気味よさそうに覗き込む。
「優子さん、もう少しの辛抱よ。
 あなたの若い血で、うちの甥っ子をもう少しだけ、愉しませてあげて」
気品のある白い頬に意地悪い笑みを泛べて、ピアノ教師は教え子に、うわべだけのいたわりを囁きつづけた。

男は少女の椅子の下、這いつくばった姿勢のまま、
喉をゴクゴクと鳴らしながら、うら若い乙女の血潮に酔い痴れている。
若いピチピチとした活力を、痩せこけた身体いっぱいに行き渡らせようとして。

白い顔になってソファに横たわる少女を、ピアノ教師は無同情に見おろした後。
「30分もすれば回復するわ」
と言い捨てて、
「由佳さん、よろしいですよ」
と、つぎの教え子の名前を呼んだ。
「あなたはあっちにいらして、この子の相手をなさい」
甥っ子にそう言い捨てると、気絶した教え子にはもう関心がないといわんばかりに、ふたりに背を向けている。

ふすま一枚へだてた向こう側。
ズズッ・・・じゅるじゅるっ。
不気味な音が洩れてくるのを、つぎの少女はことさらに無視してピアノの前に座った。
若い女の生き血を啜る音だと気づいていないわけはないはずなのに、
ブゾーニの何番をお願いします、と、お行儀よく頭を下げて、セミロングの黒髪を揺らせる。
「じゃあいつものところから」
ピアノ教師はうわべだけの優雅な笑みを湛えながら、少女の指先に奏でるようにと促していく。
ピアノ教室に出入りする少女たちは、いずれも良家の子女である。
こういう場にくるときには例外なく良い服を着て、先生に教えを請いに訪れる。
由佳と呼ばれた少女もまた、淡いピンクのワンピースの下、齢不相応にストッキングを脚に通していた。
仲の良いお友だちの優子ちゃんのつぎの獲物は自分なのだと、自覚し過ぎるほど自覚していたし、
せっかく穿いて来た大人っぽい肌色のストッキングも、
レッスンの後で見る影もなく咬み破られてしまうとわかっていながら、
心の動揺を覚られてしまうのは恥だといわんばかりに、ことさらもの静かに、優雅なメヌエットを奏でてゆく。


「ショウジさん、よかったわね。皆さん優しくて・・・
 お嬢さんたちはだれも、あなたのこと嫌がったりしなかったじゃないの。
 あなた、もっと自信持ちなさいよ。
 それから早く、あの子たちのなかから、お嫁さんを選んでね」
教え子たちが順ぐりに咬まれて、破れた靴下を穿き替えて帰宅していったあと。
敏恵は血色を取り戻した甥っ子の横顔を、優しいまなざしで見つめる。
さっきまでのうわべだけの笑みとは裏腹な、いたわりに満ちたまなざしだった。
甥っ子には甘く、どこまでも親切な伯母だったのだ。

甥のショウジに初めて襲われたときには、びっくりして取り乱してしまった。
そのままじゅうたんの上に押し倒されて、ショーツを引きずりおろされたときには、まさかと思った。
この齢になったのに、敏恵がセックスを識ったのは初めてだったのだ。

吸血鬼になった息子を姉の家に差し向けた妹は、あとからすべてを告げた。
妹の一家は家族全員が吸血鬼に襲われて、甥のショウジが吸血鬼になったということを。
後出しは卑怯だわ。
したたかな妹に、姉は冷ややかにそういった。
首すじに咬み痕をつけられた後であっても、そういうところまでは崩れ果てないらしい。
姉と同じ痕をつけられた後、すべてを崩れ果てさせてしまった妹は、
姉の気丈さとひさびさに向かい合って、さすがだと素直に思った。
「わかったわ。うちの教室に若いお嬢さんが大勢出入りしているから、私にあの子を預けるというのね?」
皆まで言わせず、露骨に言い切った姉に、妹は綺麗な女の冷酷さを見る思いだった。

それ以来。
独り住まいのピアノ教師の邸に居候を決め込んだ甥っ子は、若い好奇心のまま、
伯母の教え子たちを襲いつづけた。

同性には冷酷なこの女はしかし、甥っ子にはどこまでも優しかった。
血を欲しがって呻きをこらえる甥っ子のまえ、優雅に装ったドレス姿を見せびらかして、
すすんで押し倒されていって、股間も首すじも、ためらいもなく愉しませてやった。
女性が脚にまとう丈の長い靴下に執着するショウジの嗜好を、
「いけない子ねぇ」と優しく咎めただけで、
ストッキングで上品に装った足許を、ロングスカートをたくし上げて惜しげもなくさらけ出すと、
狂おしい本能のおもむくままに、荒々しくむしり取らせてしまっていた。
さいしょは伯母のもとに出入りする教え子たちのことを、恐る恐るのぞき見するだけだった甥っ子の好みを、優しい伯母は懇切に聞き取ってやり、
甥っ子が手を出してもよさそうな娘を択んでは、レッスン後に二人で逢わせてやるようになった。
――あなた、吸血鬼に襲われてみない?
先生にそんな誘いを受けて戸惑う教え子たちをあるときはなだめすかして、あるときは高飛車に抑えつけて、
レッスン室の隣のお座敷に送り込まれた教え子たちは、
ひとり、またひとりと、甥っ子の毒牙にかかっていった。
それが近所の評判にならなかったのは、少女たちが口が堅かったのと、
たまたま知ってしまった親たちも外聞を憚って見て見ぬふりをし、
自分の娘が吸血に狎れてしまったことに薄々気づきながらも、
ピアノのレッスンを続けたいというまな娘の願いを叶えつづけた結果だった。

良家の子女のなかには、すでに男を識ってしまった娘も、当然のようにいた。
そうした娘たちには、敏恵は容赦がなかった。
「お行儀の悪い子は、犯してもいいのよ。遠慮なくおやりなさい」
敏恵の言いぐさはひどくそっけなかったけれど、甥っ子への歪んだ愛情に満ちあふれていた。
伯母の冷ややかに澄んだ声が突き放したような言いぐさを口にするのを、
ショウジはくすぐったそうに受け流しながら、
小ぎれいなお洋服に着飾った伯母の教え子を組み伏せて、荒々しくスカートをたくし上げてゆく。
鋭利な牙を秘めた唇を柔らかな首すじにあてがうと、
どんなに気の強い少女も例外なく怯えた視線をさ迷わせながら、従順になっていった。
生き血を吸い取られてゆくあいだ。
ハイソックスの脚がじたばたと暴れ、
切なげに足摺りをくり返し、
やがて力を失ってぐったりと横たわる。
けれどもショウジの黒ずみ痩せこけた腰がスカートの奥に肉薄し、深く沈み込んでくると、
ふたたび身じろぎを始め、淫らな躍動をはじけさせてゆく――
敏恵はワイングラスを片手に弄びながら、
そんな恥知らずな教え子たちが甥っ子に組み伏せられて、
嫁入り前の娘としての名誉を奪われてゆくのを、
小気味よさそうに眺めていた。


「ありがとうございました」
丹生加奈子はお行儀よく両ひざの上で手を重ねて、レッスン後のあいさつを終えた。
ロングの黒髪を揺らしてお辞儀をする少女に、敏恵は、
「あちらにいらっしゃい。甥っ子があなたのことを待ちかねていますよ」
と、少女を促した。
加奈子はちょっとだけ羞ずかしそうな笑みを色白な童顔によぎらせると、
「ではちょっとだけ、お邪魔していきますね」
と、白い歯をみせた。そしてピアノの前から起ちあがりかけて、
「きょうのレッスンは、私が最後ですよね?」
と、忘れずに確かめていた。

「白のカーディガン、汚れが目立たないかしら」
首すじを咬まれたあとの血のほとびを気づかわれたと知りながら、少女は笑みを絶やさない。
「だいじょうぶ。彼、優しくしてくれますから」
加奈子が白い服を着てくるときには、血が撥ねないようにソフトに咬んでくれるのだという。
「きっときょうは、優しく咬まれたい気分なのね」
心優しい伯母は、甥っ子の相手をためらいなくつとめてくれる少女のことを、そう判断した。
リビングのドアが開いて、ショウジが顔を出した。
「やあ」
おおぜいの女の子を組み敷いて来た彼には珍しく、よそよそしいはにかみを泛べているのを、伯母はほほ笑ましく見守る。
つぎの教え子が控えているときには、
イスの下にもぐり込んでハイソックスのふくらはぎをひと咬みするだけで、
レッスンを終えた少女をすぐに連れ出してしまうショウジが、
加奈子がいちばんさいごにレッスンに訪れるときだけは、レッスン室に長居をするのだ。
加奈子もショウジの抱いている好意を、それとなくわきまえているらしい。
「おニューのタイツ履いて来たの。楽しんでね」
笑くぼを滲ませて人懐こく笑うと、こげ茶のスカートのすそを抑えながら、
「失礼」と先生にひと声かけて、じゅうたんの上に身を横たえていく。
真新しい黒タイツに包まれた発育のよいふくらはぎが、しなやかなナイロン生地ごしにピチピチとした生気を滲ませていた。
ウウ・・・
吸血鬼としての本能を目覚めさせてしまったらしい甥っ子が、
少女の足許に性急に唇を圧しつけてゆくのを、
心優しい伯母は「あらまあ、ホホホ・・・」と、嬉し気に見つめていた。

少女が純潔を喪ったのは、それから小一時間ほど経ってからのことだった。

濃い紫のドレスに身を包んだ伯母は、最愛の甥っ子が自分の教え子を女にしてゆくのを、そむけた背中越しに感じつづけていた。

相手の女がすでにセックスを識っているとき、甥っ子は必ず彼女を犯した。
けれども相手が身持ちの良い少女の場合には、生き血を吸い取っても犯すことはなかった。
相手が処女でも犯してしまうとき、彼が本気なのだということを、
敏恵は自分の身体で識っていた。

加奈子さんのご家族には、ご挨拶に伺わないとね。
お母さまはおきれいな方だし、お父さまは物わかりのよい方よ。
中学にあがったばかりの、可愛い妹さんもいらっしゃるの。
あの子もきっと、ピアノを習うようになるわ。才能あるから。
あなたは特別な子なんだから、お嫁さんはなん人ももらうといいわ。
伯母はどこまでも、甥っ子に甘く優しかった。


あとがき
このお話に登場する人物・団体名は、他のお話同様架空のものです。
・・・なんて断り書きを入れるのは。
だいぶ前のことですが、たまたま同姓同名だったらしい方から「私のことを知ってるの?」と問い合わせられたのを思い出したからなのでした。

さいごに加奈子さんの妹さんを「才能あるから」と評価した伯母さまは。
妹娘のどんな才能に注目したのでしょうか?
気になるところではあります・・・

受話器 2

2017年11月27日(Mon) 06:26:29

夜が明ける。
真っ暗にしたはずのこの部屋にも、閉め切ったカーテンの向こうから、明け方の気配が洩れてきていた。
男は顔をあげ、あたりの様子を窺った。
女はとうに、気絶している。
気絶した女の傍らに、黒い受話器が転がっている。
男は吸血鬼。
魅入らせてたらし込んだ人妻を呼び寄せて、ひと晩かけて欲望を満たしつづけていた。
血を吸うだけではない。
ちゃんと女として、愛し抜いた。
夫は単身赴任のサラリーマン。
そんな手薄な身辺に近寄るのは、たやすいことだった。
やすやすと堕とした女の肢体に、夜な夜な酔い痴れる。
もちろん吸い取る血液の量は、手かげんしている。
軽い貧血が却って陶酔をそそるのか、
女は心地よげに男に身をあずけ、守り抜いてきたはずの貞操を、惜しげもなく差し出してくる。

転がった受話器を、男は手に取って、耳にあてがう。
もしもし――?
とうに切れていたと思っていた受話器の向こう側は、まだ回線がつながっていた。
ツーツーという無機質な発信音の代わり、耳元に聞こえてくるのは、男性の昂った息遣い。
切迫し切った息遣いは、女の夫のものだった。
あんた、きょうは仕事だろ?
・・・休むよ。
息遣いの主の声色は、長時間続いた緊張の果てにある疲労と愉悦に満ちていた。
家内、ぼく相手のときには、そんな声立てないんですよ・・・
満足できた?
ええ、とっても・・・

手ごめにした人妻の夫は、男にとって幸いなことに、マゾヒストだった。
そして夫自身にとっても、己の性癖は幸いしていた。
ことの真相を知った夫は協定に応じ、潔く吸血鬼の軍門に降ると、
留守宅を守る妻の肢体をよろこんで提供すると約束してくれた。
そのご褒美に。
今夜は逢瀬を遂げるというその晩に、夫のところに電話をかけて、
ことのなりゆきを面白がって笑いこけるその妻のまえ、電話をつないだままの受話器を転がしてみせた。
――今夜はあんたの愛妻の、悩ましい喘ぎ声をプレゼントしてあげる。
吸血鬼の言いぐさに、受話器の向こうでおっとりと頷く夫。
転がした受話器の揺れが止まる前に、吸血鬼は女に襲いかかっていた――

ひと晩寝ずに、奥さんの声を聞きつづけていたのか?
眠れる夜じゃ、ないからね・・・
きみは良いご主人だ。
あんたも、良い間男だ。
うふふふふふっ――男は、くすぐったそうに笑う。
軽はずみな女だが・・・これからも家内のことをよろしくな。
ああ、任せておけ。
震えを帯びた昂ぶりの声の主は、やっと自分のほうから電話を切った。
あとに残るのは、ツーツーという無機質な発信音。
男は受話器を置いて、傍らに転がる女の肢体を見おろした。
女は口許にかすかな唾液を滴らせ、整った目鼻立ちに淫らな陶酔の痕跡をありありと残している。
クククククッ・・・
男はくぐもった昏い笑いを洩らすと、われにかえって身じろぎを始めた女のうえにのしかかり、
アッと声をあげかけた唇を、自分の唇でふさぎながら。
もういちど女の背中に腕を回して、ギュッと抱きすくめていった。


あとがき
前作に触発されて、受話器をテーマにもう一話描いてみました。
昨日から、前作に触発されて次のを描き、さらにそのまた次のお話・・・と、つむいでしまいました。
たまにはこううことも、ありますよね?^^

受話器。

2017年11月26日(Sun) 08:29:25

「お義母さまにも、いい想いをさせてあげましょうよ。すこしでもお若いうちに」
妻のそんないけない囁きにそそのかされて、受話器をとったわたし――
ここは吸血鬼の棲む村。
村の衆は誰もが彼らのいうことを聞き、妻や娘さえも捧げることを、むしろ誇りとし悦びとしていた。
そんな土地だと知りながら、都会に住むことができなくなったわたしたちはこの村にやって来て、
いまではわたし自身すらが、妻が愛人をつくることに同意してしまっていた。

母をこの土地に招ぶ――
多少の罪悪感と後ろめたさを感じながら、わたしは受話器をとった。
受話器の向こうから聞こえてくる声色は落ち着いていて、
それでも熟れた美味しい血を宿した女が放つ声だと自覚してしまうのは、
この土地に慣れ親しんでしまったものの身につける忌まわしい感覚なのだろうか。
母は、紅葉の見ごろになったら父といっしょに遊びに来ると、約束してくれた――

身体が埋もれるほど積み重なった紅葉のうえで。
それまで気丈に振る舞っていた母は、
帯を解かれ襟足をはだけられ、眩しいほどの裸身を輝かせながら、
息荒く群がる男衆たちを相手に、気丈に振る舞い抜いていった――

数か月後。
母は父を連れて、この村に移り住むようになった。
うわべは渋っていた父もまた、母と村の衆との交際を認めないわけにはいかない仕儀となったらしく、
いまは潔く?妻の貞操を荒々しい抱擁と吶喊とに、譲り渡してしまっている。

握りしめた受話器の向こうから聞こえてくる、母の声は。
ひどく若やいではずんでいて、
きっとよそ行きのスーツを奥ゆかしく着込んでいるはずなのに、
そのスーツのすそを腰までまくり上げられて、
ストッキングを脛まで引きずり降ろされて、
後ろからズンズンと突き抜かれつづけているらしく、
「あなたもっ・・・典子さんにきをつけてッ・・・あげなさい・・・ネッ・・・!?」
と、声の抑揚もどことなく、おぼつかなくなっていた。

数か月前の老成しきった、もの静かで冷静な声色とは、20歳は若返ったかのように、はずみきっていた。

受話器の向こう側はどうやら、収拾がつかないことになってしまったらしい。
やがて母の手から受話器をひったくったらしい父が出て、いった。
「もういいから、かんべんしてあげなさい。あとは父さんが面倒見ておくから」

振り返ると妻は、ベッドのうえに片脚だけもたれかけさせながら、床のうえに大の字になって気絶している。
口許からは、だらしなく垂れたよだれがしたたり、
ベッドのうえに無造作に投げられた脚は、ひざ小僧までずり降ろされたストッキングが、ふしだらな光沢を放っていた。

目のまえには、抜け殻どうぜんになるまでむさぼられた妻の裸体。
受話器の向こう側からは、理性を塗り替えられた両親の声。
そのどちらもが、わたしの理性をも狂おしく塗り替えてゆく。

妻のすすめ

2017年11月26日(Sun) 08:09:11

吸血鬼に襲われて生き血を吸われ犯された妻は、愛人との逢瀬をわたしに認めさせ、
すすんで彼の奴隷となった。
妻は女の生き血に飢えている愛人のため、自分の母親を実家から呼び寄せて襲わせた。
娘の生き血をたんのうした男にとって、その母親の生き血はどうしても、気になるところだったから。
見返りに妻は、義母の不在を寂しがる義父とのあいだに、父娘ではあり得ない結びつきをもつようになった。
「父はね、前から私のこと気にしていたの」と、妻はうそぶいた。
「母の献血を認めてくれたから、お礼をしたかったの。いいでしょ?」
きっと舅は、「献血」だけではなく「不倫」までも、認めさせられてしまったのだろう。
すっかり主導権を握られたわたしは、妻のもっともらしい言い分に、ただ頷くことしかできなかった。
妻と情夫との濡れ場を目の当たりにすることを歓びと感じてしまう恥ずかしい性癖を、
しっかりと植えつけられてしまったから。
娘に対し「恥を知りなさい」と咎めだてをした気丈な義母は、いまでは公然と不倫に耽るようになって、
永年連れ添った妻が痴態もあらわに納屋で男衆と乱れ合うのを、その夫は恥を忘れてのぞき見することに熱中していた。

自分の母親に、愛人を。
父親に、妖しい歓びを。
そんな贈り物で“親孝行”を果たした妻は、そしてわたしにも、囁きかけてきた。
「お義母さま、少しでもお若いうちに、生き血を味わってもらいましょうよ」
「御実家からこちらへ、おひとりで来てもらいましょうよ。あとの手引きは私がするから」
「どうしてもお義父さまもついていらっしゃるというのなら、私お相手するわ。そのあいだにお義母さまを、味わっていただくの。どう?」
嫁の乱行を、夫以上にとがめだてするはずの存在を、この際葬ってしまおう――そんな意図をありありと感じながらも、わたしは知らず知らず受話器をとってしまっている。
母のときはもしかすると、妻のときよりも昂ってしまうかもしれない――そんないけない妄想にとりつかれながら・・・

戦利品 その2 ――蟻地獄――

2017年11月26日(Sun) 07:54:12

「嬉し恥ずかし」の初応接の時期が過ぎると、妻と交際を続ける男衆の頭数はぐっとしぼられてくる。
犯す側と犯される側とのあいだには、必然的に「相性」というものが生まれてくるからだ。
いまは、2~3人の特定の男衆が代わる代わる妻をあの藁納屋に誘い出して、
時には一対一で、時には複数で、辱め抜いてゆく。
「辱め」といっても、人妻本人にもその夫にすらも苦痛を感じさせることがないのは、こういう村ならではのことなのだろう。
わたしもまた、妻ともども彼らに誘われたときには、できるだけ応じるようにしている。
彼らは獲物にした人妻を夫の目のまえで弄びたがるというけしからぬ趣味を持っていたので、彼らの願望を好意的にかなえてやるために――
都会育ちの人妻の淫らな遊戯は、夫までも巻き込んで、明け方までつづくのだった。

妻の身体からはぎ取られ、せしめられていった洋服や装身具たちは、
その後交際から遠ざかった男の手から、交際を続ける男の手へと移っていって、
さいごはひとりの男が、あのときの服装のすべてを手にすることになる。
それを見せつけられた夫は、妻と間男との交際に、三人で乾杯をして、
「おめでとう、末永く妻をよろしく」と言って、すべてをゆだねることになっている。

妻の父親もわたしの父も、わたしと同じように寛大な夫になるのに、そうは時間がかからなかった。
さいしょに妻を咎めたのは、実の母親だった。
けれども彼女はすぐに、母娘もろともあの納屋で輪姦されて、すっかり大人しくなってしまった。
身ぐるみ剥がれてムシロ一枚の「お菰さん」なんかにされてしまっては、それまでの人生観など無に等しいものになってしまったとしても、あながち本人を責められない。
「娘に関心があったら、お袋のことも抱きたくなるもんだね」
妻の洋服ひとそろいをの所有者になったあの男衆は、そういいながら、
さっきわたしの義母を犯してきたという一物を、ズボンのうえから自慢げに撫でさするのだった。

彼がふたたび自分の一物をズボンのうえから自慢げに撫でさするのを見たのは、それからひと月あとのことだった。
相手はわたしの母だった。
ぐうぜん妻の濡れ場を目撃して、姑として厳しい咎めだてをしたときのことだった。
そのときも。
嫁と姑はひとしく男衆たちの餌食にされて、納屋の中で衣装ひとそろいをせしめられて、
引きかえにムシロを一枚渡されて、家に帰されたのだった。
そのときの妻の機転で、母は自らの裸体を通行人にさらす機会をあまり多く持たずに済んだ。
自分の母親の時もそうだったから、もう慣れたものだった。
母は自分が咎めようとしたはずの嫁の機転に、後々まで感謝することになる。
そして息子に隠れて――息子であるわたしは、すべてを知ったうえで黙認したのだが――毎朝毎昼毎晩情事にいそしんで、いままで厳しく守り抜いていたあそこをゆるゆるにされて、都会の自宅に戻っていった。
そして次の訪問のときには、父のことも連れてきた。
「どうして父さんまで連れてきたの?」と訊くわたしに、
「だって、お父さんだけのけ者じゃ、かわいそうじゃない」と、彼女は答えたものだった。
母の不始末をネタにやんわりと脅された父は、脅しに屈することなく――しかも彼らの好意的な真の意図をきちんと見抜いたうえで――自発的に妻の貞操をプレゼントすると彼らに約束した。
彼らが都会妻たちと関係を取り結ぼうとする強引なやり口から、独特の好意を汲み取ることができる才能は、もしかしたら“血”だったかもしれない――
彼らはきっと、その血を口にすることで、獲物に見合った待遇を決めるのだろう。

もう、還暦を過ぎてしまったのに――
そういって恥じる母に父は優しく、「魅力と年齢とは関係ないのだよ」と諭し、
若い肉体を持て余す男衆の待つ藁納屋へと、促してやっていた。
楚々としたワンピースも、なまめかしいストッキングも、一枚のムシロにひき変えられてしまうと知りながら――

村の男どもの棲み処にまた、女もののよそ行きの衣装がこれ見よがしにとひるがえる。
落ち着いた年輩の婦人が好んで身につける、洗練された衣装たち――
それは花柄やベーズリー柄のワンピースだったり、高価なシルクのブラウスだったりする。
スカートハンガーに丁寧に吊るされた丈長のスカートたちは、その裏側に、
忌まわしくも淫らな粘液をたっぷりと吐き散らされて、
裏地が白茶けるほど濡らされているのだろう。
なん足も引きむしられたストッキングは束にされて、持ち主が犯された回数を誇示するように、夫たちの目のまえにぶら提げられる。
夫たちはそれを見あげて満足げに、こう呟く――
「家内のことを気に入ってもらえて、嬉しいですな」と。

村を中心にして親族知人を巻き込む“蟻地獄”は、こうして今回も平和裏に、都会の家族を呑み込んでいった。


あとがき
人妻が堕ちてしまったあとにどうしてもつけ加えたくなるのが、その母親や姑の濡れ場です。
悔しがり、歯がみをし、羞じらいながらも欲望に勝てずに、それまでの気丈さをかなぐり捨てて耽ってしまう彼女たち。
村の男衆と永年連れ添った妻たちとの関係を快く受け容れる、寛大な父親たち。
あり得ない風景かもしれませんが、どういうわけか鮮明に妄想することができてしまうのです。

戦利品。

2017年11月26日(Sun) 07:32:44

村の男衆たちの手で、納屋に引きずり込まれるまえ。
妻が着ていたよそ行きのスーツの代わり、
納屋からふらふらとさ迷い出てきた妻がまとっていたのは、一片のムシロ。
むき出しの腕や藁にまみれた裸足を隠しかねながら、
まだ息荒く、それでもあたりのようすを憚るように身をかがめながら、
こちらへと戻って来た。
いつもの気の強さには不似合いな、オドオドとした目線をあたりに配りながら。

出し抜けに首すじに貼りついたヒルのような唇が、欲望を果たし切ってしまうまで、
とうとう離すことができないままに、
くらくらと貧血を起こしてその場に倒れたわたし。
そのわたしを気づかうような、昏い視線だけを残した妻は、
吸血の習癖を持つ男衆の手で、納屋に引きずり込まれていった。
妻がようやく解放されて、貧血から立ち直りかけたわたしの許に戻ってくるまでに、
小一時間が経過していた。

生き血を吸い取られる意外になにをされたのかは、明白だった。
けれども、わたしにはどうすることもできなかった。
彼らがそういう性癖を持つことまで知りながらこの村を訪れたのは、
他に行く場を失ったわたしたち夫婦の意思だったから。

妻のあとをついてくるようにして、男衆たちも納屋から姿を現した。
手に手に妻の身体からはぎ取った衣類を、戦利品としてぶら下げながら。

ブラウス。
ジャケット。
ネックレス。
スカート。
スリップ。
ブラジャー。
ショーツ。
ストッキング。
ハイヒール。
どれもがひとつひとつ、別々の男の手に持たれて、せしめられている。
見返りに妻に手渡されたのは、かろうじて身を覆うことができる大きさの、一片のムシロだけ。
妻は怯えたように彼らを見回し、
彼らはなれなれしい目で、自分たちが支配した女を眺めまわす。

「真面目な奥さんなんだな。ずいぶん手こずったぜ」
若い衆のひとりが言った。
「んだんだ。でも、エエ身体しとるのぅ」
もうひとりが応じるようにして、そう言った。
「こんな女優さんみたいな嫁さんもろうて、羨ましいのぉ」
べつの男がしんそこ眩し気に、わたしたち夫婦を見る。
「気ぃつけて」
さいごに口を開いた頭だった男の声色は、奇妙な親しみといたわりに満ちていた。

道行く人たちは皆、見て見ぬふりをしてくれた。
こちらの異変に、明らかに気づいていながらも。
自分の妻を捧げた夫を、侮辱してはならない――そんな不文律に支配されているかのように。
村に迎えられるためにだれもが通らなければならない荒っぽい通過儀礼は、
こうしてわたしたち夫婦の間を、嵐のように通り過ぎた。


「早くしよ。遅れたら失礼よ」
そういってわたしを促す妻は、真っ赤なスーツに黒のブラウス。
足許を染める薄地の黒のストッキングは、肉づきのよいふくらはぎをなまめかしく染めて、
淡いピンク色をした脛が、ジューシィに透きとおっている。
休みの日ごとにかかるお誘いに、きょうも夫婦そろって出かけるのだ。

迎える男衆はたいがい、独り者だ。
夫婦者の場合には、自分の妻がほかの男の相手をしに出かけていったときに、声をかけてくる。
女っ気のない寒々とした部屋に妻を呼び入れる彼らの目的は、わかりきっている。
熟れた人妻の生き血と、その血を宿す瑞々しい肉体――
身につけたスーツを突き通すように鋭い男どもの視線は、
夫であるわたしの目の前であるにもかかわらず、露骨に鋭くもの欲しげだった。
応接間には、これ見よがしに掲げられた、女もののジャケット、ブラウス、ストッキング――
初めてのとき、納屋のなかで組み敷いた妻からせしめた戦利品が、あの日の出来事を鮮明に蘇らせる。

男どもの接待は、それは念が入っていて、
土地の料理からここでしか口にすることのできない地酒にいたるまで、至れり尽くせりなのだ。
わたしはわざとのように途中で酔いつぶれ、
あとは妻と相手の男との痴態が、夫の目の前もはばからずくり広げられる。
夫公認の浮気にすっかり狎れてしまった妻は、
いけませんわ、いけませんわ・・・あなた、助けてえっ!
と、相手とわたしの気を引くような声をわざとあげながら、息荒い欲情のもとに、組み敷かれてゆく。

目のまえの凌辱を愉しむことができるようになったわたしにとって、
こうしたお呼ばれに、苦痛を感じることはない。
若い血液と都会妻の肉体を、男どもと分かち合う歓びだけが、
狂った鼓膜と網膜とを痺れさせてゆく――

かつては妻の地位と品性とを彩っていたネックレスが、ブラウスが、スカートが。
愚かな痴態に耽るわたしたちを見おろすように、ハンガーにかけられてぶら下げられている。
なにもかもが初めてだった妻の身体からはぎ取られ、せしめられた戦利品たちが、
わたしたちの和解を祝っているのか、呪っているのか、
ただ無表情に、わたしたちのことを見おろしている。

逢う瀬のあとに

2017年11月21日(Tue) 07:06:16

幼なじみの“彼”が妻といっしょに、夫婦の寝室に入ってから約一時間。
妻の声に呼ばれて部屋に入るとすでに“彼”は立ち去ったあと。
ベッドのうえには首すじから血をしたたらせ、よそ行きのワンピースを着崩した妻がひとり、じっとこちらを視ていた。
「妬きもちやかないの?」と、わたしの気分を逆なでしようとする妻。
「相手が“彼”ではね」と、受け流すわたし。
わたしは知っている。
昔からこの街に棲んでいる人間で吸血鬼になったものは皆、自分だけではなく妻も娘も吸われているのだと。
「だから、お互い様だと思えるんだよ」
「あなたも吸血鬼になっちゃえばいいのに♪」と、挑発する妻。
「ほかの女を襲いたいとは思わないから」
不思議なくらい、こたえがさらりと出てきた。
そのさらりと出た答えに妻は納得したのか、もう何も言わなかった。
わたしはベッドのうえの妻に近寄り、ふたりはしっかりと抱き合っていた。
犯されるきみが理性を狂わせてゆくのをのぞき見するほうが、他の女よりもよほどそそられるから――
かみ殺したはずのそんな想いは、いつもよりも激しい衝動となって、きっと妻にも伝わったはず。
妻はなにもかも心得ているかのようにわたしに応じつづけて、
まるで新婚のころのような熱情あふれた交歓を、くり返してゆく。

もつれ込んだベッドのうえで過ごした時間は、たぶん“彼”の襲撃よりも長かったはず。
「男のひとって、単純ね」と、妻は挑発をつづけようとする。
――「長い」とか。「おっきい」とか。ばっかみたい。
つまらない男の見栄をあっさりと笑い飛ばすと、わたしの腕をすり抜けるようにして、台所へと立ってゆく。
あわてて目線で追った後ろ姿はもう、エプロンを締めかけていた。
女というやつは、おそろしい。たとえ女房であっても。
女は非日常の痴情から、こともなげに日常に戻っていく。
きっと妻は・・・
きょうのような公然とした訪問以外の誘惑を、その何倍も受け止めているのだろう。

「こんどはいつ来るのかしら」
テーブルのうえに料理を運びながら、独り言を呟く妻。
エプロンの長いすそから覗いた脛の上を、ストッキングの伝線の太いすじが、あざやかに走っていた。
わたしはふと言いかけて、あわてて押し黙る。
そんなことを指摘したらまた、彼女は不倫妻のモードに戻ってしまうだろうから。
そういえば。
勤めから戻ったわたしを迎える妻はよく、ストッキングを伝線させている。
じわりと肚の底にこみ上げた衝動をかろうじて押し隠し、わたしは食卓につく。
今夜も覚悟をしているのか、小ぎれいに身づくろいをした妻は、なにかを待ち受けるようにわたしのことを盗み見た。

管理人のつぶやき

2017年11月14日(Tue) 06:59:07

今月は、第一作が13日と、ひどく遅咲きです。^^
淫らな妄想がもつれ合って、どうにもうまくお話をつむぐことができませんでした。
うち一、二作目は、「花火」がテーマです。
本当は二作目のほうが先に着想したのですが、11月ではいくらなんでも季節外れだなあと思い、
その前段で「季節はずれの花火」を描いたのです。
そのうち二作目のほうも構想(妄想?)がふくらんで、成稿をみたのがやっと今朝のこと。
まあ、せいこうってほどのもんでもありませんがね・・・ (^^ゞ

ナースステーションの宴

2017年11月14日(Tue) 06:53:46

真夜中のナースステーションは、吸血鬼の楽園。
この夜のために選ばれた若い看護婦も。
ややとうはたったけれどまだまだイケるベテラン看護婦も。
しっかり者で知られた四十代の婦長も。
夜中なのによそ行きのスーツでバッチリとキメた、院長夫人までも。
きゃあきゃあと悲鳴をあげながら、首すじを咬まれていって。
ひとり、またひとりと姿勢を崩し、ストッキングに包まれたひざを床に突いてゆく。

首すじから血を流した女たちは、
うつ伏せに伸びたふくらはぎにまで、もの欲しげな唇を吸いつけられる。
若い看護婦は、透きとおる白のストッキングを。
ベテラン看護婦は、本来禁止が不文律の光沢入りの白ストッキングを。
婦長は、もっさりとした白タイツを。
院長夫人は、光沢のよぎる高価な肌色のガーターストッキングを。
ヌルヌルとしたよだれに濡らされ、
飢えた牙にメリメリと裂かれてしまう。

悔し気に歪む整った目鼻立ちは、辱めを受ける足許に目線をクギづけにして、
さらに悔しそうに、キュッと歯がみをしてみせる。

吸血鬼を患者として受け容れるこの病院では、
患者への輸血行為が、深夜の看護婦たちの業務のひとつ。
だから選ばれた女たちは深夜のナースステーションに集められ、
わが身をめぐる血潮で、患者の渇きを満たしてゆく。
長患いに鬱積した気分を、己れの身につけたストッキングを食い破らせてやることで、まぎらわせてゆく。

けれども彼女たちのお勤めは、これだけでは終わらない。
ああ・・・
悲しげなうめきをあげて、ベテラン看護婦がのけぞった。
身につけた白衣はびりびりと引き剥がれ、はぎ取られたブラジャーの下からは、豊かな乳房を惜しげもなくさらけ出してしまっている。
吸血鬼の長い舌がもの慣れたやり口で、三十路女の乳首をいたぶった。
そしてストッキングを剥ぎ堕とされてむき出しにされた太ももを抱くようにして、
ユサユサと女の身体を揺らしながら、淫らな吶喊をくり返した。

このひと、ご主人いるのよ。
訴えるようにそう囁いた婦長のうえに、男は劣情もあらわにのしかかる。
つぎはお前の番だといいたげに。
生真面目な婦長は四十にもなって、吸血鬼相手に初めてのものを散らしていた。
いや・・・いや・・・いやぁん・・・
齢がいもない、あられもない声を洩らしながら。
純な気持ちに齢は関係ないのよといいたげに、
肉づき豊かな腰つきを、男の強引な動きにけんめいになじませようと努めている。
いまはすっかり狎れ合ってしまった、肉と肉――
婦長が満足するまで、男はなん度も犯しつづけた。

私、もうじき結婚するんです・・・
そう哀願した若い看護婦も例外なく、劣情の餌食となった。
すでになん度も犯されてしまっている嫁入り前の女は、
男のテクにすっかりイカされて、不覚にもはしたない声をあげてはじめている。
純白のウェディングドレスの下に身につけるはずの白のストッキングは、
彼女の足許を清楚に引き締めていたけれど、
襲う男には、ただ劣情しか催さなかったらしい。
業務ですよ、あくまで業務・・・
うつろな目になった婦長が、幼子に言い聞かせるような口調で囁きつづけるのに肯きながら、
女は禁じられた淫らな舞いを、吸血鬼相手に披露しつづけた。

さいごは院長夫人だった。
このなかではいちばん年配の彼女を最後の獲物に選んだのは。
いちばんおいしい獲物をさいごまで取っておくという、
彼なりの礼儀作法なのだという。
陽のあたる場所では威厳たっぷりの街の有力者も、
吸血鬼のまえでは、一介の素人女――
心見だされ、淫らに舞ってしまうのは、ほかの女たちといっしょだった。
人手の足りないナースステーションに彼女を送り込んだのは、他ならぬ夫の院長だった。
今夜血液を提供する看護婦の頭数が足りない――そんな婦長の申し出に応じて、
躊躇なく、自分の妻に吸血鬼の夜伽(よとぎ)を命じたのだ。
お手本は、いちばん頭だったものが見せるもの――
夫の言葉に妻は肯いてみせて、夫を裏切る行為に、いまは耽り抜くようになってしまっている。

深夜のナースステーション。
そこは歪んだ宴の場。
今夜も救いと癒しを求める吸血鬼どもが、前の廊下を徘徊し、
待ち受ける女たちは、強いられた淫らな業務に息を詰め、心震わせながら、従事してゆく――

妻は地に舞う大輪の花火

2017年11月14日(Tue) 06:26:09

ねっ、花火見に行こ♡
妻はウキウキとした顔をして、わたしのことを肘で小突いた。
えっ?
わざとうろたえた声をして応じると、妻は「うふふッ」と肩をすくめて笑い、逃げるように台所に入っていった。
季節外れの花火に誘われてあの村に出向いたのは、去年のいまごろのことだった。

花火師の棲むその村では、来年あげる花火の品定めをするために、季節外れのこの時期に内輪のものたちだけを招く花火会をやるという。
たまたまなにかの縁で毎年招かれるようになったという友人に強く誘われて、わたしは妻を伴ってその村に行った。

花火よりも先に、振る舞い酒に酔い痴れた友人とわたしはいつの間にか、
村の男衆たちの手でぐるぐる巻きに縛り上げられて、草地に転がされていた。
空を舞う大輪の花火。
その下で友人の妻も、わたしの妻までも。
男衆の手で浴衣をはぎ取られて、やはり草地に転がされた。
一糸まとわぬ二体の裸体が、明滅する光芒に切れ切れに照らし出され、
夫たちの目を眩しく射抜く。
その上に、息荒くのしかかった男たちは、彼女たちの股間に忘れられない衝撃を加えていった。
都会育ちの妻たちはその夜、地を舞う大輪の花火になった――

こと果てたのち。
縛めを解かれたわたしたちは、それぞれの妻を介抱しながらほうほうのていで宿に戻った。
部屋に落ち着いたわたしたちが互いに目を背け合って座り込んでいると、
友人は自分の妻を連れて、わたしたちの部屋に現れた。
「これから出かけるんだけど、いっしょに来ない?」
「どこへ?」
「さっきの連中のたまり場」
「なにをしに?」
「こいつ、もういちどやってもらいたいって言うんだ。で、ぼくは妻を守れなかった罰ゲームで、見せつけられに」
友人の顔にあるのは卑屈で後ろめたい作り笑いなどではなく、
むしろこれからなにか特別なイベントを楽しもうという、サバサバとした晴れやかなものだった。
面白そう――
声をあげたのは妻だった。
さっきまでの憔悴した表情はかき消えて、白い歯を嬉し気に洩らして屈託なく笑っている。
「ね、あたしたちも行こ。あなたも罰ゲームよ」
わたしは妻に急き立てられるように座を起って、村の男衆たちのところへ出向いていた。

地元の姐さんたちを相手に乱交していた彼らは、わたしたちの奇特な訪問を歓迎してくれた。
「あんたの奥さん、貞操堅固だな。手こずったぜ」
目を細めて笑う老爺は、還暦をずっと過ぎた目じりを皺くちゃにして、屈託なく笑った。
周囲にいたもっと若い男どもも、乾いた声で笑った。
老爺はみすぼらしい格好をしていたが、なぜか威圧されるものを感じて、受け答えが知らず知らず敬語に変わってゆくのをわたしは自覚した。
「こ、今夜は・・・どうぞよろしくお願いします」
かすれた声で応じたわたしは、自分でもどういう表情を作っていいかまだわからずに、あいまいに笑って見せた。
「それでいいんだよ。あんたは正解」
だれかがいった。
男どもは口々に、難に遭ったわたしたちのことを侮辱するふうはなく、
「今夜は災難だったな」と、いたわる者。
「あんたの嫁、エエ身体してんなぁ」と、露骨にうらやましがる者。
「今夜は楽しかっただろ?」
「みんなでもっと楽しもうな」
「まったく手間を掛けさせやがって」
とかいいながら、どこか称賛のこもったまなざしを、わたしたちに向けてくる。
「都会の綺麗な女を嫁にできて羨ましい」と顔に書いたように、素直な称賛と羨望の視線を、わたしたち男性に、そして妻たちに、そそぎつづける。
わたしたちの妻を犯した村の男どもは、女好きという同じ人種の共感をこめて、
都会育ちのふた組の夫婦のほうへと歩み寄ってくる。
わたしは戸惑いながらも、老爺の悪びれない笑みに応えた。
「びっくりしたよ。こんなこと初めてだから」
「そうだろうね、ここじゃ日常茶飯事なんだけどな」
「妻が、もういちどしてみたいって・・・それで連れてきたんだ」
「一人で来させなかったってことは、あんたも見せつけられたくなったかい?」
老爺はからかうように言ったが、なぜか腹は立たなかった。
「いや――さすがに一人で出すのは心配だから――」
「あんた、好いだんなだね。教わんなくてもちゃんとわかるのは、奥さんのこと愛してる証拠だよ」
「そうなんですか?」
「しまいまできちんと見届けるのが、夫の務めってことだ」
「よくわからないけど・・・わかるような気もします」
自分でもびっくりするような受け答えだったが、なぜかすらすらと言葉が出てきた。
敬語と他人行儀な言葉つきが入り乱れているのは、まだきっと状況に慣れていないせいだろうと思ったけれど。

「なあお前ら、女房がほかのやつに姦(や)られるの、ズキズキ来んぢゃろ?」
老爺は仲間をふり返ると、田舎言葉でそういった。
えへへへへへっ・・・
だれもが身に覚えがあるらしい。
「わしは爺さんのおっ母さんで筆おろししたしの」
「お前ぇの女房抱いてるときに、お前ぇずっと部屋の隅っこで視ておったろうが」
「じゃけど~、気になるからの~」
彼らはしばしの間笑いをはじけさせながら、みじかいことばで互いの女房の痴態をはやし合った。
邪気の全くない笑い声を、わたしたちはあっけに取られて聞いていた。

「さてと、宴の続きに入ろうかい」
老爺がそういったときにはいつの間にか、村の姐さんたちは姿を消していて、女といえば妻と友人の妻だけになっていた。
対する男は、わたしと友人を抜きにしても、8人――
頭数を無意識に勘定してしまい、そんなことをしてしまっている自分に、思わずゴクリと生唾を呑む。
「だんなの名誉は守らないとな」
頭だった男がそういうと、夫たちは村の男衆たちの手でふたたびぐるぐる巻きに縛られて、
妻たちがなにをされているのか見えるように転がされた。
「あんたたち、抵抗できない状態で、女房を犯されたんだよな?みすみす指くわえて、自分の女房が姦られるのを覗き見してたわけじゃあないってことだ」
「ウン・・・そうだ。もちろんそうだとも」
友人が応えた。
「でもこんどは、典子が犯されるのを見たくて連れてきたんだ」
「素直でよろしい」
あんたはどうなんだ?わたしもそう訊かれた。
妻が息を凝らしてわたしのことを見つめているのを意識しながら、わたしはいった。
「ぼくもだ」
カサカサに乾いた唇から洩れた言葉は、昂ぶりに上ずっていて、それは妻にも伝わったようだった。
妻は身体から力を抜いて、村の男衆たちのほうをふり返り、媚びるような笑みを浮かべた。
それが合図だった。
「うへへへへっ」
一人の男が妻に、別の男が友人の妻に襲いかかると、男どもは飢えをこらえ切れなくなった獣のように、わらの上に横倒しになった二人の都会妻の身体のうえに、折り重なるようにしておおいかぶさっていった。
二人の都会妻は洗練されたワンピースを引き裂かれて、きゃあきゃあと小娘みたいにはしゃぎながら、犯されていった――


「旦那さんがたも、愉しんでいただけたようですな。来年もぜひ、いらっしゃい」
夕べの老爺が目を細めて、わたしたちに親し気な視線を送って来る。
あたりは、夕べの熱気にむせかえった闇は幻だったのかと思うほどの、冴え冴えとした晴れ空――
この村では昔から、夜這い合う風習があって、どの人妻も村じゅうの男という男の身体を識っていた。
それが近年の過疎化で女不足となり、村に少しでも縁故のある夫婦が招かれては、こんな夜を体験するのだという。
あくまでも口コミで、親しいものが親しいものを誘い込む形で、少しずつ“輪”が拡がりつつあるそうだ。
その“輪”のなかに、わたしたち夫婦は友人によって引き込まれ、“輪”は少しだけ、その広がりを増した。

なにも知らない夫婦を“輪”に招き入れるとき、もっとも重視されるのが夫の資質で、こうしたことに耐えうるかどうかが基準になるという。
そういえばかつて、友人が妻を誘惑して堕としてしまったのを知ったわたしは、
内心の昂奮を押し隠しながら、ふたりの交際を黙認していた過去があった。
かつて友人に、見て見ぬふりをして妻を捧げたように。
わたしは田舎の男衆たちの、粗野で荒々しい腕のなかに、妻をゆだねる決意をかためた。
こうして都会妻がまたひとり、村を彩る花火になった。

ところでどうでしょう?
今年も花火大会、あるんですけど・・・
あなたも来ませんか?よかったら、奥さんを連れて。

季節はずれの花火

2017年11月13日(Mon) 07:45:38

ひどい眩暈がぐるぐると、俺の頭のなかを渦巻いている。
闇夜でいきなり羽交い絞めにされて、首すじに尖った異物を刺し込まれて・・・
それが吸血鬼の牙だとわかったときにはもう、抵抗もできないほどに、血を抜かれてしまっていた。
その場でへたり込んだ俺のまえで。
連れだって歩いていた真由美までもが、襲われた。
「やだー!助けてー!」
悲鳴をあげて逃げ惑う真由美もすぐつかまえられて、俺と同じように首すじを咬まれてしまった。
ゴクゴクと露骨に喉を鳴らして、男は真由美の血をもの欲しげに啜りつづけた。
黒のワンピースを血しぶきに濡らしながら、じょじょに姿勢を崩してゆく真由美の姿が、薄らいだ意識の向こうへと埋没していった――
うつ伏せに倒れたまゆみの脚に、吸血鬼の老いさらばえた唇がもの欲しげに吸いついて、
ストッキングをパリパリと破りながら血を吸い上げる光景が、俺の記憶を狂おしく染めた。

気がつくと、傍らで真由美がべそをかきながら、俺の顔を覗き込んでいる。
どうやら俺のほうが、重症だったらしい。
あたりはまだ暗く、でも俺たちを襲った忌まわしい翳は、とうにその気配をかき消していた。
「血・・・吸われちゃった・・・へへ・・・」
真由美が下手な照れ笑いを作りながら、目じりの涙を拭っている。
片方だけ脚を通したストッキングは見る影もなく裂け、それだけではなく、
ワンピースのすそはめくれあがって、白い太ももが眩しく俺の目を射た。
どうやら血を吸われただけでは、すまなかったらしい。
けれども真由美は吸血鬼に犯されたことをあからさまに口にはしなかったし、
俺もそんなことを訊くことはできなかった。
話題を択ぼうとして目線をさ迷わせた真由美が、ふと自分の胸元に目を止めた。
気に入りの黒のワンピースに撥ねた血潮が折からの月の光を浴びて、チロチロと毒々しい輝きを放っている。
「花火みたい・・・だね――季節はずれだけど・・・」
放射状に伸びた血潮の痕を目でたどりながら、真由美は独りごとのように呟いた。
こんなに可愛い恋人を守り切れなかったのか――そんな無力感と敗北感にさいなまれそうになった。
そのうち沈んだ空気を追い払うように、真由美がいった。
「ねえ、もういちど、してもらお」
びっくりするほどハッキリとした、いつもの真由美らしいあっけらかんとした声色だった。

え・・・なにを・・・?
戸惑う俺に、真由美はいった。
「あの人言ってたの。週1でだれかの血を吸わないと、灰になっちゃうんだって。だから、感謝するって言ってたよ。また夜道であっても絶対死なせたりしないから、仲良くしよう、また吸わせてほしいって」
そんなバカな・・・言いかけた俺を、真由美は押しとどめた。
「ウフフ。あたしが吸われてるのを見ていて、洩らしちゃったくせにぃ~」
俺の股間に手を差し伸べて、ズボンのうえからイタズラっぽく撫で撫でをする細い指が、半透明の粘液に濡れていた――


「うわ・・・わッ!何するんだッ!?」
いきなりの襲撃にうろたえた声をあげる俺。
でもその声は、すぐに突き入れられた強烈な食いつきに、断ち切れてしまう。
「あんたの首は咬み応えがエエ」
男はそういいながら、なおも深々と、俺の首すじを抉ってゆく。
「くそ・・・く・・・そっ・・・」
歯ぎしりしながら相手を罵りつづける声は声にならず、ただ相手を愉しませるばかり。
俺の生き血がみすみす相手の栄養源になって、その力を得て真由美を犯す気だ――
そんな魂胆を知りながら、もうどうすることもできなかった。
そのうち、くらあっ・・・・とした眩暈が俺を襲い、俺はだらしなくその場に尻もちをついてしまう。
「きゃーっ!ユウくん、ユウくんっ、助けてえッ!」
真由美のあげる悲鳴はどことなく芝居じみていて、わざとらしくて。
逃げ足も遅く、ただバタバタと大げさに、かっこうの良い脚をうろうろさせている。
いくらヒールの高いパンプスを穿いていたとしても、もう少し早く逃げられそうなものだ。
これじゃあ俺の視界にいるうちに、咬まれちまうだろうが。
そんなことを薄ぼんやりと考えながら尻もちを突いたままの俺のまえ、
吸血鬼は真由美のことをつかまえて、不必要に弄ぶように振り回し、
俺によく見えるように真由美の首を締めあげて、白い首すじにガブリ!と食いついた。
「きゃあーッ!」
かん高い絶叫が、夜空にこだました。
愛しい恋人がムザムザと生き血を吸い取られるありさまを、
俺ははじめからおわりまで、たんのう――いや、見せつけられる羽目になったのだ。

「ううん・・・ううん・・・だめ・・・だめえッ・・・」
真由美の拒絶は甘えがちな声色になって、
迫って来る男をはねつけようとしているのか、そそりたてようとしているのか、わからないくらいだった。
卑猥な唇を足許に近寄せてくる吸血鬼のまえ、黒のストッキングになまめかしく染めた脚をくねらせながら、真由美はひたすらお慈悲を乞うている。
もちろんそんなものが認められるはずもなく、
吸血鬼は真由美の脚にストッキングのうえから舌を這わせ唇をふるいつけて、
むざんな裂け目をメリメリと拡げてゆく。
「ああーッ、いやぁ~ッ!ユウくーんッ!」
真由美がまたも、俺の名を呼んだ。

わざとなのだ。
すべてわざとなのだ。
襲われ始めたところから、すべては俺たちのお芝居。
吸血鬼に襲われるカップルを熱演したご褒美に、俺たちは若い血をたっぷりと吸い取られて、
あげくの果てに真由美はストッキングを剥ぎおろされて、
股間に深々と、もうひとつの牙を埋め込まれていき、
俺は俺で、恋人が吸血鬼に姦られるハードなベッドシーンを、心行くまでたんのうさせられる。
真由美はわざと、ユウくん、ユウくんと俺の名を呼びつづけて、俺のなかで覚醒してしまったマゾヒズムを、強引なまでに掻き立ててゆく。
いつもベッドのうえで、俺を無理やりその気にさせるときと、同じようにして――

「花火・・・」
貧血を起こして助け起こされた真由美が、吸血鬼の腕に抱かれたまま、
今夜のために着てきた純白のブラウスの胸に視線を落とす。
撥ねた血潮が放射状に散って、たしかに花火のように見えなくもなかった。
それ以上に真由美の脳裏には、もうひとつの花火が散っている。
恋人のまえで犯されて、ありのままの本能をさらけ出して悶え狂ってしまう――そんな衝動が昏(くら)い閃光となって、真由美の脳裏を狂おしく染めていた。
そして俺も――
植えつけられたマゾヒズムが妖しい触手を拡げ、心の奥を侵蝕し、塗り替えてゆく。
支配され飼い慣らされてゆく恋人を目の当たりにする悦びに、
今夜も不覚にも、激しい射精をくり返してしまっている。

花火は夏だけとは、かぎらない。
恋人の足どりが薄黒いストッキングに妖しく映える秋。
欲情に満ちた吸血鬼の目が次にとらえるのは、貴男の恋人の足許かも知れない――

もとは人間だった吸血鬼

2017年10月30日(Mon) 06:17:40

この街に棲みついている吸血鬼は、二種類いる。
ひとつは、この街を征服した、齢何百年になるかわからないという吸血鬼と、その親族。
もうひとつは、そうした吸血鬼に咬まれて吸血鬼になった、もとはふつうの人間だった人たち。
吸血鬼になるには、根っからの吸血鬼に咬まれないと駄目なので、そこに一定の歯止めはかかってはいるものの、
吸血鬼になった元人間も、かなりの数棲息しているのはたしかだった。
邑田タツヤもまた、そうした一人だった。

若いころ、妻ともども咬まれた彼は、ほどなく吸血鬼になった。
彼の妻を狙った吸血鬼は、自分の恋人を独り占めにするために、夫のことも咬んだのだ。
お弔いをされて墓からよみがえるまでの一週間くらいの間、
吸血鬼は、恋した人妻に対する欲望を、気の済むまで成就させていた。
望まれた妻もまた、夫の仇敵であるはずの男にほだされてしまって、
それまで夫以外の男を識らない身体を、放恣に開いていくようになっていた。

墓場から泥だらけになって出てきて帰宅を許された夫は、寛大な夫になった。
吸血鬼に促されるまま、彼は自分の妻だった女の血を吸った。
身体じゅうから血液を抜かれて空っぽになった血管を、自分の妻の血潮で充たしたのだ。
欲するだけの血液を妻から獲ることができた夫は、
妻と吸血鬼のと交際を認め、最愛の妻が吸血鬼の情婦に堕ちることを許した。
いちど弔われた事実さえも意図的に消され、
それまでと同じように妻とは夫婦として暮らしたけれど、
夜な夜な訪れてくる吸血鬼と妻とを二人きりにしてやるために家を空ける雅量を備えていた。
同時に彼は、自身の欲求を満たすために、
妻の情夫の手を借りて、そこかしこの人妻に手を伸ばして、次々と射止めていった。

もと人間の吸血鬼は、周囲にあまり迷惑をかけないために、自身の欲する血液はまず身内からまかなうのが不文律だった。
母親が若いうちは、母親が。
それから、その母親に説得された兄嫁が。そして、弟の婚約者が、
齢の順に毒牙にかかった。
父親も、兄も弟も、吸血鬼になった家族を餓えさせないために、
息子が、ないしは兄弟が、自分の妻に不義を働くのを、
さいしょは見て見ぬふりをして、
やがて妖しい歓びに目ざめていって、
すすんで献血に協力し、ひいては不倫の交際の手助けをするようになっていった。

夫が長じてからは、
結婚前の娘に手を出してはらませてしまったり、
息子の嫁をたぶらかしてしまったり、
姪娘はもちろん、甥っ子の結婚相手にまで手を出していった。
ついでにいうと、姪娘のひとりは、彼自身の種だった。
それでも、毒牙にかかった女の夫たちは苦笑しながら、
自分の嫁が押し倒されてわがものにされてゆくのを、見て見ぬふりを決め込んでいた。

そんな彼がもっともたいせつにしているのは、自分の妻との逢瀬だと、知っていたから。

吸血鬼の寵愛を得た妻は、在宅はしていても、めったに自分の身体を空けることはできなかった。
月に一夜か二夜――吸血鬼が浮気に出かけた晩、男は自分の妻との逢瀬を遂げる。
そんな夜がいちばん長いのだと、だれもが知っていた。
そうした夜、どの家の夫たちも、どんな重要な用事も放り出して自宅に帰り、
自分の妻との本来の営みに、明け方まで没頭するという。
強制された別離は、かえって愛情を深めるものだと。
吸血鬼になったものも、そうでないものも、等しく自覚していたのだった。

初めておじ様に逢った夜

2017年10月30日(Mon) 05:14:19

「キムスメ・・・って、なに・・・?」
まだ〇〇歳の小娘だったあたしには、100歳にもなる吸血鬼とお話するにはボキャブラリイがなさすぎた。
「生娘というのはの、お前のような可愛い娘のことをいうのじゃよ」
吸血鬼のおじ様は、あたしが逃げようとするのをさりげなく封じながらも、わかりやすく説明してくれた。
あとで考えたら、その説明はあまり正確ではなかったのだけれど、
〇〇歳のあたしには、その説明だけでじゅうぶんだった。
美女が吸血鬼に抱かれるシーンはなん度となく、パパといっしょに映画館で観たことがあったから。
「生命はほんとに、助けてくれるんだよね?」
ちょっぴり心配になったあたしは、知らず知らず怯えた表情を作り、媚びるような上目遣いをして、おじ様を見あげたけれど。
おじ様は「よしよし」とあやすようにあたしの肩を抱いて、
「嬢やはそんなこと、心配しなくてだいじょうぶ」
とだけ、いった。
「ちょっとだけなら・・・いいよ・・・」
キムスメの血を吸いたいとおねだりされたあたしは、
いつもは親におねだりばかりしているわがままな女の子だったのに、
いつもとあべこべなんだけど・・・って思いながらも、
おじ様のわがままを聞いてあげる気になった。
どうしてそんな気分になったのか、いまでもよくわからない。
たしかにおじ様の片手は、あたしの二の腕を強くつかんで離そうとしなかったし、
逃げられないのはいやというほどわかっていたけれど、
あたしがおじ様のいうことをきいたのは、そんなことのせいじゃなくって、もっと別な理由からだと、いまでもはっきりそう思っている。
「そんなに欲しいのなら、マミの血を吸わせてあげる」
あたしは自分がちょっとだけやせガマンをしていると感じながらも、
パパといっしょに観たドラキュラ映画のヒロインみたいに、
おとがいをわずかに仰のけて、目をつぶる――
「あんまり痛くしないでね」って、小声でつぶやきながら。

首すじに食い込んだ牙は、さいしょのうちだけは予防注射と同じくらい痛かったけど、
あたしは涙をガマンして、吸血鬼に抱かれる美女になりきろうとした。
気がつけば、貧血で頭がくらぁっとするほど、生き血を吸い取られていた。
首すじから牙を引き抜くと、
おじ様はあたしの血を吸い取ったばかりの唇を、耳たぶに触れるくらいまで近寄せて、
「ありがとう。嬢やは強い子だね」
って、ささやいた。
どうせなら、そんな子どもをあやすような言いかたじゃなくって、
もっとロマンチックなことをつぶやいてくれればいいのにって、
ちょっぴり不満に思った。

あたしの履いている真っ白なハイソックスをイタズラしたいといわれたとき、
すっかり、彼の餌食となっていたあたしは気前よく、
「ウン、いいよ。マミ、イヤらしいの大嫌いだけど、おじ様だったらガマンする」
そんな言い方がおじ様をそそるのだと、あたしはなんとなくだけど、わかってしまっていた。
おじ様がさいしょにあたしを見たときから、
ミニのワンピースからのぞく太ももと、
ひざ小僧の下までお行儀よく引きあげたハイソックスとをとても気にして、
なん度もチラチラ盗み見るのを、ママといっしょにいるときから気がついていたから。
おじ様はあたしのハイソックスのうえから唇を吸いつけて、
その唇の奥から、舌をぬめらせてきた。
上から下まで、脚の線をなぞるようにして舌を這わせてきて、
よだれのたっぷり浮いたべろで、あたしのハイソックスを汚すことに夢中になった。
なま温かいよだれがハイソックスにしみ込んできたとき、
あたしは初めて「イヤラシイ」って感じたけれど。
「女に二言はないもん」と、おじ様に聞こえないようにつぶやいて、
知らん顔をしたまま、おじ様の好きなようにさせてあげていた。
やがておじ様は、ふくらはぎのいちばん肉づきのいいあたりに牙を突き立てて、
ハイソックスを咬み破ってあたしの血を吸い始めた。
ごくっ、ごくっ・・・という音が生々しくって、あたしは思わず肩をすくめたけれど。
おじ様はあたしのひざ小僧や太ももをあやすようにまさぐりながら、
あたしの生き血で喉を鳴らすのをやめなかった。
あたしもいつの間にか夢中になって、
もう片方の脚に唇を近寄せてくるおじ様のため、
おじ様がよだれをなすりつけやすいようにと、
ハイソックスの脚をちょっぴり優雅にくねらせてみた。

気がついたら、あたしは貧血を起こしていて、じゅうたんの上にあお向けに倒れていた。
咬み破られてずり落ちかけたハイソックスは両方とも、それもあちこち咬み破られていて、
しみ込んだ血潮のぬくもりにまみれてしまっていた。
頭のうえで、「きゃあッ・・・」と、ママの悲鳴が聞こえた。
バタバタッとあわただしい物音がして、それからゴクゴクッ・・・と、おじ様の喉が鳴る音がした。
あたしと同じように貧血を起こして尻もちをついたのも、気配でわかった。
いつもはきびしいママが、
「あうッ・・・あうッ・・・」
と、べそをかいたみたいな声をあげながら、ストッキングを穿いた脚を咬まれているみたいだった。
おじ様はあたしのときと同じくらいしんけんにママを襲うのに熱中して、
そのあいだじゅう「ゴクゴク」と、喉を鳴らしつづけていた。

いちばんえらいと思ったのは、お兄ちゃんだった。
逃げようと思えば逃げられたのに、
「ボクだけ無傷なの、カッコ悪いから」
といって、たるんで履いていたハイソックスをきっちりと引き伸ばして、
「母さんのストッキングほど面白くないだろうけどさ」っていいながら、
白のラインの入ったあざやかなブルーのハイソックスに血潮が赤紫ににじむのを、
「楽しそうだね」っていいながら、静かな目をして見つめていた。

それからあたしたち兄妹は、ママのことが好きになってしまったおじ様が、
倒れて気絶寸前のママのうえにのしかかっていやらしいことをするのを、
表情を消して見守っていた。
しばらくしてママが声をあげはじめて、おじ様の背中に腕を回すのを見たお兄ちゃんは、
「仲良くなったみたいだから、もう視ちゃダメ」と、あたしにいった。
そのくせ自分はずうっと、ママがおじ様と愛し合ういちぶしじゅうから、目を離そうとはしなかったんだけど。

その夜ママがおじ様としていたことのすべてを識ったのは、大人になってからのことだった。
高校を卒業してからは、ハイソックスをストッキングに穿き替えて、
ママと代わりばんこにおじ様のお相手をした。
「お嫁入り前なのに、男のひととそんなことをしてはダメ」
って、ママは言うけれど。
パパの目を盗んでおじ様と逢うときにウキウキとしているママがそう言っても、あまり納得出来はしなかった。
いまはもう、結婚する彼がいるくせに、あたしはおじ様と逢いつづけている。
きっと結婚してからも、おじ様の恋人でいつづけてあげると思う。

あの夜。
初めておじ様にハイソックスを履いた脚を咬ませてあげたとき。
ママは「母」から「女」に逆戻りをして、
あたしは「子ども」から「少女」に成長したのだと。
だいぶあとになってから、そう自覚した――

血の輪廻

2017年10月29日(Sun) 04:36:39

きょうは母さんといっしょに、街はずれの小父様の家に行ってきなさい。
知っているだろうが、小父様は人の生き血を吸って暮らしていらっしゃる。
だからお前も、母さんといっしょに生き血を吸わせておあげなさい。
男の子は女のひとを守らなくてはいけないから、
お前が先に吸われなくちゃいけないよ。

父さんにそんなふうに諭されて、まだ半ズボンを穿いていたころのぼくは、
好んで脚を咬みたがるという街はずれの小父様のため、
紺のハイソックスを履いて出かけていった。
母さんはよそ行きのスーツのすそから、真新しい肌色のストッキングを穿いた脚をすらりと伸ばして、
ぼくといっしょに出かけていった。
リョウちゃん、お母さんのことを守ってね。
母さんはひっそりとほほ笑みながら、決して泣くまいと歯を食いしばるぼくのことを見守って、
そのうち咬まれることに慣れたぼくが、もう片方の脚を進んで差し伸べるのをみて、さらにひっそりと笑っていた。
それから自分も、肌色のストッキングの脚を差し伸べて、ぼくの血を吸ったばかりの唇を、苦笑いしながら吸いつけられていった。
貧血でぼうっとなった意識の向こう、母さんが小父様に抱きすくめられたまま、
ブラウスをはだけられ、おっぱいをまる見えにさせながらさらに強く抱かれるのを、
なぜかドキドキとしながら、見つめてしまっていた。

もぅ、お兄ちゃんなんだから、奈々枝のことをちゃんとエスコートしてね。
小父様に逢ったら、お母さんからもよろしくって、伝えてね。
お兄ちゃんは妹にお手本を見せなくちゃいけないから、
リョウちゃんが先に咬まれなくちゃいけないわ。

母さんにそんなふうに諭されて、初めてセーラー服を着た妹を連れて、
やはり初めて脚に通した黒のストッキングのなまめかしさにウキウキしている妹を連れて、
ぼくは街はずれの小父様の屋敷へと出かけていった。
ぼくのお手本をなぞるように、黒のストッキングの脚を差し伸べていった妹は、
初めての痛みにべそを掻き掻き、しっかりお相手をつとめていた。
さいしょはおずおずと、片方の脚を差し出したあと。
貧血に蒼ざめた頬に、母さんゆずりのひっそりとした笑みを絶やさぬまま、
「こっちの脚も咬ませてあげるね」
妹は気丈にもそういうと、涙の痕のように拡がるストッキングの伝線を、
こんどはクスクス笑いながら、いくすじもつけられていった。


葉子さんを連れていくのは、結婚前になさいね。
あのかたは隣町だから、葉子さんもご両親も、小父様のことは知らないの。
だからあなたが、うまく引き合わせてあげて。
母さんも都会から父さんのところに嫁いでくるまえに、
父さんが上手に逢わせてくれたから――あなたもうまくやるのよ。

母さんはひっそりと笑いながら、そんないけないことを平然とぼくにすすめる。
ぼくも母さんと同じくひっそりと笑いながら、ごく平然とそれに応える。
「あの小父様なら、だいじょうぶだね。きっと葉子さんも、いちころだろうね」と。
ぼくはよく心得ていた。
既婚のご婦人の場合、血を吸うときには男女としても仲良くなってしまう小父様の性癖を。
そして相手が未婚でも、男を識っている場合は男として抱いてしまうということも。
妹は処女だったけれど、慣れ親しむうちに打ち解けていって、
お嫁入り前に、鼻を鳴らしながらスカートのすそを引き上げられていった――
「小父様の態度ひとつで、葉子さんが身持ちの正しい娘さんか、ふしだらなお嬢さんなのかもわかるわね」
母さんはそういってひっそりと笑い、
ぼくも頷きながらひっそりと笑った。
「ぼくは平気だよ。どのみち結婚したら葉子さんも小父さんに抱かれるようになるんだし、順序がちょっと、後先になるだけさ」

ぼくの花嫁は処女だった。
初めは戸惑った葉子さんも、お洋服の襟に血のシミひとつつけずに首すじから血を吸い取った小父様の腕前に感心をして、
その場ですっかり、心服してしまったようだった。
「これからは、良太さんといっしょに咬まれに来ますね」
そういって羞ずかしそうにほほ笑んだ彼女は、つぎの訪問のとき、着替えの服を用意してきた。
なにも知らない両親に気づかれないようにと、いちどぼくの家に立ち寄って、
別の服に着替えると、ぼくといっしょに小父様に逢って、
さいしょにぼくが咬まれ、それから彼女が咬まれて、
ブラウスをしとどに濡らしながら、葉子さんは処女の生き血で相手を満喫させてあげていた。
結婚式の三日前、葉子さんは思い切った表情をして、ぼくにいった。
「大切なものを――あなたよりも先に小父様にあげたいの」
ぼくはもちろん、異存はなかった。
葉子さんが身持ちの良い娘さんなら、ぼくが先――
なんとなくそうは思っていたけれど、
花嫁の純潔をプレゼントするのも悪くないなって、ふつうに感じるようになっていたし、
美しい血管に毒液を注ぎ込まれてしまった葉子さんも、まったく同じように感じていたのだった。

真っ白なスーツ姿で目を瞑った葉子さんのうえから身を起こした小父様は、
「リョウくん、ありがとう。お礼にきみにもいつか、処女の子を抱かせてあげるよ」
って約束してくれたけど。
ぼくは葉子さんひとすじでいくから、そんな気遣いしなくていいよって、笑ってこたえていた。


未来の花嫁の純潔を勝ち得た小父様は、長いことずっとそのことを、気にしてくれていたらしい。
十数年も経った頃、妻を抱きに来た小父様はひっそりと囁いた。
「今夜はお嬢さんの勉強部屋に行くといい。貴恵ちゃんには葉子さんから、話してあるから」
熟妻になった葉子さんを小父様が抱いているあいだ、ぼくは自分のまな娘の勉強部屋のドアをノックする。
妹のときもこうだった。
なにも知らない男のところに嫁いだ彼女にとって、実の兄のぼくは、二番目の男だったから。
夜なのにまだセーラー服を着ていた貴恵はぼくを迎え入れて、
母さんや妹のときのように、ひっそりと笑った。
あの夜の妹の白い顔が、二重写しになったまま、重たい制服のスカートを、
まるで少年のころみたいな震える手ももどかしく、太ももがまる見えになるまでたくし上げていった。

こういう関係はもう断とう。
小父様に思い切ってそう切り出すと、意外にも小父様は納得したようにこたえてきた。
そうだね、貴恵ちゃんのお婿さんは、なにも知らない土地の人だものね。
けれども血というものは怖いものだった。
それから十数年も経ってもこまめに実家に顔を出していた貴恵は、
年ごろになった娘たちを連れて、泊りに来た。
そしてふたりの娘を齢の順に、小父様に咬ませてしまっていた。

妹の場合、義理の弟の家は遠く、妹はまっとうな世界へと埋没していったけれど、
娘の貴恵の場合はそうではなかった。
やがて、どう説得したものか、貴恵の婿も実家に泊まるようになった。
「うちの場合も、いつもわたしが先に相手をするようにしてるんです。
男の子は女のひとを守らなければならないですからね」
どこかで聞いたことのある科白を口にした義理の息子は、
どこかで見覚えのあるひっそりとした笑いを、口許に浮かべる。
しょせん血の輪廻はつづくのか――
そう思ったわたしのことを見透かすように、彼はいった。
「ぼくは娘の純潔は、欲しがりません。妻ひとすじでいきますから」と。

少女たちは、ソックスを濡らして家路をたどる

2017年10月14日(Sat) 08:19:08

放課後の空き教室で、貧血を起こしてへたり込んだ優奈は、
吸血鬼に抱きすくめられて泣きべそをかきながら、生き血を吸い取られていった。
咬まれつづけた首すじには、いくつもの咬み痕が、セミロングの黒髪に見え隠れしながら、赤い斑点を濡らしていた。
クラスメイトの澪に、話があると誘い出された教室で。
襲いかかってきた吸血鬼に、あろうことか澪は手助けをして、
じたばた暴れる両腕を抑えられ、どうすることもできずに首すじを咬まれていた。

ひどい、ひどいよ澪ったら・・・っ!
抗議の叫びも空しく、優奈の血はゴクゴクと喉を鳴らして飲みこまれていって、
視界を薄れさせた優奈はひざの力が抜けて、身体のバランスを失った。

「この教室でおひざを突いちゃうとね、罰ゲームが待ってるの。
 どんな罰ゲームか、知りたい?
 訊きたくなくても教えてあげるね。
 脚をね、咬まれるの。ハイソックスを履いたまま。
 いやらしく、ねちっこく咬まれて、
 ハイソックスに血とよだれがたっぷりしみ込むまで、くり返されちゃうの。
 あたしも昨日、やられちゃったの。
 優奈も、仲間になろっ☆」

耳もとに唇を近寄せて囁きかける澪の声色は、しっとりと、ネチネチと、優奈の鼓膜に突き刺さってきた。
――あなたが汚され辱められてゆくのを視ているのが、あたしとっても愉しいの。
小憎らしく笑う白い顔に、ありありとそう描いてあった。

「うぅぅ・・・たまらない!あたしも咬まれたくなっちゃった」
意識が朦朧となった優奈の前、
澪は大胆に髪の毛を自分で掻きのけて、赤黒く爛(ただ)れた咬み痕を吸血鬼の目の前にさらしてゆく。
吸血鬼は澪を抱きすくめて、優奈に襲いかかった時と同じように、がぶりと食いついた。
欲情もあらわな食いつきぶりに、優奈は悲鳴を忘れ、澪は随喜の声をあげる。
ぐちゅっ・・・ぐちゅっ・・・
生々しい吸血の音が、男の口許からあふれた。

「見て見て。お手本だよ。優奈もこんなふうに、脚を咬まれちゃうんだよ」
澪は嬉しそうに優奈に笑みかけると、弛んでずり落ちたハイソックスをぴっちりと引き伸ばした。
「ほら・・・ほら・・・見て・・・やらしい・・・ほんっと、意地汚いっ」
言葉とは裏腹に、澪は露骨に嬉し気な顔をして、優奈に視つづけるように促した。
ハイソックスごしに吸いつけられた赤黒い唇から、飴色をしたよだれが糸を引き、澪の足許を汚した。
「うう~、たまらない・・・たまらなくいやらしいっ」
「んもうっ、恥知らずっ!」
「侮辱だわっ・・・汚らしいわっ・・・」
口ではさんざん相手を罵りながらも、澪は男の非礼な仕打ちをやめさせようとはしていない。
失血でへたり込んでしまった優奈も、涙も忘れてクラスメイトの痴態をただ見つめるばかりだった。

吸血鬼が澪の履いているハイソックスを見る影もなく咬み破ってしまうと、
澪は白目を剥いてその場に倒れ、吸血鬼は射すくめるような目で優奈を見据えた。
伸びてくる猿臂を、避けようもなかった。
足首をつかまれて引きずり倒された優奈は、ハイソックスの上から男の唇がふくらはぎに吸いつくのを感じた。
生温かいよだれがじわじわと、優奈のハイソックスにしみ込まされてくる。
いやらしい・・・いやらしい・・・やめて・・・よして・・・
優奈は声にならない声をあげて、男を制止しようとしたけれど、
男は優奈の無抵抗をいいことに、ただひたすら彼女の足許を辱める行為に熱中しつづける。
ハイソックスごしに感じる男のなまの唇がいやらしくぬめるのを、
優奈は眉をひそめて耐え忍んだ。

這わされた唇の両端から、尖った異物がにじみ出て、優奈のふくらはぎの一角をハイソックスのうえから冒してきた。
あ・・・咬まれる・・・
そう思ったけれど、痛いほど抑えつけられていて、身じろぎひとつできなかった。
「お嬢さん、ご馳走になるよ」
男は優奈をからかいながら、ハイソックスのうえから牙を埋めた――

数刻後。
ふたりの少女は椅子に腰かけ、机に突っ伏しながら、
破かれてずり落ちたハイソックスのふくらはぎや、
スカートをたくし上げられてあらわにされた太ももを、
飽きもせずに這わされてくる男の唇に、
恥知らずにもぬめりつけられてくる男の舌に、
惜しげもなくさらしつづけた。

「キモチわるーい!ハイソックス、びしょ濡れだよ・・・」
さいしょは嫌がっていた優奈の声も、いまは明るい。
「ほんとだ、優奈お行儀悪いよ、学校に履いて行くハイソックスに、よだれつけられてるよ」
「澪だって、ひとのこと言えないじゃないっ」
「フフフ、愉しいでしょ?優奈も、愉しんじゃってるでしょ?」
優奈は照れ笑いを浮かべながら、なおも舌を這わせてくる男の仕打ちを許しつづけていった。
「濡れ濡れのハイソックス履いたまま帰るわけ?」
「だいじょうぶだよ。もう暗いし、紺のハイソックスだからシミも目立たないよ」
そういう問題じゃないと思うけど――そういいかけた優奈は、裏腹のことをいった。
「ママにばれないうちに脱いじゃえばいいんだよね?」
それから、チャームポイントのえくぼを可愛くにじませながら、いった。
「仲間、増やそ。」

「こんどは、お友だち連れてきてあげるね」

2017年10月14日(Sat) 07:48:21

放課後の教室で、澪(みお)は吸血鬼に襲われていた。
首すじを咬まれ、しつように吸血されて貧血を起こして、
教室の床にひざを突き、制服のスカートのすそを乱してうつ伏せに倒れ込んだ。
さいしょは忌まわしかった、血を吸われるという行為が。
だんだんと澪の理性を侵食して、快感を植えつける。

いまはもう・・・
血を吸い取られることが、快感になってきた。
素肌を牙に侵されることに、小気味よささえ覚えていた。
血潮が傷口を抜けてゆくときのむず痒い疼きが、むしょうに嬉しくなっていた。

さっきから。
男はしつように、澪の脚を咬んでいる。
紺のハイソックスを履いたふくらはぎを、それはいとおしげに撫でさすりながら。
欲情のおもむくままに、ふくらはぎのあちこちに牙を食い入れて、咬み応えを愉しんでいる。
愉しまれている。
そうとわかっていても、やめさせることはできなかった。やめさせようとも思わなかった。

うつ伏せの格好のままでは、自分の足許をどんなふうに苛まれているのかは見えなかった。
澪の想像のなかで、
彼女のひざ下をぴっちりと引き締めていたハイソックスは、見る影もなく咬み破られていた。
ほとばされた血潮はしなやかなナイロン生地にぬらぬらとしみ込んで、濡れ濡れになっていた。
けれどもそんなことさえが、むしょうに心地よい。小気味よい。

教室の窓に夕闇が迫るころ。
吸血鬼はやっと、澪のことを解放した。
「気が済んだ?」
澪は自分でもびっくりするくらいサバサバとした口調で、吸血鬼にいった。
吸血鬼は黙って頷いた。
「あたしの血、美味しかった?」
吸血鬼はまたも、黙って頷いた。
「黙ってちゃ、わかんない」
澪はしつこく応えをねだった。
吸血鬼は少女の耳もとに唇を寄せて、
「あんた、処女だな?」
とだけ、いった。
澪はプッとふくれ面をつくって、
「あたし子供じゃないもん」
と小声でいった。
「そのうちわしが、大人にしてやる」
「いやらしい」
口を尖らせる少女の首すじに男はもういちど唇を這わせ、喉を鳴らした。
「いや・・・死んじゃう・・・」
「また来てくれるね?」
「たぶん・・・」
澪は教室の隅に目線を迷わせながら、つづけた。
「こんどは、お友だち連れてきてあげるね」

この教室は、魔の教室――
そう呼ばれていると知ったのは、澪の血をたっぷりと吸い取ったこの憎らしい吸血鬼の口からだった。
そして、この教室に澪のことを呼び出したのは、いちばん親しいクラスメイトだった。
裏切られた――というさいしょの思いはすでに消えて、
他の子も、巻き込んじゃおう――という危険な思いつきだけが、彼女の胸の奥を駆けめぐっている。
だれが良いかな。美那子ちゃんかな、香織ちゃんかな。
そういえば、ここにあたしを誘った加奈は、あたしと同じ黒髪のセミロング。
そういう子が好きなのかな。
だったら明日誘うのは――優奈で決まり。

澪はちょっぴりだけ伸びた犬歯を唇の端に押し隠して、吸血鬼にバイバイをした。
「お友だち、連れてきてあげる」
澪はもういちど、男に囁いた。
男はくすぐったそうに笑みを浮かべ、少女の囁きに応えた。
きっと夕べ、加奈のやつあたしを紹介するって約束をして、こいつの笑みをもらったに違いない。
ちょっとだけ心が疼いたけれど。
親から受け継いだたいせつな血で彼の渇きを潤すことがもう、快感になってしまっていたから、
むしろ明日の想像をするだけで、身体じゅうがくすぐったくなってくるのを感じるだけだった。
加奈はこの教室に来なかったけど。
あたしは優奈のことを、ちゃんとここに連れてきてあげよう。
そしてあの子がかわいい顔に翳りをたたえて、うら若い血潮をたっぷりと吸い取られてしまうのを、小憎らしく笑いながら見守ってあげよう。

おそろいのライン入りハイソックス

2017年10月14日(Sat) 05:07:43

ったく、吸血鬼のくせに小心者なんだなお前は――
志郎は口をとがらせて、レイジを責めた。
レイジには、気になる女の子がいる。
同級生のアヤコのことだった。
けれども、レイジはアヤコに話しかけることもできず、
まして正体を明かして血を吸わせてほしいなんて、死んでも告白することができないでいた。
親友の志郎に打ち明けると、志郎は「まったくお前らしいな」と言い、
アヤコと同じ柄のライン入りの靴下を履いているときに吸血をねだられると、
仕方なさそうに靴下をひざ下まで引き上げて、咬み破らせてやっている。
きょうも体育の授業のあと、
志郎が短パンの下に履いていたライン入りの靴下に目を輝かせたレイジは、
体育館の裏手に志郎を誘って脚を咬んだ。
本人にお願いすることって、できないの?
志郎は咬ませてやりながらレイジに訊いたが、
レイジはひたすら首を横に振って、「無理無理」と言うばかり。
「わかったよ、じゃあ俺が話をつけて、連れて来てやるから」
志郎は仕方なさそうに、自分の足許にむしゃぶりついてくるレイジを見おろした。
「え?ほんと?ほ・・・ほんと?」
目を輝かせるレイジに、志郎はいった。
「でもさ、ほんとうのこというと、アヤコはぼくの彼女なんだ」

彼女を紹介して、血を吸わせてくれる――破格の好意だった。
でも、思春期で喉をしじゅう渇かせているレイジは、「悪いね・・・」とためらいながらも、志郎の好意にすがることにした。

「ぼく、あいつ(アヤコ)に告っといたから」
志郎の浮かない顔を見て、親友想いのレイジはちょっと心を痛めたけれど、
「ほんとうに来てくれるの?」
思わず飛び出た言葉は、嬉しさに満ちていた。
「さいしょはさ、お前のことが吸血鬼だって知って、あいつ“うそ~”って驚いてた」
「そうだよね・・・クラスに吸血鬼がいるなんて、やっぱ不気味だろうなあ」
「さいしょは怖がっていたけどさ、“でも志郎は彼と仲好いんだよね?”って気づいてくれて、“あいつ、お前の血を吸いたがってる”って言ったら、”志郎はいいの?“って言うから、”ぼくは構わないし、むしろ吸わせてほしいと思ってる“って言ったら、”志郎がいいなら私逢う“って応えてきた。まんざらお前のこと、嫌いなわけじゃないみたいだな」
でもその感情は、間に志郎が介在してこそ初めて成り立っているのだと、レイジはよくわきまえていた。
志郎の彼女を奪(と)るつもりはなかったし、たまたま彼女と同じ柄の靴下を履いていたのを見てあつかましくもねだった吸血に応えてくれた彼のことをないがしろにするつもりもなかった。

翌日の放課後、約束した校舎の裏手に、アヤコは現れた。
紺のプリーツスカートの下には、あのライン入りのハイソックスを履いている。
きりっとした縦のリブが走った白地のハイソックスは、発育のよい肉づきたっぷりなふくらはぎ――そういわれるのを彼女は好まなかったが――の印象を、ほどよく引き締めていた。
「やっぱり二人きりは怖いから、志郎そばにいてくれる?」
アヤコの希望を容れて、志郎は終始ふたりの傍らにいて、視線だけは逸らしつづけていた。

ライン入りの白のハイソックスに赤黒いシミを拡げながら、
アヤコは気前よく、若い血液を吸い取らせてゆく。
「だいじょうぶ?」
つかまえた足許から時折口を放してレイジはアヤコの顔を見あげたが、
「ううん、平気」
アヤコは気丈にもそう応えて、はらはらしながら見守る彼氏には、
「血を吸われるのって、意外にキモチいいね」
と、余裕の態度をみせていた。
やがて少女は顔色を変えて脚をふらつかせたけれど、
こんどはレイジのほうが夢中になってしまい、
めまいを起こしたアヤコが尻もちをついてしまうまで、彼女の脚を放さなかった。
うつ伏せになったアヤコの制服姿に、レイジはわが身を重ねていって、
左右の脚に代わりばんこに咬みつきながら、憧れていた靴下破りに熱中しつづけていた。

「やり過ぎたかな・・・」
われに返ったレイジは翌日、志郎に礼を言った後アヤコのことを気づかった。
「だいじょうぶ、うまく話しておいたから」
あの日現場で彼女が血を吸い取られてしまうのをはらはらしながら見つめていた親友は、
すっかりいつもの優しさを取り戻している。
「あいつ、言ってたぜ。
“あたしの血が気に入ったから、レイジはなかなか放してくれなかったんだね”
ってさ。
案外物わかりが良かったな。
まあ、俺の彼女だから、俺に似ているのかもしれないな。
お前の牙との相性も、なかなかいいみたい」
彼女の生き血を気前よく振る舞ってくれた親友は、意外にさばさばとした声色で、レイジにそういった。
「でもさ、お前・・・」
ちょっぴりだけ眉をひそめた志郎の顔を、レイジは怪訝そうにのぞき込んだ。
「血を吸った後、犯すだろ・・・?
 このあいだは、そんなことしないでいてくれたけど」
母親の血をレイジに吸わせるため家に招んだ志郎は、自身もしたたかに血を吸い取られたあげく、母親の首すじにかじりついたレイジがそのあとなにをしたのかまで、しっかりと見届けてしまっていた。
「ああ、あのときね・・・」
レイジは苦笑いしながらつづけた。
「大丈夫。アヤコが処女のあいだは、そういうことはしないから。」

ちょっとだけ安心した志郎は、レイジと別れた後にふと気がついた。
いつか俺がアヤコと結婚したら、アヤコは処女じゃなくなる。
そのときもしもレイジとつき合いつづけていたら――というか、そういう可能性が高いのだけれど――レイジはアヤコを抱くことになるの・・・?

一週間後。
志郎はレイジにねだられるまま、制服姿のアヤコを伴って放課後の教室にあらわれた。
「こいつのこと、咬んでやってくれないか?」
え?と、親友を見あげるレイジに、志郎はつづけた。
「お前、こいつの素肌に毒をしみ込ませたろ?
 あれ以来、彼女お前に襲われたがってるんだ」
たしかに――吸血鬼の習性として、牙から分泌する毒液がいくばくか、彼女の体内に流れ込んだのは間違いない。
毒液を植えつけながら、レイジがこう願いつづけたのも、間違いない。
――アヤコともう一度逢いたい。クラスメイトとしてではなく、吸血鬼として。

俺のことなら気にすんな、と、志郎はいった。
「お前が初めてアヤコのことを咬んだ時、異常にドキドキして昂奮しちまった。
 これっていったいなんなんだろう?って思った。
 お前が度胸をつけて、うちの母さんを襲ったとき、それが初めて分かった。
 ぼく本当は、おまえがアヤコを犯すのを視てみたかったんだ。」
アヤコは志郎の話を傍らで聞きながらも、頬を真っ赤にしながら俯いていた。
そして志郎に「ごめんね志郎、あなたの恋人のまま、この人に咬まれつづけるから」
というと、レイジの胸に飛び込んでいった。

その日この空き教室で行われたのは、決してレイプではなかった。
恋人まで認めた、彼の親友による女子生徒の処女破りの儀式。
明日もきっと、ふたりはおそろいのライン入りのハイソックスの脚を並べて、
渇いた喉を抱えた彼氏の親友に若い血液を振る舞うために、連れだって訪れることだろう。


(10月4日構想、今朝脱稿)

「だめダンナ」

2017年10月14日(Sat) 04:32:50

オフィスの中でいつもいかつい顔をして肩をいからせている部長が、
めずらしく照れくさそうに笑っている。
部長のデスクには、いつも威厳たっぷりに置かれている「〇〇部長」のプレートの代わり、
「だめダンナ」と大きく書いたプレートが。
いったいあれはなに?
この職場に来て間もないわたしが周りに訊いても、だれもがニヤニヤ笑うだけ。
だいじょうぶ、すぐわかるから。だれもが順番に置いてもらえるから。
同僚の一人はそう言って、自分のところにも月2か3くらいで置かれるんだといって、
部長と同じように、照れくさそうに笑った。

その晩自宅に戻った私は、この街に棲むという吸血鬼の訪問を、初めて受けた。
首すじにつけられた咬み痕が、ジンジンと妖しく疼いた。
相手は父親よりも年老いた、100に近いのではという老人。
それがまだ吸われていない妻のまえ、わたしに言った。
ご夫婦の寝室はどちらかな?
こっちです。もう布団を敷いてありますけど。
恐る恐る、妻がこたえた。
では、わしはその部屋で寝(やす)むとしよう。
吸血鬼はつづけていった。
奥さんを小ぎれいに着替えさせて、わしの部屋に連れて来てくれ。
寝苦しかろうが、あんたはそこのソファで寝ると良い。
首すじの疼きは、わたしの理性をあっさりと奪い、
どうぞお気の済むようにと会釈を返すと、ためらう妻を促していた。

「だめダンナ」
きのう部長の机に置かれたプレートが、今朝はわたしのデスクに置いてある。
臨席の同僚が、そっと囁いた――おめでとう、と。
職場のだれもが、見てみぬふりを決め込んでいる。
そしていつもと変わらぬ日常が、くり返されてゆく。
帰りぎわ。
プレートはいつの間にか、なくなっていた。
そして、向かいの同僚の席に置かれていた。
「彼のところがいちばん多くて、週1くらい。
そのつぎがぼくで、月2か3くらい。
やっぱり若い奥さんのほうが、彼としてもいいらしくって。
部長はきのうが初めてだったから、あんなに照れくさそうにしていたんだ。
あの人、部下の奥さんのことをあっせんするのは、得意なんだけれどもね」
彼の口調にちょっぴり非難の色があったのは。
彼の奥さんも部長にあっせんされてしまったからだろうか?

来月も。
若い社員がひとり、この職場に赴任してくる。
たしか新婚三か月だときいている。
事態は薄々、事前にきかされているはず。
でも、断り切れないなにかを抱えて、この職場にやってくる。
みんな都会にいられなくなった事情を抱えながら、
きょうも自分の机のうえにプレートが乗るのを、
なぜかドキドキしながら、待ち焦がれている。

(10月6日構想)

有言実行の男

2017年10月04日(Wed) 07:57:01

有言実行な男だった。
この街に移り住んですぐのころ、やつは面と向かってわたしに言った――
きみの嫁を、征服する、と。
吸血鬼と人間とが共存する街、とはきいていたけれど。
当時の思いのまま、それは気が進まない、と、わたしはこたえた。

一週間後。
身体じゅうの血をすっかり抜かれたわたしは部屋の隅に転がったまま、
妻までもがむざむざと首すじを咬まれてゆくのを、視ているしかなかった。
吸血鬼が人妻をモノにするとき、身体の関係まで結んでゆく。
そして愛情を抱いた相手のことは、決して生命を奪わない――という彼らの掟を、
わたしは目の前で、見せつけられた。

翌朝のこと。
今夜も遊びに来るという彼に向って、
歓迎するよ。ふたりは似合いのカップルだ。家内をモノにできておめでとう――
思わず口走った祝福に、妻はほっと胸をなでおろしていた。

孕ませてやるよ――
有言実行な男は、目の前で妻を抱きながらそういった。
でも第一子は、あんたの子だ。
生れてくるのが男の子なら。
手なずけて、彼女を紹介してもらう。ちょうどあんたのときみたいにね。
生れてくるのが女の子なら。
俺が犯す。
つぎに生まれてくるのは、俺の子だ。
生れてくるのが息子なら。
きっとあんたの息子の嫁か、自分の姉を犯すだろう。
生れてくるのが娘なら。
やっぱり俺が犯す。

気の長い話だな。
そんな軽口をたたくくらい、やつとはすっかり打ち解けた関係になっていた。
妻の浮気相手という事実も、
おなじ女を好きになったもの同士の連帯感にすり替わっていた。
妻の母親や、わたし自身の母親を紹介したときは、
やつと妻、それにわたしとは完全に、共犯者の関係になっていた。
あなたも母のことを抱いてみる?
妻はイタズラっぽい流し目で、わたしのことをいともかんたんに、篭絡していった。
息子の嫁の火遊びに、この世で最も厳しいはずの母は、嫁と同じ男を愛人として共有して、
「昼間はあなた、夜はあたし」と、嫁姑で夫を裏切る共同戦線を張るようになった。
父はわたしのときと同じ経緯で、寛大な夫になっていた。
長年連れ添った愛妻に向けられた老いらくの恋を認めてやって、
新たな恋に夢中になった母の浮ついた振る舞いに、見てみぬふりを決め込んでいた。

気の長い話は、ほんとうに実現した。
わたしは長男と長女に恵まれた。
息子は彼女ができたとき、真っ先にやつに紹介をして、
セーラー服の襟首から、処女の生血を吸い取らせてやって、
律儀な男だったので、責任をとってちゃんと結婚をして、
花嫁が披露宴を迎えるまえの晩、親しんだ小父さまを相手に処女を捧げるシーンまで、しっかり見届けてしまっていた。

父親ちがいの弟は、実の父親に似て、有言実行の男だった。
父さん、ぼくはぼくのほんとうの父さんみたいにして、この家族を乗っ取るからね。
でも許してね。優しい母さんや素敵な姉さんたちを与えてくれた父さんには、心から感謝するから――
そう宣言したその夜に、彼は息子の嫁を相手に筆おろしをして、
そのつぎの晩には、やはり父親ちがいの姉を襲って処女を奪った。
弟に犯された娘はそのつぎの夜、母親の情夫に誘惑されて、二人目の男を経験した。
けれどもこの父親ちがいの弟は、実の父に似てべつの意味で律儀な男で、
嫁入り前の身体を汚されてしまった姉のため、自分が作った人間の親友を紹介してやって、
結婚後も姉弟がつき合うのを承知のうえで、娘を娶ることを承知した。
親友の母親が口うるさい姑だったら、きっと吸血鬼の親子に犯されてしまうのだろうね。
そういうわたしのまえ、
妻の情夫と血のつながっていない息子とは、似通った面差しを並べて笑う。
父さん、だいじょうぶ。もう征服しちゃったから――
ふたりとも本当に、有言実行の男たちだった。

村の吸血鬼に捧げた妻

2017年10月04日(Wed) 07:00:49

薄いピンクのスーツに、黒の網タイツ。
そんないでたちをお出かけ姿にした妻は、
立派に「都会育ちの淫乱妻」。
そういう役柄を望んだのは。
望んできたわけでもないこの片田舎の任地で、
妻を見初めた村の衆。
相手は妻の父親よりもずっと年上な、みすぼらしい爺さまだった。

むしろそういうひとのほうが、気楽だわ。
妻がそう言ったのは、男が妻を組み伏せて、無理やり想いを遂げたあとのこと。
前もって首すじを咬まれて血を抜かれてしまったわたしは、
むざむざと征服されてゆく妻のありさまを、ただ見せつけられることしかできなかった。
植えつけられてしまった妖しい昂ぶりを、歯を食いしばってこらえながら。

行為が済まされてしまうまでのあいだ、わたしが歯を食いしばっていたのを、
屈辱をこらえていたのだと誤解した妻は、
はだけたブラウスを直そうともせずに、わたしのほうへとすり寄って、
あなたごめんなさいを、ひたすらにくり返していたけれど。
男との取引はその場で成立して、妻を安心させていた。

夫を愛しているから、離婚するつもりはない――と、妻。
妻を愛しているから、離婚するつもりはない――と、わたし。
離婚してもらうには及ばない。家族を壊すのも嫌だし――と、爺さま。
そして爺さまがそっと囁いたひと言に、わたしはゾクッと昂ぶりを覚える。
あんたの奥さんを、志藤夫人のまま辱め抜きたいのぢゃ。

でも二人が望むなら、お付き合いに応じさせても・・・と言いかけてしまったら。
妻があとを継いで、つつしんでデートのお供をつとめさせていただきますと言い出して、
あなたの妻のまま、あなたを裏切らせて――そう囁く妻に、無言で肯きかえしてしまっていた。

都会に住んでいたころ、肌色のストッキングしか穿かなかった妻は、
いまでは男の好みに合せて、妖艶な黒のストッキングや、けばけばしい光沢タイツ、網タイツを穿くようになった。
そして逢引きをする時には、わたしの送り迎えを望むようになった。
だって、貧血になるんですもの。
頭をかかえながら一人で帰るのはいやだわ。
だって、お洋服をくしゃくしゃにされてしまうんですもの。
おっぱいをまる見えにさせながら一人で帰るのは困るわ。
妻の言うなりに、送り迎えのつとめを果たすことに、
辱めよりも歓びを感じはじめてしまった、わたし――


きょうもまた、わたしの隣を歩く妻は、
網タイツの脚をおおまたに、歩みを進めてゆく。
発育のよろしい肉づき豊かなむっちりとしたふくらはぎに、
水商売の女みたいな妖しい網タイツを穿いて。
大またで歩いてゆくその先には、
年老いた情夫の待ち焦がれる、恥知らずな不倫のベッド。

娘よりも若い女を迎え入れた爺さまは、
おぅ、おぅ、きょうはいちだんと、あでやかぢゃの――と、妻のことをほめたたえて、
どうせ、血をたっぷり獲るには太い脚のほうがいいって仰るんでしょ――と、妻はこれ見よがしなふくれ面をして、
どうぞごゆっくり――と、わたしは気をきかせて、座をはずす。
うかうかしているとその場で血を抜かれて、いちぶしじゅうを見せつけられる羽目になる。

そ知らぬふりをするわたしの背後、
爺さまは恥知らずに妻にすり寄って、網タイツの脚にしゃぶりつき、
妻は恥を忘れてきゃあきゃあとはしゃぎながら、つま先立ちをしてもの欲しげな唇をなすりつけられてゆく。
黒の網タイツをびりびりと咬み破かれながら、生き血を吸われ、犯されてゆく――

9月のまとめ

2017年10月02日(Mon) 05:46:36

先月あっぷをした記事の数は8作と、今年のなかでは比較的少なめでした。
すとれすが多いと記事数が増える傾向にありますが、
記事数が少ないからすとれすとは無縁なリアルを過ごしているわけでは決してなくて・・・
今月はどうなるかな?

それはさておき。
8つのお話のうち、5つにコメントをいただきました。
(ありがとうございます)
ノーコメント記事が圧倒的に多数であるココとしましては、出色の出来です☆
いちいち統計は撮っていないけれど、割合としては過去最高なんじゃないかな?

こりずに読みに来てくださる方。
コメントまでくださる方。

ほんとうに、ありがとうございます。

乱倫な家庭。

2017年09月25日(Mon) 07:43:42

妻の美緒が着ている薄紫のスーツを身にまとい、
毒々しい光沢のよぎる黒のガーターストッキングを脚に通して、
あお向けに横たわるたたみの上、
息せき切ってのしかかってくるのは、息子のタツヤ――
太く逞しく育った茎が、志郎の臀部を犯し、さっきから熱いほとびをはじき散らしていた。

激しく交し合う息遣いだけの無言のやり取りに、
いまはなんの不自然さも感じない。
ふたりの意識は、抱き合っている相手と等分に、ふすまの向こうにも注がれていた。
妻の生き血を求め続ける吸血鬼のために、身代わりに妻の服で女装して、
生き血を吸い取られたうえに、男の身でありながら淫らな欲求にも応じていって、
けれども隣室では、息子が吸血鬼にそそのかされるまま、妻のうえにおおいかぶさっていって、
不覚にも妻は、声をあげながら応じてしまっていた。
ひとしきり行為をおえると、男ふたりは相手を取り替え合って、
妻のうえには、吸血鬼が。志郎のうえには、タツヤが。
相手選ばず息荒く、身体を重ねて迫ってきた。

犯す悦びと犯される歓び――
いま息子の胸を染めているのがその両方なのだと、気づかずにはいられない。
いっぽうで自分の胸を染めているのは、
妻を犯される歓びと、自身が犯される悦び――
息子が女装していたこのあいだとは立場が逆の行為に、
昂ぶりにむせ返りながら耽ってしまっていた。

ちょっとのスキを突かれて首すじを咬まれ、生き血を吸い取られて、
息子、妻、夫の順に狂わされて、
お互いうかつな家族だったとため息をつき合いながらも、
しかたがないね、せっかくのご縁だから大切にしようねと、
夜な夜な訪問をくり返す吸血鬼のため、それまでの枠組みを突き抜けた交わりを遂げ合うようになっていた。

父さんがだらしないから、母さんが犯されちゃうんだ。
父さんがうかつだから、ボクまで母さんとできちゃったんだ。
ふたりしておかしいから、こんなふうになるんだね――
そう囁きながら責め言葉でイカせつづけたタツヤが、唇を重ねてくるのに応じてやると、
どこで覚え込まされたのか舌まで入れてきて、からみあわせて応えてゆく。

たしかにうかつな一家にちがいなかった。
男女どちらにも長けてしまったタツヤは数年後、良家の子女である珠美と結婚した。
珠美の処女を獲る代わりに、タツヤは吸血鬼と姑との仲を取り持つことになる。
人妻好きな吸血鬼が、タツヤの嫁とその母とを餌食にするのは明白だったから、
タツヤは美母娘を堕落させる行為に、すすんで協力したのだ。
すべてが仕組まれた結納の席――
珠美の母親は結納の引き出物がわりに、夫の前で貞操を侵奪される。
前もって首すじに咬み痕をつけられた珠美の父親は吸血鬼の求愛をこころよく許して、
永年連れ添った妻との交際を
夫を愛している。だから離婚はしない。
夫がいる身のまま、愛していただけるのなら――と、珠美の母親はもっとも賢明な選択をして、娘に模範を示していた。


独りの部屋のインターホンが、明るくはずんだ音色で鳴った。
美緒が吸血鬼の邸に入り浸っているあいだ。
だれかしらが、志郎を慰めることになっていた。
あるときは、息子の嫁が。あるときは、その母親が。
妻を寝取らせた夫が独り身で暮らす家をひっそりと訪れて、夜通しの奉仕をつづけてゆく。
開いたドアの向こうに佇むのは――
妻の服で装った、タツヤだった。
「今夜は屋敷をハレムにするんだって。
お義父さんはお義母さんのことが気になる~って出かけていったけど、
じゃあ父さんを慰めるのはボクの役目だねっていって、
美緒と珠美にオーケーもらって来たんだ」
愛人にしてしまった美緒のことを「母さん」と呼ばず、呼び捨てにするのに、志郎はどきりとしたけれど。
ドアを閉めるなりタツヤの唇を自分のそれで密封するようにして、息苦しいほど熱い口づけを交し合うと、
まるで妻が帰宅したかのように夫婦の寝室に引きずり込んで、
しなやかな若い肢体ともつれあうようにして、ベッド・インしていった。
歪んだ家族が性愛に耽る夜は、今夜も長く深い――


あとがき
後日談まで入れたところで、本シリーズはいちおうの「はっぴぃ・えんど」でしょうか。
当ブログでも最も乱れた部類のお話になってしまいましたが、どういうわけか筆が進みました。
たまには、はっちゃけたお話を描きたくなるモノですナ。
(^^ゞ

靴下交換  ~第二夜~

2017年09月24日(Sun) 09:16:26

貴男のいつも勤め先に履いて行くハイソックス、履き心地がちょっといやらしい。
女のひとが履いても、見映えがしそうね。
妻の美緒がそういいながら、自分の愛用しているストッキング地のビジネスソックスをまとった脚を見おろしている。
妻が吸血鬼の相手をする前に、志郎はあらかじめすっかり血を抜かれて、部屋の隅に転がされていた。
薄ぼんやりとした視界の目の前に、ペルシャじゅうたんの幾何学模様が迫っている。
さいしょのころは、二日酔いのような不快さがあったものが、
いまではこの無重力状態がもたらす陶酔感が、たまらなくなっていた。
きっと自分が倒れてしまった後、目の前で妻と息子が支配を受けて、
唯々諾々と振る舞って志郎のことを裏切ってゆく光景に、歓びを覚えてしまって、
その歓びが失血に伴う無重力状態と二重写しになっているからなのだろう。

志郎が履いているのは、息子が初めて咬まれたときに履いていたのと同じ、真っ白なハイソックス。
先週は妻の美緒がまとい、高校時代の制服まで着込んで、犯されながらくねる脚を眩しく彩っていた。
その光景が網膜に灼(や)きついてしまった志郎は、「こんどはぼくの番だね」と妻にいい、
妻もまた「そうね。でもタツヤから借りるのは、自分でしてくださいね」と返してきた。
「タツヤのハイソックスを履いて、あのひとに会いたい」
父親としては口にするべきではないはずの振る舞いも、いまはすらすらとデキてしまう。
それがむしょうに、小気味よかった。
いままで彼のことを縛りつけてきたあらゆる束縛が断ち切られた開放感が、
彼の胸を少年のようにドキドキさせているのだった。
働き盛りの血潮は若返って、いっそう活き活きと彼の血管をかけめぐって、
淫らな鼓動をドクドクと脈打たせながら、妻の情夫の渇いた喉をうるおす機会を欲していた。

息子のタツヤが、青春の活力を生き血もろとも惜しげもなく自身の身体から抜き取らせてしまうのも、心から共感できた。
これは献血なのだ。決して堕落ではない。
志郎はそう自分に言い聞かせ、妻が奴隷のように犯され、吸血鬼の性欲のはけ口として貞操を汚されてゆくのを、歓びをもって受け入れるようになっていた。

あッ!やめてッ!
靴下破かれたら、通勤できなくなっちゃうわッ!
〇〇重役や××局長に叱られるぅ・・・
実在の夫の上司の名前まで口にしながら、半分夫になり切りながら、
足許を狙われた美緒は、夫の愛用の靴下を咬み剥がれてゆく――
片方はくしゃくしゃになって、くるぶしまでずり落ちて、
もう片方も吸われた痕跡を伝線も鮮やかに走らせながら、剥ぎ堕とされてゆく。
あらわになった脛は、淫らな血色を帯びてピンク色に輝いていた。

妻があっさりと股を割られて男の侵入を受け容れてしまうのを、
夫は息子と2人ながら見届ける羽目になった。
自分の靴下を履いたまま犯されてゆく妻――
先日男のためにビジネスソックスを脚に通して愉しませてやったその後の記憶が、志郎のなかで二重写しになっていた。
俺はこんなふうにして、男に犯されてしまったのだ――
妻のまえでくり広げてしまった異常な痴態が、まっとうだった家庭の枠組みを瞬時に変えてしまったのだけれど、
もう、後悔は感じていなかった。

息子はセックスを視るのが初めてだったらしく、自分の母親だった女の裸体を、舐めるような目線を這わせてゆく。
危険な予感が志郎の胸をよぎったが、このさい深く考えないことにした。
だって息子はいま、妻の黒の礼服を借りて女の姿になってしまっているのだから。

「どれでも好きな服を選んでいいのよ」
美緒は寛大にも、息子のまえで色とりどりの衣装で満たされたクローゼットを開け放って、
吸血鬼を迎えるときに着る服を選ばせていた。
真っ赤なワンピースやショッキングピンクのミニスカートはちょっと見ただけで、
意外にも息子が選んだのは、地味な黒の礼服だった。
伯父さんの法事にお寺に行ったとき、美緒が着ていたのが気になったのだという。
そして、ストッキングには、この種の衣装につきものの黒のストッキングを、
上ずった声でリクエストしていた。

犯され抜いた妻がその場にへたり込んで、伸びてしまうと、
男の魔手は、女の姿になったタツヤへと向けられた。
「ひっ」
タツヤは女のように声をあげ、飛びのこうとしたけれど、吸血鬼の猿臂を避けることはできなかった。
そのまま首すじを咬まれ、ひと重に巻かれた真珠のネックレスに若い血潮をしぶかせながら、
男のあくなき渇きを、自身の身体をめぐる血潮でうるおしていく。
その姿に、いつか吸血鬼と心理を同化させてしまった志郎は、
「息子が気の毒」というよりも、「やつは美味しそう」という思いで受け止めていた。
目のまえで妻を犯されることが照れくさく、誇らしいと感じてしまう志郎としては、きっとそれがもっとも自然な感情だったのだ。

ああーッ・・・
息子は悲痛なうめき声をあげてその場であおむけに倒れ、
黒のストッキングのふくらはぎに飢えた唇をくまなく当てられ、
ところどころ気まぐれに咬まれながら、ストッキングをチリチリに引きむしられてゆく。
女の衣装を身にまとい、男の欲情に奉仕する――
母さんの身代わりになりたい。
というタツヤの気持ちに嘘はないはず。
でもその裏返しに、
女になってあのひとに奉仕したい。
そんな想いも強くあることが、キスを交し合い手足を巻きつけ合って息をはずませ合うふたりをみて、いっそうひしひしと感じられた。

先週。
志郎が妻の服を着て吸血鬼と初めてのセックスを交わしたとき、
美緒はそのすぐ傍らで、乱れた制服姿で息子に組み敷かれ、制服のプリーツスカートのすそを、ふたたび乱していった。
美緒は息子のことを名前で呼び、息子も母親のことを美緒と呼んだ。
交し合う息遣い。
巻きつけ合う手足。
それらが新しい家族の関係を、志郎のまえに見せつけていたのだった。
きょうはどんな組み合わせが、待っているのだろう?
男どうしで交し合うすべは、先週たっぷりと教え込まれていた。
まだいちどしか冒されていない息子のお尻は、まだ瓜のように硬いのだろうか?
父親として持ってはならない危険な感情におののきながら、志郎もまた、罪深い欲望を抑えきれなくなっていった。


あとがき
かなり背徳的なお話になってしまいました。^^;
このお話、前作と同じ日に描き上げていたのですが、あっぷするのが時間切れになってしまいました。
今朝読み直して若干直したうえであっぷしました。

靴下交換

2017年09月20日(Wed) 07:56:34

はじめに
前々作「少年のハイソックス、お母さんのストッキング、ご主人のビジネスソックス・・・」のコメントで、
ナッシュ・ド・レーさんに、ソックス、ストッキングを交換して家族で吸われるストーリーを提案されました。
ちょっとドキドキしたので、発作的にあっぷしてみました。



父さんが通勤のときに履いている紺のハイソックス、
ふつうのおじさんが履いているやつよりずっと薄くて、ストッキングみたいなんだね。
脛が透けててちょっと恥ずかしいし、
肌触りがジワリと素肌にしみ込んで、ちょっといやらしい気分になりそう――

息子のタツヤが半ズボンの下、吸血鬼に見せびらかした足許には、
父親の志郎がいつも履いている、通勤用の薄手のハイソックス。
薄っすらとした光沢を帯びた薄手のナイロン生地が、
紳士用とは思えないくらいなまめかしく、少年のふくらはぎを妖しく染めている。

さぁ、咬んでよ。父さんにしているときみたいにさ。
しつこくいたぶっても、いいからね。
きょうは父さんの代わりに、イヤらしいハイソックスを履いて相手をしてあげる。
タツヤがそれらしく、ちょっとだけぎこちなく脚をくねらすと。
吸血鬼は目の色をかえて、若さを帯びたふくらはぎにとりついていった。
ククククククッ・・・
吸血鬼はたちまち少年の身体の自由を奪うと、みずみずしい下肢に辱めを加えてゆく。
薄手のナイロン生地のうえから、にゅるッとなすりつけられる恥知らずな唇が、
いつも以上にいやらしい。
物陰からいちぶしじゅうを窺っていた志郎は、
息子が吸血鬼を相手に娼婦のように振る舞って、
自分の愛用している靴下を凌辱させる様子に、不覚にも昂ぶりを抑えきれなくなっていた。


いつも息子が貴男に咬み破らせている白のハイソックス、
あたしもためしに、履いてみたの。
白なんて、学生のころに履いて以来だわ。
だから、古い制服を出して、着てみたの。
おばさんが女子学生のかっこをしても、はじまらないかしら?

大人の女性が女子高生の制服を着ると、
現役生とはちがった趣に、つい視線を惹きつけられる――
夫の志郎は、視られているとも知らずに吸血鬼との密会を遂げようとする妻の姿に嫉妬した。

なんだか不思議だなあ。少女のころに戻ったみたい。
妻の美緒は、自分でしかけた演出に自分で昂奮しながら、
モデルさんみたいにくるくると回って見せた。
美緒の動きに合わせて起ちあがった吸血鬼の猿臂が、まるでムチのように美緒の身体に巻きついて、
しっかりと羽交い絞めにして、抱きすくめてゆく。
あッ!制服汚れちゃうわっ。首すじ吸うのは止しにしてッ!
あたしまだ、お嫁入りまえなのよッ!!
美緒はすっかり少女になり切って、吸血鬼に襲われる乙女を演じつづける。
ククククククッ・・・
吸血鬼はにわか作りの人妻女子高生に露骨に発情して、
豊かな首すじに牙を突き立て、真っ白なブラウスにバラ色のしずくをほとばせ始めた。
ああ――ッ!
初めて襲われたとき、まだ正気だった妻は冥界に引きずり込まれるのを忌むようにして、おなじ悲鳴をあげたはずだが、
あざやかに朱を刷いた小づくりな唇から洩れるうめき声には、もっと甘美で淫らなものが混ざり込んでいた。

生き血を吸い取られて貧血を起こし、半ば意識を奪われて、じゅうたんの上に転がる――
いつもと同じ経緯で、美緒は堕ちてゆく。
うひひひひひっ。
恥知らずな唇が、白のハイソックスを履いた美緒のふくらはぎに吸いついて、
しなやかなナイロン生地に浮いたまっすぐなリブ編みをねじ曲げながら、
グニュグニュとうごめきつづける。
その唇の下、白一色の生地が赤黒いシミを拡げてゆくのに、ものの一分とかからなかったはず。
息子と妻と、ふたりながら同時に辱められる想いを、志郎は屈辱としてではなく、陶酔として受け止めはじめていた。

妻が完全に気絶してしまうと、こんどは志郎の番だった。
・・・済んだの・・・?
思わず女声になっているのは――彼自身がまとっている衣装のもつ魔力のせい。
いつも美緒がPTAのときに着ていくので見慣れている、深緑のスーツ。
首もとをふた重に取り巻く、真珠のネックレス。
淡い光沢を帯びた肌色のストッキングは、
「きっとあなたが気に入るだろうから」と、
美緒が特別に貸してくれた、それこそ結婚式のときにしか脚に通さないような華やいだもの。
そのストッキングの足許に、妻と息子の生き血に濡れた唇が、無作法に吸いつけられてゆくのを、
美緒になり切った志郎は、
「いや・・・っ・・・」
と、女になり切った声色で拒んだ。

無力な抵抗は相手の劣情を逆なでするものだと、
女になり切ることで芽ばえた本能が、初めて教えてくれた。
志郎は心の底の声に教えられるままに、
無器用に脚をくねらせて、妻の情夫が執拗に吸いつけてくる唇に、応えつづける。
さっき息子が、志郎の愛用のハイソックスを履いて、吸血鬼をもてなしたのと同じように。

女の衣装が似合うとか、似合わないとか、そんなことはもう、念頭になかった。
その身に寄り添ってくる女の衣装がもたらす奥ゆかしい支配力が、
彼の意思を麻痺させ、彼を女に変えてゆく。

おまえはもう、わしのものだ――男はいった。
ハイ、わたしはもう、あなたのもの。主人のことは裏切るだけ――女はいった。
それを物陰から、証人のように見届けながら、
妻が凌辱され征服されてゆく光景に、さいごまで見入っていた。
妻が奴隷に堕ちたときのシーンの再現なのだと自覚した志郎は、
あのときの美緒のように振る舞ってゆく。

おまえはもう、わしのものだ――男が囁いてくる。あのとき妻にそうしたように。
エエ、わたしはもう、あなたのもの。妻の裏切りが嬉しいです――女になった志郎は囁き返す。
ふとかたわらをみると、意識を取り戻した妻がじいっと、こちらを視ている。
まるで家族の淪落を見届ける証人のような目で。
志郎が頷くと、美緒も頷き返してくる。
視線を相手の男に移した志郎は、媚びを含んだ上目遣いで妻の情夫を見あげ、いった。
いっぱい、辱めてくださいね。
初めての密会のとき、妻は確かにそういったはず――
志郎の履いている光沢ストッキングは、太もも丈だった。
――パンストと違って、穿いたままできるのよ。
あのとき妻がいつかそういっていたのを、
パッケージを切っていないストッキングを手渡されるときに思い出した。
すその短めなスーツのすそがめくれあがって、あらわになった太ももを隠そうともせずに、
太ももの奥を帯のように区切るストッキングのゴムまであらわにして、
志郎は妻の情夫を自らの股間に受け容れた。

初めて体験する激しい吶喊に、さすがにしんけんなうめき声を洩らしながら、志郎は思った。
こんなに硬い、こんなに剛(つよ)いモノを刺し込まれたら、だれだって狂う・・・と。
夫のしんそこの堕落を証人のように見つめる妻の目線が、かえって小気味よかった。
きみが犯されるのを昂奮しながら視つづけたぼくのまなざしも、
きみはこんなふうに小気味よく受け止めていたのか・・・
しつようにくり返される交歓は、熱を帯び、男女の別を越えて、志郎を狂わせた。
すごい・・・すごい・・・凄いッ!
志郎は少女のように、妻と自分と(そしてたぶん息子も)を狂わせた一物に、いつか夢中で称賛を口にしていた。
恥かしいとも、悔しいとも、惨めだとも感じない。
むしろ妻が堕ちたことに共感し、
妻を辱められたことに誇りを覚え、
息子を教え込まれてしまったことにまで歓びと受け止めて、
家族ぐるみの奉仕を誓いつづけてしまうのだった。

思い出。

2017年09月15日(Fri) 07:06:01

まぁ・・・いい想い出だったかも。
修学旅行先で迷子になって、吸血鬼の棲む村にアベックで迷い込んで、
いっしょに咬まれてしまったたか子ちゃんは、そんなふうにうそぶいた。
不敵な横顔が、妙に頼もしかった。
制服のスカートの下、血に濡れた真っ白なハイソックスが、妙に眩しかった。

いい思い出ってことにしとこうよ。
新婚旅行先はどうしてもあの村だと言い張った、たか子さん。
案の定、新婚初夜は彼らにも祝われてしまった。
処女の生き血を吸い取られ、ぼくの視ている前で、初めて女にされて。
それでもたか子さんは満足そうで、
これ見よがしに、わざと悩ましい声を、ぶきっちょにあげていた。
なかばはぎ取られたよそ行きのスーツのすそから覗く太ももをよぎるストッキングの伝線が、妙にエロチックだった。

ゴメン、思い出だけじゃ、すまなかったみたい。
結婚一年で発覚した、たか子の“お里帰り”。
いちど吸血鬼に咬まれた女性は、その場所をじぶんの故郷なのだと植えつけられて、
遠く離れた街にいても、彼らの誘いを拒めなくなるという。
意思の強い彼女でさえ、例外ではなかった。
ぼくは思い切って、口にする。
夫婦で此処に住もう。きみのことを思い出にしたくないから と。
犯されるきみのあで姿を、ぼくの思い出にしても構わないから と。
ぼくにとってもエロチックで、愉しい思い出になりそうだから と。

気がつけば、周囲には、降り注ぐ拍手。
こうしてぼくは、新妻の夜這いをゆるす寛大な夫の役にハマり込んでいった。

少年のハイソックス、お母さんのストッキング、ご主人のビジネスソックス・・・

2017年09月15日(Fri) 06:22:42

あッ、何すんだよッ!?
尾上タツヤはあわてて身をすくめたが、
学校帰りの路上に立ちはだかった吸血鬼の欲望を抑えることはできなかった。
ああああああッ・・・
必死の叫び声もむなしく、タツヤはたちまち地面に抑えつけられて、首すじを咬まれてゆく。
ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・
ひとをこばかにしたような吸血の音とともに、少年の体内をめぐる若い血液は
吸血鬼の渇いた喉をぞんぶんにうるおし、むさぼり取られる。
顔をあげた男の頬には、吸い取った血しおがテラテラと光った。
そして我が意を得たようににんまりとほくそ笑むと、
うつぶせに倒れた少年の足許ににじり寄って、
こんどはハイソックスを履いたふくらはぎに牙を埋め込んでいった。
タツヤの足許をぴっちりと引き締める真っ白なハイソックスのリブ編みの生地に、
赤黒いシミがじわじわと拡がっていった。

きみの血が気に入ったのだから、なん度も吸いたくなるのは当然だろう・・・?
吸血鬼の無茶苦茶な論法に、それでもタツヤは黙って頷き、
今後は彼に咬み破らせるために毎日ハイソックスを履いて登校すると約束した。
母さんにはくれぐれも、内緒だからね。
そんなふうに囁く少年の頬は、いつか淫靡な昂ぶりに輝きを帯びていた。

タツヤが毎日好んでハイソックスを脚に通して吸血鬼に逢いに行き、
発育のよいふくらはぎを惜しげもなくさらして、
真新しいハイソックスを気前よく咬み破らせるようになったのは、
それから数日経ってからのことだった。


あッ、何をなさるんですッ!?
タツヤの母、尾上美緒は怯えて縮みあがったが、
息子の手引きで自宅にあがり込んできた吸血鬼の欲望を抑えることはできなかった。
ああああああッ・・・
必死の叫び声もむなしく、美緒はたちまちたたみの上に抑えつけられて、首すじを咬まれてゆく。
ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・
ひとをこばかにしたような吸血の音とともに、人妻の体内をめぐる熟れた血液は
吸血鬼の渇いた喉をぞんぶんにうるおし、むさぼり取られる。
顔をあげた男の頬には、吸い取った血しおがテラテラと光った。
そして我が意を得たようににんまりとほくそ笑むと、
うつぶせに倒れた主婦の足許ににじり寄って、
こんどはストッキングを履いたふくらはぎに牙を埋め込んでいった。
美緒の足許をなまめかしく染める肌色のストッキングの生地に、
妖しい裂け目がじわじわと拡がっていった。

息子さんの血が気に入ったのだから、お母さんの血が気になるのは当然だろう・・・?
吸血鬼の無茶苦茶な論法に、それでも美緒は黙って頷き、
今後は息子が彼に咬み破らせるためのハイソックスの買い置きをしておくと約束した。
あんたの穿くストッキングの買い置きのほうも、忘れずにな。
そんなことまで囁かれても、羞ずかしそうに俯き、頷くだけだった。
お父さんにはくれぐれも、内緒にしてくださいね。
そんなふうに囁く母親の頬は、いつか淫らな娼婦の輝きを帯びていた。

美緒が毎日好んでストッキングを脚に通して吸血鬼に逢いに行き、
肉づきたっぷりなふくらはぎを惜しげもなくさらして、
真新しいストッキングを気前よく咬み破らせるようになったのは、
それから数日経ってからのことだった。


うッ、何をするッ!?
美緒の夫、尾上志郎はうろたえて立ちすくんだが、
勤め帰りの自宅で妻の上におおいかぶさる吸血鬼の欲望を抑えることはできなかった。
ああああああッ・・・
随喜のうめき声をあげながら生き血を吸い取られてゆく、最愛の妻――
しかしそんな光景から志郎は目を離せなくなっていた。
恥を忘れた美緒が自分からスカートのすそを乱して、
吸血鬼の逞しい腰つきが股間に侵入するのを受け容れてしまうありさまを目の当たりにして、
マゾヒスティックな歓びに目ざめてしまったのだ。
ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・
ひとをこばかにしたような吸血の音とともに、妻が生き血を吸い取られたあと。
志郎もまた、自分から組み敷かれていって、首すじを咬ませてしまっていた。
ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・
ひとをこばかにしたような吸血の音とともに、働き盛りの四十代の血液が
吸血鬼の渇いた喉をぞんぶんにうるおし、むさぼり取られる。
顔をあげた男の頬には、吸い取った血しおがテラテラと光る。
そして我が意を得たようににんまりとほくそ笑むと、
スラックスのすそを自分から引きあげてゆく志郎の足許ににじり寄って、
こんどはハイソックスを履いたふくらはぎに牙を埋め込んでいった。
くるぶしの透けた薄地のナイロン生地に、エロチックな裂け目がじわじわと拡がっていった。

奥さんや息子の血が気に入ったのだから、あんたのことが気になるのは当然だろう・・・?
吸血鬼の無茶苦茶な論法に、それでも志郎は黙って頷き、
今後は彼に咬み破らせるために毎日長めのビジネスソックスを履くと約束した。
奥さんのストッキングや息子のハイソックス代、しっかり稼いでくれよ。
そんなことまで囁かれても、困ったように俯き、頷くだけだった。
妻と息子のことを、よろしくお願いしますね。
そんなふうに囁く父親の頬は、いつか少年のようなイタズラっぽい好奇心を、恥を忘れてあらわにしていた。

志郎が妻の不倫や息子の火遊びを愉しげに黙認して、
自身もストッキングのように薄いビジネスソックスに包んだふくらはぎを差し伸べて、
潔く吸血鬼の凌辱にゆだねるようになったのは、
それから数日経ってからのことだった。

吸血鬼の支配を許し受け容れた父、母、息子の血潮は吸血鬼の体内で入り混じって渦を巻き、
欲情に満ちた彼の牙を今夜も淫靡に染めるのだった。



あとがき
少年が、人妻が、その夫までもが。
三人三様に、そしてまったく同じような経緯で餌食になってゆく――
そんなお話を、ちょっと童話調に描いてみたくなりました。

息子と2人して夫に内緒で血を吸わせる妻の行為は、
どことなく不倫や母子相姦を連想させますし、
妻子の生き血を吸い取られるのを許したうえで自身の生き血まで提供してしまう夫の行為は、
どことなく同性愛の要素をはらんでいるような気がしています。

人妻を口説く。

2017年09月04日(Mon) 05:19:02

民俗学の本みたいな描きかたで、描いてみました。^^


この村は、人妻を口説く行為に寛容である。
夫の親友がその妻を。
舅が息子の嫁を。
息子の幼なじみがその母親を。
親しい同士で口説き、夜這い逢っているという。

節操というものは大切にされていて、
村の少女たちは年ごろになる前からそうしたことを母たちから教わっているほどであるが、
同時に大切である節操を与えるということもまた、陰では奨励されているのである。
なによりも、当の母親たちが夫の親友や舅、それに息子とまで通じ合っているのだから。

人妻を見初めた男はその家に言って、その女の夫に地酒を振る舞う。
夫のほうでも相手の下心はよく心得ているが、
よほどのことがなければその地酒を飲んでひと寝入りを決め込む。
そうなる以前から間男のほうから夫に申し入れがしてあって、
夫はそれとなく、妻に言い含めておく。
相手の間男のことをことさらに褒め、
その男との関係は自分にとって大切であること、
であるから妻である貴女もまた、彼と親しくなることが務めであることを告げるのである。
それだけで妻の側もいっさいを承知して、
夫がその男を迎える日には、身なりを整えきちんとした服装で応接をする。
妻を口説かれるということは、その妻を持つ夫を称賛することだと見なされている。
だから間男は人妻を征服しても夫の名誉を傷つけようとはしないし、
夫もまた同じ女性を愛する男性として、間男の好意を容認するのである。

夫が地酒によってひと寝入りしてしまうのを見はからって、
間男は妻に言い寄り、夫婦の布団のうえで彼女を組み敷いてゆく。
さいしょのときの抵抗が長ければ長いほど称賛の対象となるが、
どこかでは必ず力を抜いて、夫の友人の好意に応え、応接しなければならない。
その夜は、妻にとっても夫にとっても、長い夜になる。

まぐわいはひと晩つづけられ、その間夫は別室にこもり時を過ごす。
なかには友人が愛妻に親しむところをかいま見て、興じるものもいるという。
友人や身内が自分の妻を犯すところを視るのは、夫の特権とされていて、
視ることを望まれた間男は、その妻をことさらに猛々しく征服し、
妻もまた気丈に振る舞いながらも、熱情をこめてまぐわいを受け容れる。

一夜が明けると夫が起きる前に間男は家から姿を消し、
妻はいつものように朝の炊事に精を出す。
もちろん、なにごともなかったように。
夫のほうも夕べのことはおくびにも出さず朝食を採り、仕事に出かけてゆく。

夫が仕事に出かけてゆくと、間男は再び戻ってきて、その妻と通じる。
そして妻を家から連れ出して自分の家に引き入れ、一日じゅうまぐわいを続ける。
まぐわいはその次の日の夜明けまでつづき、妻は間男に連れられて帰宅する。
妻の朝帰りは近所のだれもがそれを知るような刻限に行われるが、
夫が妻と間男とをこころよく迎え入れることで、周囲に二人の関係をそれとなく知らせるのである。

一週間以内にその家では近所や身内を招んでの宴が開かれ、
宴の趣旨は公にされないものも、だれもがそれを実質的な披露の宴と心得ている。
その席では夫は末席にいて、妻と間男とが上座についているからである。
このような形で認知されると、夫と間男は今まで以上に親身な関係を築き、生涯助け合うという。

お墓参りに来た、独身の姪

2017年09月02日(Sat) 08:45:10

私たちが死んだら、お墓参りに来てね。
きっとそこには、あなたに逢いたがっている墓守がいる。
その人はあなたの血を欲しがるだろうから、
そのときには私がそうしてあげたみたいに、あなたの血を吸わせてあげて。

裕福な伯母は、伯父が亡くなった翌日に逝った。
身体じゅうの血液が一滴も残されていない不思議な死に方だったが、
この街の人はだれもがなんの疑念も抱かなかったらしく、葬儀は兄夫婦の手で、鄭重に執り行われた。
その一週間後。
舞阪香苗26歳は、伯母が生前に言い残した不思議な囁きに従って、伯母夫婦の墓を訪れた。
伯母に言われるまま、黒一色のスーツに、脛の透ける薄手のストッキングという礼装に身を包んで。

そこで香苗を待ち伏せしつづけていたらしい墓守は、白髪頭の初老の男。
香苗は自分がこれからなにをされるのかを予期しながらも、礼儀正しくお辞儀をする。
男のほうも礼儀正しく挨拶を返すと、夫婦の墓に額づいて、持っていた花束を鄭重に差し出した。
二人の死を悼んでいるのは、キッと偽りのない想いなのだろうと、香苗は感じた。
周囲からは人通りが去って、香苗は男と二人きりになったのを自覚した。
墓石のまえで組み敷かれ、男はむき出した牙を香苗の首すじに、じりじりと近寄せてくる。
迫る危険に怯えるよりも。
組み敷かれた背中に当たる硬い石畳のごつごつとした感触だけが、気になりつづけていた。
荒い呼気が頬に当たり、ブラウスの襟足に忍び込む。
香苗は首のつけ根に鈍痛を帯びた刻印をつけられて、理性を妖しく漂流させた。
黒のストッキングの脚に男が卑猥な舌を這わせてくるのも、
くまなく舐め抜かれたあげく、ふくらはぎを咬まれて血を吸われるのも、
止めさせる気力はもう、残っていなかった。

もともと無気力な女だった。
高校生のころから学校に行かなくなって、伯母のつてでえた就職先も休みがちだった。
幸か不幸か強力なつてだったので、どんなに引き籠っていても会社の席はなくならなかったし、生活に困ることもなかった。
そんな安穏さがますます、香苗を引き籠らせていった。
唯一の話し相手だった伯母が、さいごに残した言葉――
それだけが、香苗を導いていたのだ。

私が死んだら、お墓参りに来てね。
そこには墓守がいて、あなたのことを待っているから。
彼は夫のつぎに大切なひと。
だから、私はあの人に、あなたのことをプレゼントするの。
服装は、自分をプレゼントするときのラッピングみたいなものよ。
そそくさとはぎ取られてしまうかも知れないけれど、
もしかしたら記念に大事に取っておいてもらえるかも。
私たちのお墓の前で、あの人と仲良くして頂戴ね。
そうすれば。
私はあなたのことを彼に、プレゼントとして差し出すけれど。
あなたにも彼という一生のお友だちを、プレゼントできたことになるわけだから。

すべては伯母の、いうとおりだった。
きっと伯母さんも、こんなふうにされたのね?
ブラウスをはぎ取られ、ストッキングをずり降ろされながら。
降りしきるキスに怯えつつも、少しずつ応えるすべを覚え込まされながら。
それが風変わりな出逢いであったとしても、
初めてのラブ・シーンを伯母のまえで遂げることに香苗は納得を覚えて、
目線を合わせてくる男にかすかに頷きかえすと、
ストッキングを片方だけ脱がされた脚を、ゆっくりと開いていった。
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